はじめに LESSON 2 The Problem We All Live With

LESSON 2(前編)
■はじめに
ユニコンコミュニケーション2をご採用いただきましてありがとうございます.ユニコンでは生徒さんたちが第1学年で学んだ
基礎力を第2学年で応用し,自分の力として発揮できるような使い方をしていただくために,コミュニケーション2から英作
文講座を開催します.LESSON 2 The Problem We All Live With は,去年ワークショップでお世話になりました新
潟県立新潟南高等学校の本間康一先生と 1-9 の生徒さんたちに協力いただき,本文の中から選択された3つの文を英
語で書いてもらいました.
さあ,結果は如何に?
■LESSON 2 The Problem We All Live With
第2課は 1960 年代,アメリカの公民権運動の嵐に巻き込まれた女性のエッセイです.現在の筆者が語る過去と未
来―事実を述べている部分と筆者が当時思ったこと,現在考えていること,など,時制の面からも内容をしっかりと理解し
てほしい課です.簡単に英作文のモデル文と課の内容についてご説明いたします.
Question 1
By the time we got to the school, there was a large crowd of people outside.
私たちが学校に着くころには,外にはたくさんの人たちが集まってきた.(Part 1)
1960 年,黒人差別が色濃く残るアメリカ南部.政府の人種統合政策の一環として,黒人少女ルビーが白人生徒しかいない小学校
へ登校することになりました.文章にある「私たち」というのは,彼女と彼女を守る連邦保安官のこと.集まってきたのはもちろん白人ばかり.
緊張のみなぎるシーンです.
Question 2
All I did there was watch the other children leaving school.
そこで私がしたことといえば,ほかの子どもたちがみんな学校を出ていくのを眺めることだけだった.(Part 2)
校長室に待たされていたルビーが目にしたものは,学校中の生徒が出ていくところでした.それが彼女の登校初日の体験だったのです.
Question 3
Until that day, I had never seen a white teacher.
その日まで,私は白人の先生を見たことがなかった.(Part 2)
二日目.学校のまわりは抗議する群衆でふくれあがりました.それと対照的に,だれもいない静まり返った学校の中.そこで出会ったのは,
ルビーの担任となるミセス・ヘンリーでした.当時6歳だったルビーが初めて見た,という白人の先生.この1文に徹底した人種隔離政策
があったことが垣間見れます.
■UNICORN×新潟県立新潟南高等学校
県立新潟南高等学校は,近くを流れる信濃川にあやかって「21 世紀に光り輝く『江風』健児を育てる」という理念のも
と,社会に貢献する人材の育成,希望する進路の実現,活力あふれる学校生活の創造を目指す学校です.文部科
学省指定のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に何度も選ばれています.
今回参加してくれた1-9の生徒さんたちには,去年,UNICORN ワークショップで高橋先生の特別授業 LESSON
1 This Is Me を受けていただきました.その後,SSH 授業の一環として,アメリカ研修の旅に出かけた彼らはきっとたくさ
んの「贈り物」を受けとってきたと思います.さて,英作文テストを実施していただいた時点では,UNICORN English
Communication 1 の Lesson 9 が終了したところ. どんな英文が飛び出すでしょう.
■まずは本間先生にインタビュー!
文法の授業についてお伺いします.まず,コミュニ
ケーション1の授業で文法はどの程度扱われるでし
ょうか.
本間先生:文章を理解するうえで必要な文法項
目・構文についての理解の程度を確認し,必要
に応じて説明を加えています.新出語彙の導入
時に確認する事項を除けば,1パートにつき2
~3文を取り上げて,確認・説明しています.
文法の時間はありますか.
本間先生:表現Ⅰの前半で基本的な構造,文法について集中的に学習しました.現在は,エッセイを書いて,それを
原稿としたスピーチの練習をしながら,発展的な構造や文法について学習しています.
英作文についてお尋ねします.1年生の時期ではどれくらいの分量を生徒さんたちに書かせていらっしゃいますか.
本間先生:コミュニケーションⅠの授業ではパート間やレッスンの終わりに,内容に関するテーマで4~5行の英文を書き,
それを用いペアワークや全体発表等の活動を行っています.一方,表現Ⅰの授業では,本校ではこの時間に ALT の
先生との TT を活用していますが,口頭発表の前に英文を書かせるようにしています.発表は授業時間の関係で毎
回全員ができることはありませんが,授業の終わりに生徒が書いた英文を回収し ALT の先生に点検していただいてい
ます.また,現在は,上でも触れたように,より長い英文を書くことに挑戦中です.この背景には,新潟県が毎年9
月にスピーチコンテストを行っていることがあります.スピーチの長さは5分程度と定められており,それは 500~600
語程度の分量になると思いますが,8月のアメリカ研修に参加した生徒の何人かがその分量に挑戦しました.その内
1名が校内選考,地区予選を勝ちあがり,決勝大会まで進み,ついには10位入賞を果たすことができました.
「1年生でも意外と書けるものだな」というのが率直な感想でした.そこで気を良くした私は同僚の先生たちに相談し,
学年全員が300語を書き,3分以内のスピーチをすることを計画しました.現在は,全員が構成メモ,下書き,
清書(300語以上)と段階を経て書き上げ,スピーチ大会に向けて口頭発表の準備をしているところです.
書く内容については「自分の身の回りのこと」にとどめていらっしゃいますか.
本間先生:本校はSSHに指定されており,テーマの一つを「環境」としているので,それに従って今回のエッセイのテーマ
は「環境」としました.ただ日本語で「環境」といっても,文脈によっては circumstances,environment,
environs,nursling,place,scene,setting,stage,surround,one's surroundings 等,さまざま
な語をあてることができます.理系的な環境よりも,社会的な環境をテーマにしたいと考える生徒も多くいるので,「自
分が表現したい環境」をテーマにして構わない,ただし語彙の違いをよく調べ,考えて書きなさいと指導しました.コミュ
ニケーションⅠで行っている表現活動や表現Ⅰでの ALT との表現活動におけるテーマはそれぞれ教科書の内容に沿っ
ているものです.
自由英作文はどの程度なさっていますか.
本間先生:いわゆる自由英作文ばかりしています.ターゲットとなる文法項目を押えて英文を書くような練習も,和文英
訳もほとんどしていませんが,今後取り組みたいと考えています.
入試に向けての対策をお伺いします.いまは1年生の3学期ですが,具体的にはどのあたりから入試を意識したご指
導が始まりますか.
本間先生:入試対策という意味を「入試問題の形式や解答方法に慣れるように訓練を積む」というように限定的に解釈
すれば,まだそういった指導をする授業はしていません.ただ,センター試験に代わる到達度テスト(仮)が TOEFL
のような外部試験を活用することを検討している現在,各大学も個別入試問題を従来の形から大きく変えていく可能
性が考えられます.そういった意味においては,多様な外部試験を経験し求められている英語の力を把握すること,
英語の四技能を統合したコミュニケーション能力を向上すること,ベースとなる語彙の増強や文構造・文章の構成の習
熟を計画的に進めること等がたいせつになると思います.今はとにかくたくさん読ませ,たくさん書かせたいと考えていま
す.
よろしければお使いになられている英作文問題集を教えてください.
本間先生:まだ使用していません.ユニコンの付属教材にある activity C の英作文は活用させていただいています.
英作文の添削方法ですが,ネイティブの先生も参加なさっていますか.
本間先生:はい.生徒の励みになるようなコメントをお願いしています.
英作文の添削のときには,ターゲットとなる構文や文法のポイントのみを添削するのでしょうか.
本間先生:最も力を入れて指導していることは,設問の意図に沿った答えを書いているか,段落構成は論理的に展開
しているか,首尾一貫しているか,論理に飛躍はないかなどです.ターゲットとなる文法項目を押えて英文を書くよう
な練習は,上でも述べたように,ほとんどしていませんので,構文や文法の間違いもたくさんあります.間違えた部分
に下線を引き,気付きを促す程度の指導は現在行っていますが,今後2年生の表現Ⅱの授業で,文法的なポイン
トを押える指導も含めさまざまなスキルをより深める指導をしていきたいと考えています.
本間先生,ありがとうございました!