2014/11/12
10)二重課題パラダイム
ボトルネック理論の検証
• 重要な課題が複数重なったとき,どのように
処理するか?
知覚心理学
delay 200ms
3.選択的注意
凝視点
提示
Auditory input
(Left hand)
Visual input
(Right hand)
課題1
課題2
SOA(Stimulus Onset Asynchrony):
50, 100, 400ms
Pashler & Johnston (1989)
– 聴覚刺激に対する反応を実行してから、視覚刺
激の入力処理を開始するわけではない
• 反応命令を出力すれば、中枢過程の課題1に関する
処理は終了する
• 視覚刺激の入力だけなら,並列的に行うことができる
• 課題1に対する反応時間は、課題1を単独で行う場合に比
べて長い
• 課題2に対する反応時間は、課題1と課題2の刺激提示の
SOAの増加に伴い減少する
• 課題1を与えることによる課題2の反応時間の遅れを,心理
学的不応期と呼ぶ
– したがって、心理学的不応期(PRP)は、聴覚刺激
に対する注意処理(知覚・認知・判断)の終了を
待って,視覚刺激に対する注意処理(知覚・認
知・判断)が始まることによる
SOAが長い時,
SOAが短い時,
前注意過程
(入力処理)
注意過程
(知覚・認知・判断)
反応
課題1の刺激
処理
反応
時間
課題1の刺激
処理
反応
pre
PT1
PT1
M
vT
1
SOA
RT1
心理学的不応期
SOA
課題2の刺激
処理
反応
preP
T2
M
vT
2
PT2
課題2の刺激
処理
反応
RT2
RT2
1
2014/11/12
– SOAが短いとき、
– 課題2の前注意過程に要する時間を操作すると,
• RT2=(prePT1+PT1-SOA)+PT2+MvT2
SOAが短ければ,S2の前
注意処理に要する時間
はPRPに吸収されて影響
しない
– SOAが長いとき、
• RT2=prePT2+PT2+MvT2
S1に対する反応時間RT1
は変わらない
S2の前注意処理に要す
る時間に差がある
– 注意過程にボトルネックが存在すると考えられる
11)注意の移動と眼球運動
– 多くの場合,注意を向けた位置に視線移動する
– 注意の移動に必ず眼球運動が伴うわけではない.
– 一方,注意の移動と同時に別の位置に眼球運動
することはできない.
注意の前運動理論
(Premotor theory of attention)
• 眼球運動を行うためには,その場所へ注意を
向ける必要がある
– 支持する実験結果として,
• 眼球運動の開始直前に刺激を提示して弁別させると,
刺激が視線の行き先に現れた場合には弁別成績が
良くなる⇒視線の行き先に予め注意が向けられている
• 現在の凝視点を,サッケード目標提示の200ミリ秒前
に消去すると,急速サッケード(Express saccade)が生
じる⇒前もって凝視点から注意を開放することによる
物体に関
する知識
12)注意による指差し
色マップ
赤
青
緑
• 複数物体追跡課題(MOT課題)
オブジェクト
一時的な ファイル
物体表現
傾きマップ
垂直
右斜め
左斜め
視覚的注意
time
Pylyshyn & Storm (1988)
– 物体と脳内表現の対応関係を保持する役割を示
唆
位置マップ
探索画面
特徴と物体の知覚の説明モデル(Treisman, 1988)
2
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オブジェクトファイル2
・黄色
・棒状
・静止している
FINST 1
・茶色
オブジェクトファイル1
・だえん形
・静止している
オブジェクトファイル3
FINST 2
FINST 3
・赤
・まるい
・縦棒
・静止してる
• 位置が変化してもオブジェクトファイルが存続
し機能することを示唆する実験結果が得られ
ている
B
B
A
• Yes反応のうち,最初と同じ文字の場合の方が反応時
間が短い⇒オブジェクトファイルの存続を示唆
オブジェクトファイルと外界の物体の関係を保持する仕組みがFINST
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