30E16-am12S MDCK細胞におけるタイトジャンクション機能への Sec61β 遺伝子の影響 ◯鷲山 真紀子 1 ,小泉 直也 1 ,佐々木 杏沙 1 , 松本 有未 1 , 藤井 まき子 1 , 1 1 昭和薬大,2 阪大院薬) 近藤 昌夫 2 ,八木 清仁 2 ,渡辺 善照( 【目的】タイトジャンクション(TJ)は、上皮細胞層に存在するバリア機能の本 体である。我々はこれまでにウエルシュ菌毒素の C 末断片(C-CPE)が TJ を一過性 に開口させることを見出し、C-CPE 添加前後での発現量変動のある遺伝子をサブ トラクション法にて検出した。その結果、小胞体から細胞質への輸送に関わる translocon である Sec61βを同定した。今回は、Sec61β遺伝子を過剰発現させた MDCK 細胞を作製し、TJ の形成、C-CPE 添加による開口時、及び TJ 再形成時に おける TJ の挙動を上皮電気抵抗(TER)により検討した。 【実験方法】Sec61β発現プラスミドを MDCK 細胞に導入した。コントロールは Sec61βを組込まないプラスミドを導入した MDCK 細胞とした。作製した MDCK 細胞を 24-well intercell に播種(4.0×104 cells/well)し、TER 値が飽和するまで培養し た。その後、C-CPE を 0.01 mg/mL 作用させ、24 時間後に C-CPE を除去し培養を 継続した。各段階とも経時的に TER 値を測定し、TJ の形成、開口、再形成能力は それぞれ TER が一定値に上昇するまでの 1/2 になる時間(T1/2)を指標とした。 【結果・考察】Sec61βを過剰発現させた MDCK 細胞は、コントロールに対して TJ 形成時、 開口時、 及び再形成時の T1/2 は何れも有意に短くなった。 したがって Sec61β は、TJ 形成・開口・再形成時における TJ 関連タンパク質に関与しているのではな いかと考えられる。なお、TER の最大値においては、Sec61β発現プラスミド導入 の有無による有意差は観られなかった。
© Copyright 2024 ExpyDoc