放物線と直線で囲まれた部分の面積を求める公式 放物線と直線で囲まれた部分や,2つの放物線で囲まれた部分の面積は,定積分を計算して求める ことができるが,公式を活用すれば簡単に求められる場合が多々ある。ここでは,いわゆる「6分の 1公式」「12 分の1公式」「3分の1公式」と呼ばれている式を紹介する。 1 6分の1公式 下の図のように,放物線と直線,あるいは放物線同士で囲まれた部分の面積を求めるときに使用 する公式である。 S f ( x) ax 2 bx c g ( x) 0 ( x 軸) f ( x) ax 2 bx c g ( x) mx n 1 g ( x) a2 x 2 b2 x c2 ( x )( x )dx 6 ( ) (証明) ( x )( x )dx = ( x )( x )dx = ( x ) 2 を証明せよ。 ( )( x ) dx 1 1 = ( x ) 3 ( )( x ) 2 2 3 1 = ( )3 6 (証明終) 関数 f (x ) と g (x ) の交点の x 座標をαとβ(α<β)とすると g ( x) f ( x) a ( x )( x ) となる。 よって,面積をSとすると, S= = = ( f ( x) g ( x)) dx a( x )( x ) dx a 6 ( ) 3 f ( x) a1 x 2 b1 x c1 [例題1] 3 (6分の1公式) となる。 - 1 - 2 3分の1公式 右の図のように,放物線とその接線及び y 軸と平行 な直線とで囲まれた部分の面積を求めるときに使用 する公式である。 1 3 [例題2] ( x ) dx = ( ) 3 2 を証明せよ。 1 ( x ) dx = (x ) 3 3 (証明) 2 1 3 = ( ) f ( x) ax bx c g ( x) mx n (接線) 2 3 (証明終) 関数 f (x ) の x における接線を g (x ) , y 軸に平行な直線を y とすると, f ( x) g ( x) = a( x ) 2 となる。 よって,面積をSとすると, S= ( f ( x) g ( x)) dx = a( x ) 2 dx = a 3 ( ) 3 となる。 次に,関数 f (x ) の x における接線を g (x ) , y 軸に平行な直線 を y とすると, B f ( x) g ( x) = a( x ) 2 A となる。 よって,面積をSとすると, S= ( f ( x) g ( x)) dx = a( x ) 2 dx = a 3 ( ) 3 α となる。 つまり, y 軸に平行な直線が接点に対し,右側にあろうが左側にあろうが,面積は S= a 3 ( ) 3 (3分の1公式) となる。 【参考】 放物線と放物線上の2点A,Bを通る直線とで囲まれた部分 S1 の面積S 1 とすると, S 1= a 6 ( ) 3 放物線と点Aにおける接線及び点Bを通り y 軸に平行な直 線とで囲まれた部分の面積S2 とすると, S 2= よって, a 3 ( ) 3 S1:S2 =1:2 であることが分かる。 - 2 - S2 3 12 分の1公式(Part1) 右の図のように,放物線と2本の接線とで囲ま B れた部分の面積を求めるときに使用する公式で ある。 A [例題3]放物線上の2点A,Bの x 座標をそれぞ れα,βとする。2点A,Bにおける接線の 交点の x 座標を求めよ。 (解答)放物線を, f ( x) ax bx c とする。 2 f ( x) 2ax b より,2点A,Bにおける接線は y (2a b) x a 2 c ・・・① y (2a b) x a 2 c ・・・② ①-②より, 2a ( ) x a ( ) ( ) 0 a 0 , より,2点A,Bにおける接線の交点の x 座標は, x 2 である。 先ほどの3分の1公式と,今の[例題3]の結果から,放物線と2本の接線とで囲まれた部分の面 積Sは, 3 3 a a S= 3 2 3 2 = = a 24 a 12 3 ( ) 3 a 24 3 (12 分の1公式) 【参考】 放物線と放物線上の2点A,Bを通る直線とで囲まれた部分の面積 S1 とすると, S 1= a 6 S1 ( ) 3 S2 放物線と2本の接線とで囲まれた部分の面積S 2 とすると, S 2= よって, a 12 ( ) 3 S1:S2 =2:1 であることが分かる。 - 3 - 4 12 分の1公式(Part2) 右の図のように,平行移動した2本の放物線 と共通接線とで囲まれた部分の面積を求める ときに使用する公式である。 [例題4]平行移動した2本の放物線と共通接線 との交点をA,Bとし,その x 座標をそれ ぞれα,βとする。2本の放物線の交点の x 座標を求めよ。 (解答)放物線を, f ( x) ax 2 bx c ・・・① g ( x) ax 2 dx e ・・・② とする。 f ( x) 2ax b , g ( x) 2ax d より,2点A,Bにおける接線は y (2a b) x a 2 c y (2a d ) x a 2 e 2点A,Bにおける接線が一致するから a 2 c a 2 e ・・・④ 2a b 2a d ・・・③ ここで,2本の放物線の x 座標を求めるには,①-②より, (b d ) x c e 0 ・・・⑤ を満たす x を求めればよいから,③,④より, b d 2a ( ) c e a ( )( ) として,⑤は, 2a ( ) x a ( )( ) 0 a 0 , より,交点の x 座標は, x 2 である。 先ほどの3分の1公式と,今の[例題4]の結果から,平行移動した2本の放物線と共通接線とで 囲まれた部分の面積Sは, 3 3 a a S= 3 2 3 2 = = a 24 a 12 3 ( ) 3 a 24 3 (12 分の1公式) - 4 -
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