【一般口頭発表】 15:40~15:50 (第 2 会場・小ホール) 医療技術部門(薬剤管理・服薬指導) -薬剤部門- ケモセーフの有用性の検証 ~時間短縮による業務効率・技術伝達の簡便性に関して~ 《演者》 戸塚共立第 2 病院 林 暢孝 【はじめに】 近年、抗がん剤を取り扱う医療者の暴露が問題となっている。抗がん剤を扱う医療者の危険について、様々な 報告がされ、抗がん剤の安全な取り扱いに関するガイドラインも制定されるようになった。しかしながら、尊守を義 務づけるものではなく、対策は各医療施設に任されているのが現状である。当院では、暴露防止対策として、テ ルモ社製の閉鎖式混合調製器具(以下、ケモセーフ)を導入している。今回、ケモセーフを用いた抗がん剤の無 菌調製業務(以下、混注)を行い、従来の混注とケモセーフを用いた混注の作業効率と技術伝達の簡便性を比 較し、その有用性について検討したので報告する。 【方法】 従来の抗がん剤の混注とケモセーフを用いた混注を同一のレジメンで行い、混注にかかる時間をそれぞれ測 定した。使用薬剤は、BV+SOX、BV+XELOX のレジメンで用いるアバスチン○R (BV)+エルプラット○R (L-OHP) とした。測定する時間は、安全キャビネット内で行う作業の時間とした。また、技術伝達の簡便性を検討するた め、抗がん剤の混注を未経験者により実施した。(安全性確保のため、ケモセーフ未使用時は抗がん剤ではなく 注射用水を用いた。)さらに、未経験者に対し、事前、事後にアンケートを行った。 【結果】 ケモセーフを用いた手法は、操作が容易であるため、混注にかかる時間及び技術伝達にかかる時間が短縮さ れた。ケモセーフは作業手順が容易であるため、技術面での差がなくなり、一定の安全性を保持したまま同品質 の製剤を提供できた。 【考察】 今回の検討から、ケモセーフの導入は、医療者の安全を確保するだけではなく、操作手順が容易で、手技の 修得が簡便であることが分かった。抗がん剤の混注に対する技術の差がなくなることで、混注に従事できる薬剤 師の増加と現場の業務効率の向上が期待される。 第 51 回TMG学会
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