Baut1X の有理ホモトピーの計算 西信洋和(高知大学) 山口俊博(高知大学) X は単連結有限CW複体とする。aut1 X は X の自己ホモトピー同値 写像のなす空間の恒等写像の成分のモノイドで、タイトルの Baut1 X は Dold-Lashof(1959) の分類空間であり、CW複体 Y 上の X をファイバー とする向き付け可能なファイブレーションの同型類の集合とホモトピー 集合 [Y, Baut1 X] は同型となることが知られている。Milnor は X が球面 S n のとき、H ∗ (Baut1 X; Q) は一変数多項式環 Q[v] (ここで n が偶数なら |v| = 2n、n が奇数なら |v| = n + 1)となることを示した。Sullivan(1977) によって、Baut1 X の有理ホモトピー型は X の Sullivan モデル M (X) の derivations のなす DGL DerM (X) によって決まる。しかし M (X) がわ かっていても、その計算結果を推測するのは容易ではなく、例えば、X = S 3 × S 5 のときでも、有理コホモロジー環は無限生成: H ∗ (Baut1 X; Q) ∼ = Q[v] ⊗ Λ(w0 , w1 , w2 , · · · )/({vwi }i , {wi wj }i≤j ) |v| = 4, |wi | = 3 + 6i となる。この場合、Baut1 X は formal ですら なく、もちろん有理 H-空間にはなり得ない。その一方で、H ∗ (X; Q) ∼ = Q[x1 , .., xm ]/(f1 , .., fm ) の形のときには、ある n があって H ∗ (Baut1 X; Q) ∼ = Q[v1 , v2 , · · · , vn ] となるという Halperin 予想がある。これは、Shiga-Tezuka(1987) による X が等質空間の場合など、部分的にしか解かれていない。 問1.どのような X に対し H ∗ (Baut1 X; Q) は自由代数になるか? 問2.Baut1 X にはどのような有理ホモトピー的制約があるか? 最近、[Ni-Ya] では、ホモトピー階数が4以下の場合の全ての elliptic 空 間 X に対し、Baut1 X の有理ホモトピー型を分類している。本講演では、 上の問1, 問2と関連させながら、その様子についてお話ししたい。 1
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