統計的 推測Ⅰ 統計的推測Ⅰ 0.目次 1.母集団と標本 2.標本平均 3.推定の考え方 3 .1 母平均の推定 3 .1 .1 3 .1 .2 母標準偏差が既知の場合 母標準偏差が未知の場合 3 .2 母分散の推定 3 .3 母比率の推定 - 1 - 統計的 推測Ⅰ 1.母集団と標本 推測の対象となる集団全体を母集団という。調査の対象となる性質を特性とい い、数値で表現できる特性を変量という。 たとえば、1世帯あたりの子供の数、一人あたりの年収や身長などである。 母集団に属するものを個体といい、個体の総数を母集団の大きさという。 大 き さ Nの 母 集 団 に お い て 、 変 量 Xが 、 x 1 ,x 2 ,… x M の 値 を と り 、 そ れ ぞ れ 個 体 数 を f 1 ,f 2 ,… ,f M と す る 。こ の と き 、変 量 Xの 度 数 分 布 、確 率 分 布 は 次 の よ う に な る 。 Xの 確 率 分 布 は 、 母 集 団 分 布 と 呼 ば れ る 。 X x1 x2 … xM 計 Xの 度 数 分 布 f1 f2 … fM N Xの 確 率 分 布 f 1 /N f 2 /N … f M /N 1 母 平 均 μ 、 母 分 散 σ 2、 母 標 準 偏 差 σ は 、 次 の よ う に 定 義 さ れ る 。 μ = x 1 × (f 1 /N) + x 2 × (f 2 /N) + … + x M × (f M /N) σ 2 = (x 1 -μ ) 2 × (f 1 /N) + (x 2 -μ ) 2 × (f 2 /N) + … + (x M -μ ) 2 × (f M /N) 母集団から個体を選び出すことを抽出といい、抽出された個体の集合を標本と いう。その個体の総数を標本の大きさという。 母集団 抽出 標本 標本の抽出は、母集団の特性を失わないように個体が公平に(同じ確率で)選 ばれなければならない。このような抽出法を無作為抽出という。無作為に抽出さ れた標本を無作為標本という。 ま た 、 母 集 団 か ら 大 き さ nの 標 本 を 抽 出 す る と き 、 1個 の 個 体 を 抽 出 す る た び に 母 集 団 に 戻 す 操 作 を n回 繰 り 返 す こ と を 復 元 抽 出 と い う 。 元 に 戻 さ な い で 選 ぶ 場 合 や 、 一 度 に n個 選 ぶ 場 合 を 非 復 元 抽 出 と い う 。 母集団をすべて調査できない場合、標本から得られるデータを使って、母集団 の性質を推定する学問を推測統計学と呼ぶ。 - 2 - 統計的 推測Ⅰ 問題1 標本 母 集 団 {a,b,c}か ら 2個 抽 出 す る 。 (1)復元抽出の場合、 aa,ab,ac,ba,bb,bc,ca,cb,cc の 9(=3 2 )通 り の 標 本 が 考 え ら れ る 。 ( 2 ) 非 復 元 抽 出 (元 に 戻 さ な い )の 場 合 、 ab,ac,ba,bc,ca,cb の 6(=3× 2)通 り の 標 本 が 考 え ら れ る 。 ( 3 ) 非 復 元 抽 出 (一 度 に 2個 選 ぶ )の 場 合 、 ab,ac,bc の 3通 り の 標 本 が 考 え ら れ る 。 - 3 - 統計的 推測Ⅰ 2.標本平均 「 母 集 団 か ら 大 き さ nの 標 本 x 1 ,x 2 ,… ,x n を 無 作 為 に 抽 出 す る 」 と い っ た 場 合 、 次 のことを意味する。 x 1 : 1番 目 に 抽 出 さ れ る 標 本 x 2 : 2番 目 に 抽 出 さ れ る 標 本 ・・・ x n : n番 目 に 抽 出 さ れ る 標 本 x 1 ,x 2 .… ,x n は 、 独 立 ( 互 い に 影 響 さ れ な い ) で 、 同 一 の 母 集 団 分 布 に 従 う 確 率 変 数 X 1 ,X 2 .… ,X n の 実 現 値 で あ る 。 身長や体重などの測定を慎重に行ったり、大量の製品から無作為に選ぶような 場合が考えられる。 標本の平均値を表す確率変数 X は、標本平均と呼ばれる。 X = X1 + X2 + … + Xn n 母 集 団 の 母 平 均 が μ 、 母 分 散 が σ 2 の と き 、 確 率 変 数 X 1 ,X 2 ,… ,X n の 平 均 、 分散はμ、σ2 となる。したがって、標本平均の平均と分散は次のように計算さ れる。 ●標本平均の平均 E(X) = E( = 1 n X1 + X2 + … + Xn ) n (E(X 1 ) + E(X 2 ) + … + E(X n )) = μ すなわち、標本平均の平均は、母平均に等しい。 (参考)標本平均のように標本のデータに基づく統計量で、母数を推定する量を 推定量という。また、期待値をとると母数と同じ値になる推定量を 不偏推定量という。 したがって、標本平均は不偏推定量である。 - 4 - 統計的 推測Ⅰ ●標本平均の分散 確 率 変 数 X 1 ,X 2 ,… ,X n は 独 立 で あ る か ら 、 V(X) = V( = = 1 n2 X1 + X2 + … + Xn ) n (V(X 1 ) + V(X 2 ) + … + V(X n )) σ2 n す な わ ち 、 標 本 平 均 の 分 散 は 、 母 分 散 の 1/nに な る 。 一般に、中心極限定理が成り立つ。 母 平 均 μ 、 母 分 散 σ 2 の 母 集 団 か ら 抽 出 ( 復 元 、 非 復 元 ) し た 大 き さ nの 標 本 平 均 X の 分 布 は 、 nが 大 き け れ ば 、 平 均 μ 、 分 散 σ 2 /nの 正 規 分 布 に 従 う 。 X ~ N(μ ,σ 2 /n) 母集団 標本1 x 11 , x 12 , … , x 1n x 1= x11+x12+…+x1n n 標本2 x 21 , x 22 , … , x 2n x 2= x21+x22+…+x2n n 標本3 x 31 , x 32 , … , x 3n x 3= x31+x32+…+x3n n 標本k x k1 , x k2 , … , x kn x k= xk1+xk2+…+xkn n 母平均:μ 母分散:σ2 母 集 団 か ら k組 の 標 本 ( 標 本 1 、 標 本 2 、 … 、 標 本 k ) を 無 作 為 抽 出 し 、 k個 の 標 本 平 均 x 1 , x 2 , … , x k を 求 め る 。 標 本 平 均 の 値 を い く つ か の 階 級 に 分 割 し 、 k個 の 標 本 平 均 か ら 、 高 さ が 確 率 密 度 の 棒 グ ラ フ を 描 く と 、 平 均 μ 、 分 散 σ 2 /n の 正 規 分 布 に 近 づ く 。 - 5 - 統計的 推測Ⅰ 3.推定の考え方 3 .1 母平均の推定 母集団の母平均を標本の値を使って推定する。 3 .1 .1 母標準偏差が既知の場合 母 平 均 μ 、 母 分 散 σ 2 の 母 集 団 か ら 大 き さ nの 標 本 x 1 ,x 2 ,… ,x n を 抽 出 す る と き 、 標 本 平 均 X は 、 平 均 μ 、 分 散 σ 2 /nの 正 規 分 布 に し た が う 。 したがって、Z = X - μ は 、 平 均 0、 標 準 偏 差 1の 標 準 正 規 分 布 に し た が う 。 σ n ● 信 頼 係 数 1-α の 信 頼 区 間 (0≦ α ≦ 1) z(α /2)を 標 準 正 規 分 布 の 上 側 α /2点 と す る と き 、 確 率 変 数 Z に つ い て 、 1 - α = P(-z(α /2)≦ Z≦ z(α /2)) = P(-z(α /2)≦ X - μ σ/ ≦ z(α /2)) n が 成 り 立 つ 。 す な わ ち 、 実 現 値 x 1 ,x 2 ,… ,x n ,x に よ っ て 得 ら れ る zが 、 -z(α /2)≦ z≦ z(α /2) の 値 と な る 確 率 が 1-α で あ る 。 標準正規分布の確率密度関数 こ の 部 分 の 面 積 1-α こ の 部 分 の 面 積 α /2 こ の 部 分 の 面 積 α /2 0 z -z(α /2) z(α /2) 不等式を変形すると、 1 - α = P(X - z(α /2) σ ≦ μ ≦ X + z(α /2) n σ ) n となる。 x - z(α /2) σ ≦ μ ≦ x + z(α /2) n σ n を 信 頼 係 数 1-α の 信 頼 区 間 と い う 。 (注意)信頼区間は、実現値によって異なる。 - 6 - 統計的 推測Ⅰ ● 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 α =0.05 の と き 、 z(0.025)≒ 1.96 で あ る 。 P(|Z|≦ 1.96)≒ 0.95よ り 標準正規分布の確率密度関数 こ の 部 分 の 面 積 0.025 こ の 部 分 の 面 積 0.025 0 z -1.96 1.96 実 現 値 x 1 ,x 2 ,… ,x n , x に 対 し て 、 母 平 均 μ の 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 は x - 1.96σ ≦ μ ≦ x + n 1.96σ n となる。 す な わ ち 、 大 き さ nの 標 本 を m回 抽 出 す る と 、 m個 の 信 頼 区 間 を 得 る が 、 こ の と き 、 お よ そ m× 0.95個 の 信 頼 区 間 は 、 母 平 均 μ を 含 ん で い る と い う 意 味 で ある。 母平均μを含む信頼区間 母平均μを含まない信頼区間 μ ● 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 α =0.01 の と き 、 z(0.005)≒ 2.58 で あ る 。 実 現 値 x 1 ,x 2 ,… ,x n , x に 対 し て 、 母 平 均 μ の 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 は x - 2.58σ n ≦ μ ≦ x + 2.58σ n - 7 - 統計的 推測Ⅰ 問題1 ( 1 ) あ る 国 の 国 民 を ラ ン ダ ム に 400人 選 ん で 、 体 重 を 測 定 し た と こ ろ 平 均 60kg で あ っ た 。 母 標 準 偏 差 を 3kgと し て 、 こ の 国 の 国 民 の 平 均 体 重 μ に 対 す る 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 は 、 z(0.05/2)=1.96 1.96× 3 1.96× 3 60 ≦ μ ≦ 60 + 400 60 - 0.29 400 ≦ μ ≦ 60 + 0.29 である。 ( 2 ) あ る 国 の 国 民 を ラ ン ダ ム に 400人 選 ん で 、 体 重 を 測 定 し た と こ ろ 平 均 60kg で あ っ た 。 母 標 準 偏 差 を 3kgと し て 、 こ の 国 の 国 民 の 平 均 体 重 μ に 対 す る 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 は 、 z(0.01/2)=2.58 2.58× 3 2.58× 3 60 ≦ μ ≦ 60 + 400 60 - 400 0.39 ≦ μ ≦ 60 + 0.39 である。 ( 3 ) あ る 国 の 国 民 一 人 当 た り の 体 重 の 母 標 準 偏 差 を 3kgと す る 。 母 平 均 を 信 頼 係 数 95%で 推 定 し 、 信 頼 区 間 の 幅 を 0.5kg以 下 に し た い 。 標本の大きさを求めよ。 信頼区間の幅は、 2× 1.96× 3 ≦ 0.5 n より、 n ≧ 2× 1.96× 3 2 0.5 = 554 である。 ( 4 ) あ る 国 の 国 民 一 人 当 た り の 体 重 の 母 標 準 偏 差 を 3kgと す る 。 母 平 均 を 信 頼 係 数 99%で 推 定 し 、 信 頼 区 間 の 幅 を 0.5kg以 下 に し た い 。 標本の大きさを求めよ。 信頼区間の幅は、 2× 2.58 × 3 ≦ 0.5 n より、 n ≧ 2× 2.58× 3 0.5 2 = 959 である。 - 8 - 統計的 推測Ⅰ 3 .1 .2 母標準偏差が未知の場合 母 標 準 偏 差 を 事 前 に 知 る こ と は 難 し い 。 そ の 代 わ り に 不 偏 標 本 分 散 S2 を 考 え る。 n Σ (X i S2 = - X) 2 i=1 n-1 このとき、 X - μ T = は 、 自 由 度 n-1の t分 布 に し た が う 。 S n ● t分 布 は y軸 に つ い て 左 右 対 称 で 、 標 準 正 規 分 布 に 近 い 。 自由度3 自由度10 自由度50 t分布 0.16 0.14 0.12 0.10 0.08 0.06 0.04 0.02 0.00 -4 -3.2 -2.4 -1.6 -0.8 0 0.8 1.6 2.4 3.2 4 (考察) 標本調査では、母平均の値はわからないことが多いので、標本平均を使わざる を 得 な い 。 ま た 、 分 散 も 標 本 平 均 か ら の ず れ を 示 す 標 本 分 散 U2 を 考 え ざ る を 得 ない。 n Σ (X i - X) 2 i=1 U2 = n n-1 と こ ろ が 、 標 本 分 散 U 2 の 期 待 値 は 、 E(U 2 )= σ2 となり不偏推定量でない。 n そこで、 n n-1 倍 し て 不 偏 推 定 量 と な る 不 偏 標 本 分 散 S2 n Σ (X i S2 = - X) 2 i=1 n - 1 を使う。 - 9 - 統計的 推測Ⅰ ●標本分散と不偏標本分散の期待値 ・標本分散 1 U 2= n n (X i - X ) 2 i=1 X i - X = (X i - μ ) - (X -μ ) と す る 。 n n (X i - X )2 (X i- μ )- ( X - μ ) = i= 1 2 i=1 n (X i - μ ) 2 - 2 (X i - μ )( X - μ ) + ( X - μ ) 2 = i=1 n n ( X i - μ ) 2+ = i= 1 i= 1 n n X i ・ X +2 -2 i= 1 ( X - μ )2 n X i ・μ +2 i= 1 n X ・μ - 2 i=1 μ2 i=1 n (X i - μ ) 2+ n( X - μ ) 2 - 2n X 2 +2 μ n X +2 μ n X - 2 n μ 2 = i= 1 n (X i - μ ) 2 + n ( X - μ ) 2 - 2 n ( X - μ ) 2 = i= 1 n (X i - μ ) 2 - n ( X - μ ) 2 = i= 1 - 10 - 統計的 推測Ⅰ よって、 E ( U 2) = E 1 =E = 1 n = n n 1 n ( X i- μ )2- ( X - μ )2 i= 1 n (X i -μ)2 -E ( X -μ)2 i=1 n (X i -μ)2 -E ( X -μ)2 E 1 n i=1 V (X 1 + V ( X 2 ) + … + V (X n ) ) - V ( X ) n・ σ 2 σ 2 = n n n- 1 = σ 2 n ・不偏標本分散 1 2 S = S 2= n- 1 n ( X i- X )2 i= 1 n U2 よ り n- 1 n E( U 2 ) n- 1 n n- 1 = σ2 n- 1 n E ( S 2 )= =σ 2 - 11 - 統計的 推測Ⅰ こ こ で 、 X、 S は 既 知 な の で 、 母 平 均 μ に つ い て 推 定 が で き る 。 自 由 度 n-1の t分 布 の 上 側 α /2点 を t(n-1;α /2)と す る 。 自 由 度 n-1の t分 布 こ の 領 域 の 面 積 は α /2 こ の 領 域 の 面 積 は α /2 -t(n-1;α /2) T = X - μ S 0 t(n-1;α /2) は 、 自 由 度 n-1の t分 布 に し た が う こ と よ り 、 n 1 - α = P(-t(n-1;α /2)≦ T≦ t(n-1;α /2)) X - μ = P(-t(n-1;α /2)≦ S ≦ t(n-1;α /2)) n = P(X - t(n-1;α /2) S ≦ μ ≦ X + t(n-1;α /2) n S ) n が成り立つ。 実 現 値 x 1 ,x 2 ,… ,x n , x, s に よ っ て 得 ら れ た x - t(n-1;α /2) s ≦ μ ≦ x + t(n-1;α /2) n s n が 信 頼 係 数 1-α の 信 頼 区 間 で あ る 。 す な わ ち 、 大 き さ nの 標 本 を m回 抽 出 す る と 、 m個 の 信 頼 区 間 を 得 る が 、 こ の と き 、 お よ そ m(1-α )個 の 信 頼 区 間 は 、 母 平 均 μ を 含 ん で い る と い う 意 味 で ある。 - 12 - 統計的 推測Ⅰ ● t(n;α /2)の 値 α 0.001 自由度n 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 636.619 31.599 12.924 8.610 6.869 5.959 5.408 5.041 4.781 4.587 0.01 0.05 63.657 9.925 5.841 4.604 4.032 3.707 3.499 3.355 3.250 3.169 12.706 4.303 3.182 2.776 2.571 2.447 2.365 2.306 2.262 2.228 ● Excelで の 計 算 法 関 数 tinv(α ,自 由 度 ) で 、 両 側 α 点 を 求 め る 。 問題1 ( 1 ) あ る ク ラ ス か ら ラ ン ダ ム に 選 ん だ 8人 の 成 績 が 、 45,85,26,39,54,10,55, 56 で あ っ た 。 平 均 μ に 対 す る 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 を 求 め よ 。 こ の ク ラ ス の 平 均 μ に 対 す る 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 は 、 46.25 - t(7;0.05/2)× 22.4 ≦ μ ≦ 46.25 + t(7;0.05/2)× 22.4 8 46.25 - 2.365× 22.4 8 ≦ μ ≦ 46.25 + 8 2.365× 22.4 8 46.25 - 18.73 ≦ μ ≦ 46.25 + 18.73 27.52 ≦ μ ≦ 64.98 である。 - 13 - 統計的 推測Ⅰ 3 .2 母分散の推定 母 分 散 を σ 2と し 、 不 偏 標 本 分 散 S2 を 考 え る 。 n Σ (X i S2 = i=1 - X) 2 n-1 このとき、 χ2 = (n-1)S 2 σ2 は 、 自 由 度 n-1の χ 2 分 布 に し た が う 。 ● χ 2分 布 χ2乗分布(自由度1 乗分布(自由度1~5) 0.60 自由度1 0.50 自由度2 0.40 自由度3 自由度4 0.30 自由度5 0.20 0.10 0.00 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5 10 こ こ で 、 X、 S は 既 知 な の で 、 母 分 散 σ 2 に つ い て 推 定 が で き る 。 自 由 度 n-1の χ 2 分 布 の 上 側 α /2点 を χ 2 (n-1;α /2)、 上 側 1-α /2点 を χ 2 (n-1;1 -α /2)と す る 。 自 由 度 n-1の χ 2 分 布 こ の 部 分 の 面 積 1-α こ の 領 域 の 面 積 は α /2 -χ 2 (n-1;1-α /2) こ の 領 域 の 面 積 は α /2 χ 2 (n-1;α /2) - 14 - 統計的 推測Ⅰ χ2 = (n-1)S 2 σ2 は 、 自 由 度 n-1の χ 2 分 布 に し た が う こ と よ り 、 1 - α = P(-χ 2 (n-1;1-α /2)≦ χ 2 ≦ χ 2 (n-1;α /2)) = P(-χ 2 (n-1;1-α /2)≦ = P( (n-1)S 2 χ 2 (n-1;α /2) (n-1)S 2 σ2 ≦ χ 2 (n-1;α /2)) (n-1)S 2 ≦ σ 2≦ ) χ 2 (n-1;1-α /2) である。 実 現 値 x 1 ,x 2 ,… ,x n , x, s に よ っ て 得 ら れ た (n-1)s 2 χ 2 (n-1;α /2) ≦ σ2 ≦ (n-1)s 2 χ 2 (n-1;1-α /2) が 信 頼 係 数 1-α の 信 頼 区 間 で あ る 。 す な わ ち 、 大 き さ nの 標 本 を m回 抽 出 す る と 、 m個 の 信 頼 区 間 を 得 る が 、 こ の と き 、 お よ そ m(1-α )個 の 信 頼 区 間 は 、 母 分 散 σ 2 を 含 ん で い る と い う 意 味 で ある。 - 15 - 統計的 推測Ⅰ 3 .3 母比率の推定 不 良 率 が pの 母 集 団 か ら 大 き さ nの 標 本 を 無 作 為 に 抽 出 し た と き 、 不 良 品 の 個 数 を Xと す る 。 Xは 確 率 変 数 で 2 項 分 布 B(n,p)に 従 う 。 nが 十 分 に 大 き い と き 、 正 規 分 布 N(np、 np(1-p))に 近 い 。 し た が っ て 、 X - np Z = は 、 平 均 0、 標 準 偏 差 1の 標 準 正 規 分 布 に し た が う 。 n p (1 -p ) ● 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 P(|Z|≦ 1.96)≒ 0.95よ り |X - np| P(|Z|≦ 1.96) = P(--------- ≦ 1.96) n p (1 -p ) = P(|X - np|≦ 1.96 n p (1 -p ) ) ≒ 0.95 P(X - 1.96 n p (1 -p ) ≦ np ≦ X + 1.96 n p (1 -p ) ) ≒ 0.95 と な る 。 Xの 実 現 値 を xと す る と 、 x n - 1.96 p(1-p) n ≦ p ≦ x n p(1-p) + 1.96 n こ こ で 、 pを p 0 = x/n と 見 な し て 、 p 0 - 1.96 p0(1-p0) ≦ p ≦ p 0 + 1.96 n p0(1-p0) n を 母 比 率 に 対 す る 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 を 得 る 。 ( 考 察 ) pを p 0 = x/n と 見 な す 理 由 p=0.2, p 0 =0.1, n=1000と す る と , p(1-p) n - p0(1-p0) n = 0.01265 - 0.00949 = 0.00316 となる。 pと p 0 の 値 が 異 な れ ば 、 p(1-p) の差ほどではない。そこで、 と n p(1-p) n p0(1-p0) n と しまう。 - 16 - の 値 も 異 な る が 、 そ の 差 は pと p 0 p0(1-p0) n はほとんど同じと見なして 統計的 推測Ⅰ ● 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 P(|Z|<2.58)≒ 0.99よ り P(X - 2.58 n p (1 -p ) ≦ np ≦ X + 2.58 n p (1 -p ) ) ≒ 0.99 となる。 p 0 - 2.58 p0(1-p0) n ≦ p ≦ p 0 + 2.58 p0(1-p0) n を 母 比 率 に 対 す る 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 を 得 る 。 問題1 ( 1 ) あ る 工 場 で 、 1000個 の 製 品 中 、 40個 の 不 良 品 が 見 つ か っ た 。 不 良 率 の 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 は 、 p 0 = 40/1000 = 0.04 40/1000 - 1.96 0.04 - 1.96 p0(1-p0) n 0.04× 0.96 1000 ≦ p ≦ 40/1000 + 1.96 ≦ p ≦ 0.04 + 1.96 p0(1-p0) n 0.04× 0.96 1000 0.04 - 0.012 ≦ p ≦ 0.04 + 0.012 0.028 ≦ p ≦ 0.052 ( 2 ) あ る 工 場 で 、 1000個 の 製 品 中 、 40個 の 不 良 品 が 見 つ か っ た 。 不 良 率 の 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 は 、 p 0 = 40/1000 = 0.04 40/1000 - 2.58 0.04 - 2.58 p0(1-p0) n 0.04× 0.96 1000 ≦ p ≦ 40/1000 + 2.58 ≦ p ≦ 0.04 + 2.58 0.04 - 0.016 ≦ p ≦ 0.04 + 0.016 0.024 ≦ p ≦ 0.056 - 17 - p0(1-p0) n 0.04× 0.96 1000 統計的 推測Ⅰ 4.問題 問題1 ( 1 ) あ る 国 の 国 民 を ラ ン ダ ム に 100人 選 ん で 、 身 長 を 測 定 し た と こ ろ 平 均 160cm で あ っ た 。 母 標 準 偏 差 を 8cmと し て 、 こ の 国 の 国 民 の 平 均 身 長 μ に 対 す る 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 を 求 め よ 。 信 頼 係 数 95%の 信 頼 区 間 は 、 160 - ① ≦ μ ≦ 160 + ① である。 ( 2 ) あ る 国 の 国 民 を ラ ン ダ ム に 100人 選 ん で 、 身 長 を 測 定 し た と こ ろ 平 均 160cm で あ っ た 。 母 標 準 偏 差 を 8cmと し て 、 こ の 国 の 国 民 の 平 均 身 長 μ に 対 す る 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 を 求 め よ 。 信 頼 係 数 99%の 信 頼 区 間 は 、 160 - ② ≦ μ ≦ 160 + ② である。 ( 3 ) あ る 国 の 国 民 一 人 当 た り の 身 長 の 母 標 準 偏 差 を 8cmと す る 。 母 平 均 を 信 頼 係 数 95%で 推 定 し 、 信 頼 区 間 の 幅 を 1cm以 下 に し た い 。 標 本 の 大 き さ nを 求 め よ 。 n≧ ③ ( 4 ) あ る 国 の 国 民 一 人 当 た り の 身 長 の 母 標 準 偏 差 を 8cmと す る 。 母 平 均 を 信 頼 係 数 99%で 推 定 し 、 信 頼 区 間 の 幅 を 1cm以 下 に し た い 。 標本の大きさを求めよ。 n≧ ④ - 18 -
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