▼ 放電加工 C−11 ワイヤ放電加工における高付加価値加工の最新活用事例 The latest practical and high added value processing technology in Wire−cut EDM 〔Sodick Co., Ltd.〕㈱ソディック 山 田 英 司* 1.はじめに みで決まる。前者は CNC 駆動単位の高分解能化やピ 飛躍的な精度の向上、高付加価値を実現してきたワ ッチ補正などの付加価値機能の充実により、現在では イヤ放電加工機にとって、テーパ加工はなくてはなら μm オーダー以下の制御が当たり前となっている。 ない存在である。プレス金型のダイ逃がしのように 1° 後者はワイヤ電極径や加工厚さ、上下ガイド間距離の に満たない角度から、工具刃物やスライドコアに見ら 影響を受けるものの、ワイヤテンション制御、コーナ れる 10°を超えるものまで幅広く使われている。細 ー制御、タイコ量制御など、形状の真直度を向上する かいところでは 0. 001°といった微小角度も可能で、 技術の進歩により、よく使われるワイヤ電極径φ0. 2 被加工物の上下寸法の微調整にも利用されている。 mm、加工厚み 40 mm などにおいてはμm オーダー 2.ストレート形状(非テーパ形状)の加工精度 ストレート形状の加工精度は、主に上下ガイドの位 置精度と上下ガイド間に供給されたワイヤ電極のたわ の加工精度が一般的である。 3.テーパ形状の加工精度 テーパ加工は、図 1 に示す TU・TL の値をもとに 上下ガイドを独立駆動し、上下ガイドの水平方向相対 * Eiji Yamada:放電加工機事業部 加工技術部 〒224−8522 横浜市都筑区仲町台 3−12−1 位置を制御することで、ワイヤ電極を所望の角度に傾 斜させる。 TU・TL の値は、ガイド R 中心と異なるため、ワ テーパ加工 ストレート加工 イヤ電極を TU・TL 測定用治具に接触させて求める ワイヤ 上ガイド 被加工物 下ガイド が、それだけでは精度の面で不十分なことも多く、 TU・TL の測定が済んだらテーパ形状の予備加工を 行い、加工したテーパ形状の角度と寸法に合わせて TU・TL を補正する。この作業を繰り返すことで次 第に精度は高まるが、テーパ角度の大小やワイヤ電極 ガイド R の傾斜方向で TU・TL が変化することもあり、スト θ TL:テーブル―下ガイド間距離 TL θ 実際の TU TU:テーブル―上ガイド間距離 ガイド R 中心 レート形状と同等の精度を得るのは総じて難しい。 TU 4.テーパ形状の加工性能向上への取組み 当社は前項で述べたテーパ加工の問題を解決すべく テーパ加工システム「テーパフレックス NEO(以下、 TX−NEO と記載) 」を開発した。 図 1 テーパ加工の概要と TU・TL TX−NEO は角度や傾斜方向に応じた複数の TU・ TL を扱えるため、複数の角度で構成された形状(図 2)においても、各角度に応じた TU・TL で加工す ることで、形状全体にわたり高い精度が得られる。 20° なお、TX−NEO を使わないで精度を上げるには、 15° 30° 32.48° 各角度の誤差を把握し、例えば 5°の個所の指令値を 4. 990°などと場所により角度やオフセットの指令値 を変えなければならず、大変な労力が必要となる。 図 3 はφ10 mm の円筒形状と基底部がφ10 mm の上広がりテーパ形状を、ワイヤ電極を V−方向に 図 2 複数の角度で構成されたテーパ形状 058 傾斜させた際の TU・TL で全周加工した結果と、TX
© Copyright 2024 ExpyDoc