KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL 巨視的量子現象と散逸(第3回『非平衡系の統計物理』シ ンポジウム(その1),研究会報告) 高木, 伸 物性研究 (1996), 66(1): 115-130 1996-04-20 http://hdl.handle.net/2433/95717 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 「 第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 ( その 1) 「 巨視 的量子 現象 と散逸 」 東 北大 ・理 ・物理 高木 伸 0 .序 量子 力 学 ( QM ;場 の量子論 を含 む) が現在 の病理 学 的静織 の基本枠組 で あ る こ とは万 人 が静 め る所 で あ ろ う。超 ミク ロか ら超 マ ク ロまで、実験 的検 証 の可能性 を遥 か に超 えた気 の遠 くな る よ うな外挿 理 給 が、 この枠組 内で論 じられ てい る。 しか し、 これ を究極 の 土俵 と して受 け入 れ るの はた め らわれ る。 猶 問題 が存在 す るか らで あ る。 r 巨視 的量子 現象 ( MQP-Ma c r o s c o pi cQua nt um Phe ho me na)」 の研 究 は、猫 問題 に 対す る一 つ の アプ ローチ で あ る。猫 問題 は QM と MR . ( Ma c r oRe a l i s m ;巨視 的実在 論 ) の 対 立 で あ り、 この対 立 は、線 形 結 合 状 態 が微 視 的 レグェル か ら巨視 的 レ グェル - と伝 染 す MMM;Mi c r o t o ・ Ma c r oMa g n i ic f a t i o n)に よ り生ず る。 しか し、 MMM は 「 QM が 巨 る ( 視 的 レ グェル に於 いて も妥 当で あ る」 との仮 定 に基 づ く。 この仮 定 を実証 的 に点検 しよ う、 ・ MQP研 究 のプ ログラム と して提唱 され たのが Le g g e t t構想 ( LP;Le g g e t t とい う由 点 か ら、 Ta k a i,Ka g ga n ;以 下 Ⅰと呼 ぶ】に ま とめ k Pr o g r m )で あ る。 そ ?概 要 につ い て は・別 の所 【 a ておい た のでそれ を参照 して頂 きたい。 重複 を避 けるた め、以下で は Ⅰを補 足 す る形 で、 そ の個 々の論 点 につ いて少 し立 ち入 った議 論 を試 る。 ( 同一著者 の筆 に な る異 な る出版 物 が 内 容 的 に殆 ど重 な って い る、 とい う例 が頻 見 され る。 国内研 究会報告 、 国際集 会 プ ロシー デ ィ ua r t e tは ざ らで あ る。皇 だ け増 えて有効情 報 量 は殆 ど増 えず、 ング、 レター、本論 文 とい う q 煩 わ しい。 多少止 む を得 ない点 はあ るに して も好 ま しくない と自戒 をこめて想 う。 で き るだ けS c hmi dt方 式 を採 り、書 き物 の 内容 の直交化 を図 りたい。) 1 .MQP と散逸 :一般 的 な コメ ン ト MQP研 究 を QM の側 に立 って見れ ば、 どの程度 に巨視 的 な レグェル まで量子 力 学 的現 象 の存在 を確 認 し得 るか、 とい う挑 戦 で あ る。 つ ま り、出来 るだ け量子 力 学 的 C ohe r e nc eが e c o he r e nc eの効 果 を極 力 抑 保 たれ るよ うな静態 な韓境 を用意 す る こ とを 目指す. い わ ゆ る d えたい。 そ ?た めに は d e c o he r e nc eの効果 を明確 に同定す る必 要 が あ り、従 って MQP研 究 はd e c o he r e nc e研 究 と切 り離す こ とが出来 ない、 とい う訳 で あ るl oMQPの立場 は、 「 QM の MDSの非存在 を ( 既 定 の事実 とみ な して) QM の枠 内で証 普遍 的妥 当性 を承認 し、かつ QI 明 ( 納 得) しよ う」 とい う伝 統的 立場 ( DCS;De c o he r e nc ea ndCl a s s i c li a z a t i o nSc hool )と 方 向性 を逆 にす るもので あ る と言 え る。 しか し、対象 とす る現 実 の系 お よび物 理 ・数 理 的 考 え ・技術 は両者 に共 通 で あ る。 ちなみ に、散逸 ( す なわ ち、選別 され た少 数 の 巨視 的 自由度 ( "ェ リー ト自由度 ") か ら多数 の微 視 的 自由度 ( "大衆 自由度 ") - のエネ ル ギー (を初 め とす る準保 存 量) の非 可逆 的移行 ) は d e c o he r e nc eの機構 の、重要 で は あ るが、 一 部 で あ -1 1 5- 研究会報告 る。 一般 に De c o he r e nc e-Di s s i pa t i on+De pha s i ng. この DDD公 式は、古来 よ りMR ( ma g ne t i cr e l a xa t i o n)理論において静識 されてい る 【 Bl od; Kubo Tbmi t a;e t c . 】 。 3節 参照。 2.De c o he r e nc e 可干 渉性 )に否 定詞 を付 けた この言葉 が頻 りに使 われ始 めた のは 1 9 8 0年 代 Co he r e nc e ( l l Ma nnと Ha r t l e【 Ge l l Ma nnHar t l e 】の共著論文 以降 と思 われ る ( 最近で 後 半 に現れ た Ge はn o nde c o he r e nc eとい う妙 な青葉 さえ見 かけ る)。 しか し、その基本 的考 え方 自体 は QM の歴 史 と同 じくらい古 くよ り存在す る。 一言で云 えば、 「 MMM に伴 って DDD が 同時進行 す るか ら、 QI MDSは実 際上検 出不可能 」 とい う考 えで あ る。 なお 、QI MDSに限 らず、微 e c o he r e nc e 」を糞 り得 る。 (ここで は 「 環境 」 視 的 に異 な る二状態 間 の干渉 も 「 頻境 に よる d とい う青葉 を、対象 とす る巨視 系 ( 例 えば猫) の多数 の 「 内部 自由度 」 ( 生 と死 を区別す る 以外 の 自由度) を も含 んだ意味 で用 いてい る。) 巨視 的 な場合 には、.それ が不 可避 かつ 致命 的であ る、 とい うのが 「 伝統的立場 」 の趣 旨で あ る。 (これ に続 いて、 「 従 って、 AND は事 真上 ( " ForAl lPr a c t i c l Pur a pos e s ")ORと同 じで あ る」 と論 じられ るこ とが多 い が、 この よ うな議 論 ( " FAPPa rg ume nt ")に よって TAO 問題 が解 消す る訳 で はない。) ただ し、Ce l l Ma n nHa r t l e ,Omne s ,Ya m adaお よびそれ らの先駆者 Gr i 氏t hs ,等 に よっ て研 究 され て い る非 干 渉性歴 史 ( Do ni nt e r f e inghi r s t o r i e s ,de c o he inghi r s t o ie r s ,も しくは c o ns i s t e nthi s t o ie r s ) とい う概念 は、1 9 8 0年代 に入 ってか ら新 しく展 開 され てい る もので あ り、 QM の枠組 自体 に とって重要 な問題 で あ る。 が、以下 の話 は これ とは直接 関係 しない。 3 .刀 -刀+刀:素人 ( 含 筆者) のた めの MR梗概 ( M R理論 につ いて詳 しくは柴 田氏の洋演 を参府。) 衆境 中の ス ピン 1 / 2 (二準位 系) の QM を考 える。 I +>≡"ス ピンの初期状態":- # 日>+I1 >) l x>≡"韓境 の初期 状態" l q l ( 0)>≡"全 系 の初期状態"-l +>l x> ′ ヽ He≡"舞境 のハ ミル トニア ン" ′ l H._e≡"ス ピン と衆境 の相 互作用ハ ミル トニア ン" -1 1 6- 「 第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 ( その 1) ′ ヽ H ≡"全 系 のハ ミル トニ ア ン": -hnS3+Hc +H._i 仲( i )>≡exp( -i ht / A ) L q l ( 0)> これ を t l q>l q-I,U で展 開す る こ とは常 に可能 ; , -義( e i nt / 2IT ,榊 I g( i ) )H ei nt / 2L i ,l 紬 ),) 各 項 の ノル ム Nq ( i )≡ 旧東 . ( i )> " ,L x . ( i )> : -( Nq(i ) ) 1 桁( i )> を導入 す れ ば ' -去写 e 1 g( i ) 恒 I x q ( i ) '・ -iqnt/2N q(i) p ( i ): -1Q ' ( i )>< 中( i ) I W( いけ0)≡" l +>の persistenceprobability" ≡"時刻 0に l +>で あ った と して時刻 tに も I +>で あ る条件 付確 率,つ ま り l +>か ら l +>- の遷移確 率" : -T t( p( i ) l +><+l I =II<+lql ( i )> "2-喜 i l +ReC( i ) ) C( i )≡Coher e nc y≡"†と1.の干渉性 の 目安" : =T r( p( i ) Il><† l ) =e ifl wl ( i ) NT ( i )< xl ( i ) J x† ( i )> 典型 的 な漸近 ( i∼∞)振舞 NT ( i )∼e-i/2Tl, Nl ( i )∼( 1-e -i/Tl ) 1 / 2 ・x"i ) l x"i ),∼e x pt -( 去 -i i n) i ) - 117 - 研究会報告 故に 1 C( i )∼e xpt -( 去・ i a) i ),去 - 面 ・毒 ,白 ≡- n・ これ ら Tl,Ti,6 S tを計井す るこ とが MR理論 の重要課題 で あ る。 (7節 の MQCの場合 には、 上 の よ うに定義 した周 波 数偏 移 6 f lが、通 常、正 とな る。 つ ま り、赤 方偏 移。) Co he r e nc yの de c a ; yt i me ("横 緩 和"時 間) は 、e ne r g ydi s s i pa t i o n ("縦緩 和' ' ) に起 因す る項 ( 1 / 2 Tl)と de pha B i ngに起 因す る項 ( 1 / Ti ・ )とか ら成 る。伝 統 的 に、それ ぞれ 、l i f e t i mee fe c t, s e c ul a r Sl i c ht e r 】 。( 所 謂 mo t i o na lna r r o wi ngに関係 す るの は後 者 の効 果 br oa de n i ngとも呼 ばれ る 【 で あ る。)少 な くとも これ ら基本概 念 につ いて は MR理論 か ら学ぶ所 大 で あ る。 4.巨視 的実在 論 ( MR;Ma c r oRea li s m) Ei ns t e i nは,とあ る散 歩 の折 、猫 の代 わ りに月 を引 き合 い に出 して こ う言 った と伝 え ら れ る。 r 貴方 は本 当にそ う借 じます か、お月 さんは貴方 が凍 てい る ときにのみ存在 す る、 と。」 ( "・ ・ ・ dur i ngo newa lkEi ns t e ns i udde nl ys t o ppe d,t u r ne dt omea n da s k e dwhe t he rIr e ll a y '【 Pa i s 】 ) この会話 は、必 ず しも 「巨 be l i e v e dt ha tt hemoo ne xi s t s0 dywhe nIl oo ka ti t . ' 視 的 レグェル の実在 」 の問題 に限 った こ とで はなかった か も しれ ない が、 M R を代 弁 す る青 Al,A2)を静 め る藤 談 論 的 立場 で あ る 葉 と してふ さわ しい。 MR とは、以下 の二つ の仮 定 ( 【 Le g ge t tGa r g 】 。 MRAl : 巨視 的確 定性 ( Mac r os c o pi cDe i f ni t e ne s s )の仮 定 Sl , S2 ,・ ・・ )が考 え られ る場合 、 巨視 系 の状態 として、互 い に巨視 的可峻別 な複数 の状態 t そ の 巨視 系 は観 測 され て い よ うとい まい とに拘 らず、 常 に 、( β1, β2 ,-・ )の うち のいず れ か 一つ の状 態 に存在す る。 MRA2: 無侵 蕪 可測性 ( NonⅠ nv a s i v eMe a s ur a bi l i t y)の仮 定 巨視 系 の状態 は、常 に、原 理 的 に無 限小 の じょ う乱 で確 定 され得 る、即 ち、状態 を確 定 す べ く行 われ る測定過程 が 巨視 系 のその後 の振舞 に及 ぼす影 響 は原理 的 にい く らで も小 さ く され得 る。【 c f : S hi no mot o I QM は一般 に Al,A2のいずれ を も静 めない。 差 し当 りの議 論 にお い て必 要 な の は Al のみで あ る。 `( あ とで、 LG 不等 式 と実験 を対比す る際 に A2 【 お よび A3 : I nduc t i o n (しか し、 sQM に限 らず 常 に必 要】も必 要 とな る) で ある。 「 観 測 され れ ばいず れ か の状 これ は MRv 態 に見 出 され る」 とい うの は経 験 事 実 (も しくは 「 観測」の定義 ?)で あって 、QM もこれ を 認 め る。 これ に対 しAlの主張 の要 点 は、 「 観 測 され よ うとされ まい と」 とい う部 分 に あ る。 5 .LP LPの最 終 目標 は、 その捷 唱者 の青葉 を引用すれ ば、以下 の通 りで あ る。 - 11 8- 「 第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 ( その 1) " Att hemac r oS C O pi cl e v e ldo由Na t ur ebe l i e v ei nqua nt umme c ha ni c s ,l nr e a l i s mO ri n ne i t he r ? M ( Me nt i o ne daB "t hebi g ge s tque s t i o no fa l1 ' 'a tt hee ndo ft hel e c t ur el Le g ge t t ,Le a Ho uc h e S 】 ) 勿論 QM の破 綻 の兆候 がす でに どこか に見 られ る釈 ではないカ㍉ 「 MR と対 比 した とき の QM の奇妙 さ」 が QM の破 れ の探 索 を も射程 にいれ た このプ ログラムの動機 とな って い る。 (と同時 に、宇 宙 にお け る微 々た る存在 としての人類 が、理論 の細部 は別 と して既 に究 極 の枠組 み に到達 した 、 .と考 えるのは些 か倣慢 に過 ぎないか、 とい う心情 的異存 もあ ろ うか r yt oCr e a t e と筆者 は想 うが、以下 は一応 それ とは別の次元の議論 であ る。)標静 と して は T La bo r a t o r yCo us i nso ft heSCa tl c f :Le g g e t t ,Ka ga ku] . 6.MQP 言葉遣 い につ いて一言 注意 してお きたい。 1 97 0年 代以前 には巨視 的量子 現象 とい う言 葉 は超流動 ・超伝 導 の代名詞 と して使 われ ていた。 コップ内の液体- リウムが コ ップの壁 を よ じ登 ってす るす る と流れ 出 る、 とい った現象 は疑 い もな く巨視 的で あ り、 かつ QMに よっ てのみ説 明可能 であ る。 しか し、 これ らは 1もしくは 2粒 子 の レグェル での干 渉効果 が、多 数の粒 子 が歩調 を揃 えて振 る舞 う ( Bo s e Ei ns t e i n凝縮)ことに よ り、巨視 的なスケール に拡 MDSの関与 はな く、本稿 のMQP ( M 大 され た結果 と して生ず る現象で あ る。 そ こには QI 第-種 巨視 的量子 現象」、本稿 の MQPを 「 第 QCや MQT)とは本質的に異 な る。前者 を 「 二種 巨視 的量子 現象」、 と称す るこ ともあ る。 MQT につ いて は Ⅰで も述べた ( そ こで触れ た J os e phs o n接 合 系 の実験 は Cl a r k eらに Cl rk a ee ta l] ) ので、以下、MQCについて考 える。 よる t 7・MQC( M礼 c r os c o pi cQua nt um Co he r e nc e ) SQUI D頻 を貫 く磁束中や微小磁性体の磁化 〟 に対 しては、縮 退 した二重井戸型 ( DDWde g e ne r a t edo ubl ewe l l )ポテ ンシ ャル で表 され る状 況 を現 実 に しっ らえ る こ とが可能 で あ る。 縮 退 した二つ の ( 近似 的) 基底 状態 を 仕 >と し、対象 とす る巨視 的 自由度 ( 中や J u) を記述 す る Hi l be r t空 間 を L 土 >で張 られ る二次元空間 に制 限 ( t r unc a t e )して考 えた とすれ ば、問題 は前節 と同型 とな る。廿>と ト >の間の振動 の検 出可能条件 は ( i ) h由>T ≡温度 ( 7. 1 ) ( i i ) aT2 之 1. ( 7 . 2 ) 条件 ( i )が破 れ て も、MQC の痕 跡 が観 察 で き る可能 はあ るが、純粋 に量子 力 学 的 な r e g i meを達成す べ くその成 立が望 ま しい。 後 で述 べ る CLS ( Ca l d e i r a Le g g e t ts c he me )が成 立す るな らば、 -1 1 9- 研究会報告 7 ≡( 由T, ) -1と 叩 / 2 7 7≡"量子 ま さつ の強 さ" o wn運動 をす る) と見 な され 得 る状 ≡り巨視 的 自由度 が古典 的 に振 る舞 う ( 古典 的 な Br 況 にお い て そ の運動 の記述 に現れ るま さつ係 数 を7 7 C 。mvとす る とき、 7 7 C 。mvが 、 同 自由度 の量子 論 的運 動 に及 ぼす 効果 を表す 無次 元量" QUI D の場 合 、 具体 的 に S 抗" 7 1≡" SQUI D を所 謂 RSJ( -r e s i s t i v e l ys hunt e dj unc t i on)模 型 で記 述 した ときの電気 抵 ′ ¢o≡磁 束 量子 : -響 1 I qc 。ny = / 花 q: - 盈qc.nv- 主著 ,7 aH ≡2 qh / e 2 巴2 . 5×1 0 40l m 今 の所 MQC は実証 され ていないが、 兄 . -1 0 9o hm を達成 す る技術 も存在 す る よ うなの i i )に関 して は希 望 は充分 に あ る。 む しろ条件 ( i )の方 が 困難 を もた らす か も知れ で、条件 ( ない ; T/ h- 1. 3x1 0 5( T/ l l L K) S e C -1. つ ま り、MHz軽度 の振動 を検 出せ ねばな らない。 なお、微 小磁性 体 にお け る MQC の 可能性 につ いて は、小林 ・羽 田野 ・鈴木 氏のポスター 【 Koba ya s hi Hat noI a Suz uki )を参 府 され たい。 8.QM 対 MR 猫 状態 の確 静 」 と結 論 づ け るの は速 断 に MQC振 動 が検 出 され た と して も、直 ちに、 「 す ぎ る。 MQC は、 「 QM に よれ ば猫状 態 に よって記述 され る」 とい う意 味 で猫 状 態 と両 立 す るが、MR とも両 立す るか も知れ ぬ。 つ ま り、実験結 果 が、 「 QM とは両 立す るけれ ども MR とは両 立 しない」 とい う事 が言 えて初 めて猫 状態 の存在 が立証 され た こ とに な る。 (こ こで は、 一応 、 QM の対抗馬 と して は MR 以外 にない もの と仮 定。) そ の よ うな結 論 を下 し 得 るた めの定量 的 c r i t e r i onが必 要 で あ る。 l lの定理 は、 「 QM とは両立す るが LR とは両立 しない ( LR;Loc a l Re a l i s m,局 有名 な Be 所 的実在 論 ) . 」現象 の存在 を指柵 した もので あ り、その よ うな現象 ( EPR【 Ei ns t e i nPodol s ky- RDS e n】 ′ 相 関)の存在 が実証 され た ことは周知 の事実であ る。そ こで、Be l lの故事 に習 い、QM vsMR とい う対 立 に黒 白を決す べ き不等 式 が提案 され た。 それ が次 に述 べ る LG 不等 式 で LR と同 じく、 MR と言 って も何 か具体 的 な理論 を念頭 に置 い て い る訳 で は ない。 4 あ る。 ( ー1 2 0- 「 第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シ ンポジウム 」( そ の1 ) 節 の Al ,A2を満 たす理論 な ら何 で もよい。 その よ うな一類 の理論全体 をひ とま とめに して QM (も しくは実験) と定量的に付 き合 わせ よ うとい う試 み で あ る。) " Thus ,i ft heMQqe xpe r i me ntc a nbedo neunde ra ppr o pr i a t e l ys t r i ng e ntc o ndi t i o ns , wes ha l li ne Ge c tbea bl et of or c enat ur ei oc ho os eb e t we e nq uant um me c hani c sandmac r oLe g g e t t ,Le sHo ude sp5 0 3 1 r e αJ i J 。'【 , )i r r e s pe c t i v eo f " ( Expe r i me nt l vi a o l a t i o no fLG i ne qua li t ywoul da l l o w ust ov e r if y t a nc e s t he丘・ a me wor ki nwhi c ht hee xpe r i me nt sa r ei nt e r pr e t e d,t ha tunde rc e r t a i nc i r c ums am礼 c r os c o pi cobj e c tne e dnotbei nad e 丘ni t em礼 c r os c o pi cs t at e "【 Le g g e t tI SQM 8 6p291 1 e f t 】 LG 不等 式 を考案 す る動機 : " I si tpos s i bl et oc o nf r ontt hehypot he s i so fMRdi r e c t l ywi t ht hee xpe r i me nt l da a t a, wi t ho utt hei nt e r v e nt i o no faQM' li nt e r pr e t a t i o no ft hel a t t e r ?I not he rwor ds ,i si t pos s i bl et ode vi s ea ne xpe r i me ntwhi c hi fc o me so uta cc o r di ngt ot hepr e di c t i onso fQM, mus tuna m bi guo us l yr e f ut et heh ypot he s i so fMR?( Thi si s )wha tBe l ldi df ort hel oc l a r e li a s m.l Le g g e t tLe c t ur ep2 25 -2 2 6 ] つ ま り、LG 不等式 は、QM と無関係 に 「 MR対実験」 に使 え る。 しか し、現 実 に興 味 MR対 実験対 QM」で ある。 この付 き合 わせ を、 QM と MRが矛盾 す る ( つ の あ るの は、 「 ま り、 QM の 予言 が LG 不等式 を破 る) よ うな状況 で行 うこ とで あ る。 これ が QM 対 MR とい う標題 の ゆ えんで あ り、 この事情 は Be l l不等式 の場合 と共通 で あ る。 " ( The s e( MQC)e xpe r i me nt sc a na l s obeus e dt oe xpl o r et hel i 血t so fQM・ )I nde e d, f r om mypoi nto fvi e w,i ti ss o me wha tde pr e s s i ngt ha ts of re a xpe ime r ntha sgi v e nnO gge t t, I SQM 86p2 9 7r i g ht 】 i ndi c a t i o nt ha tt hel i mi t sa r ebe i nga ppr oa de d・ "【 Le もち ろん、 「 QM の破 れ 」 を実証す るのは並大抵 の ことではない。 " Ev e ni fLG i ss a t i s ie f de xpe i me nt ll a ywhe nQM pr e di c t so t he r wi s e ,t he r ea lwa ys r e ma insapos s i bi l i t yt ha tt heQMt he o r yo v e r l oo k e dapo s s i bl eme c ha ni s mo fde c o he r e nc e, whi c hwo ul dma k eQMt he o r e t i c l pr a e d i c t i o nc o mpa t i bl ewi t ht heLGi ne q ua li t y. " 大それ た 主張 をす るに は細 心 の注意 が要求 され る。 同様 の コメ ン トは QM 対 LR の場 合 につ いて も当て はま るが、MR の対象 は LR のそれ に比べて遥 か に複 雑 で あ り、 それ 故、 非 常 な困難 が予想 され る こ とは云 うまで もない。 9.Le g ge t t Ga r g不等式 着 目す る巨視 系 の状態 と して、 巨視 的可峻別 な二つ の状態 S士が考 え られ る とす る。 か つ 、 この系 の状態 を表す 巨視 変数 Rが存在 し、状態 S土は、それ ぞれ 、Rの借 土1に対応す る もの とす る。 以 下、本節 で は MRが成 立す る と仮 定す る。 MRAlに よ り V t, " R( i )-+lor-1 〝 -1 21- 研究会報告 以下 、価 単のた め、 あ る 4個 の時点 t 4> t 3> t 2> t lのみ を考 え るこ とにす れ ば V j∈( 4, 3 , 2 , 1 )," R( t j )=+ lor-1. " 従 って、 以下の性 質 を持 つ j oi ntpr oba bi l i t yγ が存在す る筈 で あ る。 P≡ア( q4 t 4l q3 t 3l q2 t 2l ql i l ) = -" R( i , . )-qj,3 '-1 , 2, 3, 4,な る確 率" ( た だ し、∀ 3 '," qj=+l o t-1") ア≧0 ∑ ア- 1 qlq)q8q4 これ に基 き、 Rの時 間相 関函数 を定義す る こ とが出来 る。 即 ち 4≧j>i≧1な る任 意 i , i )に対 し、 の対 ( cj`: - ∑ U , ・ q i ア・ q l q 2 q 8 q 4 これ は以 下 の不等 式 を満 たす ( 複 号 同順 ) : l C3 2土 C3 l l〒C21 ≦ 1 C3 2土 C2 l I〒C 31 ≦1 1 21≦l K: 1≡l C3 2-C3 l I +C +C21+C31)≦1 K: 2三 一( C32 【 Le g ge t t Ga r g( 2 a) 】 l C3 2+c空ll +l C4 3-C4 1 1≦2 l Le gg e t t Ga rg( 2 b) ] -1≦に3≡去( C4 3・C3 2・C2 1-C4 1 )≦1 【 Le gg et , Le s Houc h e s 】 t 証 明:( 本 質 的 に Be l lお よび Cl a us e r Home S hi monyHol t不等 式 の証 明 と同 じ) q " )J, q' , , q) ・ ( i-1-4 )はすべ て bi na r y変数 (土1 )とすれ ば ( 手順 1 l qq〝+q' q"l-t qq' ' ( 1+qq' ) L-1+qq' ● -iq2,q〝 -U,,と置 けば ( 1. 1) q- ql,q' 1土 ql q2-1 ql q3土 C2 q31 - 122 - 「 第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 ( その 1) 故に q l +q3qlj=q3q2≧0 1土 q2 1士q2 ql-( q3 ql土 q3 q2 )≧0 ( 1・ 2) q-ql ,q'-q3,q"-q2と置 けば I ql q2+q3 q21-1+ql q3 q-ql ,q'--q3, q''-q4と置 けば I ql q4-q3 q41-1-ql q3 故に I q2 ql+q3 q2I +L q4 63⊥q4 ql l-2 12≦q2 ql+q3 q2土 ( q4 q3-q4 ql )≦2 ( 手順 2) ( 2・ 1 ) 2 1 + 1土 C 2 - 1土 C 3 C 3 ∑ iq2 ql +q3qlj= 3q2)P > _ 0・ (l q q4q3q2ql 上の不等式 は ( 1. 1) の第 2式 を使 って導 いた。 同様 に ( 1. 1)の最後 の式 を用 い て 1土 C21-( C31士C32)≧0 故 に第 1不等式 qed。 また 2と 3を入れ替 えて第 2不等式 qedo ( 2. 2)上 の ( 2. 1)の第 1の式 で+符 号 を・ とれ ば第 4不等式 qed。 ( 2. 3) (1. 2)の最後 の式 よ り -2≦C21 +C32土 (C43- C41)≦2 故に +C3 2+l C4 3-C4 11≦2 ≦C21+C32ll C4 3-ca ll (92 1 故に 士( C21+C32)+l C4 3-C411≦2 故 に第 5不等 式 q 9d。 ( 2 ・ 4 ) L C4 3+C32+C21- C4 11≦l C3 2+C2 l l +l C43- C4lI - 12 3- 研究会報告 故 に最 終 不等 式 q ed。 定理 :( Ma xi ma l vi ol at i ono fLGi ne qua li t i e sa te qua ll ys pac e dt i me s ) 相 関函数 qi が定 常かつ 下に凸 とす る。 つ ま り C3 . i-C( i ) I -t i ) , C' ' ( i )>0 A : 2 な る函数 Cが存在す る とす る. この場合、i 3と t lを固定すれ ば、t 3lt 2-t 2-t lの とき、 は最 大 とな る。 同 じく、 C' L ( i )<0とす る と、t4と ilを固定すれ ば t4,t 3, t 2, t lが等 間隔 の は最 大 とな る。 (この定理 は以下で有用 とな る。) とき K : 3 証 明: ・ T ≡i3 - i l,X ≡( t 2- t l ) / T, と置 けば K : 2 --I(1-I)-I(x)-C(T),0_ <3≦1・ 故に d X : 2 / d x- -f ' ( I)+f' ( 1-I) 仮 定 に よ りf 〝 ( x)>0, つ ま り f' ( I)は単調増大。故 に 仏 は 3-1-3にて最大 q edo 9 . 1実測 で き る相 関函数 実験 的 に決 定 で きるの は以下 の諸量で あ る。 ア( qt . ・ )≡ " R( t i )-qな る確 率" W( q' t ) . l qt i )≡ " R( t i )-Jであった場合 に、R( i ) ・ )=q'とな る条件付確 率、つ ま りS.か ら Sq, 人 の遷移確 率' ' これ らを用 いて 環 p: =∑q' qw( q' t , . L qt i ) ア( qt i ) q l q qi と比べ るには、 MRA2を援 用す る。 MAR2に言 う NI M が実 現 され た と すれ ば、巨視 系 の ア ンサ ンブルの統計的性質 ( つま りt P) )は測定 に よって影 響 を受 けない これ を MR の か ら, W( q' i3l qt 2 ) P( qt 2 )-∑ p( q4 t 4l q' l 3 1 qt 2l ql t l ) ,e t C・ q 4 q l ( 注: QM において は、この よ うな式 は勿論不成立。そ もそ も j oi ntpr oba bi l i t yγが "合理的 に" m pl i t udeの和則 、pr oba bi l i t yの和則、 お よび確 率 の規格化 がす べ て c ons i s t e nt ( つ ま り、 a -1 2 4- 「 第 3回 『 非平衡系 の統計物理』 シンポジウム」 ( その 1 ) にな るよ うに)定義 で き るか ど うか、 とい うこ とか ら考 え直 さね ばな らない。)従 って、MR が正 しい とすれ ば C ) ! t T P-C) ・ i・ 9. 2QM の相 関函数 一方 、 QM にお い て は、β土が D D Wの極 小 に対応 す る とす れ ば、+と-の対 称 性 か ら q+(1IP+( t j-t i ) ) 6 q J -q w QM( q' t , ・ l qt i )-P+( i j-i . I ) 6U , 故に c , r : - ∑ q' qw ?"( q' t , ・ I qt i ) P( ql ・ ) ql q .-∑ 【 p'( i , A -i . ・ )-( 1-P'( i , ・ -i . A ) ) ] 7 ' ( qt . ・ ) ○ ' [ ]内 はUに依 らない。 かつ定義 に よ り ∑ ア( qt , ・ )- 1 ・ q 故に c 男M -2 P'( i , 1 -t i )-1-ReC( i , ・ -t i ) ・ C (この Cは 3節 で定義 した C ohe r e nc yで あ るo) QM が正 しけれ ば、 これ が , ? . y Pと一致す る 筈 で あ る。 【 ただ し、 "時刻 t i にお いて 当該 の 巨視 系 を状態 S qに見 出す"た めの測 定 が、系 の i> t i に於 る時 間発 展 ( た だ し時刻 り こ状 態 Sqに あった とい う初 期 条 件 で の時 間発 展 ) に 影 響 を及 ぼ さない、 とい う条件 を満 たす実験 でな けれ ばな らない。 この条 件 は、初 期 状態 が S_Uの場 合 の i>り こ於 る時 間発 展 に関 して は何 も要請 しない、つ ま り、後 者 がが 当核 の測 定 に よって乱 され る こ とは許 容す る、 とい うこ とに注意 してお こ う。つ ま り、MRA2とは全 く異 な る条件 で あ る。】 ( 注: 厳 密 に言 うと、以上 9 . 1 ,9. 2にお い て、MR,QM いずれ にお い て も、I nduc t i on l Hypot he s i 8を用 い てい る。) ここで 2節 の結果 を使 えば C , r -C( t j-t i ) , C( i )≡e-t / Tc o s 白t 2 【 α<<1l i mi to fLe g ge t t , Le s Ho uc he( 6. 26) ;氏-△e f r ] 少 な く とも 汀/ 2<由t<3 q/ 2 -1 2 5- 研究会報告 で あれ ば C〝 ( i )>0。 故 に上述 の定理 が使 える。 そ こで、以下、t31t2-i2-t 1-0/ aと 白T2 ) -1と置 けば し、γ≡( x2 QM≡-C3 Q 2 M-C2 Q I M-C3 Q I M =-2 e -7 c c o s O-el27 c c 0 8 2 0 , 7 r / 2<e<3 汀/ 2. も し兼境 に よる d e c o he r e nc eが無視 で きる ( 7-0)な ら、 噂 " --2 ( c o s e・去) 2・ 芸 ( A : 2 QM) ma x-( K: 2 QM) o=2 T/ 3-3 / 2・ これ は LG 第 4不等 式 と矛盾す る。 従 って QM 対 MR に黒 白が付 け られ る。 これ に対 し、 de c o he r e nc eの効果 が大 ( 7>>1 )で あ る と、I K : QMlくく 1とな って しまいこ もはや QM と MR は LG不等式 に関 しては矛盾 しない。 どの程度 のTまで K : QMが LG不等 式 を破 るか、お よその見積 りをすべ く、♂-2 可3と採 れ ば ( o pt i ma lなβの正確値 はTに依存す るが、以 下 の 結果 か らして、 この7-依存性 は余 り重要でない) に2㌔ 2 号 Z 2 ,Z2≡ e l 2TT/3 従 って K: PM>1⇔ Z2 > J5-1-0 . 7 3 2 01・・ ⇔ 7 <0. 1 4 8 9- ⇔ 7 7<0 . 0 9 4 8 0- ただ し、最後 に CLSにお け る結果 ( " αく く ll i mi t " ) ,7-7 T T l / 2,を用 いた.l c f :αの高次 を Le g g e t tGa r g● p8 5 8 】叩 く 0 . l l . 】 考慮す る と (?) 【 Le g g e t t Ga r gの原論文 は上の K : 2を議論 したのであるが、実 は、A : 1 の不等式 の方 が役 に 立つ。 それ を見 るには、上 と同 じ記法 を用 いて K: PM-l e -Te c os O-e -2 T e c o s 2 0J +e -7c c os O =2e-7cc。sO_e-27cc。S20. ただ し、c o s e>0>cos 2etな るOを考 えたO これ は KPMと第 1項 の符 号 が異 な るだ けで あ るか ら、 O-7 T / 3と採れ ば KP"-zl+去Z1 2 ,z l ≡ e-qT / 3 ー 12 6 - 「 第 3回 『 非平衡系の統計物理』 シンポジウム」 ( その 1) 従 って K: PM > 1 ⇔ zl> J5-1 ⇔ 7<0. 2 97 8・・・⇔ 1 1<0 . 1 8 9 6・・・ これ は K : 2 の不等 式 を用 いた場合 に比べて因子 2だ け緩や かな条件 で あ る。 K: 3に関 して も同様 の議 論 が出来 る。4個 の時点 を等 間隔 に採 り、以上 と同 じ記法 を用 い れば lK2" - (- ecsO 芸 も し7-0な ら 3e T - e1 o 37 c c 0 830 1 ・ K: 3 QM--2( c o S e) 3+3 c os e, ( K : 3 QM) ma x-( A : PM) o =汀/4 -滴・ そ こで7≠0の場合 に もO-q/ 4と採 ってみれ ば K3Q" - 義 (3Z3・Z 3 )IZ3≡eT T/4 従 って K: PM > 1 ⇔ Z>0. 7 8 2 8⇔ 7 <0. 31 1 6・・・⇔ 7 1<0 . 1 9 8 4- つ ま り、7 7 に関す る条件 は、僅 かで はあ るが、 さらに緩や か とな る。 ( 注:上 の計算 にお いて , C32 C21,C43 >0,C41 < 0で あ る。 従 って、第 6不等 式 の代 わ りに第 5不等 式 を用 いて も結果 は同 じで あ る。 な るべ く大 きなTまで許容す るには、βはな るべ く小 さい方 が よい か ら e巴q/ 4が o pt i ma l で あ る。) よ り定 量的 な評価 をす るには、 「 LG不等式の破れ の"判定余裕度 My」 とい う概 念 を導入 す る とよか ろ う。 つ ま り、 K: QM = 1+Y と予言 され る とき、破 れ が 「 余裕 度 y」をもって判 定可能 、 と呼ぶ こ とにす る。 この等式 を 満 たす7 7 の借 を7 7 Yとすれ ば、 「 Y以上 の余裕度 を もって破れ が判定可能」 とな るた めの条件 は K: QM >1+YIo re q ui v a l e nt l y 叩 く qy ・ ( ここで K :vs7 7 の グラフがあ る とよい。 各小こつ いて o pt i ma lなCを求 め、A:を7 1 で表 す。) . 1は技術 的 に達成 可能 の よ うで あ る。 とすれ ば、多 分 、最 も 既 に述 べ た よ うに、7 1-0 好都合 なの は K : 1で あろ う。採 るべ き時点が 3個 で済み 、カナつ小こ対す る条件 も比較 的緩 や : 3の場合 には、4個 の時点が必要 で あ る。 かだか らで あ る。 これ に対 し、K - 12 7 - 研 究会報告 1 0.Ca l de i r a Le g ge t tスキー ム も しくは MQPの非存在 を示 した)」と結論 し得 るた めに 「 実験結果 が MQPを検 出 した ( は、QMに基づ く理絵 との定量的比較 が求め らるが、その際、理論 の予言 が APF( a d j us t a bl e - pa r me a t e r f r e e )であ ることが望ま しい.特 に トンネル確率の よ うに指数 函数 的 にパ ラメー タ に依 存す る量 を扱 う際 には、望 ま しい とい うよ りは絶対的 に必 要 と言 うべ きか も しれ ない。 その よ うな APF予言 は、微視 的で少数 自由度 の系 につ いて は可能 と して も、 巨視 系 の場合 には、パ ラメー タの数 が多過 ぎて一見絶望的 と思 われ る。 Ca l de i r a Le gg e t t理論 の要点 は、 「あ る緩や かな条件 を満 たす 巨視 系 に関 して は、 ( 意外 に も) APF予亨 が可能 で ある」 とい う主張 にあ る。 具体 的 には、 トンネル 率r が r-r(h,7 7 ) の形 に書 かれ る とい うこ とで あ る。 ここに 7 7 は前述 の 「 豊子 ま さつ の強度」 で あ り、 h≡"当核 の 巨視 的 自由度 に特有 の作用量で無次元化 したプ ランク定数" で あ る。上述 の 「 多数 のパ ラメー タ」はすべて hと1 1 の 中にま とめて押 し込 まれ てい る。 1 1 .D (- Di s c o nne c t i vi t y) 巨視 的可峻別 とは如何 な る意味 か ? 二つ の状態 の 「 巨視 的峻別 可能性 」の度合 いの 目 安 として擾案 され てい るのが、 Dで あ る。 これ は正準変換 に関 して不変 で ないが、そ の定義 には、"民 主的 自由度" ( 粒 子 の入れ替 えに関す る対称性 を尊重 した 自由度) を用 い るのが妥 当で あ ろ う。 紙 数 (とい うよ りは力) が尽 きた ので、 1 0及 び 1 1節 に関す る詳 細 は別 の機 会 に論 じ たい。 1 2.結 以上、長 々 と Le g g e t t構想 を筆者 の理解す る範 囲で紹介 し、若干 の考察 を述 べ た。 その 動機 は、い わゆ る戦後 50年 とい う節 目が筆者 自身 の人生 とほぼ重 な るこの機 会 に、 自身 の ささや かな研 究 の位 置付 け を 自分 な りにま とめてお きた か った、 とい う私 的 な事項 、及び 、 この構想 は来世紀 の物 理 を弄 く重要な柱 にな るで あろ うと筆者 には思われ る とい うこ と、に あ る。 ( 妄想 :宇 宙 の間唐 か ら脳 や 心の問題 まで、 この構想 と切 り離 して論ず る こ とは不 可 能 とな るので は あ るまい か、いや 、む しろ、 この構想 が実現 され て初 めてそ の よ うな高蓮 Fe l i xKl e i n( 1 8 9 41 9 2 5)が 1 87 2年 に な議 論 も現 実的 な もの とな り得 るので はなかろ うか。 r Er l a ng e n大草教授就任 の際に提 出 した 目録 ( Pr o g r a mm)は幾何学 の綜合 に画期 的卓 見 を示 -1 2 8- 「 第 3回 『 非平衡系 の統計物理』 シンポジウム」 ( その 1) し、永 く指導 的役割 を演 じた」 ( 岩波数学辞典増訂版 、岩 波書 店 ( 1 9 6 6) 、p. 8 0)との こ とで あ e i nの Er l a ng e rPr o g r a mm( Er l a ng e nPr o g r a m) 」 で あ る。 Le g ge t tPr o gr a m る。 有名 な Kl はまだ緒 につ い たばか りで あるが、来世紀 中葉 にな って振 り返 ってみれ ば、今世紀 の数学 に e i nPr o g r a m に匹敵す る役割 を物理学 において演 じた と評価 され るので はないか、 お け る Kl I 2: 1 5 2 3: 0 0,NHK 第- で 「戦 と筆者 は予想 してい る。) この シンポジ ウムの直前、 3月 4 日 2 後 5 0年特集 人物往 来 湯川 秀樹 」 とい う、佐 藤 文隆 ・湯川 ス ミ両氏の散話 を衰 えた番 組 外 が あった。 「 外 国の真似 は駄 目、独創 的 に考 えよ」 とい う湯川 さん の生め声 が聞 こえた。 「 他 の研 究者」 と置 き換 えれ ば普遍 的 に妥 当な言葉 で あ り、上記 の筆者 の 国 」 とい う青葉 を 「 話 な どは独創 性 のか け らもない と叱斉 され る事必定で あ る。 しか し湯川 さん も一方 で は 「 二 十世紀 に入 って か ら急速 に進歩 した学問 - の上 げ潮 の 中で、 自分 の好 きな こ とを 自分 の好 きな流儀 でや って来た - 明 日進 むべ き道 を さが し出す た めに、時 々、昨 日まで歩 いて きた Yuk a wa 】とも仰 有 ってい る。潮 の流れ 自 あ とを、ふ り返 って見 るこ とも必要なので あ る。」【 5年 間の M Q P研 究 の潮 体 を創 り出す こ とは到底 凡人 のな し得 る ところで はないが、 この 1 流 を振 り返 ってみたヾ とい うこ とに何 らかの意義 があれ ば幸いで あ る。 REFER且NCES ,Phys i c s1,1 9 5 ( 1 9 6 4) Be l l , J・ S・ N. Cl e l n d, M. a H. De v o r e t ,D. Es t e v ea ndI. M. Ma r t i ni s :Sc i e nc e2 3 9, Cl rk a e, I" A. 9 9 2( 1 9 88) 1 Cl a us e r , J・ F・ ,M・ A・ Ho me,A・ Shi mo n ya ndR・ A・ Ho l t ,Phys ・ Re v. Le t t . 2 3, 8 8 0( 1 9 6 9) Ge l l Ma nn, M. a ndI. B. Ha r t l e , i nCo mpl e xi t y , Ent r o pya ndt hePhys i c so fI nf or ma t i o n, Pr oc e e di ngs0 ft he1 9 8 8Sa nt aFeI ns t i t ut eWo r ks ho p,Addi s onWe s l e y( 1 9 90) , p. 42 5. Gr if it hs , R・ B"J・ St a t ・ Phys ・3 6, 21 9( 1 9 8 4) Ko ba ya s hi , R. ,N. Ha t noa a n dM. Suz uki ,本研 究会 での発表o Le g g e t t , A. ∫. , Le sHouc he sLe c t ur e si nCha nc ea ndMa t t e r , e d. J. Soul e t i ee ta . 1 , EI s e vi e r Sc i e nc ePubl i s he r s ( 1 9 8 7 ) ,p・ 3 9 5. Le g ge t t , A・ J・ ,Ka ga ku ( 岩波科学) 5 4,No・ 1 1 ,6 9 3;No・ 1 2,7 61( 1 98 4) Le gg e t t , A. J. ,I SQM 8 6:Pr oc . 2 ndt nt .Symp. Q. M. ,e d. IM. Na mi kie ta l,Ph ys . Soc . J a pa n ( 1 98 7) ,p・ 2 87 Le g ge t t , A. J. , I SQM 9 2: Pr oc . 4 t hl nt /Symp. Q. M. ,e d.M. Ts uk a dae t叫 J JAPSe ie r s 9 ( 1 9 93 ) ,p. 1 0 gg e t t , A・ J・a ndA・ Ga r g:Phys ・ Re v・ Le t t . ,5 4, 8 5 7 ( 1 9 8 5) Le ,RBV・ Mod・ Phys .6 4, 3 3 9 ( 1 9 9 2) Omne s , R・ Pa ls , A・ ,Re v・ Mod. Phys ・ , 51 , 8 6 3 ( 1 97 9 ) ,p. 9 07 Shi nomot o, S・ ,脳 のデ ザイ ン 0 t he di t i o n( 1 9 9 5)( t obepubl i s he d) ; 「無侵 襲」 な る 青葉 は この本 よ り借 用。 -1 2 9- 研 究会報告 S l i c h t e r , P. ,Pr inc i pl e so fMa g ne t i cRe s o na nc e ,Ha r pe r ( 1 9 6 3 ) ,Se e . 5. 7. 岩 波科学) 8( o r9)月号 ( 1 9 9 5) ,i npr e s S ・ Ta k a i, g S. ,Ka g a m ( l N. ,PhD Th e s i s ,Tohok n Uni v.( 1 9 9 2 )r e pr int e di nSc i e nc eRe po r t so ft he Ya ma da, ho k uUn i v e r s i t yS e r 8 ,1 2,p・ 1 7 7 2 9 2;Pr o g・ The o r ・ Ph ys ・8 5,9 8 5 ( 1 9 9 I ) To Yt i nwa, k H・ ,旅人,角川文庫 ( 1 9 6 0 ) ,p. 5 6. - 1 30-
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