プレスリリース 2011 年 8 月 25 日 Seb Henbest Bloomberg New Energy Finance +61 2 9777 8619 [email protected] オーストラリアの二酸化炭素排出権価格は2015～16年に下落の見込み－排出権取引コストの経済への影響は低下ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの予測によれば、オーストラリアの制度参加者が国際排出権市場を通じて最小コストの削減方法を追究する結果、オーストラリアの二酸化炭素排出権価格は 2015～16 年に 16 AUD まで下落する見込み。シドニー、ロンドン、2011年8月25日 – ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの新しい調査によれば、オーストラリアの二酸化炭素排出権価格は、取引市場の開始に伴い、2014 ～15年の25 AUDから2015～16年には16 AUDまで下落することが予想されます。それ以後、排出権価格はこの制度の最低価格（2020年の17.50 AUDまで段階的に上昇）に追随すると見られます。この結果は、排出権価格が2015年に29 AUD、2020年に38 AUDまで上昇するとした財務省のモデルとは対照的であり、電気料金、事業、家計に対する排出権価格の影響が予想されているより小さいことを示唆しています。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのオーストラリア二酸化炭素排出権調査担当マネジャ-のSeb Henbestは、次のように語っています。「制度の設計より、2015～16年以降、オーストラリアの二酸化炭素排出権価格は、国際市場からのクレジット購入のコストに左右される見込みです。一方、EU ETSからの需要の低迷に伴って、国際排出権価格はオーストラリアの最低価格を下回ることが予想されます」ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの調査結果は、オーストラリアにとって重要な意味を持ついくつかの影響を示唆しています。 1.排出権価格が低く推移することから、この制度が家計と企業に与える影響は、財務省が予測するGDPの0.7%よりも小さくなると見込まれます。 2.国際排出権価格が低迷することから、政府がクリーンエネルギープログラムや補助政策の資金集めのために実施する割当量のオークションからの収入も減少する見込みです。 3.国際排出権価格が低いほど、オーストラリア国内でのコンプライアンスのために輸入される国際オフセットクレジットが増加します。当社の当初の予測では、オーストラリアにおける削減努力の最大75%を占める可能性があります。これは財務省が予想する60%よりも15ポイント大きい数値です。オーストラリアからの追加需要が国際価格全体に与える影響は、比較的小さいものと思われます。 4.排出権価格の低迷により、国内排出量の削減を目的としたクリーンエネルギーフューチャーパッケージや、再生可能エネルギーの普及を目指す大規模再生可能エネルギーターゲットにおいて、補足的施策の必要性が増加します。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの分析は、オーストラリア企業がコンプライアンスのために必要なクレジットの最大50%を購入できる国際排出権市場の中期的なファンダメンタルモデルに基づいています。国際市場でのその他の買い手としては、欧州排出権取引システム（EU ETS）、EU加盟諸国、日本、ニュージーランド、韓国が挙げられます。認証排出削減量クレジット（CER）の価格は、EU ETSの買い手が輸入制限量に達するのに伴い、2014年の19 AUDから2020年には7 AUDにまで下落する見込みです。このことは、支出を増やすことを望まない他の需要元にとって有利に働きます。またこの結果は、米国とカナダが国際排出権市場に参加しないことを前提としています。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの二酸化炭素排出権市場調査担当ディレクターのMatt Cowieは、次のように語っています。「2012年以降の国際排出権市場の推移に関しては不確かな点が数多く残されており、当社のモデルはこのような複雑さを全体として捕捉することを目指しています」 7月10日に、オーストラリア政府は、長く待ち望まれていた新しい二酸化炭素排出権価格メカニズムの詳細を発表しました。現在、法律の草案に関して一般からの意見が募集されており、 9月には議会に法案が提出される予定です。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの見通しでは、政府は少数連立政党の協力を得て、2011年末までにこの法案を両院で通すことに成功する見込みです。ニュー・エナジー・ファナンスについてブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス（BNEF）は、再生可能エネルギー、エナジースマートテクノロジー、カーボン（排出権）市場、二酸化炭素回収・貯留、原子力などの分野における情報提供で世界をリードする独立系プロバイダーです。意思決定者を対象に、ニュース、データ、リサーチおよび分析を提供しています。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスは、世界各国（ロンドン、チューリッヒ、パリ、ワシントン D.C.、ニューヨーク、サンフランシスコ、東京、北京、ニューデリー、シンガポール、香港、シドニー、ケープタウン、サンパウロ）の拠点に 200 人のスタッフを配置しています。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスは、世界中の有力な投資家、企業および政府のお客さまにご利用いただいております。「インサイト・サービス」は、風力発電、太陽光、バイオエネルギー、地熱、二酸化炭素回収・貯留、省エネルギー、原子力などの分野に関する詳細な市場分析を提供します。そのほかにも、主要新興カーボン市場（欧州、京都議定書、オーストラリア、米国）と、各地域において計画されている地域市場、潜在的な連邦政府イニシアチブ、自主的な取り組みがみられるカーボン市場などの情報も網羅されています。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの「インダストリー・インテリジェンス・サービス」は、クリーンエネルギーやカーボン市場における投資家および投資に関する世界で最も信頼性の高い総合データベースへのアクセスを提供します。「ニュース＆ブリーフィング・サービス」は、クリーンエネルギー投資に集中した最新のグローバルニュースお届けします。お客さまのためのアプライドリサーチの実施や、マネジメント層を対象とした交流会の開催も行っています。ニュー・エナジー・ファイナンス・リミテッドは、2009 年 12 月に Bloomberg L.P.によって買収され、現在、Bloomberg Finance L.P.がそのサービスおよびプロダクトを所有し提供しています（ただし、アルゼンチン、バミューダ、中国、インド、日本、韓国においては、Bloomberg L.P.とその子会社（BLP）が提供しています）。ニュー・エナジー・ファイナンスに関するお問い合わせ先：電話：03-3201-2202 Email：[email protected] ブルームバーグについてブルームバーグはあらゆるビジネスとプロフェッショナルに情報を提供する世界で最も信用ある情報配信ソースです。ブルームバーグは革新的な技術と比類なき分析ツール、データ、ニュース、表示・配信機能を融合させ、必要とされる情報をブルームバーグプロフェッショナルサービスとマルチメディアプラットフォームを通じて配信しています。ブルームバーグのメディアサービスは、テレビ、ラジオ、デジタル、印刷などのプラットフォームで情報を提供しています。 2,300 人余の報道およびマルチメディアの専門家が 72 カ国 146 のオフィスを基点に、世界を網羅しています。