中2 連立方程式 1.連立方程式の計算 中2で出てくる連立方程式は、正式には2元1次方程式といいます。「元」というのは文字の種類。つま り、2種類の文字を使っている1次方程式、ということで、普通xとyの2つの文字を使います。これらのxや yを求めるためには、2つの式が必要となります。例えば、x+y=5という1つの式だけでxやyを求めよう としても、x=1,y=4とか、x=2,y=3とか、無数の解が存在することになり、1つ(1組)に特 定することはできません。(不定といいます)ですから、xとyの解をそれぞれ1つに特定するためには2つの 式が必要になるのです。 例えば、3x+2y=5,x+2y=3という2つの式があったとします。この連立方程式を解く方法は 2種類。加減法と代入法という2つの方法があります。ほとんどの教科書では加減法から入っているので、ここ でも加減法から説明していきます。加減法というのは、その名前の通り、加減、つまり、加法や減法を使う方法 です。ここでは、最初の式から2番目の式を引きます。といっても、「辺々を引く」というのですが、これらの式を上 下2段に書きます。そして、3xからxを、2yから2yを、5から3を引くのです。さらにその答えを下に書き ます。そうすると、yの部分が消えて、2x=2だけが残り、x=1と、xの値を求めることができます。 3x+2y=5 -)x+2y=3 2x =2 x=1 xを求めることができたら、次は、元の式のどちらかのxに1を代入します。下の式のxに1を代入すると、 1+2y=3というように、今度はyだけの式になります。これを解いて、y=1。これで連立方程式を解い たことになるのです。ちなみに、今の2つの式を足してみると、4x+4y=8という式になり、これでは解けま せん。加減法のポイントは、xまたはy、どちらかの文字を消すことです。2つの式を足しても消せないとき引い てみる。しかし、次のように足しても引いても2つの文字が残ったまま、ということもあります。 3x+2y=5 2x-5y=-3 これらの2つの式を足すと5x-3y=2,引くとx+7y=8になってしまい、どちらもx、yの2つの 文字が残ったまま。こういう場合は、xかyのどちらかにターゲットを絞り、その文字の係数、この場合のxなら、 3と2,yなら2と-5の最小公倍数を考えます。xにターゲットを絞ったとしましょう。3と2の最小公倍数 は6ですね。そこで、xの係数を最小公倍数の6にするのです。そのためには、3xの方は2倍、2xの方は 3倍しなければなりません。もちろん、3xだけ2倍するのではなく、上の式全体を2倍します。下の式も全体 を3倍します。そうすると、 6x+4y=10 6x-15y=-9 これで、xの係数が揃いました。あとは引き算をすればxが消えて19y=19,y=1と、yを求めるこ とができます。上の式を5倍、下の式を2倍してyを消すこともできます。どちらを消しても構いませんが、できる だけ計算が簡単になるように、ターゲットを決めて下さい。 このとき、間違いやすいポイントは、左辺だけを何倍かしたけれど、右辺はそのまま、という点です。また、連立 方程式の場合、xとyの両方の答えが合っていないと正解にはなりません。xは合っていたけど、yを間違え た、というときに、△にはなりません。バツです。なので、最初にxが出たからといって安心せず、yが出るまで気を 抜かずに計算することが大事です。 では次に、代入法について説明しましょう。連立方程式の問題の中には、下のような形で書かれている問題 があります。 3x+2y=5 y=4x-3 この場合、1つの方法として、下の式の右辺にある4xを左辺に移項し、-4x+y=-3としてから加 減法で解くこともできます。が、普通、このように1つ式がy=とかx=という形になっている場合は、代入法と いう方法を使います。これは、上の式のyの代わりに、下の式の4x-3を入れる、代入するという方法です。 そうすると、上の式が、3x+2(4x-3)=5という形になります。このあとは、普通の1次方程式を解 くのと同じです。ここでx=1と、xを求めたら、下の式のxに1を代入するとyを求めることができます。このよ うに、代入法では、片方の答えが出ると、もう一方の答えが比較的簡単に出せるという長所があります。あと は、途中の()を外すときに間違えずに計算する、ということが大事です。 基本的に、連立方程式は、加減法でも代入法でも、好きな方で解いて構いません。ただし、中学校のテス トでは、「加減法で解きなさい。」とか「代入法で解きなさい。」と方法を指定され、途中の計算も書かなければ ならないという場合もあります。どちらの方法もしっかりマスターしておきましょう。 2.連立方程式の応用 連立方程式の応用問題は、中1の1次方程式に比べてパターンが多く、結構苦労するところでもありま す。今回は、その中でも特によく出題される問題を例に挙げながら見ていきましょう。 (1)整数に関する問題 「2けたの整数がある。この整数の各位の数の和は12で、十の位の数と一の位の数を入れかえると、もと の整数より18小さくなるという。もとの整数を求めなさい。」 問題としてはそれほど難しくないのですが、式を作るときに結構間違いやすい問題でもあります。1次方程式 と違って、連立方程式の場合は、求めたい数が2つあるので、片方をx、もう一方をyとします。この問題で は、もとの整数の十の位の数をx、一の位の数をyとします。1つめの式は、「各位の数のわは12」というとこ ろから、x+y=12。2つめの式は、「十の位と一の位を入れかえると、もとの整数より18小さくなる。」と いうところから作ります。もとの整数をxとyを使って表すと、10x+y。十の位と一の位を入れかえた数は x+10yとなります。ここでよく考えないといけないのは、10x+yから18を引くのか、x+10yから 18を引くのか、迷うところです。このような場合、もとの数と入れかえた数、どちらが大きいのか、を考えてみて 下さい。十の位と一の位を入れかえると、もとの整数より18小さい、と言っているのですから、大きいのはもとの 整数ですね。つまり10x+yの方が大きいわけです。そこで、10x+yとx+10yを=でつなげようと すると、10x+yの方が大きいわけですから、このままでは=でつなぐことはできません。=にするためには、大 きい方から18を引くか、または小さい方に18を足すことで=になるのです。つまり、2つめの式は、10x +y-18=x+10y(または10x+y=x+10y+18)ということになります。 このように、両辺のどちらに足せばよいのか(どちらから引けばよいのか)がわからなくなった場合、足したり引 いたりする前の状態を考え、それをイコールでつなげるためにはどちらに足すか、引くかを考えるとよいでしょう。 式:x+y=12 10x+y-18=x+10y 答:75 (2)速さに関する問題 その1 「A地点から12km 離れたB地点に行くのに、途中のC地点までは毎時3km の速さで歩き、C地点から B地点までは毎時5km の速さで歩いたら3時間かかった。A地点からC地点までと、C地点からB地点ま での距離をそれぞれ求めなさい。」 連立方程式の速さの問題ではよくあるパターンです。必ず途中で速さが変わります。普通、このように途中で 速さが変わる場合、出発の地点から速さが変わる地点までの距離をxkm、速さが変わった地点から目的地ま での距離をyklm とおきます。1つめの式は道のりの式、つまり、A地点からC地点までをxkm、C地点から B地点までをykm、さらにA地点からB地点までは12km なので、x+y=12となります。2つめの式 は時間です。A地点からB地点までは3時間かかっていますね。では、A地点からC地点までの時間はという 距離 x 速さ 3 と、毎時3Km でxkm の道のりを進んでいるので、そのときにかかる時間= なので、 時間となります。同 y 様に、C地点からB地点までは毎時5km でykm 進んだので、 時間と表せます。合計で3時間かかってい 5 x y 3 5 るので、2つめのは + =3という式になります。どうしても分数はイヤだ、という人は、C地点までの時間をx 時間、C地点からの時間をy時間とおく方法もありますが、答えが出た後で距離を求めないといけないので、で きれば距離をx、yとおいた方がよいと思います。 式:x+y=12 x 3 y + =3 5 答:A~C 9 15 2 2 km,、C~B km (3)速さに関する問題 その2 「ある電車が長さ900m の鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに54秒かかった。また、同じ電車が長 さ3200m のトンネルに入ってから出るまで、トンネルに隠れていた時間は151秒だった。この電車の長さ と速さを求めよ。」 速さの問題でも少し難易度が高い問題です。この場合、電車の長さと速さという、種類の異なる2つのもの を求めなければいけない、という点が難しく感じるところです。難易度の低い問題では、x も y もどちらも値段だっ たり、どちらも人数だったり、長さだったり…と、求めたいものの種類、単位が同じであることが多いので、この問題 のように電車の長さと速さという種類の違うものを求めることに戸惑うことがありますね。さらに、鉄橋とトンネルが 登場してくるところもポイントで、問題に書かれている時間に電車が進んだ距離と、トンネルや鉄橋の長さが一 致しないという点も間違いやすいところです。まず、鉄橋を渡り始めてから渡り終わるまでに電車が進んだ距離 は、鉄橋の長さに電車の長さをプラスしなければいけません。鉄橋を渡り始めた瞬間というのは、電車の先頭 が、鉄橋の端っこを通過した瞬間。鉄橋を渡り終わった瞬間は、電車の最後尾が鉄橋の反対側の端っこを通 過した瞬間。そのとき、先頭はこの電車の長さ分だけ先にいることになるからです。一方、トンネルに隠れていた 時間に電車が進んだ距離は、トンネルの長さから電車の長さを引かなければいけません。これは、トンネルに隠 れる瞬間は、電車の最後尾がトンネルの入り口を通過した瞬間。先頭はその電車の長さ分だけもうトンネルの 中に入っています。トンネルから出る瞬間は、先頭がトンネルの出口を通過する瞬間。この間に電車が進んだ 距離は、トンネルの長さから電車の長さを引いた距離になります。 では、式を作ってみましょう。求めたいのは電車の長さと速さなので、電車の長さをxm、速さを秒速ym とし ましょう。1つめの式は鉄橋を渡っている間の距離。54秒間に秒速ym で走る電車が進んだ距離は54 yと表せます。一方、先ほど書いたように、この間に電車が進んだのは鉄橋の長さと電車の長さを加えたもので すから、900+x。従って、1つめの式は54y=900+xとなります。2つめは、トンネルに隠れてい る間の距離。同じように、秒速ym の電車が151秒間に進む距離は151y。この間、電車はトンネル の長さから電車の長さを引いた分を走るで、3200-x。従って、2つめの式は、151y=3200 -xとなります。 式:54y=900+x 151y=3200-x 答:電車180m、秒速20m (4)人数の増減に関する問題 「ある学校の昨年の生徒数は500人だった。今年は男子が6%、女子が2%増えたので、518人に なった。今年の男子と女子の人数をそれぞれ求めなさい。」 これもよくある問題ですが、注意したいのは、このような人数の増減などに関する問題では、求めたいものが 今年の人数であっても、必ず昨年の人数をxやyと置く、ということです。どうしても今年の人数を求めよと言わ れたら、今年の人数をxやyと置きたくなるところですが、6%増えたとか2%増えたといっているもとになるのが 昨年の人数なのです。昨年の男子の6%、昨年の女子の2%が増えた、ということですから、もとになっている 昨年の人数をx、yと置いて下さい。 さて、1つめの式ですが、これは昨年の人数x+y=500という式です。2つめの式は2通りあって、今 年の人数(この問題なら1.06x+1.02y=518)の式を作る場合と、増減だけ(この問題な ら0.06x+0.02y=18)の式を作る場合があります。どちらでもよいのですが、計算を簡単にし たいのなら増減だけの式の方がよいでしょう。ただし、男子が6%減り、女子が2%減ったので昨年より18人 減った、という場合は-0.06x-0.02y=-18という式になります。それから、このxやyは昨 年の人数なので、xyをそのまま答えに書くのではなく、今年の人数を計算することを忘れないようにしましょう。 式:x+y=500 0.06x+0.02y=18 x=200,y=300 答:男子212人、女子306人 (5)食塩水の濃度に関する問題 「4%と9%の食塩水を混ぜて6%の食塩水を400g 作りたい。それぞれ何 g ずつ混ぜればよいか。」 この食塩水の問題、苦手な人が多いのではないでしょうか。まずは普通の解き方を紹介しておきましょう。 4%の食塩水の量をxg、9%の食塩水の量をygとします。1つめの式は食塩水の量の式、x+y= 400になります。2つめの式は食塩の量です。4%の食塩水xgの中に含まれる食塩の量、どう表せるか わかりますか?そもそも4%の食塩水というのは、食塩水の4%が食塩。言い換えると、食塩水の0.04 倍が食塩ということなのです。ですから、xgの0.04倍が食塩ということになります。小学校の割合でつま ずいている人が多いのですが、1%=0.01倍、1割=0.1倍と覚えておいて下さい。ですから、xg の中の食塩の量は0.04x、ygの中の食塩の量は0.09yと表せます。そこで、2つめの式ですが、 混ぜた後、6%の食絵水が400gになっているので、0.04x+0.09y=400×0.06と なります。 式:x+y=400 0.04x+0.09y=400×0.06 答:4%240g、9%160g ところで、このように2種類の食塩水を混ぜる問題では、連立方程式を使わずに簡単に解く方法があるので 紹介しておきます。途中式を書け、という問題には使えませんが見直しをするときには使えるでしょう。 2種類の濃度の違う食塩水を混ぜる場合、必ずできあがる食塩水の濃度は2種類の濃度(この場合は 4%と9%)の間の数(この問題では6%)になります。当たり前ですが4%と9%の食塩水を混ぜて 3%や10%の食塩水になることは絶対にありません。そこで、この最初の2種類の食塩水の濃度と、混ぜた 後の食塩水の濃度との差に着目します。4%と6%、9%と6%の差はそれぞれ2%と3%ですね。これを 2:3という比に置き換えます。そしてそれを入れ替えて3:2にします。実はこれが4%の食塩水と9%の 食塩水の量の比になっているのです。4%と9%の食塩水を3:2の割合で混ぜると、6%の食塩水になる ことを表しているのです。400gの食塩水にしたいのなら、400gを3:2に分け、240gと160 gとなります。これが裏技。ただし、先ほども書いたように、式や途中の計算を書かなければならない問題では 使えません。式の作り方をしっかりとマスターした上で、見直しなどをするときに使うとよいでしょう。
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