レポート課題

レポート課題
第 4.5 回 ここまでの復習と応用
学籍番号
2014 年 12 月 22 日 出題
氏名
1. 以下の各問いに答えよ.
(1) 楕円面 x2 + 2y 2 + 3z 2 = 6 に対して, 点 (1, 1, 1) における外向きの単位法線ベクトル
n を求めよ.
(2) ベクトル場 r = [x, y, z] とスカラー場 r = |r| に対して, 以下の問いに答えよ.
(i) grad (rn ) = nrn−2 r を示せ.
(ii) div (rn r) = (n + 3)rn を示せ.
(iii) ∇2 (rn ) を計算せよ.
(3) ベクトル関数 u = u(r), v = v(r) に対して, 次の公式を導け.
(i) (u × ∇) · v = u · (∇ × v)
(ii) u × (∇ × v) − (u × ∇) × v = u(∇ · v) − (u · ∇)v
ヒント: ベクトル関数は u, v の 2 つが出ているが, ∇ はいずれも v にのみ作用し
ている. よって, 積の公式ではないのだが, 常に ∇ から v に矢印をつけて式変形す
るとよい.
(4) スカラー関数 f (r) が ∇2 f (r) = 0 を満たすとき, 定ベクトル a に対して curl (a ×
grad f (r)) = −grad (a · grad f (r)) を示せ.
3
X
ヒント: ベクトル 3 重積の公式を用いた後, 内積を成分表示 (例えば a · b =
ai bi )
i=1
して, 以下に注意する:
∂ ∂f
∂ ∂f
(r) =
(r)
∂xi ∂xj
∂xj ∂xi
(i = 1, 2, 3).
ただし x1 = x, x2 = y, x3 = z である.
(5) 電荷, 電流のない真空中の電場 E = E(t, r), 磁場 H = H(t, r) は, 次の Maxwell の
方程式を満たす.
ε0
∂E
− curl H = 0,
∂t
div H = 0,
∂H
+ curl E = 0,
∂t
div E = 0.
µ0
ただし ε0 と µ0 はそれぞれ, 真空の誘電率と誘磁率を表わす. このとき, E と H が
次の波動方程式 (解は時間とともに振動する波動現象を記述する) を満たすことを
示せ.
∂ 2H
1
∂ 2E
2 2
−
c
∇
E
=
0,
− c2 ∇2 H = 0, c2 :=
.
2
2
∂t
∂t
µ 0 ε0
なお c は光速であり, 上の波動方程式は電磁波 (空間中の電場 E と磁場 H の変化
によって形成される波動現象) の存在を示唆する.
提出期限: 2015 年 1 月 5 日 (月) 授業開始時
注意点
• 本用紙を表紙とし, 学籍番号と氏名をはっきり書くこと. 解読できない場合は無効とする.
• A4 レポート用紙に書き, 左上をホチキス留めすること.
• ルーズリーフやノートの切れっ端の使用, 用紙のサイズ違い, 留めのないものは様式不十
分として減点する.
レポート課題 解答
1. (1) f (x, y, z) = x2 + 2y 2 + 3z 2 − 6 と置くと, 問題の楕円面は方程式 f (x, y, z) = 0 を満たす
(x, y, z) の集合として表される. 従って
grad f (x, y, z) = [2x, 4y, 6z]
より grad f (1, 1, 1) = [2, 4, 6] が点 (1, 1, 1) における楕円面の法線ベクトルになる. また楕円面
と grad f (1, 1, 1) の図を書けば, この法線ベクトルが外向きであることが分かる. よって
grad f (1, 1, 1)
1
1
2
3
= √ [2, 4, 6] = √ , √ , √
n=
|grad f (1, 1, 1)|
2 14
14 14 14
(2) (i) 勾配の定義から
grad (rn ) = [∂x (rn ), ∂y (rn ), ∂z (rn )]
(ただし ∂x =
意すると,
∂
∂x
を表す. ∂y , ∂z も同様.) となる. ここで r = (x2 + y 2 + z 2 )1/2 であることに注
∂x (rn ) = nrn−1 ∂x r = nrn−1
x
= nrn−2 x
r
となる. 同様に ∂y (rn ), ∂z (rn ) を計算すれば
grad (rn ) = nrn−2 [x, y, z] = nrn−2 r
が示される.
(ii) 発散の定義より
div (rn r) = ∂x (rn x) + ∂y (rn y) + ∂z (rn z)
である. ここで
x
∂x (rn x) = nrn−1 (∂x r)x + rn = nrn−1 x + rn = nrn−2 x2 + rn
r
と変形すれば,
div (rn r) = nrn−2 x2 + rn + nrn−2 y 2 + rn + nrn−2 z 2 + rn
= nrn−2 (x2 + y 2 + z 2 ) + 3rn
= (n + 3)rn
が示される.
(iii) ラプラシアンの定義より
(i)
(ii)
∇2 (rn ) = div (grad (rn )) = div (nrn−2 r) = n div (rn−2 r) = n(n + 1)rn−2
(3) (i) ナブラ演算子から v に矢印を書いておく. スカラー 3 重積に対する公式 a · (b × c) =
b · (c × a) を用いると
(u × ∇) · v = v · (u × ∇) = u · (∇ × v)
(ii) ナブラ演算子から v に矢印を書いておく. ベクトル 3 重積の公式 (website の計算公式のプ
リント参照) を用いると
u × (∇ × v) − (u × ∇) × v = u × (∇ × v) + v × (u × ∇)
= ∇(u · v) − v(∇ · u) + u(∇ · v) − ∇(v · u)
= u(∇ · v) − (u · ∇)v.
ただし v(∇ · u) = (u · ∇)v と書き直している. (cf. スカラー積は順序交換可能である.)
(4) ナブラ演算子は ∇f (r) に掛かっている. ベクトル 3 重積の公式を用いると
curl (a × grad f (r)) = ∇ × (a × ∇f (r))
= a(∇ · ∇f (r)) − ∇f (r)(∇ · a)
= a(∇2 f (r)) − (a · ∇)∇f (r) = −(a · ∇)∇f (r)
ただし, 仮定 ∇2 f (r) = 0 を用いている. 右辺の第 i 成分を表示すると
∂f
(r)
∂xi
3
X
∂
∂f
=−
aj
(r)
∂xi ∂xj
j=1
!
3
X
∂
∂f
aj
(r) = −grad (a · ∇f (r))
=−
∂xi j=1 ∂xj
3
X
∂
[−(a · ∇)∇f (r)]i = −
aj
∂xj
j=1
以上より
curl (a × grad f (r)) = −grad (a · grad f (r))
(5) 第 1 列, 第 1 式の両辺を t で偏微分すると
ε0
∂2E
∂H
− curl
=0
2
∂t
∂t
これに第 2 列, 第 1 式
∂H
1
= − curl E
∂t
µ0
を代入すると
ε0
∂ 2E
1
+
∇ × (∇ × E) = 0
∂t2
µ0
これに計算公式 (10) を適用すると
ε0
∂ 2E
1 2
+
∇(∇
·
E)
−
∇
E
=0
∂t2
µ0
が得られる. 第 2 列, 第 2 式より ∇ · E = 0 なので
1
∂ 2E
−
∇2 E = 0.
2
∂t
ε0 µ0
最後に c2 = 1/(µ0 ε0 ) とおけば, 電場 E に関する波動方程式が得られる.
磁場 H に関する波動方程式も, 第 1 列と第 2 列の役割りを入れ替えれば, 同様にして得ら
れる.