MH 2012 に参加して

特集
学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 18
うので,今後機会があれば,もっと入念に相手に分
MH 2012 に参加して
かり易いポスターを作成し,説明の言葉や単語もあ
中
村
有莉沙
Arisa NAKAMURA
物質化学専攻修士課程
る程度は準備しておきたいと感じました.
2012 年度修了
2. 2 学会内容
1.はじめに
21 日には,受付が開始されました.本番は 22 日
10 月 21 日から 26 日の間,京都府民総合交流プ
からであったため,私は 22 日から参加しました.
ラザ(京都テルサ)において,International Symposium
午前や午後の前半は,30 分程の講演が様々な部屋
on Metal-Hydrogen Systems 2012(MH 2012)が開催
で行われていました.休憩は,Coffee Break と呼ば
されました.この MH 2012 とは,次世代の高効率
れており色々な部屋にコーヒーやオレンジジュー
エネルギー技術として期待される水素エネルギー技
ス,おつまみやお菓子などが置いてありました.そ
術を支える水素貯蔵材料および水素化物の基礎と応
して,それらをつまみながら外国の方の影響もあっ
用について,国内外の第一線の研究者・技術者が一
てか皆がとてもくつろいでいるのが印象的でした.
堂に会して開催される国際シンポジウムのことで
このくつろぎからは想像できないほど,発表や質疑
す.最新の研究成果を紹介し,議論を行うことによ
応答のときは皆の真面目な表情が見られ,驚かされ
り,水素貯蔵材料や水素化物の利用に関する研究開
たのと同時に,朝から観光の本をもつたくさんの人
発を加速し,早期の普及拡大につなげることを目指
を見たので,安心した気持ちもありました.
しています.
講演が終了した後は,ポスター発表と同時に Din-
本シンポジウムは,第一線で活躍している研究者
ner がありました.ポスター発表よりも,御飯を取
・技術者による招待講演,一般参加者による講演・
るために列ができていました.列がなくなった頃に
ポスター発表,産業界および研究機関の展示により
は,御飯はなくなっており,ほとんど食べられませ
構成されています.
んでした.
私は,この期間中 22 日から 24 日の 3 日間参加
この日は,山崎夏輝先輩と,後輩の田渕弘也くん
し,23 日に自身のポスター発表を行ってきました.
のポスター発表がありました.夏輝先輩は何度か国
ここでは,この 3 日間の出来事について報告したい
際学会を経験していることもあってか,落ち着いて
と思います.
質疑応答などができている印象を受けましたし,他
の人の発表やポスター内容も理解しているように見
2.学会について
2. 1
えました.逆に,田渕くんは英語に自信がなさそう
事前準備
でしたし,発表も心配そうでした.しかし,いざポ
学会前に,PowerPoint を用いて,現在の研究内容
スター発表を終えてみると,とても上出来ではなか
についてまとめ,これをポスターとして印刷してお
ったかなと思うほど,頑張れていたと思います.2
くことが必要でした.初めての国際学会ということ
人共,お疲れ様でした.
もあり,英語で全て準備が必要であるため,学会の
ポスター発表の予定は 20 時まででしたが,20 時
参加登録もいつもとは異なり,英語を訳しながら登
では終わらず,次の日の開始が 9 時であったために
録を行いました.普段の打ち合わせでも苦労する私
少しせかせかとしてこの日は帰りました.
にとって,今回のポスター作りは英語での表現とい
うことで更に苦労しました.
次の日も,午後の前半までは 30 分程の講演など
があり,夕方には自身のポスター発表と Dinner が
今回のポスター発表は,まだまだ準備できたと思
始まりました.
―1―
私は,あらかじめ用意しておいたポスターを貼っ
考えを持ち続けたいとも思いました.
その後も何人かの質問や提案などを聞いたりし,
ていたため,何人かの人が Coffee Break のとき等
に見ていてくれたらしく,私を見つけ質問に来てく
夏輝先輩や田渕くんの補助もあり,無事にポスター
れました.英語での質疑応答であるための緊張など
発表は終わりました.
はありませんでしたが,準備不足という負い目は感
じていました.それもあってか,何人かの質疑応答
3.感想
を終えて,もっと適切な表現方法もできないものか
初日のオープニングセレモニー終了時は,皆で写
と考えさせられました.また,授業で聞くことがな
真を撮りました.休憩のときも,日本人だけではこ
いような会話スピードの人も質問に来られました.
んなにくつろがないだろうな,と思うほどくつろい
もう一度聞かせてください,とお願いすると,スピ
でいる様子も見られました.国内学会よりも,この
ードを遅くして話してくれたのはありがたかったで
ようなフレンドリーな雰囲気はとても好きでした
す.また,日本の方が割り込んでこられ,私の代わ
し,目が合うだけで微笑まれることも,普段はしな
りに質疑応答をされていることなどもありました.
い経験なのでとても良かったと思います.
ある人が,私のポスターを説明して,とおっしゃ
また,Dinner は毎日あまり食べれなかったので
られ,説明しましたが,ほとんど説明しないでも理
すが,そのために私達で御飯に行けたことが普段な
解されているようでした.私は自分の実験結果で,
い機会なので良かったですし,嬉しくも感じまし
疑問に思っている点があり,自分なりの解釈をもっ
た.
ていましたが,その人が,説明を聞き,ある程度の
最後に,このような国際シンポジウムに参加で
質問を終え,去って数分後に戻ってこられ,同じ解
き,すごいと感じる部分を持つ人に出会えたこと
釈を説明し始めました.その解釈が正しいかは未だ
や,日本人だけではないような雰囲気を見れたこ
わかっていませんが,自分が行った実験でもないの
と,また,次への気持ちをもてたことができてよか
に,この数分で同じような解釈をし,ポスターでは
ったと感じます.
今後はこの気持ちを活かし,更に頑張っていきた
その部分に触れていなかったので,その柔軟な考え
方や発想力などに尊敬の念をいだきました.この方
いと思います.
は年輩の方であったため,私も歳をとっても柔軟な
―2―