ポイント

スミスチャート
科
v1.4 Jun.2014
1. 反射係数とインピーダンスの関係
特性インピーダンス Z0 の伝送線路が負荷インピーダンス ZL で終端
年
番 氏名:
を足すと
(
)2
(
)
2Γi
2Γi
1 2
−
+
(18)
xL
xL
xL
となる。式 (18) を整理すると次式 (19) が得られる。
( )2
(
)
1 2
1
=
(Γr − 1)2 + Γi −
(19)
xL
xL
( 1 )
式 (19) も円の方程式を表しており,その中心は 1, x ,半径は x1
L
L
(1 − Γr )2 + Γi 2 −
されているとき,終端における反射係数は
ZL − Z0
zL − 1
=
(1)
ZL + Z0
zL + 1
で与えられる。ここで zL = ZL /Z0 を正規化負荷インピーダンス
(normalized load impedance) と呼ぶ*1 。式 (1) を変形して zL を反
射係数 Γ で表現すると
1 + |Γ| ejθ
1+Γ
zL =
(2)
=
1−Γ
1 − |Γ| ejθ
となる。ここで反射係数 Γ と正規化負荷インピーダンス zL をそれぞ
Γ = |Γ| ejθ =
2Γi
+
xL
1
xL
=
であることが分かる。これをリアクタンスサークルと呼ぶ。
4. まとめ
以上の結果をまとめると,式 (15) より,反射係数 Γ と正規化インピー
ダンス実部 rL の間には次式 (20) の関係がある。
(
(
)
)
2
2
rL
1
+ Γi 2 =
(20)
1 + rL
1 + rL
一方,式 (19) より,反射係数 Γ と正規化インピーダンス虚部 xL の
間には次式 (21) の関係があることが分かる。
(
)
( )2
1 2
1
(Γr − 1)2 + Γi −
(21)
=
xL
xL
4
図 1 と図 2 にスミスチャートの描画例を示す* 。図 1 の同心円状
の 4 つの円は式 (20) において rL = 0, 1/3, 1, 3, ∞ の場合を示し
ている。また,図 1 右端の点 (1,0) から放射状に伸びている 7 本
の線は,式 (21) において xL = 0, ±1/3, ±1, ±3, ±∞ の場合を示
している。一方,図 2 の同心円状の 6 つの円は式 (20) において
rL = 0, 0.2, 0.5, 1, 2, 5, ∞ の場合を示している。また,図 2 右端
の点 (1,0) から放射状に伸びている 11 本の線は式 (21) において
xL = 0, ±0.2, ±0.5, ±1, ±2, ±5, ±∞ の場合を示している。
れ実部と虚部に分けて
Γ = Γr + jΓi
(3)
zL = rL + jxL
(4)
とおいて式 (2) に代入すると
1 + (Γr + jΓi )
(1 + Γr ) + jΓi
zL = rL + jxL =
=
(5)
1 − (Γr + jΓi )
(1 − Γr ) − jΓi
2
*
となる。式 (5) の分母を有理化すると
(
)
1 + Γr 2 − Γi 2 + j2Γi
zL = rL + jxL =
(6)
(1 − Γr )2 + Γi 2
となる。これを実部と虚部に分解すれば,次式 (7) と式 (8) のように
複素数を取り除いた 2 つの方程式が得られる*3 。
1 + Γ r 2 − Γi 2
rL =
(7)
(1 − Γr )2 + Γi 2
2Γi
xL =
(8)
(1 − Γr )2 + Γi 2
Γr −
2. レジスタンスサークルの導出
ここで,式 (7) に着目して次のような式変形を機械的に実行する。ま
ず式 (7) の両辺に 1 を足すと
1 + Γ r 2 − Γi 2
2 − 2Γr
rL + 1 =
+1=
(9)
2
2
(1 − Γr ) + Γi
(1 − Γr )2 + Γi 2
となる。式 (9) を変形して
2 − 2Γr
(1 − Γr )2 + Γi 2 =
(10)
1 + rL
x=1
r=0
0.3
3
0.33
1
3
∞
0
となる。さらに式変形して整理すると
(1 − 2Γr ) (1 + rL )
2 − 2Γr
−
1 + rL
1 + rL
1 + 2Γr rL − rL
=
1 + rL
となる。次に,式 (11) の両辺に次の値
(
)2
2Γr rL
rL
−
+
rL + 1
rL + 1
Γr 2 + Γ i 2 =
を足すと
(
-0.3
-1
(12)
図1
1
1+rL
スミスチャートの描画例 (エクセル VBA)
)
2
2Γr rL
rL
+
rL + 1
rL + 1
(
)2
1 + 2Γr rL − rL
2Γr rL
rL
=
−
+
(13)
1 + rL
rL + 1
rL + 1
となる。式 (13) を整理すると
(
)2
(
)2
rL
rL
1 − rL
Γr −
+
(14)
+ Γi 2 =
1 + rL
1 + rL
1 + rL
となり,最終的に次式 (15) が得られる。
(
)2
(
)2
rL
1
Γr −
+ Γi 2 =
(15)
1 + rL
1 + rL
( rL
)
式 (15) は円の方程式を表しており,その中心は 1+r , 0 ,半径は
L
Γr 2 + Γ i 2 −
-3
(11)
0.2
r=0 x=1
0.5
0.2
0.5
1
2
5
2
5
0
であることが分かる。これをレジスタンスサークルと呼ぶ。
-5
-0.2
3. リアクタンスサークルの導出
同様にして,今度は式 (8) に着目して次のような式変形を機械的に実
行する。まず式 (8) を次式 (16) のように変形し,両辺に式 (17) の値
2Γi
(1 − Γr )2 + Γi 2 =
(16)
( )2 xL
2Γi
1
−
+
(17)
xL
xL
∞
-2
0.5
-1
図2
スミスチャートの描画例 (gnuplot)
*1
これは線路の特性インピーダンスが Z0 = 1Ω のときの負荷インピーダンス
と同じ意味である。
*2 分母の複素共役 (1 − Γr ) + jΓi を分子分母に掛けて分母の虚部を消す
*3 これで正規化負荷インピーダンス zL の実部 rL と虚部 xL をそれぞれ反射
係数 Γ の実部 Γr と虚部 Γi で表現することができた。
*4
1
図 1 はエクセルマクロによって描画している。詳しくは「杉尾、塩見:“高
周波・マイクロ波回路 CAD とプログラミング’’pp.12-14, ケイラボ出版」
を参照。同様に図 2 は gnuplot によって描画している。詳しくは「山本:
“gnuplot の精義 第 2 版’’pp.142-148, カットシステム」を参照