Indicator ss Update

経済分析レポート
2015 年 1 月 15 日
全6頁
Indicators Update
11 月機械受注
ヘッドライン、内訳ともに力強さに欠ける
エコノミック・インテリジェンス・チーム
エコノミスト 久後 翔太郎
[要約]

2014 年 11 月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である民需(船舶・電
力を除く)は、前月比+1.3%となり、市場コンセンサス(同+4.4%)を下回る結果と
なった。2 ヶ月ぶりの増加となったものの、前月の落ち込み幅に照らすと増加幅は限定
的であり、物足りない結果であったと言える。

需要者別に受注を見ると、製造業は前月比▲7.0%と 2 ヶ月連続で減少した。5 月を底
に持ち直しの動きを続けてきたが、足下で増加ペースが鈍化している。非製造業(船舶・
電力を除く)は前月比+0.5%と 2 ヶ月ぶりに増加した。前月の落ち込みを考慮すると
ヘッドラインの増加幅は限定的であったことに加え、内訳を見ると幅広い業種が前月か
ら減少しており、力強さに欠ける内容であった。

GDP 統計の設備投資は 7-9 月期には前期比減少となり、消費税率引き上げ後の成長のけ
ん引役として期待されていた設備投資の弱さが内需低迷の一因となった。しかし、設備
投資の一致指標である資本財出荷は持ち直しつつある。先行指標である機械受注も足下
では減速感が見られるものの均せば上向きの動きとなっていることに加えて、日銀短観
などの設備投資計画調査でも、企業の設備投資に対する積極的な姿勢が示されているこ
とから、2014 年度後半以降、設備投資は増加傾向に転じるとみている。
図表 1:機械受注の概況(季節調整済み前月比、%)
2013年 2014年
12月
1月
2月
▲ 12.1
8.1 ▲ 4.6
3月
4月
5月
19.1 ▲ 9.1 ▲ 19.5
民需(船電を除く)
コンセンサス
DIR予想
▲ 7.8
4.9 ▲ 4.6
23.7 ▲ 9.4 ▲ 18.6
製造業
6.1 ▲ 5.1
8.5
0.9 ▲ 17.8
非製造業(船電を除く)▲ 11.5
3.2
3.7
2.3
3.2
71.3 ▲ 45.9
外需
(注)コンセンサスはBloomberg。
(出所)内閣府統計、Bloombergより大和総研作成
株式会社大和総研 丸の内オフィス
6月
8.8
7月
3.5
8月
4.7
9月
10月
2.9 ▲ 6.4
11月
1.3
4.4
3.5
6.7
20.3 ▲ 10.8
12.0 ▲ 5.5 ▲ 7.0
4.0 ▲ 4.3
10.7
1.7 ▲ 7.5
0.5
62.8 ▲ 42.6
29.1 ▲ 9.4 ▲ 4.6 ▲ 6.0
〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー
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2/6
11 月機械受注:2 ヶ月ぶりの増加も、力強さに欠ける
2014 年 11 月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除
く)は、前月比+1.3%となり、市場コンセンサス(同+4.4%)を下回る結果となった。2 ヶ月
ぶりの増加となったものの、前月の落ち込み幅に照らすと増加幅は限定的であり、物足りない
結果であったと言える。
製造業:足下で増加ペースが鈍化
需要者別に受注を見ると、製造業は前月比▲7.0%と 2 ヶ月連続で減少した。5 月を底に持ち
直しの動きを続けてきたが、足下で増加ペースが鈍化している。内訳を見ると、化学工業(前月
比▲40.1%)、情報通信機械(同▲23.0%)、鉄鋼業(同▲38.2%)、一般機械(同▲4.1%)、パル
プ・紙・紙加工品(同▲59.4%)、自動車・同付属品(同▲4.7%)など、幅広い業種で前月から減
少しており、内容は悪い。
非製造業:幅広い業種で前月から減少
非製造業(船舶・電力を除く)は前月比+0.5%と 2 ヶ月ぶりに増加した。前月の落ち込みを
考慮するとヘッドラインの増加幅は限定的であったことに加え、内訳を見ると幅広い業種が前
月から減少しており、力強さに欠ける内容であった。情報サービス業(同+10.3%)、その他非
製造業(同+5.8%)、リース業(同+30.2%)は前月から増加したものの、運輸業・郵便業(同▲
27.8%)、金融業・保険業(同▲15.8%)、農林漁業(同▲15.4%)、建設業(同▲12.1%)などの業
種は減少した。運輸業・郵便業に関しては、前月に大幅に増加した反動で落ち込んだと見られ、
均せば増加傾向となっている。一方、農林漁業に関しては、2014 年度に入り大きく水準を切り
下げてから依然回復しておらず、建設業については高水準で頭打ちとなっている。
図表 2:需要者別機械受注(季節調整値)
(億円)
(億円)
6,000
18,000
5,500
16,000
5,000
14,000
4,500
12,000
4,000
10,000
10-12月期
見通し
3,500
10-12月期見通し
(外需)
8,000
3,000
6,000
2,500
4,000
10-12月期見通し
(民需(船電除く))
2,000
2,000
09
10
11
12
13
14
製造業
非製造業(船舶、電力を除く)
(注)太線は3ヶ月移動平均線。
(出所)内閣府統計より大和総研作成
09
15
10
11
12
13
14
(年)
(年)
外需
民需(船舶、電力を除く)
3/6
外需:減少傾向が鮮明となる
外需は前月比▲6.0%と 3 ヶ月連続で減少した。4-6 月期に大幅に増加した反動もあり、足下
では減少傾向が鮮明となっている。先行きは欧州、中国経済の減速を主因に不透明感が強まっ
ていることには警戒が必要である。
図表 3:一般機械の輸出と機械受注の外需
(億円)
18,000
図表 4:一般機械の輸出金額(主要国・地域)
(億円)
3,500
中国
16,000
一般機械の輸出
3,000
米国
14,000
2,500
12,000
10,000
2,000
8,000
1,500
6,000
4,000
2,000
機械受注(外需)
ASEAN
1,000
EU
機械受注(外需、3ヶ月移動平均)
500
0
02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
(年)
(注)季節調整は外需は内閣府、一般機械輸出は大和総研。
(出所)内閣府、財務省統計より大和総研作成
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
(年)
(注)季節調整は大和総研。
(出所)財務省統計より大和総研作成
設備投資は 2014 年度後半以降増加傾向に転じる公算
内閣府より公表された 2014 年 10-12 月期見通しでは、民需(船舶・電力を除く)は前期比▲
0.3%と、2 四半期ぶりの減少が見込まれている。
この数値を達成するには、12 月に前月比+6.4%
の増加が必要である。また、10-12 月期が前期比増加となるためには、12 月に前月比+7.3%の
増加を記録する必要がある。
GDP 統計の設備投資は 7-9 月期には前期比減少となり、消費税率引き上げ後の成長のけん引役
として期待されていた設備投資の弱さが内需低迷の一因となった。しかし、設備投資の一致指
標である資本財出荷は持ち直しつつある。先行指標である機械受注も足下では減速感が見られ
るものの均せば上向きの動きとなっていることに加えて、日銀短観などの設備投資計画調査で
も、企業の設備投資に対する積極的な姿勢が示されていることから、2014 年度後半以降、設備
投資は増加傾向に転じるとみている。
4/6
図表 5:機械受注の民需と名目設備投資
(億円)
(年率・兆円)
80
11,000
10,000
10-12月期見通し
75
9,000
70
8,000
65
7,000
60
6,000
5,000
00
01
02
03
04
05
06
民需(船電を除く、1四半期先行)
(注)太線は3ヶ月移動平均線。
(出所)内閣府統計より大和総研作成
07
08
09
10
11
12
13
14
55
15 (年)
名目設備投資(SNAベース、右軸)
5/6
概 況
民需(船舶・電力を除く、季節調整済み前月比)
船舶を除く合計(季節調整値)
(兆円)
3.0
(%)
20
(兆円)
30
受注額:左軸
前月比
15
28
2.5
10
26
2.0
5
24
0
1.5
22
-5
販売額:左軸
20
1.0
-10
18
3ヶ月移動平均前月比
-15
受注残高:右軸
0.5
16
-20
0.0
-25
06
07
08
09
10
11
12
13
14
14
06
15
80
実質設備投資
(GDP):右軸
実質民需(3ヶ月移動平均):左軸
0.9
0.8
0.7
実質民需:左軸
06
07
08
09
10
10
11
12
13
14
15
民需(船舶・電力除く)の達成率と実質設備投資
(年率・兆円)
(兆円)
1.1
0.5
09
(年)
実質機械受注と実質設備投資(季節調整値)
0.6
08
(年)
(出所)内閣府統計より大和総研作成
1.0
07
11
12
13
14
15
(前年比、%)
30
(%)
120
78
115
76
110
74
105
72
100
70
95
68
90
66
85
64
80
62
75
60
70
民需の見通し達成率(半年先行):左軸
20
10
0
-10
実質設備投資
(GDP):右軸
-20
-30
00
02
04
06
08
10
12
14
(年)
(年)
(注)実質民需は、船舶・電力を除くベースで、企業物価指数(日本銀行)の国内資本財によって実質化。
(出所)内閣府、日本銀行統計より大和総研作成
機械受注(季節調整値)と設備判断DI
(兆円)
機械受注(季節調整値)と工作機械受注
(%pt)
1.3
-10
民需(船舶・電力を除く)
:左軸
先行き
↑設備の不足感
1.2
(十億円)
100
(兆円)
1.4
90
-5
1.1
80
1.2
70
1.1
60
1.0
50
0.9
10
40
0.8
15
30
0.7
0
1.0
5
0.9
0.8
0.7
1.3
民需(船舶・電力を除く)
:右軸
20
0.6
20
日銀短観の設備判断DI
右軸、軸反転
↓設備の過剰感
0.5
25
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
10
(年)
0.5
0.4
0
90
14
(注)設備判断DIの段差は、統計の基準変更に伴うもの。
(出所)内閣府、日本銀行、日本工作機械工業会統計より大和総研作成
0.6
工作機械受注(内需):左軸
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14
(年)
6/6
機種別と製造業・非製造業の動向
機種別・大分類の受注額(季節調整値)
機種別・大分類の受注額【内需】(季節調整値)
(兆円)
0.7
(兆円)
1.0
電子・通信機械
0.9
電子・通信機械
0.6
原動機・重電機
0.8
0.5
0.7
0.6
産業機械
原動機・重電機
産業機械
0.4
0.5
0.3
0.4
0.3
工作機械
0.2
0.2
輸送機械
0.1
0.1
輸送機械
工作機械
0.0
06
07
08
09
10
11
12
13
0
14
06
07
08
09
10
11
12
13
14
(年)
(注)3ヶ月移動平均値で、季節調整は大和総研。
(出所)内閣府統計より大和総研作成
(年)
機種別・大分類の受注額【外需】(季節調整値)
機種別・主な中分類の受注額(季節調整値)
(兆円)
0.5
(兆円)
0.6
産業機械
0.5
電子・通信機械
0.4
0.4
輸送機械
電子計算機
0.3
0.3
通信機
0.2
0.2
0.1
0.1
原動機・重電機
建設機械
工作機械
0.0
06
07
半導体製造装置
08
09
10
11
12
13
0.0
14
06
(年)
(注)3ヶ月移動平均値で、季節調整は大和総研。
(出所)内閣府統計より大和総研作成
機械受注と設備投資【製造業】(季節調整値)
07
08
09
10
11
12
13
(年)
機械受注と設備投資【非製造業(船舶・電力除く)】(季節調整値)
(兆円) (兆円)
0.7
7
(兆円)
0.7
機械受注(3ヶ月移動平均、
1四半期先行):左軸
0.6
14
6
(兆円)
11
機械受注(3ヶ月移動平均、
1四半期先行):左軸
0.6
9
5
0.5
8
0.5
0.4
4
0.3
3
7
0.4
0.2
設備投資(法人企業統計、全規模)
:右軸
0.1
90
92
94
96
98
00
02
04
(出所)内閣府、財務省統計より大和総研作成
06
08
10
12
2
1
14 (年)
10
0.3
6
設備投資(法人企業統計、全規模)
:右軸
5
4
3
0.2
90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14
(年)