一/ア8一 ※ 呈色反応による脱リグニンの観測 福渡七郎。.安田徳 郎(林産製造研究室)・ Sh1ch1ro FUKUWATARI and Tokuro YASUDA Observat1ons of the De11gn1f1cat1on by the Co!orreaction 〔1〕 ラ0,/05,/20,/80(分)の/0例を処理した。のちそれぞ 脱リグ三ンの進行遇程を明らかにする他の一つの方法 れ冷水で洗篠,0.5%稀NaOH溶液で15分間処理し,塩化 リグニンを溶出,更に熱水にて/5分,冷水にて一夜洗樵. は,呈色反応と顕微化学的方法による追跡である。著者 風乾ののち第1図(b)の如く,4等分した。次にラロログ らは,’先づ,比較的導管の発達した環孔輻射材である。 ミズナラの試片をホロセルローズ定量法に準して脱リグ ルシン/9.をアルコール500ccに溶解し,濃塩酸25㏄, ニンを行い,フロログルシン溶液による呈色反応によつ 添加したWIEsNER試薬に30分間ひたし,呈色反応を行 てその状況を観測した。 わせた。 実験法は.,試料として島根県三成村産の30年生ミズナ 試片よりも所定の位置の切片をとり,150倍にて観察 ラ0肋κ㈱6グ幼〃αβ〃肋の心材より,厚さ0,688〔m した。用いた対物マイクロメーターの目盛は0.0/25(m 皿〕のスライド単板を繊緯方向に50〔1mm〕, 繊緯直角方向(年輸方向)に20〔mm〕に切断 Fig/ し,試片とした。 。。。。4タ\・… 各試片の含水率,〃=15%,風乾重量は約 Wood 0.5gである。試片としては木繊緯にとむ部 薫許)荒:;㍉肋 分を選び,無欠点のものを厳選した、なおミ ズナラの導管の直径は200∼350μで,木繊緯 E工伍act1o口by 羨目面 A1・Ben l;2、 の長さは850∼1400μ直径は/4μ膜壁の厚さ 4∼5μである。 試片59(10枚)を/.:2アルコール,ベン (b) Ex枕act1o口by 7o・6Water ゾール混合液120㏄にて/Ohr.抽出し,O.8% 量を溶出し,一昼夜風乾した。次に蒸溜水 Cb1orination (a) /50㏄にて,5hr.煮沸し,熱水抽出物約5.4 %を除き∬C,6時間の低温乾燥ののち,室 温/3◎C,関係湿度6ア%の下で3昼夜放置, 0.5%NAOH 水分平衡ののち亜塩素酸ソーダNaC102法に よる脱リグニンをJay血eの改良法に従つて Residue 行つた。即ち,試片2.59(5枚)に対して蒸 溜水150ccNaC10219.(試料の40%量),氷 醸酸O.2㏄を加え緩く栓をした。この時の Colo一 reaC1:iOn Pentosan Llg㎜Ω 酸性は・H3・2で75℃のw・t・・b・thよにて 時々振漫しつつ作用させ,/時間毎に新たに NaC102/9,氷酷酸0.2㏄の割合でくりかえ Obseτvatioo」 し補いつつ,処理時間,/5,3α,45,60,75, m)である。実験行程(a)観測点一(b)は,第/図に示め ※木材の化学的成分とその基本的性質との関係;第6報とする 本文は1958年目本木材学会(東京)にて発表した。 す。 ! i F ;i-C Cu) i i i { { 4 ! : :(t O) * ;tLi , :15 rICJ *) Fr ) =:/ :i : tLt*- i 7 1 _ Jj < 7 - . . CtL C : 4' f (L H 1 79 ,J if= y CD C . I : : ; iC, A > < ') tf= :l ) 1 , CE 1, . H c l ) 5 ,J tf= 5 ; . l ) 8,) f 7 7*- =y . B Il , { iC 7 I i l8p/*in?C t! 7C. ; u Table ; : J )E ,) tf= Table I 塩素処理 時間 (lJ) :eCJ 測定回数 〔lm{n〕 = n ') A点 繊維方向 〔mmユ 15 ) )- . '= 1 塩素処理 ) : B点 繊維直角 A点 〔lmin〕 F// 〔伽m〕 んF///A・F//■ B・F⊥ 5.ろ 6.7 3./3 2.5’ /0.3 5.O 4.3 2.07 2.4 〔mm〕 30 45 4.ア 3.6 /.76 2.ろ //.6 5.8 4.2 3.04 3,40 5.30 2.8 3.8 ア.251 4.5 8.2 0.25 0.08 O./0 60 30 /2 0.3/ 0./5 0./3 ア5 /1.3 3.3 4./ 45 /0 0.3ア 0.2/ 0./6 90 /5.3 2.9 4.O 60 12 0.ア0 0.23 0.25 一2.5 4.0 0.85 0.25 0.引 /.38 0.26 0.36 { i r 0.26 0.42 : 7C ; 0.29 ’ ’ 8 8 8 8 90 ./05 /20 CCD ,) f= C l ) Q< c= ) zJ', /.88 一 i' , 7S' /05 /ア.9 l C ) ・* 1 1 . A*i i ) I l )H l , *j t '=:li , l: 1CD * ti f___ ICJ Fig 5 r J CJ C・F⊥ 16.ア 10 75 遠 度 比. C点 F⊥ B点 F⊥ /5 C点 繊維直角 方 向 方 向 脱リグニン遠度〔μ/min〕 時間 I 2.7 ;.T /j' ) i 7,_- '. &,j tf= ; 2 l 15 Fig 2 tf ', ' O OA :/ 10 i 14 q C/ /m i n) ¥o ) r-. - - O B 10 / :'j PIA 7 08 y (D { C 5 1 ,2 1 5 so 45 6c) 75 90 1 os t !8 ' r rc ) C*i*) : 0+ O. 6 Cmm) O. 4 02 ') tf= ..e/ _C IolIo ..e' Iol od;.ol o- o B-'-o o' 818401 60-70 o ) >7 : e i-*, { l 5 ; . : 0.0 1 5 50 45f :i 60 75 90 1 20 t i (mj*) CDr 71 iCi I I l * ; p l ) c . ) 1 ji ii c * , H} '3 tf=:/CD E 7 t,_-rrl f :, n ,j tf= y tLt '¥ ' ) . C ) Ji , A, B, C ftL , l i jC ; . P , ') tf= cJ !^' ! B f CD l ec 島根農科大学研究報告 一/80二 第7号A、(/959) した。 Fig4 繊緯方向と繊緯直角方向の脱リクニノ速度比 Fig5 O.7 70 O.6 60 呈O.5 /! 色 。/’ 脱50 ソ 都 /’ へ.則1/B.肚 ク 分 / の 、、、 〆 巾ユ4 “/ 差 度=40 ゆ〕 \.〉 比 べζ 。く ・.ろ 1’ぺ 3.0 ! 、 、2 / 込 1 一へ、. 2.0 o.1 ! 、、 1.O 15 ろ0 45 60 75 90 1⑪5 塩素処理時間 〔㎜珂 〃 、◎ ! 15 ヨ〕 45 60 75 90 105 Tab1e皿 呈色反応を示した巾 塩棄処理時間 〔団軸 塩素処理 時間 測定回数 〔mm〕 〔min〕 0 A点 6 B点 C点 〔mm〕 〔mm〕 の塩素化を要する。この時間は実験の結果ともよく一致 0.688 O.688一 0.688 した。 更に呈色反応面積を算出すると第4表をうる。但し簡 /5・ /0 0.445 O.450 0.440 30 45 /2 0.338 0.365 0.400 /0 0.238 O.263 0.23/ 60 /2 0./8ア 0.2/3 0./88 関係は,第6図の如く,ほぼ直線的に減退する。この曲 0./42 0./50 0./50 線は,先に報告した硫酸リグニンの減少曲線に近い。 勿論,樹種を異にしているので直ちにアカマツやユー ア5 90 /05 8 8 8 0.100 0./25 0.114 0.083 O./00 O.//2 単のために,・長方形の未反応断面として計算したが実際 は,楕円形状を呈している。計算値と塩素処理時間との カリと比較することはできない。然し,ユーカリの場合一 に近似したものと推定されるので,ユーカリの場合の脱 はすみやかに漸滅する。この曲線を外挿して呈色域が0 となる点を求めると約/80分である。即ち,厚さ約0.7 〔lmm〕の薄板を液相にて完全脱リグニンするには,約ろhr 時間 〔min〕 0 板目面 木口面 〔皿m2〕 〔mm2〕 柾目一面 脱リグニ 筒,顕微鏡観測において観察された二,三の点を述べ ると,(1)申間層リグニンは最も塩素により脱リグニンさ ン率 (ユーカリ) 〔m皿2〕 (a)との関係を求めると完全に直線をうる。即ち一,.両者 の間にはda/dE:一kなる一つの係数によつて関係づけ るこことができると見込まれる。 Tab1eW 呈色面積(ミズナラ) 塩素処理 リクニン量(E)を代用して,脱リクニン量と呈色面積 % れ易く,細胞膜申のそれはおそい。(2)呈色域との間に, 淡黄色の申間域があり,観測はその申央をとるようにし 54.5 /3.8 /5 22.2 8.9 98/ 3.3 30 1ア.8 7.2 9ア4 6.4 45 12.8 5.2 9ア0 9.0 60 /0.ア 4.5 950 11.5 /000 75 7.2 2.ア 937 /3.2 90 5.9 2.4 906 一5.6 /05 4.6 1.9 885■ /6.2 た。精密を期しがたいのがこの方法としての難点であつ た。(3)髄線細胞は,最も脱リグニンされ錘く,/20分に て筒呈色するものがあつた。また(4)導管の脱リグニン進 行への影響はある場所ではたしかにこれを促進している こともあるが,それの認められない場合もあるので,結 論づけることは困難であつた。 福渡七郎・安田徳郎:呈色反応による脱リグニンの観測 一/8/一 〔皿〕結 論 本実験によつて次の諸点が明らかに Fig6 された。ミズナラ薄片につき, 25 (1)繊緯方向の脱リグニニノ遠度はす みやかであつ亡,最大遠度は約/8 μ/血inであつた。 呈 20 (2)繊緯直角方向の脱リグニン遠度は 色 おそく,繊緯方向の%∼%であつた。 面 積 (3)脱リグニンされる木口及び板目の一 15 断面積の増加は,処理時間60∼70分 (mm2〕 まではすみやかであり時間軸に対し 〆板目由 10 直線に近い。 (4)脱リグニン量と脱リグ三ンされた 断面積とは直線関係で示されると見 木 口 面 5 φ 傲される。 (5)以上の結果より,一リグニンの木材 ’申における’細胞接着及び強度的性質 に対する機能を推察することができ 15 30 45 60 75 90 105 塩素処理時問 〔㎜in〕 ると思う。そしてこのリグニンは先 報に述べた様に縮合性リグニン叉は 成形性リグニソに属するものであろ う。 以上 /958.12
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