パイプライン速報 2015No2 2015/01/07 発行 最新号

2015 No.2
2015.1.7
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2014 年 12 月 20 日(土)
「出光興産による昭和シェル石油買
収」の報道を受け、12 月 25 日午後、30 分間の緊急団交を持っ
た。会社は「何も決まっていない」との見解を示したが、火の
無いところに煙は立たない。ロイヤルダッチシェル(RDS)
が昭和シェル石油の株を売却する意向だ、との報道は以前から
なされており、2014 年 3 月の株主総会で質問した。この時も
香藤会長は「RDSと話はしていない」と否定したが、RDS
と出光が昭和シェルの頭ごなしに話を進める可能性は否定でき
ない。一方的な「買収 → 子会社化」となれば、社員・特約
店・協力会社等への影響は計り知れない。国内石油需要の減少
により、業界再編や協業化は避けられない見通しだが、それに
よって生じる犠牲は最小限にしなければならない。出光興産に
は労働組合がないことも重大な懸念だ。
組合は退職者を含む関係者の利益を守るため、可能な限りの
取り組みを行う考えである。
ニュースソースは出光?
【組合】12 月 20 日に「出光興産が昭和シェル石油を買収して
子会社化」
「2015 年 2 月末に基本合意」との報道があった。青
天の霹靂であり、今後について大変危惧し心配している。両社
ともホームページで
「何ら決定した事実はない」としているが、
一部報道によれば、出光の首脳が認めた、とある。会社は、ニ
ュースソースはどこだと見ているか。
【会社・新留】ニュースソースは分からない。正直、私も 20
日朝に初めて記事を見て飛び起きた。事実としてはプレスで示
している通りだ。確かに今後のいろんな可能性を考えながら検
討していることは事実なんだろうが、現段階で、いつどこで誰
がどのようにして、というのは全く決まっていない。今日言え
るのはそれだけだ。
【組合】出光がリークしたのでは、という受け止め方をしてい
る。RDSが下流部門の売却を進めていて、今後の8つの売却
対象の一つとして昭和シェルの株が挙がっている、との報道に
関して、3 月の株主総会で質問した。香藤会長は「そういう話
は聞いていない」と答弁した(組合員株主に対する答弁全文は
右に掲載)が、その後RDSとは話をしたのか。
【会社・新留】私の記憶では、「シェルとして日本のマーケッ
トは世界の中でも有数のマーケットである、ということで、シ
ェルグループとしてもそういう位置づけで見ている」という話
2014 年 3 月 27 日の株主総会における香藤会長答弁。
ロイヤル・ダッチ・シェルが昭和シェルの株式を売却す
る可能性がある、との報道に関して。
昭和シェル石油の株式売却に関してRDSとは話はして
いない。RDSが、ダウンストリーム(精製・販売)分野
の資産売却を進めているのは全く事実だが、当社の株式を
売却するという話は聞いていない。2010年から201
8年にかけて、全世界で840万BDの新規の精製能力が
出てくる。この能力増強は、明らかに世界の需要を上回る。
日本では高度化法によって100万BD削減されたが、第
二次高度化法が検討され、更なる能力削減の方向性が進ん
でいる。ヨーロッパでも約150万BDが過剰と言われて
いる。米国は原油の輸入国であったが、シェールオイル、
シェールガスによって、自給自足ができる状況に復活して
いる。結果として、供給過剰により、世界的に下流の収益
性はより厳しくなる。シェルの投資戦略について、昭和シ
ェルのマネジメントとしてどうこう言う立場にないが、昭
和シェルと株主という関係を維持しながら、ビジネスとい
う面においてもシェルグループとは製造面、販売面、イン
ターナショナルビジネスにおいて、またシェルは世界のト
ップのトレーディングをやっている企業体だから、そうい
う企業体から見て、ビジネスのアライアンスという観点か
ら非常に価値ある資産・企業であると思われるようになる
ことが昭和シェルにとって一番重要なこと。しかし、株主
の構成がいかに変わろうとも、昭和シェルが業界におい
て、また、石油産業からエネルギー企業に変わろうとして
いるわけで、そういう分野で株主の期待にそえる企業体に
なっていけると思っている。
もあったと思う。売却についての話は分からないが、その位置
づけは今も変わっていないと思う。
【組合】
「2 月末合意」等、報道はかなり具体的だ。報道を受け
て、否定するなり進めるなりの役員会の対応は?
【会社・新留】22 日(月)に香藤会長から直接話を聞いた。
「全
く具体的な事実はないし、そもそも出光さんから具体的な提示
もないし、当社からそういう提案をしたこともない、全くの憶
測記事だ」との話だった。プレス発表通りだ。
【組合】昭和シェルの社員で、フェイスブックに「転職を考え
出光には労働組合が存在しない。経営者が組合の存在
を認めない?企業年金も危惧。
【組合】石油製品需要が右肩下がりで落ちて行く傾向の中で、
何らかの再編、協業化は起こり得るとの見方はしているが、正
直なところ「よりによって出光か」という印象だ。通常の合併
と異なってTOBを仕掛けられると言う話が進めば子会社化さ
れる。非常に企業文化、社風が異なるし、
出光は一部上場で 8700
なくては」と書いていた人がいた。特約店も大きな不安を抱い
ていると思う。
【会社・新留】昔のよしみで私にも多くの特約店さんから問い
合わせがあった。長年昭和シェルというマークのもとでやって
きて、例えば子会社になったり、買収されたりして出光マーク
になるのは嫌だな、とかいうのはおっしゃっていた。そういう
ふうにならないようにやるしかない。
人くらい社員がいるが、未だに労働組合が存在しておらず、労
働条件についてほぼ企業が一方的に決めているのではないか、
経営者が組合の存在を否定する考えを持っているのではないか、
と危惧している。
(昭和シェルの)社員は労働条件、身分に大き
な不安をもって受け止めている。退職者にとっては企業年金が
どうなるかという危惧もあり、組合として捨て置けない。会社
は報道を否定しているが、こうした不安は払拭できない。出光
と再編にかかわって話はしているのか。
【会社・新留】出光も昭和シェルもいろんな検討はしているが、
その中で、どういう統合なのか協業なのか、具体的なことは一
切話がされていない中でこういう報道がなされることはおかし
いし、憶測だ。昭和シェルに限らず、各社とも今後の需要減退
に向けた再編、事業統合などあらゆることを検討しているのは
事実。タウンホールミーティングでも香藤会長が「あらゆる可
【組合】社員・特約店さんに不安がある。業界再編が必至と言
われる中、ある日突然こうなりました、ということにならない
ようにすべきだ。ブランドの問題もある。出来るだけ早く事実
を伝えて欲しい。
【会社・新留】22 日に特約店さんには、会長のメッセージを送
った。内容は基本的に社員向けと同じだ。
【組合】組合としては非常に危惧していることを今日はお伝え
した。会社には、社員の不安を払しょくする努力をしてもらい
たい。つい最近の話として、原油船舶の傭船計画について、大
体3年くらい計画を立てるところ、香藤会長から「2016年
以降は契約するな」との指示があった。これを聞いて組合は「再
編がある」と思っていた。そこでこの報道があったので、こん
な話をしていたんだ、と受け止めた。
【会社・新留】それは東燃とのアライアンスの関係ではないか。
能性」と話していた。しかし今回の報道のようなTOBなど具
体性をもった話はしていない。
【組合】他の課題もあるので、来年早々にも団交開催を求める。
【会社・新留】皆さんが思う以上に私も不安だ。
RDSが、昭和シェルの意向と関係なく株式を売却す
ることもあり得る
【組合】今回の報道に関してRDSはノーコメントと言ってい
るが、RDSが昭和シェルの意向と関係なく株式を売ってしま
うことはあり得る。そういうことも想定して何か考えているの
か。
【会社・新留】可能性としてはあり得る。その時どうするかは、
考えていると思う。
【組合】楽天の三木谷氏が「TBSの株を買ったから自分に経
営権をよこせ」と言ったことがあった。結局とんでもないとい
うことになったが、同じことが起こりかねない。報道を受けて
RDSには確かめないのか。
【会社・新留】当然ながらこういう報道があって確認している
と思う。状況について私は聞いていない。
【組合】出光の社長宅に報道記者がコメントを取りに行ってい
ることから、ニュースソースは出光と推察するが、であれば、
出光に問いただすことがあっても良いのではないか。
【会社・新留】当然やるべきでしょうね。
【組合】出光は全石油(連合発足前に、石油元売り各社などの
組合で組織していた産業別組合連合会)として組合結成の呼び
掛けビラをまき、内部で組合結成の動きがあっても潰されてき
た歴史があり、筋金入りの組合嫌いだ。以前は残業代も支払わ
れていなかった。労使で切磋琢磨してやっていく姿勢がないと
ころとは、ウエルカムではないという人が多いのではないか。
RDSにも出光にも問いただしてもらい、事実なら事実として
どう対応するのか考えないといけない。
【会社・新留】出光とはつながりがないので分からないが、不
安と言えば不安。上場して変わってきているかもしれない。我々
が注意すべきは、昭和シェルの社員の雇用、労働条件ができる
限り維持されるということが、どんな状況になっても求められ
る。
社員・特約店から不安の声。出光マークになるのは嫌
だ、の声
団交後の 12 月 27 日「日経新聞 電子版」は、出光の昭
シェル買収交渉「影の主役」は、とする続報を流した。同
記事によれば、「影の主役」は、RDS。以下に、記事の
一部を紹介する。会社に説明を求めて行くこととする。
一方、昭シェルの思いはどうか。石油メジャーの傘下で
事業を日本国内に制限され、売上高こそ元売り大手5社で
最も少ないが、13 年度は最大手のJXホールディングス
(HD)に次ぐ純利益を稼ぎ出した自負がある。業界再編
にも受け身だったわけではない。「需要が減るなか一肌脱
ぐ考えはある」。10 月、昭シェルの香藤繁常会長兼CEO
は経済産業省幹部にこう答えた。同省は石油業界の供給過
剰是正に向け、7月にエネルギー供給構造高度化法の大臣
告示を改正。設備削減や製油所再編を求め、元売り大手各
社の首脳にヒアリングをしているときのことだった。 構
造不況では縮小均衡に陥りがち。だが今年、ポリエステル
繊維やペットボトルの材料の増産に 100 億円を投じるなど
攻めも忘れていない。 英蘭シェルは持ち株の売却先、つ
まり昭シェルの将来のパートナー探しは同社に任せた節
がある。JXHDという大樹の陰に入るのではなく、民族
系の代表格で肌合いが異なる出光を選んで「2強」をめざ
す姿勢も積極戦略と符合する。
「なんとかうまくやってほしい」。今秋、昭シェルと出
光の交渉を知ったロンドンの英蘭シェル幹部は即座に日
本の交渉当事者にこう伝えた。両社の交渉はこれからが山
場。買収劇の「震源」となった英蘭シェルは波風を立てず
に身を引くことができるかどうかを固唾をのんで見守っ
ている。
以上