4章�導体 / 誘電体
�
conductor /�dielectric �
(1)導体と誘電体の違いを理解する。
(2)コンデンサーとは何かを理解する。�
��導体�
導体・・・金属や電解質溶液のように電気をよく通す物質のこ
と。電子が自由に動く。�
導体内部は電気的につり合っている
ので、導体内の電場は、� E = 0
導体�
+
1
+
€
€
+ E =0
1
−+ +
+
+
€
€€ €
€
E2
導体面のすぐ外側では、導体の
表面電荷密度をσ[C/m2]とすると、
ガウスの法則から�
€
ε 0 E2 ds = σ ds
となる。従って、外部の電場は�
σ
E2 =
ε0
€
静電誘導�
導体に帯電体(たとえば+に帯電した物質)を近づける
と、電子やイオンが動き、片側の表面が+に、他の表面
が−に帯電する。�
導体�
+
+
€
€
€
+
−
−
−
帯電体�
+
導体内部の電場はゼロ。�
€
電気容量(キャパシター)�
導体間の電位差を1V上昇させるのに必要な電気量(電荷量)Qは�
Q=CV�
で定義される。Cのことを電気容量と呼ぶ。�
電気容量Cの単位�
1F =1ファラッド
=1[C / V]
€
€
−
−
−
€
€
€

E
+
+
+
電位 (V) の定義�

E
点aからbへ電荷を運ぶ仕事Wが
電位の定義:�
�
€
積分型:�


V (r) = − ∫ E (r) • dr €
∞
r
 接線方向�
dr
b
電荷q�
a
微分型:�
 

E ( r ) = −∇V (r) = −grad
€ V (r)
 
E • dr
導体球�
(問7.1)半径aの電荷Qを持つ導体球の
静電容量Cを求めよ。 a=1mの時のCを求めよ。�
V=
=
€
=
∫
∫
∫
∞
r
∞
r
a
0
 
E ⋅ dr
Q
dr
2
4 πε 0 r
+
∫
∞
a
∞
Q ' −1*
=
4 πε 0 )( r ,+a
Q
=
4 πε 0 a
€
続き�
Q = 4 πε 0 aV = CV
静電容量は�
C = 4 πε 0 a
となる。�
a=1mのとき�
€
C = 1.1×10 −11[F]
コンデンサー�

E
€
€
−
A−
−
€
d
€
電池�
€
− +
2つの導体間で電気(電荷)を蓄えておくもの。�
+
+B
+
電池から電荷が流れ
導体が帯電する。�
導体(極板)にある電荷の表面電荷密度 ±σ
導体間の距離�d
導体の面積�S�
電荷の総和は��σS�
ガウスの法則から�
ε0 ∫ Eds =σS
従って、�
電場の強さは�
€
ε 0 ES = σS
E = σ / ε0
平板コンデンサーの電気容量(C)�
極板間の電位差は�
σ
V = VA −VB = ∫ A Edx = d
ε0
B
コンデンサーに蓄えられた電気量はQ=Sσ=CVであるから、�
Q
V=
d = Q /C
ε0S
€
平板コンデンサーの電気容量は,�
€
C = ε0S / d
間隔dが小さいほど容量は増加する(電気がたまる)。�
誘電体(絶縁体)�
極板�
電気を通さない物質のこと。
プラスチック、ガラスなど。�

E
平板コンデンサーを絶縁体で満た
すと容量は(1+χ)倍になる:
絶縁体�
S
C = ε0 (1+ χ )
d
+
ー�
€
実際のコンデンサーの構造(カメラのストロボなど)�
絶縁体を挟むことで容量が増加する理由は,分極が関係する。�

E
€
€ €€
€+€€
€ €€
€
電場によって絶縁体内部の電荷が分極する。
(誘電分極)�
− + −+
− + −+
− + −+ 
P
€
+
−

F = qE
誘電分極の結果として表面に現れる
電荷を分極電荷とよぶ。�
−
分極の度合いと方向を示すものを
分極ベクトル(P)という。�


P = ε0 χ E
χ
分極率�(物質による)�
本日のトリビア(コンデンサー)�
コンデンサーは2枚の導体(アルミ)に絶縁体(紙)をはさんで筒
状に巻いて、電気を蓄えたもの。
ー
+
いろいろなコンデンサー�
2枚のアルミホイルに紙を挟
めばコンデンサー
電荷量�Q=CV�
50V,1000µF
電荷量 Q=1000µ[C/V]×50[V]=0.05[C]
€
原子の分極�


F = eE

E
+
電場無し�
陽子(e)
+
€
− 電子(-e)
€
−
€


F = −eE
€
電場(E)下では電子や陽子が
€
クーロン力で押されて位置を
変える。�
€
付録�
コンデンサーはテレビをあけるといろいろ見ることが出来る,と思っていたら,最近の液晶テレビの中をあけること
は無理かな?
昔のブラウン管テレビであれば外からでもコンデンサーがいろいろ見えると思います。見てみましょう。
だが,見るだけにしておきましょう。いうまでもなく,コンデンサーには電荷がたまっています。コンデンサーにさ
わった瞬間電荷〔電流)が流れます。
場合によっては致死量の電荷が体に流れることもありますので要注意。
致死量の電荷ってどのくらいでしたっけ?覚えてますか?
プロの電気屋は,静電気防止器具を腕にはめて,作業します。�
電束密度�
誘電体(絶縁体)を電極間において電場Eをかけると、誘
電体の内部は�


だけ分極する。�
電束密度の定義:�
€
€
P = ε 0 χE

 
D = ε0 E + P


= ε 0 E + ε 0 χE

= ε 0 (1+ χ )E

= εE
電束密度に対してもガウスの法則は成り立つ。�
∫
 
D ⋅ n dS €
= 面S内にある真電荷の総和�
平板コンデンサーを絶縁体で満たすと電気容量は
(1+χ)倍になる。�
S
C = ε0 (1+ χ )
d
€
€
誘電率εの定義�
ε = ε 0 (1+ χ )
誘電率(dielectric constant)
ε / ε 0 = (1+ χ )
比誘電率�
€
ε 0 は極板の間に真空を詰めたときの
€
誘電率である。�
比誘電率:ゴム(2.4)
NaCl(5.9)
ガラス(7,5)など�
仕事に関して・・・・補足�
�
 
W ' = − ∫ F ⋅ dr
b
=−∫
ab
a
仕事
 
E / /F
接線方向�
r
b
 
qE ⋅ dr
p
= qW
電荷q�
ここで、�
b 

W = − ∫ E ⋅ dr
€
a
は、1個の電荷を運ぶときの仕事。�
a
W =−∫
b
a
 
E ⋅ dr
a'
= − ∫a
b

dr
a’
q
a

E
€
電位�
 
b 

E ⋅ dr − ∫ a' E ⋅ dr
点aからa’に沿って電荷を
動かすとき、常に、�
∫
赤の矢印に沿って�
€
電荷qを点aからbへ動かす。�
€
€
a'
a
 
E ⋅ dr = 0
が成り立つ。
(電場の方向と
位置ベクトルの方向は
垂直である。)�
したがって、�
W =−∫
b
a
電位�
 
E ⋅ dr
q 1
= − ∫r
dr
2
a 4 πε
0 r
q &1 1)
=−
( − +
4 πε 0 ' ra rb *
= V (rb ) −V (ra )
rb
q 1
V (r) =
4 πε 0 r
任意の経路について成り立つ。�
€
€
€
電位(静電ポテンシャル)=電圧�

E

r
点aからbへ電荷を運ぶ仕事Wは�
その道に沿って�
接線方向�
b
p
電荷q�
a
 
E ⋅ dr
を積分し符合を変えたものである。�
 
W = − ∫ E ⋅ dr
b
€
a
この仕事Wを電位Vと定義する。�
€
電
位�
電位(電圧)の定義(積分形)�
r
V (r) = − ∫ r
 
E ⋅ dr
電場のする仕事�
a
q 1
=−∫
dr
2
ra 4 πε r
0
&
)
q 1 1
(( − ++
=−
4 πε0 ' ra r *
r
€
ここで
�
ra → ∞ とすると、(基準点を無限遠にとる)�
点rでの電位は、�
無限遠の電位を0としたとき、�
€
q 1
V (r) = − ∫ ∞ E(r)dr =
4 πε 0 r
r
であたえられる。�
€
€
電位の微分形�
r
V (r) = − ∫∞ E(r)dr
の両辺をrで微分:�
 

E (r ) = −∇V (r) = −grad V (r)
等電位面�
点aとbが極めて接近しているとき、電場は一定と考えて
よいので、�
   
∫ a E ⋅ dr = E ⋅ dr = V (rb ) −V (ra ) = 0
b
 
E ⋅ dr = 0 (等電位面上:電位差がない)�


と�
E
dr が垂直であることを示す。
€
電場に垂直方向に電荷を動かすと
仕事はゼロ。�
€
€
等電位面�
電場�

E
€
電場は等電位面に垂直である。�