平成26年度 研究成果発表会 平成 26 年度 研究成果発表会 フ ェ ム ト 秒 LA-ICPTOFMS を 活 用 し た 微 小 試 料 分 析 事 例 ○ 林 英 男 *1) 1. 背 景 工業製品や食品などに混入した微小異物の分析は、異物の発生・混入の経路特定による 再発防止に活用されている。一般的に微小異物の元素組成分析には、エネルギー分散型蛍 光 エ ッ ク ス 線 分 析 装 置 ( ED-XRF) や 、 分 析 機 能 を 有 す る 走 査 電 子 顕 微 鏡 ( SEM-EDX) な どが用いられるが、検出感度が低いこと、リチウムやベリリウムなどの軽元素の検出が困 難であることが問題となっている。 こ れ ら の 問 題 を 解 決 す る た め 、 都 産 技 研 で は 、 フ ェ ム ト 秒 LA-ICPTOFMS を 微 小 試 料 の 分 析 に 適 用 し 、微 小 ガ ラ ス 試 料 や 金 属 試 料 に 含 ま れ る 元 素 の 高 感 度 検 出 を 可 能 と し た の で 、 その活用事例を紹介する。 2. 測 定 方 法 フ ェ ム ト 秒 LA 装 置( NWR-FEMTO、ESI 製 )の 試 料 セ ル に 微 小 固 体 試 料 を 入 れ 、試 料 表 面 に レ ー ザ ー 光 ( 波 長 263 nm、 パ ル ス 幅 約 180 fs、 パ ル ス 周 期 250 Hz) を 照 射 し た 。 レ ー ザ ー 光 照 射 に よ っ て 生 じ た 試 料 微 粒 子 は 、ヘ リ ウ ム ガ ス に よ り ICPTOFMS 装 置( OptiMass 9500、 GBC Scientific 製 ) に 搬 送 し 、 質 量 ス ペ ク ト ル を 測 定 し た 。 装 置 概 略 を 図 1 に 示 す 。 図 1. 装置概略図 3. 測 定 事 例 本分析法をガラスの破片に適用した事例を紹介する。まず、従来の分析手法である ED-XRF 及 び SEM-EDX を 用 い て ガ ラ ス 破 片 を 分 析 し た 。そ の 結 果 、ケ イ 素 、ナ ト リ ウ ム 、 アルミニウムを含むガラスであるとの分析結果が得られた。一方、本分析手法を用いて同 じガラス破片を測定したところ、ケイ素を主成分とし、ホウ素、ナトリウム及びアルミニ ウムを含むガラスであることが判明した。さらに、ガラス標準試料を用いて作成した検量 線 か ら 、 各 元 素 の 濃 度 を 求 め た 結 果 ( B 2 O 3 : 13.2 % 、 Na 2 O: 3.85 % 、 Al 2 O 3 : 1.95 % )、 ガラス破片は、ホウケイ酸ガラスであることが分かった。 4. 今 後 の 展 開 フ ェ ム ト 秒 LA-ICPTOFMS を 用 い れ ば 、 従 来 の 分 析 法 で は 見 落 と し て い た 軽 元 素 に つ い ても分析することが可能である。今後は、本分析法を活用した依頼試験に加えて、共同研 究などの研究開発分野への支援も期待される。 *1)高 度 分 析 開 発 セ ク タ ー H23.4~ H25.3【 基 盤 研 究 】 フ ェ ム ト 秒 L A- IC PTOFMS に よ る 微 小 試 料 定 量 法 の 開 発 と 応 用 H24.6~ H25.3【 共 同 研 究 】 鋼 鉄 材 中 の 貴 金 属 ・ レ ア メ タ ル の 存 在 量 推 計 と 混 入 経 路 の 評 価 | 101 |
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