住宅建設計画法 昭和41年6月30日法 律 第 100 号

平成25年度
補助事業者名
1
住宅市場技術基盤強化推進事業
一般社団法人
成果報告書
就労履歴登録機構
事業概要
1-1 提案の名称
(仮称)大工就労履歴管理システムの構築
1-2 事業テーマ
地域に根ざした木造住宅・建築物等に関する需要の拡大及び資材供給から設計・
施工に至るまでの関連事業者等による総合的な地域住宅生産体制(人材の確保・
育成を含む)の強化に関する方策の検討
1-3 事業内容の概要、具体の取組内容
1.大工の「資格」や「経歴=就労履歴」を管理する「(仮称)大工就労履歴管理システム」のプ
ロトタイプを構築する。
①大工個人に固有のIDを付与し、その「資格」・「職歴」・「社会保険等加入状況」等を登録し
て、大工自身や大工を雇用する企業等が参照できるデータベースを構築する。
②木造住宅の現場で、しかも、日々、働く現場が異なり、あるいは、掛け持ちになったとして
も、大工の就労状況を記録できる、現場監督等が簡単にどこでも取り扱えるシステムを提供する。
具体的には、大工には上記の固有IDをQRコードとして記した就労履歴カードを携帯していた
だき、現場監督は同カード情報を読み取るスマートフォンを携帯していただく。現場監督がスマ
ートフォンを利用して、まずGPS情報から自動的に推測された現場位置情報を確認して、次い
で大工の携帯するカードのQRコードをカメラ機能で認識し、その際の時刻を入・退場時刻とし
て自動記録し、さらにデータベースへ通信機能により自動送信し、データベースが情報処理を行
い就労状況を記録する就労履歴管理を行う仕組みを構築する。スマートフォンを使ったIDカー
ドの読み取り手順のイメージを下図に示す。
2.構築したプロトタイプを用い提案組織の一員である全建総連の協力を得て、関東地域内のさ
まざまな環境で試行対象として適切な木造住宅現場を選出し、そこに従事する大工に使用してい
ただき、実用化に向けた具体的問題点・課題・対応策等の抽出を目的とする実証実験を行う。
実験実施に当たっては、建築大工が保有している資格情報等を自己申告により、システムに入
力していただき、プロトタイプが正しく機能するかを評価する。
図
IDカードの読み取り手順
2
事業の成果(事業によって得られた成果、事業実施の意義等(将来発現が見込まれるものを含む))
「
(仮称)大工就労履歴管理システム」については、10~12 月に大部分の構築を完了し、スマートフ
ォンとデータベース間の通信を含む機能検証を 12 月に実施した。一方、11 月から 12 月初旬にかけて、
協力していただける大工の選定を終え、12 月中旬より大工の個人情報を入力いただき、就労履歴登録
カードを発行した。さらに、12 月中旬より、事業所毎に操作説明を実施し、同カードと、入退場を記
録するためのアプリをインストールしたスマートフォンを配布した。
期間として、1 月 14 日~1 月 30 日を設定し、1 都 3 県の 34 事業所 84 名の大工に対して、就労履歴
登録カードとスマートフォンを利用した入退場登録を行っていただき、クラウド上の「(仮称)大工就
労履歴管理システム」とスマートフォン通信回線を利用した入退場データ登録を実施した。記録デー
タを確認するとともに、実験に参加した大工に対するアンケートにより、本事業の成果を確認した。
「
(仮称)大工就労履歴管理システム」は、大工の日々の就労状況を証明する手段となる。さらに将
来的には、各種資格管理システムとの連携を図ることで、その技能・経歴を公的に証明する手段とも
なり、公平な観点で大工を評価する仕組みとなる。さらに、この評価基準を元に大工の収入を公平に
算定する仕組みを設けられれば、「低収入」という大工減少の原因である長期的な問題の解決につなが
り、良質な木造住宅を今後も生み出す環境を守っていくことが出来るはずである。
大工技能者データベースが構築されることにより、良質な木造住宅供給の基盤である人材の確保・
育成が盤石となる。同時に、需要家などのステークホルダーからの大工の技能や経験の確認も容易と
なり、大工への信頼性向上と品質向上が期待され、木造住宅の需要拡大につながるはずである。
3
今後の取組に向けた点検等
3-1 目標設定、実施内容等の妥当性等の点検と今後の取組
本事業では、まず、プロトタイプとして構築した「(仮称)大工就労履歴管理システム」が、「日々
の就労状況の把握」という所期の目的を果たせたかどうかを、データベースへ登録された入退場デー
タから確認し、それが果たされたことを確認できた。
次いで、実際のユーザーインターフェースなど、使い勝手に関して、主にスマートフォンを操作し
た大工を対象に、アンケートにより確認した。その結果、比較的に情報リテラシーが低いと思われる
大工にとっても、難しいと思われる操作はなく、容易に扱えることが検証された。ただし、さらなる
自動化等を図ることにより、操作が難しい夜間の暗い中での操作が容易になる可能性や、スマートフ
ォン操作に不慣れであると、動作完了の確認に不安が生じる等の予想していない反応にも気付かされ、
一部については本事業期間中に改良を施した。今後、アンケート結果等を精査し、埋もれていたり、
気付いていなかったりする不具合を発見し、改良に努める予定である。
また、アンケートを通じて本システムが雇用側の効率化に役立つことは確認できたが、雇用される
側にとってのメリットについて周知が足りないことや、実感できるメリットも少ないことから、メリ
ットとなる機能をさらに増やす必要があることが明らかとなったので、それらに注力していきたい。
3-2 平成 25 年度以降に必要となる補助金額とその考え方
本事業は単年度事業である
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取組の様子