アジア太平洋地域 - 2030 年までの再エネ発電の建設に 2.5 兆ドルの投資

Noemi Glickman
Bloomberg New Energy Finance
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アジア太平洋地域 - 2030 年までの再エネ発電の建設に 2.5 兆ドルの投資
コスト競争力を背景に、風力・太陽光が同地域での新増設容量 2.7TW の半分弱、
再エネ全体は 63%(1.7TW)
7月1日(ロンドン、ニューヨーク、シンガポール) – ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスによ
ると、アジア太平洋地域において、現在から2030年までの発電所の新増設に3.6兆ドルもの資金が投
資される。そのうち3分の2が風力、太陽光、水力といった再生可能エネルギー電源に向けられる。
今回発表の「BNEF2030年市場見通し( BNEF 2030 Market Outlook)」レポートでは、国・地域別の電
力需給、各電源のコスト予想、政策の進捗を織り込んだモデル分析をもとにした予想が示されており、
今後2030年までに世界で導入される5TWの発電容量の増加分のうち、およそ半分がアジア太平洋地
域に設置されるだろうとの見通しである。
同地域での投資額は合計3.6兆ドルと推計され1、大気汚染や地球温暖化問題といった懸念の中でも
石炭火力や天然ガス等化石燃料による火力発電は今後も伸びると予想される。 一方、最も発電容量
が伸びるのは再生可能エネルギーで、3.6兆ドルのうち2.5兆ドルが再生可能エネルギー1.7TWに投じ
られると見通す。
ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのアジア代表 Milo Sjardinによると、「2030年までの間
にアジア太平洋地域では太陽光が飛躍的に伸びるとみており、屋根上・メガソーラー合計800GW近く
の新設が見込まれる。我々の分析では2020年までに太陽光は他の電源と完全に渡り合えるレベルに
コストが下がると予想しており、この導入の大幅な伸びは補助金や政策によるものではなく経済性によ
るものである。」
「しかしながら、化石燃料の時代が終わったというわけではない。アジアの急激な経済発展を背景に、
2030年までに石炭火力発電の発電容量は434GW、ガス火力は314GWの純増を見込んでいる。つま
り、今後何年間にもわたってCO2排出量は増え続けることになる。」
国別の状況に見ると、中国では現在から2030年までに電力需要は倍増する見通しで、発電容量は
1.4TW増える。そのためには約2兆ドルの設備投資が必要で、そのうち72%は風力・太陽光・水力とい
った再生可能エネルギーに投じられるだろう。
日本の電力市場は中国とは異なる軌跡をたどり、電力需要は2021年に震災前の2010年レベルに戻っ
たのち、年率1%で微増していくと見通す。省エネの進展が経済成長を一部打消すと考えられるためだ。
2030年までの発電設備への投資は約2,030億ドルと推計、うち1,160億ドルは屋根上太陽光、720億ド
ルは他の再生可能エネルギーに充てられる。
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2030 年までの発電設備の稼働のため、投資が行われる期間は 2013 年から 2026 年としている。
インドの発電容量は2013年の236GWから2030年には887GWと4倍近くになると予想。増加分の内訳
は、169GW がメガソーラー、98GW が陸上風力、水力95GW 、石炭火力155GW 、天然ガス火力
55GW、である。2030年までの総投資額は7,540億ドルに達し、そのうち4,770億ドルが再生可能エネ
ルギーに向かう。
全世界の見通し
ブルームバーグ・ニューエナジーファイナンスでは、全世界での投資額は 2030 年までに 7.7 兆ドルに
上るとみており、うち 66%に相当する 5.1 兆ドルが水力を含む再生可能エネルギーに投じられると見
通している。再生可能エネルギー投資の地域別内訳は、アジア太平洋 2.5 兆ドル、米州 8,160 億ドル、
欧州 9,670 億ドル、その他の地域(中東・アフリカ)が 8,180 億ドル、である。
化石燃料の発電電力量に占める割合は 2013 年の 64%から 2030 年には 44%に低下するものの、
電源別では最も大きな割合を占め続ける。2030 年までの今後 16 年間に石炭・天然ガス・石油の火力
発電所の設備容量は建て替えを除き 1,073GW 増えると見込まれる。大部分は工業化に伴う電力需
要の増加に直面する新興国で増える見通しで、これらの国々では風力や太陽光の増設も合わせて行
われる。世界の発電電力量に占める太陽光・風力の割合は 2013 年の 3%から 2030 年には 16%に
増えるだろう。
ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの諮問委員会議長である Michael Liebreich は、
「我々の電力市場の国別、電源別の見通しは、再生可能エネルギーに対して他社よりも強気であるが、
その主な理由はコストの低減をより強気に見ていることにある。急速な経済成長を遂げる新興国が再
生可能エネルギーとともに火力発電を増設し続けているため世界の CO2 排出量は増え続け、増加の
伸びは 2030 年ごろまでに止まるだろう。」とコメントした。
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