27P-pm210 Staphylococcus aureus の増殖抑制に機能する Pseudomonas aeruginosa の遺伝子群の 探索 ◯新野 啓介 1 , 皆川 周 1 , 東 聖実 1 , 宮内 友里恵 1 , 加藤 文紀 2 , 稲見 浩之 1 , 1 1 2 奥田 潤 1 , 菅井 基行 2 , 後藤 直正( 京都薬大・微生物・感染制御学, 広島大院医 歯薬・細菌学) [目的]Pseudomonas aeruginosa と Staphylococcus aureus は院内感染の起因菌 として重要であり、これらの菌種による混合感染や S. aureus 感染症の治療によ って P. aeruginosa が感染部位に出現し、難治化するという菌交代症も臨床で良 く見られる現象である。本研究では、菌交代現象のメカニズムを明らかにするこ とを目的として、P. aeruginosa による S. aureus の増殖を抑制する因子の網羅的 探索を P. aeruginosa Tn 挿入変異株バンクを用いて行った。 [方法]LB bloth 37℃で一晩培養した P. aeruginosa 菌液を S. aureus を加えた 0.8%寒天培地上に滴下し、37℃で培養後、P. aeruginosa のコロニー周辺での S. aureus の増殖抑制効果を観察した。 [結果・考察]S. aureus 増殖抑制には、 P. aeruginosa の PQS( Pseudomonas Quinolone Signal)が関与していることが既に報告されており、 P. aeruginsoa Quorum Sensing(QS)変異株で S. aureus 増殖抑制の低下が観察された。しかし、 QS が増殖抑制の全てでは無いことが示された。 そこで、緑膿菌 Tn 挿入変異株 9,085 株を構築し、 S. aureus に対する増殖抑制作用を調べた。その結果、56 株で S. aureus に対する増殖抑制能の低下または消失が観察された。これらの変異株のトランス ポゾン挿入位置を解析したところ、すでに報告された結果と一致して、QS 制御遺 伝子や PQS に関連する 7 遺伝子が同定されたが、新規に 12 遺伝子が同定された。 今後、本研究で同定された 12 遺伝子の解析によって S. aureus と P. aeruginosa との菌交代現象がより詳細に解明されるものと期待される。
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