KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL 尿中トリプシンインヒビター(UTI)に関する研究 -UTIの 新定量法について- 土岐, 尚親; 林, 睦雄; 前原, 進; 須見, 洋行 泌尿器科紀要 (1978), 24(12): 1053-1060 1978-12 http://hdl.handle.net/2433/122300 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 1053 〔糊繍納 尿中トリプ シンインヒビター(UTI) に関する研究 一UTIの新定量法について一 広島大学医学部皮膚科学教室(主任:矢村卓三教授) 土 岐 尚 親 広島大学医学部泌尿器科学教室(主任:仁平寛巳教授) 林 前 原 睦 雄 進 浜松医科大学第二生理学教室(主任二高田明和教授) 須 見 洋 行 STUDIES ON URINARY TRYPSIN INHIBITOR (UTI) 一A NEW DETERMINATION METHOD OF UTI一 Naotika ToKi Fr・m伽D吻・tment ・f Dermat・1・gy, Hir・∫伽α翫iversit.y Sch・・1 ・f Medicine, Hir・shima,ノψαη (Director: Prof. T. Yamura, M. D.? Mutsuo HAyAsHi and Susumu MAEHARA F・・川んθD吻伽翻(ゾ伽Z・島飾・・hima U・iversity&h・・∼・f Medieine,躍・・∫伽・,ノ4卿 r加6・鰍PrOf. H.ハ砺7α, M. D.ノ Hiroyuki SuMi Fr・m the DePartmen彦・f Ph)si・1・gy, H伽amatSU翫・ersity SCゐ・・1(if Medicine, HamamatSU,ノOPan (Director: Prof. A. Takada, M. D.) Anew deter皿ination of urinary trypsin inhibitor(UTI)was developed from casein−plate method. We studied the relationship between the activity level of U [’1 by the present method and the activity level of urokinase (UK) by fibrin agar−plate method in various renal diseases. A sample of trypsin solution (Sigma, type II, 25 mM Ca2+) was adsorbed to a filter paper (5.8 ×5.8 mm), and lyophilized to be fixed. Then 5 pl of urine was adsorbed to the above. lt was applied on O.050/. casein−plate (10mM Ca2+), and incubated at 37eC. UTI activity level was determined in lysis area of trypsin. The results were well correlated with those by the test−tube method already reported. ’rhe procedure of the present method made it possible to test more simply compared with conventional methods. The amount to inhibit 1 pg of trypsin was assigned to be one unit, as for UTI activity. As for UK level in urine, UK was determined by fibrin agar−plate m:thod with commercial UK (Green Cross Co. Ltd.) as the standard. The results are as follows: 1. Normal human urine contains about 4.1 units of UTI and I I.1 IU of UK per ml. UTII UK is approximately O.4. 1054 土岐・ほか:尿中トリプシンインヒビター・定量法 2. The urine of the patients with renal disease showed high activity level in UTI and low in UK. If UTI originated in blood and UK in kidney, it would be clinically useful to study the correlation between those two for the clinical tests of various renal diseases. In the present study, it was confirmed that UT.1 purified by the following methods corresponded with the antiplasrnin activity in urine. 緒 言 尿中酵素としては,leusinc aminopeptidasC〔E(〕 3.4⊥1〕1>,乳酸脱水素酵素〔EC l.1⊥27〕2・3),γ一glu− tamyl transpeptidase〔EC 2.3.2.2〕4・5)あるいはalka− 1ine phosphatase〔EG 3.1.3.1〕6)など各種の酵素が臨 床検査に応用されている.われわれは尿中の線溶系 酵素の検討において,正常ヒト尿申に多量のurinary trypsin inhibitor(UTI)が存在すること,およびnativc UTIの分子量は67,000であるが,尿を酸性条件にお くと分子量45,000および23,000の2つのmodified UTIを生じることなどについてはすでに報告しt:7“”iD). また尿申には線溶系酵素であるurokinaseおよび plasmin inhibitorが存在しll・12),とくにurokinase についてはその抗原性が腎の組織activatorの抗原性 と一致し,この酵素活性は血中線溶活性をよく反映す ることが最近報告されている13N15). 尿中の線溶系酵素に関連して,われわれはtrypsin− paper,カゼイン平板法を用いる新しいUTI測定法 を開発し,この方法は従来の測定法より簡便でかつ精 度がよいことを確認した.そしてこの新定量法を用い て各種腎疾患患者のUTIを測定し,尿申urokinase 活性の動態とあわせ検討して興味ある知見を得たので 報告する.さらに今回の実験においてargininc−scpha− 洋ろ紙No.50,5.8×5.8 mm,0.2∼1.5μ9のトリプ シンを含む)、を酵素系に使用し,これに5μ1の尿を 吸収させ:ろ紙中の残存トリプシン活性をカゼイン平 板を用いて測定する方法である.尿を吸収させたろ紙 をカゼイン平板上に密着静置し,37℃のincubation 後,.生じた溶解窓の面積(mm2)からUTIの量を換 算した.使用するカゼイン平板は,lgの寒天(和光 純薬)に蒸留水および10m1の0.1MCaC12を含む 0・IMTris−HC!論衡液, pH 7.4を加え,70℃で加 熱後,擁拝しながら5mlの1%カゼイン溶液(三光 純薬カゼインを蒸留水で溶かし,lNNaOHでpH 7・4にあわす)を加え,蒸留水にて最終量100 mlと する(最終濃度は0.05%カゼイン,10mM Ca2+,10 mM Tris−HCI, pH 7,4となる).この溶液20mlを 熱いうちに水平なプラスティック平板(栄研7.6x 22・5cm)に流しこみ,使用時まで密閉し,40Cにて保存 した.こ.のようにして作製されたカゼイン平板は一週 間は使用に耐えた.カゼイン平板測定法の要領をFig・ 1}こ示した.UTIの1単位(U)は,1μgのトリプ シン(Sigma, type II)のカゼイン分解活性を完全に 阻害する活性とした.またすでに報告したカゼイン分 .解法(試験管法)によるUTI測定法8・10・16)を同時に おこない,上述の新定量法で得た値と比較検討した. roseとtrypsin−sepharoseによる aMnity chromato− graphy法,およびsephadex G−100ゲルろ過法にて 精製されたUTIについてその抗プラスミン作用を検 討した結果,UTIがurinary plasmin inhibitor(UPI) 5舛Urine と一致することが確認されたのであわせて報告する. り (;) Filter paper (5●8 x 5.8 1皿L) 実験方法ならびに検査対象 containing Ol婁塩七謬ln この実験に使用したウシ膵臓トリプシンはSig皿a 社(Type II)のものを購入, urokinaseで活性化きれ たヒト・フ。ラスミンはミドリ十字目大阪)より提供さ れた. 1)Urinary trypsin inhibitor(UTI)の測定法 o o e o o Casein−plate O.05 % easein ユ %agar 10 mM Ca++ IO mM Tris一一HCI 37 “C 14eubation pH了。4 われわれが開発したUTIの新定量法は,25 mM CaC12を含む0・1MTris−HCI緩衡液, pH 7.4に溶 解したトリプシンを吸収,凍結乾燥した円形ろ紙(東 Fig. 1. A new determination method of UTI. 土岐・ほか:尿中トリプシンインヒビター・定量法 2)Urokinase(UK)の測定法 1055 緩仁和で平衡化した2.5×40・cmのsephadex G−100 尿中のurokinase(UK)の定量はPlougとKjeld− カラムにapplyし,ゲルろ過した.この場合の流速 gaard18)のフィブリン平板法を用い,市販urokinase は14ml/時間で,得られる液の5・mlずつを分画し (持田製薬)を標準として溶解窓の面積より力価(IU) た.このゲルろ過においてウシ血漿アルブミン(BSA, を算出した.、 Sigma社製)の位置に相当する部分に溶出きれるtube 3) Urinary plasmin inhibitor (UPI) No・ 15∼20(分子量67,000±3,000>のUTI分画を 0.25ヵゼィン単位(CU)の活性を有するプラスミン 0・1m正に試料を加え,20℃,5分間のpreincubation をおこなった後,残存するプラスミン活性をすでに報 告したカゼイン分解法8・10・16)で測定した.緩衡液は全 て0・1Mリン酸緩衡液, pH 7.4を用い,1CUのプ ラスミンのカゼイン分解能を完全に阻害する活性を UPIの1単位(U)とした. 4) UTIの濃縮方法 われわれが開発し,すでに報告したarginine− sepharose法8・1。・16)でUTIを濃縮精製した.すなわ 集め,蒸留水で透析後に凍結乾燥し,これを等電点 電気泳動およびdisc一電気泳動用試料に供した.ゲル ろ過による活性回収は1J,000 U,回収物の比活性は 1,380 U/mg蛋白であった. 7) 等電点電気泳動 Ampholine 8100(LKB Produkter AB)を用い, carrier amph・lite(1%)はpH範囲3.5∼10,精製 UTI 3 mg(UTI 4,070 U,比活性1,380 U/mg蛋白) を試料として4℃で700V,43時間の泳動をおこな った17). ち10 1の正常ヒト尿を3。5MNaOHでpH 8.5と 8)Disk一電気泳動 し,ろ紙にてろ肥後4NHCIでpH 5.0にあわせ, 蒸留水で5倍に稀釈し,arginine−sepharoseカラム Davisの方法19)に従い,ポリアクリルアミドゲル濃 度は7・5%で,0.05MTris−glysine緩衡液, pH 8.6 (10×60cm)を用いUTIを濃縮した.4%アンモン を用い泳動した. ニア液にて溶出後に凍結乾燥し,これをUTIを含む 濃縮尿蛋白として使用した.この方法を6回おこなっ た結果は,101の尿からUTIの回収量は27,500∼36 ,000U(平均33,000 U)であり,この濃縮物の比活性 は230.4∼310.o(平均265.8)U/mg蛋白であった. 5)Trypsin−sepharoseカラム・クロマトグラフ ィー すでに報告した方法8・10)で作製したtrypsin−sepharose 9)検査対象 急性糸球体腎炎9例(男6例,女3例,平均年齢 36,3歳),画帳腎炎6例(男3例,:女3例,平均年齢 48.0歳), ネフローゼ症候群6例(男2例,女4例, 平均年齢25.8歳),慢性糸球体腎炎18例(男13例,女 5例,平均年齢38.4歳)および尿毒症10例(男6例, 女4例,平均年齢423歳)についてカゼイン平板を用 いた新定量法でUTI活性を測定するとともに,フィ カラム(1.4×5cm)をO.2 M NaClを含む0.05 M ブリン平板法によってUK活性を測定した。またこ Tris−HCI, pH 7.8で平衡化し,これに上記のarginine− れらの腎疾患と比較検討するため19歳から63歳にわた sepharosc溶出蛋白を上記の下穿液にて透析後得られ る健康成人19人(男14人,女5人,平均年齢34・4歳) た粗UTI試料5ml(3,100∼4,300 U)をapPlyし た・30mlの同旨衡液で洗浄後0。2 M NaGlを含む 活性を測定した. を対照として選び,同様の方法でUTIおよびUK O・02 NHCIでUTIを溶出した.精製UTIは,回 収率は75・7∼93・2(平均88.0)%で,その比活性は 740∼1,300(平均1,240)u/ml蛋臼であった.なお各 段階のUTI活性の測定は,試料を0.IMリン酸緩 衡液,pH 7.4で透析後にそれぞれおこなった. 結果および考察 1)尿中UTIの定量 トリプシンを含む円形ろ紙(trypsin−paper)を酵素 系に用い,カゼイン平板法を改良したUTIの新しい 6)高純度.UTIの調整 定量法の結果は以下のごとくである.Fig・2にみら 上述のarginine−sepharoseおよびtrypsin・sepharose れるように直径5.8mmの円形ろ紙にmicro−syringe カラムを用いて濃縮精製したUTIは,0.1Mリン酸 で5μ1の尿を吸収させ,これを0・05%カゼイン平板 緩愚臣,pH 7.4にて透析後に凍結乾燥して保存した. 上に密着させてincubateすると,酵素により生じる この凍結乾燥粉末(全UTI活性18,000 U,比活性 平板上の円形溶解窓の面積(mm2)は尿中に含まれる 1,070U/mg蛋白)を2mlの1M尿素, I M NaCl UTIの量に反比例するので,この面積を計測するこ を含む0・1Mリン酸緩衡液, pH 7.4に溶かし,同 とによりUTIの測定が可能である。 Fig.3は生理 1056 上岐・ほか 尿中トリプシンインヒビター・定量法 Fig. 2. Casein−plate showing the inhibition of trypsin activity by UTI. Trypsin−paper used contains O.8ptg of trypsin, and incubation time was 10 hrs at 370C. 的食塩水で溶解した各種濃度のUTI標品(比活性 1,070U/mg蛋白)を用いた検量線でsカゼイン平板 上の溶解窓の面積とUTI濃度との間に直線的な逆比 600 例の関係を認めた.またこのUTI測定法の値をすで Nn に報告したカゼイン分解法(試験管法)の結果と比較 . O.8pg t明)sin 餐400 w すると,標準偏差γ=O.993と両者はよく相関するこ とが判明した(Fig.4>. この‘‘cnzyme−paper”を平 8 お )mpg 板法に用いるenzyme inhibitorの測定法は操1乍が簡単 碧200 で精度がよく,酵素としてここに示したトリプシン以 外にもキモトリプシン,コラゲナーゼ,プラスミンな どを,また平板としてフィブリン,コラーゲンなどが 1 S 10 20 50 100 200 urI (P9/mユ〕 Fig. 3. Standard curve of UTI activity. Tryp− sin−paper contains O.2 or O.8gg of trypsin. After the application of 5 ptl 応用でき,今後は各種inhibitorの測定に広く使用さ れるものと思われた.われわれはこのUTIの新定量 法を各種腎疾患の患者尿中酵素系の測定に応用し,尿 of several units of UTI, incubated for 中0)UTIとUKの関係を検討した. Table lに示 10 hrs at 37℃. すごとく,同方法で測定した正常ヒト尿(19検体)の UTIは4.08±LO6 U/m1,フィプリン平板法で測定した (U/ml uKは11.07±2.44 IU/mlであり, UTIIUK=037 60 となる.これに対して腎疾愚では一般にUTIが高く UKが低く,UTIIUK比は上昇する傾向が認められ, 両者は逆相間することがわかった.これを疾思別に検 恥O Table 1. UTI and UK activity in patients . with various renal diseases. 8 . 曇 Diognosis 昌 3 20 濃1 UTI{U摩I UK【IU喰1 [Mean± SD) {Mean± SD) UTIIUK . N=7了 酒 凸cu↑e glomerulonephritIs 9 a.S4tQ98 12.67±2.59 Pyelonephfit;s 6 4、10土O.81 9.21士2.83 0.45 O.36 r=o.g93 山 y冒0.992x +0.勘7 Nephrot,c synarome 20 40 60 (u/皿ユ) [?ube method Fig. 4. Comparison of the UTI activity with tube method and new casein−plate method. Chronic glornervlonephritis 6 【8 11.80±7.23 14.30土5.61 ZO2士5.31 t68 7. 08±2.35 2,02 Urernio 1O 46.9士12,90 Q67±O.71 Normal persons 19 4.08士1.06 1LOア士2.44 事 Uor lUo「U丁I or UK in I.Oml Qf urine whlch wos collected fer 2a−hr, 70,00 0,37 1057 土岐・ほか 尿中トリプシンインヒビター・定量法 討すると,急性糸球体腎炎および腎孟腎炎ではUTI, された. UKおよびUTI/UKはいずれも正常人との間で有 2)精製UTIの抗プラスミン作用 意の差をみとめなかった.しかし慢性糸球体腎炎およ Arginine−sepharose法で濃縮した尿蛋臼(UTI 3,315 びネフローゼ症候群のUTIはそれぞれ14.30±5.61 U,比活性273.5U/mg蛋白)をtrypsin−scpharoseカ 、および11.80±7,231u/mlと正常人に比しかなり高値 ラム(1.4×5cm)によるaMnity−chromatographyに で,UKはそれぞれ7・08±2・35および7・02±3・31と かけてUTIを吸着,洗浄後,0.2 M NaClを含む 逆に低く,UTIIUK比はそれぞれ2.02および1・68と 0.02NHCIで溶出し,各段階におけるUTI活性お いずれも正常より高値を示した.とくに尿毒症では よび抗プラスミン活性(UPI)を測定した. Table 2 UKがきわめて低く, UTIが高値であるためUTI/ に示すようにUTIとともにUPIのほぼ全活性が UK比は70.0と正常ヒト尿,あるいは他の腎疾患に比 tryPsin−sepharoseに吸着され,また塩酸酸性で溶出さ してきわめて高い値を示した.今回の測定結果より, れることがわかった.溶出液の両活性はpH 1∼4の 腎疾患の症例のうちでも慢性化した症例,あるいは腎 酸性条件で100℃,15分間の加熱により失活せず,き 障害の強い症例ほどUKが低く, UTIが高値とな わめて熱安定性であった.また溶出液2mlをIM り,UTI!UK比の逆転が強くあらわれるものと推察 BSA Table 2. AfHnity chromatography of UTI on CT , , trypsin−sepharose. 5 rn1 of the arg. 5 sepharose eluate (3,315 U, S.A.= 400 // 273.5U/mg protein)was apPlicd on c a column (1.4×5cm) of the trypsin− / sepharose at a flow rate of 1.8 ml per 500 @/S min at 40C. After the column was @1 washed with 30 ml of O.05 M Tris− ,oo HCI buffer, containing O.2M NaCj (pH 7.8), the UTI adsorbed was eluted with O.02 N HC1 containing .4 .5 100 .2 O.2 M NaCl. .1 Pro†ein UT工 Arg−Sepharose UP工 (Mg) (U) (U} ]2.12 5,515 L15 10 20 50 40 50 Tube No. [Eml/tube) Fig. 5. Sephadex G−100 column chromatog.raphy of UT工. Column:2.5×40 cm,0.1M Trypsin−Sepherose 8.15 H N.D. non−adsorbed Phosphate buffer at pH 7.4 containing 2.37 2.850 O.85 ’ HC] 一eluote IM urea and I M NaC1. Apply: Trypsin−sepharose eluate 2 ml (18,000 U). N.D. ; not oetectea 冒 : 誉 : ) 1 8 Aou o ら 覧 10 ノ /^押 A e 冒 p ’ tt ’ ,r一’ 。.o IOO ,一一一’ t− t− LO O.5 UPI 一 5 N ... ’ tt tt ..野へ/’/ ㌔ ,甲 s.. .1 ,メ・…・・、, i .一一一]一 .一一一一一 10 20 30 LO 50 Frac七ion No. (35 drops/frac七ion) Fig. 6. lsoelectric focussing of UTI. 3.Omg of UTI was submitted to electrophoresis using a 110 ml column of carrier ampholytes of pH 3.5NIO, at 40C for 43 hrs. 50 1058 土岐・ほか:尿中トリプシンインヒビター・定量法 ’nv i ル馨 繕醜 織’ b一花 垂 拳 郭 麟 籔 “?s無♂ ㌦ ゆ 為三審 川島ぎ な 瀞 藩…雛 講 一 一 . . 翫版 _ 執一 ジ ,撒. sc Fig. 7. Polyacrylamide gel electrophoresis of UTI. Highly purified UTI (ca. 200#g of protein) was subjected. A. Human serum s B. UTI, respectively. 尿素,lMNaCIを含む0,IMリン酸緩衡液, pH7.4 効な手段となるものと予想きれる. で平衡化した2.5×40 cmのG−100カラムにapPly 1955年にSchulman25)は粗UTIが抗プラスミン活 し,ゲルろ過すると,UTI活性はほぼBSAの位置 性を有すると報告し,以来多くの研究者により尿中抗 に溶出され,分子量はほぼ67,000±3,000であること プラスミン活性に関する研究がなされてきた.しかし がわかった(Fig.5).一方trypsin−sepharoseで精製 ながらUTIとUPIとの関連性については今なお明 したUTIをさらにsephadex G−100によるゲルろ過 確ではない.今回の実験においてわれわれは,aMnity で精製した高純度UTI 3 mg(UTI 4,070 U,比活性 chromatography法とゲルろ過法にてUTIを精製し 1,380U/mg蛋臼)を等電点電気泳動にかけたところ, 精製UTIがUPIと一致することを確認した. Fig.6に示すようにUTI活性はきわめて酸性域に泳 すでに述べたようeC UTIには各種の分子量のもの 動されて約pH 2.0に主たるピークを示し,またUPI があり7−1。・25・26),またUKにも少なくとも分子量の 活性もUTIピークと一致することがわかった.また 異なる3種以上のものが確認されている27、29).今後は disc一電気泳動で同一品はほぼ単一の蛋白帯を示し,血 腎疾患とこれらUTIおよびUKの・nultiple form 清prealbuminに一致することがわかった(Fig.7). との関係についてもさらに検討していきたいと考えて 以上の結果より,少なくとも尿中抗プラスミンの主活 いる, 性はUTIによるものと思われた. 最近Prokuschら20), Hochstrasserら21,22)あるいは 総 括 著者9・10)が報告しているように,尿中のUTIは血中 1)Urinary tryps三n inhibitor(UTI)活性の測定 inter一α一trypsin inhibitorあるいは気管支粘膜のtrypsin に酵素系としてtrypsin−paperを用い,基質にO.05% inhibitorと抗原性を同じくし, UTIは血潮あるいは カゼイン平板法を用いる新しい定量法を開発した.こ 組織inhibitorの活性を反映するものと考えられてい の方法は簡便かつ正確で,定量値は従来の試験管法に る.またUTIおよびその前駆物質と考えられるin− よる測定値とよく相関した. ter一α一trypsin inhibitorと腎疾患の関係については, 2) この定量法により各種腎疾思の尿中UTI活性 Hochstrasserら23)は腎機能が低下すると血中i nter一α一 を測定するとともに,尿申urokinase(UK)活性をフ trypsin inhibitorが増加すること,およびそれは腎が ィブリン平板法で測定し,両者を比較した.その結果 inter一α一trypsin inhibitorからさらに低分子のinhibitor, は正常ヒト尿のUTIは4.08±1.06 U, UKはlI.07 すなわちUTIへの分解という機能をもっているた めではないかと推測している.一方UKは腎組織 UTIの増加とUKの減少,したがってUTI/UK比 ±2・44 IU, UTIIUK比O.370c比較して,腎疾患では のactivatorと抗原性が一致することが報告されてお の増加を認め,尿毒症ではとくにUTI/UKが高値を り13、15),また最近BernikとOller24)はヒトの腎組 示すことが判明した. 織培養液によりpre−UKを分離精製し,このものに 3)正常ヒト尿中のUTIをargin量ne−sepharoseお プラスミンを作用させることによって活性型UKを よびtryspin−sepharoseを用いたaMnitiny chromato− 得ることに成功した.以上のごとく両物質ともに腎と graphyで精製し,さらにsephadex G−100ゲルろ過 の関係は強く,UTIおよびUK,さらにUTI/UK により高純度に精製してその物理化学的性質を検討し 比を測定することは腎の機能を診断する上に非常に有 た.精製UTIは分子量67,000±3,000,等電点は約 土岐・ほか:尿中トリプシンインヒ.ビ、タr・定量法 2.0で,電気泳動的に血清prealbuminに一致し,か つ熱安定性がきわめて.高い闇闇であることが判明した. 1059 Haemostasis, 38: ,305, 1977. 13) Bernik, M. B. and Kwaanl H. C.: Origin of そしてUTIの活性は,.・.. urinaty plasmin inhibitorの fibrinolytic activity in culture o’f the human 主要活性と一致する.こ.とを認めた. . kidney..J. Lab.,Clin. Med., 70:650一一661, 1967. 稿を終えるにあたり,.御指導・御用閲を賜わった広島大学 医学部泌床器科学教室口車寛巳教授に深く感謝いたします. 14) Bernik, M, B. and’ Kwaan, H. C.: Plasminogen activator activity in culture from human tissuesL 文 献 1) Beha]., F. J. and Story, M.: Arylamidase of human kidney. Ar6h.’Biochem. Biophys., 131: 74’一82, 1969. 2) Klaud, D.: Renale Fermentausscheidung bei Proteinurie. Klin. Wsch., 36: 207一一一211, 1958. 3) Wacher, W. E. C. and Dorfman, L. E.: Urinary An immunological and histecheMical ’study. J. Lab. Clin. lnvest., 48: 1740n一一1753, 1969. 15) Astedt, B. and Holmberg, L.: lmmunological identity of urokinase and’ ovarian carcinema plasminogen activator released in tissue culture. Nature, 261: 595一一597, 1976. 16) Sumi, H., Toki, N., Takada, Y. and Takada, lactic dehydrogenase activity. 1. Screening A.: Studies on human urinary enzymes and method for detection of cancer of kidneys and inhibitors: Concentrations method and charac− bladder. J. A. M. A., 181:972一一978, 1962. 4) Orlowski, M.: Arch. lmmun. Therap. Exp., 11: 1一一611, 1963. 5) Stokke, O.: Preservation of a−glutamyl trans− peptidase activity in human urine. Clin. Chim. Acta., 57: 143t一一148, 1974. 6) Hodson, A. W. and Latner, A. L.: Alkaline phosphatase lsoenzymes of human kidney and urine. Clin, Chim. Acta., 61: 53−62, 1975. 7) Sumi, H., Yamamoto, K., Takad.a, Y. and Takada, A.: Protease inhibitors in human urine. Abstracts of the 16th lnternational Cong. of Hematol.: 342, 1976. 8)須見洋行・南方かよ子・高田由美子・高田明和: ヒト尿中のトリプシンインビビターおよびその性 質 日本生理誌,39:53∼58,1977. 9) Takada, A., Takada, Y., Minakata, K. and Sumi, H.: . Characterization of purified urinary trypsin inhibitors. Thrombesis and Haemos− tasis, 38: 163, 1977. 10) Sumi, H., Takada, Y. and Takada, A.: Studies on human urinary trypsin inhibitor. 1. lts terization. J. Biochem., 83:141・v l47, 1978. 17)松尾雄志・堀尾武一:蛋臼質の電気泳動的等電点 分画法.蛋白,核酸,酵素,12:737∼748,1973. 18) Ploug, J. and Kjeldgaard, N. O.: Urokinase. An activator of plasminogen fro皿human urine. 1. lsolation and properties. Biochim. Biophys. Acta., 24:278r−282, 1957. 19) Davis, B. J., Lane, J. and Nordschow, C. D.: Disc electroPhoresis. II. Method and applica− tion to human serum proteins. Ann. New York Acad. Sci., 121:404・一一427, 1964. 20) Proksch, G. J., Lane, J. and Nordschow, C. D.: Interrelation of the urinary trypsin inhibitor to human plasma inter−alpha−trypsin inhibitor. Clin. Bicchem., 6: 200Ni206, 1973. 21) Hcchstrasser, K., Bretzel, G., Feuth, H., Hilla, W. und Lempart, K.:The inter−a−trYpsin inbibitor as precursor of the acid−stable pro− teinase ’inhibitors in human serum and urine. Hoppe−Seyler’s Z. Physiol, Chem., 357: 153t− 162, 1976. 22) Hochstrasser, K., Reichert, R. und Heimburger, modification on treatment ’of urine with acid. N.: Antigenic relationship between the human Thrombosis Research, in press, 1977. bronchial mucus inhibitor and plasma inter−a− 11)義義洋行・南方かよ子・高田由美子・高田明和: 尿中酵素および抑制物質の研究.6.ウロキナー ゼおよびその阻害物質の研究:第16回プラスミン 研究会報告集(神戸):226∼230,1976. 12) Sumi, H., Takada, Y. and Takada, A.: Plasmin inhibitors in human urine. Thrombosis and trypsin inhibitor. Hoppe−Seyler’s Z. Physiol. Chem., 354: 587一一588, 1973. 23) Hcchstrasser, K., Niebel, J., Feuth, H. und Lempart, K.:Uber Abbauproducte des Inter− alpha−Trypsin lnhibitors im Serum. 1. Der Inter−alpha−Trypsin inhibitor als Prekursor des 1060 土岐・砥か: 尿中トリプシンインヒビター・定量法 saurestabilen Serum−Trypsin−lnhibitors.’ Klin. Wsch., 55: 337一一342, 1977. 1959. 27) The isolation and characterization of plasmi− 24) Bernk, M. B. and OIIer, E. P.: Regulation of fibrinolysis through activation and inhibition nogen activator (urQkinase) from hUihan urine. of h plasminogen preactivator (preurokinase). Thrombosis and Haemostasis, 38: 136, 1977. Biochemistry, 5: 2160Ni2169, 1966. 28) anticoagulant activity separated from human 671, 1955. 26) Astrup, T., Alkjaer, K. and Soardi, F.: Partial purification of the trypsin inhibitor in urine. Scand. J. ClinL Lab. lnvest, 11: 181一一184, Doleschel, W.: lsolierung einer dritten huma− nen UTrokinase (So−Typ). Wiener Klin. Wsch. 25) Schulman, N. R.: A Proteolytic inbibitor with urine and plasma. J. Biol. Chem., 213: 655一一 White, W. F., Barlow, G. H. and Mozen, M. M. : 87: 282 ’一284, 1975. 29) Soberapo, M. E., Opg, E. B., Jhonson, A. J., Levy, M. and Schoellmann, G.: Purification and cha’racterization of two forms of urokinase. Biochem. Biophys. Acta., 445: 763tv 773, 1976. (1978年8月21日受付)
© Copyright 2025 ExpyDoc