UV印刷及び超高精細網点 (FM10ミクロン)について 清水印刷紙工株式会社 製造部 岩井 平 目次 1. UV印刷の現状 3.超高精細印刷のメリット 2. UV印刷のメリット 発色域拡大 再現性向上 生産効率の優位性 インキ使用量の削減 特殊原反への展開 環境負荷の低減 ! ! 1. UV印刷の現状 出版印刷,商業印刷は縮小傾向. 書籍,カタログ,チラシなどがインターネット・電子書籍などのデジタル媒体へとシフト. 縮小傾向にある印刷業界ではあるが,UVインキは通常インキほどの減少傾向は見られない. 表1.環境対応型平版インキの生産量と生産比率 環境対応型平版インキの生産量と生産比率(単位: t , %) 2007年度 UVインキ(総量) 植物油インキ ノンVOCインキ(UVインキを除く) 通常インキ(輪転・枚葉) 合計 生産量 比率 2009年度 生産量 比率 2011年度 生産量 比率 7,720 4.3 7,071 4.7 6,850 4.9 131,822 74.2 125,328 83.8 124,926 90.0 1,542 0.9 925 0.6 1,196 0.9 36,656 20.6 16,265 10.9 5,892 4.2 177,740 100.0 149,589 100.0 138,864 100.0 印刷インキ工業連合会調べ 2. UV印刷のメリット 生産効率の優位性 油性インキはその浸透・酸化重合による自然乾燥に約半日が必要 UVインキは紫外線硬化によって瞬間硬化 リードタイム短縮など生産効率が大幅に向上 表裏印刷の場合,UV10色反転印刷機で油性印刷機とのリードタイムが約 75%削減可能 ! ! UV10 UV 0 2 4 6 8 10 12 14 16 図1.UV印刷と油性印刷の生産効率 2. UV印刷のメリット 特殊原反への展開 UVインキは紫外線による瞬間硬化 油性インキでは乾燥させる事の出来ない様々な原反に印刷可能 ! P.P. →ポスター,クリアファイル,化粧品・日用品の筐体など PET →電飾看板,販促什器,商品POP,化粧品・日用品の筐体など アルミ蒸着紙 →化粧箱,カードなど ! 他にも,ポリカーボネート,塩化ビニールなど様々な特殊原反への展開が可能 2. UV印刷のメリット 特殊原反への展開 油性インキ乾燥のメカニズム UVインキ硬化のメカニズム 油が揮発 UVを照射 UV照射により光重合反応が開始 インキが紙に浸透 パウダー 瞬時にポリマーを形成し,硬化 モノマー オリゴマー 光開始剤 図2.UV印刷と油性印刷のメカニズム 2. UV印刷のメリット 環境負荷の低減 UVインキを構成している物質の中には,一般の油性インキに含有され ている鉱物油である溶剤は含有されていない VOC (Volatile Organic Compound=揮発性有機化合物)に位置づけら れるものは原料配合上で 0 である UVインキ 油性インキ 0% 20% 40% 60% 80% VOC$(Vola)le$Organic$Compound$=$ 100% $) 図3.UVインキと油性インキの含有物 3.超高精細印刷のメリット 発色域拡大 印刷を形成する網点が微細(10 ミクロン)であるため, 細部の再現性向上 や色の発色域拡大が可能となる 光学的ドットゲインが増加すると,紙の白地で反射される光(白い光) が少なくなる.FMスクリーンはAMスクリーンよりも,インキを透過す る光が網点面積比よりも多くなる 結果,中間調のインキ濃度上昇に繫がり,色再現領域の広域化に寄与する 3.超高精細印刷のメリット 発色域拡大 入射光 反射光 紙内部の繊維などで光が屈折・乱反射 光学的ドットゲイン量 図4.光学的ドットゲインのメカニズム 3.超高精細印刷のメリット 再現性向上 超高精細印刷はジャギーにならずに細線の表現が可能となる PPに印刷する場合には,175線では0.1mmで既に線切れ現象が見え始め てしまう 超高精細では0.02mm程度であればはっきりと一本の線で繋がっているこ とが視認できるほど,その差をはっきりと確認することができる 175線の網点の掛け合わせでは,そのピッチの微妙なずれによってモアレ(干 渉縞)やロゼッタ(亀甲模様)が発生して印刷品質を著しく貶めていた 超高精細網点で使われる極少網点ではこの問題が払拭できる ! 3.超高精細印刷のメリット 再現性向上 超高精細印刷はジャギーにならずに細線の表現が可能 AM 175 図5.超高精細印刷とAM印刷の再現性 3.超高精細印刷のメリット 再現性向上 モアレ(干渉縞)やロゼッタ(亀甲模様)の回避 AM 175 図6.超高精細印刷とAM印刷の網点 3.超高精細印刷のメリット インキ使用量の削減 網点の大きさに比例してインキ使用量と網点のインキ皮膜の変化を調査 弊社で超高精細網点・AM175線のカラーチャートを印刷 カラーチャート印刷時,超高精細網点・AM175線の100%濃度・50%濃度を 合わせインキ使用量と網点のインキ皮膜を調査 ! 1 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 4 A B C D 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 左図のカラーチャートを印刷 76 D E 印刷枚数は800枚 E F F G G H H I I J J K K L L M M N N O O P P Q Q R R S S T T U U V V W W 2 39 A B C 3 5 6 図7.カラーチャート 3.超高精細印刷のメリット インキ使用量の削減 弊社におけるテスト結果から,網点の大きさに比例してインキの使用量 が変化することを確認 AM175 線と比べて超高精細網点は,下記のインキ削減を実現 70" ! 31% 削減 60" ! 50" (g) 24% 削減 16% 削減 20% 削減 40" 超高精細網点 インキ使用量 AM175線 インキ使用量 30" 20" 10" 0" Black" Cyan" Magenta" (刷色) Yellow" 図8.インキ使用量削減 3.超高精細印刷のメリット インキ使用量の削減 インキ使用量からインキ皮膜を算出 表2.超高精細網点とAM175線のインキ皮膜 AM175線のインキ皮膜 刷色 : 紙寸法 横 Black : 1020 Cyan : 1020 Magenta : 1020 Yellow : 1020 mm mm mm mm 紙寸法 縦 715 715 715 715 mm mm mm 絵柄面積率 印刷枚数 インキ使用量 5.8 800 40 9.7 9.7 mm 9.7 mm 5.8 % % % 800 800 % 800 % 800 枚 枚 枚 62 55 枚 57 枚 32 kg換算 = インキ皮膜 1000 = 0.00118 mm g 1000 = 0.00101 mm g 1000 = 0.00095 mm 1000 = 0.00085 mm g g g 1000 = 1000 = 0.00110 mm 0.00097 mm 超高精細網点のインキ皮膜 Black : 1020 Cyan : 1020 Magenta : 1020 Yellow : 1020 mm mm mm mm 715 715 715 715 mm mm mm 9.7 9.7 9.7 % % % 800 800 800 枚 枚 枚 43 42 48 g g g 1000 = 1000 = 0.00076 mm 0.00074 mm 3.超高精細印刷のメリット インキ使用量の削減 網点の大きさに比例してインキの皮膜は変化 AM175線に比べ超高精細網点のインキ皮膜は約80% 19% 減 1.2 31% 減 1.0 24% 減 16% 減 0.8 (μ) 0.6 超高精細網点 インキ皮膜 AM175線 インキ皮膜 0.4 0.2 0.0 Black Cyan Magenta Yellow 図9.インキ皮膜の差
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