経済数学 II 練習問題 1 2014/11/04 1 企業の費用関数と利潤最大化 企業の費用関数が以下のように与えられているとして,問題に答えよ。 T C(y) = 1 3 y − 4y 2 + 20y + 20 3 (0) 固定費用 F C はいくらか。また,平均固定費用 AF C を y の関数で表せ。 (1) 限界費用 M C ,平均(総)費用 AT C ,平均可変費用 AV C を y の関数で表せ。 (2) 生産物の価格を p として,この企業の利潤 π を y の関数で表せ。 (3) 利潤最大化の一階の条件を示せ。 (4) p = 20 のとき,(3) の条件を満たすような生産量 y を求めよ。 (5) (4) で求めた生産量は利潤最大化の二階の条件を満たすか調べよ。 (6) p = 20 のとき,この企業の利潤が最大となるような生産量とそのときの利潤を求めよ。 (7) p = 5 のとき,この企業の利潤が最大となるような生産量とそのときの利潤を求めよ。 (8) この企業の操業停止価格を求めよ。 (9) この企業の損益分岐価格を求めよ(手計算では求められない)。 2 練習 企業の費用関数が以下のように与えられているとして,操業停止価格と損益分岐価格を求めよ。 T C(y) = y 2 + 2y + 9 1. (0) FC AF C(y) = T C(0) = 20 20 = y (1) M C(y) = AT C(y) = T C ′ (y) = y 2 − 8y + 20 1 20 T C(y) = y 2 − 4y + 20 + y 3 y (2) 1 π(y) = py − ( y 3 − 4y 2 + 20y + 20) 3 (3) π ′ (y) = 0 ⇒ p = MC (4) p = M C より y 2 − 8y + 20 = 20 ⇒ y(y − 8) = 0 ⇒ y = 0, 8 (5) π ′′ (y) = −M C ′ (y) = −2y + 8 π ′′ (0) = 8 > 0 → y = 0 において π は極小 π ′′ (8) = −8 < 0 → y = 8 において π は極大 y = 0 は利潤極大化の二階の条件を満たさない。y = 8 は利潤極大化の二階の条件を満たす。 (6) 利潤が極大(最大)になるのは y = 8 のとき。そのときの利潤は π(8) = 65.33 となる。 (7) p = M C より y 2 − 8y + 20 = 5 ⇒ (y − 3)(y − 5) = 0 ⇒ y = 3, 5 π ′′ (3) = 2 > 0 → y = 3 において π は極小 π ′′ (5) = −2 < 0 → y = 5 において π は極大 2 利潤が極大(最大)になるのは y = 5 のとき。そのときの利潤は π(5) = −36.67 となる 1 。 (8) 操業停止価格においては,p = M C = AV C となる 2 。 AV C(y) = 13 y 2 − 4y + 20 ⇒ y 2 − 8y + 20 = 13 y 2 − 4y + 20 ⇒ 23 y 2 − 4y = 0 ⇒ y(y − 6) = 0 ⇒ y = 0, 6 生産量が 6 のときの限界費用は,M C(6) = 8。したがって,操業停止価格は 8。 (9) 損益分岐価格においては,p = M C = AT C となる 3 。三次方程式は手計算で解くのが難しいが,関 数電卓などで計算すれば,M C = AT C となる生産量は約 6.67。このときの M C または AT C は約 11.15 なので,損益分岐価格は約 11.15 となる。 価格の変化に対応して,企業の生産量と利潤の関係がどのように変化するかを表したのが下の図。 100 p=20 P=11.15 p=10 p=8 p=5 80 60 profit 40 20 0 -20 -40 0 2 4 6 8 10 12 output 損益分岐価格では利潤は最大でもゼロである。操業停止価格では,生産量 y = 6 のときに利潤が最大(損 失が最小)で −20 となる。これは生産を行わなかったときの損失(固定費用)と等しい。 1 このとき,損失が固定費用(生産量がゼロのときの損失)20 よりも大きいので,企業は生産を行わない。 2 もしくは,損失が固定費用と等しくなることからも操業停止価格を求めることができる。 3 もしくは,利潤がゼロとなることからも損益分岐価格を求めることができる 3 2. MC = 2y + 2 AT C = y+2+ AV C = y+2 9 y 損益分岐価格では p = M C = AT C より,2y + 2 = y + 2 + y9 。これを満たす y は-3 と 3 であるが, 生産量は負になることはないので y = 3。p = M C(3) = 8。したがって損益分岐価格は 8。 操業停止価格では p = M C = AV C より,2y + 2 = y + 2。これを満たす y はゼロだけなので,操業 停止価格は MC(0)=2。 20 MC ATC AVC 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 2 4 6 4 8 10
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