通電触媒グループ 1.研究背景 現代社会において急激に加速するエネルギーの大量消費 や環境破壊に対して省エネルギーや環境保全対策は必要 不可欠である。触媒反応工学の立場からこれらの対策へ の貢献としては操作性の良さ、応答性の速さ、エネル ギー消費の少なさ、目的の反応を有利に進めるなどの反 応制御法の開発などが挙げられる。そこで本研究では新 しい反応制御法として良質かつ制御しやすいエネルギー である電気エネルギーを直接触媒表面に供給する方法に 着目し、その有効性を調査してきた。 2.研究目的 電気伝導性触媒に通電させることによって生じる反応への影響に ついて、考え得る要因のひとつに反応物質の極性の関与がある。 そこでこの極性の関与を考慮することによって現象を解明し、実 用化に役立てることを目的とする。 3.これまでの研究成果 ①通電による発熱作用を利用した 触媒ヒーターとしての性能 酸化ルテニウム抵抗ペーストに 通電することで生じるジュール熱 を利用し、反応場(触媒表面)を 直接にヒーティングした。この方 法と外部からの加熱方法を昇温 速度、消費電力の点から比較を行 った。その結果昇温速度では外部 加熱の2.5℃/minに対して通電 34℃/minであった。消費電力では 外部加熱の450Wに対して通電6Wで あった。2つのパラメータより外 部加熱では10800J/℃、通電加熱 では10.5J/℃となり直接加熱によ る方法が外部ヒーターよりも優れ ていることが確認された。 直径 1.8cm 金属 絶縁体 触媒 (2cm×2cm ) 触媒本体 金線 絶縁体 ガラスチューブ 金属 4本のボルトで固定) (上部カバーから下部カバーまで Fig.1 - The installation state of a catalyst ②触媒に対する通電効果 これまでにPt-RuO2-SiO2触媒上でのアセトン、メタノール、エ タノールの燃焼反応において通電することによって反応促進効果 を確認できた。この通電効果は一酸化炭素の燃焼反応においては 見られなかったことから、双極子モーメントとの関与が示唆され ている。 4.今後の指針 今後は燃焼反応だけでなく水-エタノール系の改質反応などを行 うことにより、素反応のどこに電気的影響がでているかを解明し ていくことも課題である。
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