電気・電子の基礎知識

電気・電子の基礎知識
第169回 直流増幅回路3
<直流増幅回路1-5>
Rs:
信号発生器の出力インピーダンス
A
vo
B
vi
回路169-1(1)
回路169-1(1)は、第167回資料で扱った回路167-1(1)に負帰還を掛けたものです。
この回路では、帰還抵抗Rf2によってQ1のベースに負帰還を掛け、Rf1によってQ1のベースを接地しています。
入力信号はQ2のベースに印加しています。
この回路において、点Aと点Bは仮想的に短絡されています<第167回資料:回路167-2(1)を参照>。
よって、この回路に於いて、信号が流れる経路はおよそ以下のように表す事が出来ます。
i2
i1 ≒ i2
A
i1
vi
vo
B
図169-1
vo
図169-1に於いて、以下の関係が成り立っています。
入力信号電圧vi=Rf1の端子間電圧
出力信号電圧vo=(Rf1+Rf2)の端子間電圧
ここで、回路169-1において、点AはQ1のベースに
接続されていますが、Q1のベースに流れ込む電流は微少
である為、回路の出力側からRf2に流れた電流i2は、
その殆どがi1としてRf1に流れ込みます。
電圧の比は抵抗値の比で表す事が出来る為以下の関係が
成り立ちます。
Av=vo/vi=(Rf2+Rf1)/Rf1
(式169-1)
回路169-1(1)の動作は以下のようになっています。
vi
vi
vo
vo
波形169-1(1) :
(測定モード:DC)
Rf1=1[kΩ] Rf2=10[kΩ]
波形169-1(2) :
(測定モード:DC)
Rf1=1[kΩ] Rf2=51[kΩ]
e1=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(緑色(vi)) :0.1[V/div]
ch2(ピンク(vo)) :1[V/div]
e1p-p=200[mV]
vop-p=2.2 [V]
e1=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(緑色(vi)) :0.1[V/div]
ch2(ピンク(vo)) :2[V/div]
e1p-p=200[mV]
vop-p=10.26 [V]
Av=vop-p/vip-p =11
=(Rf2+Rf1)/Rf1=11
Av=vop-p/vip-p =51.3
≒(Rf2+Rf1)/Rf1=52
得られた波形を見ると、回路の電圧増幅度は式169-1の値と一致していることが分かります。
<直流増幅回路1-6>
回路169-1(2)
Rf2
電源+12[V]
Rf1
オシロ ch2
(vo)
電源-12[V]
オシロ ch1
(vi)
信号発生器+
信号発生器 Gnd
オシロ Gnd
電源 Gnd
オシロ Gnd
回路169-1(2)は 回路169-1(1)を実際に製作したものです。
この回路では、各電源とGNDとの間にデカップリングコンデンサ(10[μF]+0.1[μF])を追加しています。
Q1+Q2:
HN4C06J GR hFE=200~400
パッケージに2素子を内蔵。
Q3:
2SA1162 Y hFE=120~240
回路169-1(2)の動作は波形169-1(2)の様になっています。
vi
vi
vo
vo
波形169-1(2)1:
Rf1=1[kΩ] Rf2=10[kΩ]
vi=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(黄色(vi)) :0.1[V/div]
ch2(水色(vo)) :1[V/div]
測定値:
vip-p=200[mV]
vop-p=2.2[V]
Av=11=(Rf2+Rf1)/Rf1=11
波形169-1(2)2:
Rf1=1[kΩ] Rf2=51[kΩ]
vi=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(黄色(vi)) :0.1[V/div]
ch2(水色(vo)) :2[V/div]
測定値:
vip-p=200[mV]
vop-p=9.44[V]
Av=47.2≒(Rf2+Rf1)/Rf1=52
得られた波形を見ると、電圧増幅度の測定値が計算値とほぼ一致している事が分かります。
回路図の作成には Circuit Viewer を使用しました。
(C)2014 年 10 月
OKA 工学院
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