電気・電子の基礎知識

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第171回 直流増幅回路5
<OPアンプ>
直流増幅回路は、第167回資料の回路167の様にトランジスタを組み合わせてつくる事も出来ますが、一般的には
下記の様な、オペアンプ(Operational Amplifier)と呼ばれるIC(Integrated Circuit:集積回路)を利用します。
(IC:トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどの素子を集めて基板 の上に装着し、各種の機能を持たせた
電子回路 )
回路167は最も簡単なオペアンプであると言えます。
差動増幅回路
*差動増幅回路の2つ入力端子(-INPUT :反転入力)と
(+INPUT:非反転入力 )の間は、負帰還を掛けた時に
イマジナリーショートになります。
(第167回資料を参照)
回路の裸利得(負帰還を掛けていない状態での利得)の最大値≒316,000 倍
増幅する信号の周波数が高くなるに従って、裸利得は低下します。
オペアンプでは外付けの抵抗の値を変更するだけで、容易に回路の増幅度を調整する事が出来ます。
以下にその例を示します。
<反転増幅回路> (第167回資料を参照)
2
vi
vi
8
1
3
4
回路171-1
vo
vo
波形171-1-1 :
(測定モード:DC)
Rf1=1[kΩ] Rf2=10[kΩ]
e1=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(緑色(vi)) :100[mV/div]
ch2(ピンク(vo)) :0.5[V/div]
vip-p=200[mV]
vop-p=1.97 [V]
Av=vop-p/vip-p =9.85
=Rf2/Rf1=10k/1k=10
波形171-1-2 :
(測定モード:DC)
Rf1=1[kΩ] Rf2=5[kΩ]
e1=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(緑色(vi)) :100[mV/div]
ch2(ピンク(vo)) :0.5[V/div]
vi
vo
vip-p=200[mV]
vop-p=996 [mV]
Av=vop-p/vip-p =4.98
=Rf2/Rf1=5k/1k=5
<非反転増幅回路>
第169回資料を参照。
vi
vo
回路171-2
波形171-2-1 :
(測定モード:DC)
Rf1=1[kΩ] Rf2=10[kΩ]
vi
vo
e1=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(緑色(vi)) :0.1[V/div]
ch2(ピンク(vo)) :1[V/div]
vip-p=200[mV]
vop-p=2.17 [V]
Av=vop-p/vip-p =10.9
=(Rf2+Rf1)/Rf1=11
波形171-2-2 :
(測定モード:DC)
Rf1=1[kΩ] Rf2=5[kΩ]
vi
vo
e1=10[kHz] 20[μs/div]
ch1(緑色(vi)) :0.1[V/div]
ch2(ピンク(vo)) :0.5[V/div]
vip-p=200[mV]
vop-p=1.2 [V]
Av=vop-p/vip-p =6
=(Rf2+Rf1)/Rf1=6
下記の回路は、回路169-1(第169回資料)です。
この回路では、反転入力(-)と非反転入力(+)は以下のようになっています。
反転入力(-)
非反転入力(+)
vo
vi
*OPアンプのICと回路167(169)の直流増幅回路を比較すると以下のようになります。
電源電圧:
OPアンプのICでは、例えば±4~±18[V]の範囲で使用できるが、回路167(169)で電源電圧を変更
しようとすると、回路の定数を見直す必要がある。
入力インピーダンス:
OPアンプのICの方が高い。差動増幅回路の入力側の対のトランジスタにFETを使用している物は、
入力インピーダンスが非常に高い。
(ゲートに入力電流が殆ど流れ込まない為。
)
出力インピーダンス:
OPアンプのICの方が、かなり低い。
回路図の作成には Circuit Viewer を使用しました。
(C)2015 年 3 月
OKA 工学院
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