(C-12 核の陽子、中性子の分離エネルギー)separation-energy-C12

(C-12 核の陽子、中性子の分離エネルギー)separation-energy-C12-qa141021
原子核の性質を議論する場合、原子質量単位 amu(= atomic mass unit)を用いることが
多い。この単位と MKS 単位(SI 単位)、光速 c との関係は次の通りである。
1eV = 1.602 × 10−19 J, 1MeV = 106 eV, 1amu = 931.49432 MeV/c 2
水素原子、中性子の質量はこの単位で次のように与えられる。
水素原子の質量 :mH = 1.007825 amu, 中性子の質量 :mn = 1.008665 amu.
12
12
6 C6 原子の質量 :M ( C) = 12.000000 amu,
11
11
6 C5 原子の質量 :M ( C) = 11.011432 amu,
11
11
5 B6 原子の質量 :M ( B) = 11.009305 amu
1.
12
6 C6
核の結合エネルギー B.E. を計算せよ。
2.
12
6 C6
から陽子を取り出すのに必要なエネルギー (=分離エネルギー)Sp を計算せよ。
3.
12
6 C6 から中性子を取り出すのに必要なエネルギー (=分離エネルギー)Sn を計算せよ。
4. 直前の 2 つの問の結果 Sp と Sp の差違の原因について簡単に説明せよ。
(解答例)
1. 陽子数 Z, 中性子数 N をもつ原子核の結合エネルギーは定義により
B.E.(Z, N) ≈ [Z × mH + N × mn − M (Z, N )]c2
→ B.E.(D) = [1.007825 × 6 + 1.008665 × 6 − 12.000]amu × c2
= 0.09894 × 931.49432MeV = 92.16204 MeV.
(1)
2. 結合エネルギーと類似の定義により
12
2
Sp ≡ [M (11
5 B6 ) + mH − M (6 C6 )]c
= [11.009305 + 1.007825 − 12.000000]amu × c2
= [0.01713] × 931.49432MeV = 15.956498 MeV.
(2)
3. 同様にして
12
2
Sn ≡ [M (11
6 C6 ) + mn − M (6 C6 )]c
= [11.011432 + 1.008665 − 12.000000]amu × c2
= [0.020097] × 931.49432MeV = 18.720241 MeV.
(3)
4. Sn > Sp である理由は、陽子間にはクーロン斥力が働くが、中性子間には働かないか
らである。
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