5 5 綜 説 Human Proteome Organization (HUPO)のヒト腎臓・ 尿 プ ロテオ - ムプ ロジェ ク ト 山 本 格 新潟 大学 大 学 院 医歯 学 総 合研 究 科 附属 腎研 究 施 設構 造病理 学 分野 Human Kidney and Urine Proteome Project of Human Proteome Organization Tadashi YAMAMOTO De pa r t me nto fS細 c t u f dPat hol o By, I ns t f t ut eo fNe phr o l o w Gr a dua t eSc hoo lo fMe d i c a lB ndDe nt a lSc f e nc e s ,Nl ' 1 ' gat aUnJ ' v e I ・ S L I u 要 旨 ヒ トの腎組織や尿の プロデオ∼ムを解析す る同際共同研究 プロジェク ト (ヒ ト腎臓 ・尿 プロ デオ -ムプ ロジェク ト) を組織 し,ヒ トプ ロテオ -ム機 構 ( Huma nPr o t e omeOr ga ni z a t i o n, HUPO)の他の プ ロジェク トとも連携す るプ ロデオ ミクス研究 を推進 している.多 くの慢性 腎 臓病 が糸球 体傷害 に端 を党 し, その病 因や病態 を腎生検 の糸 球 体 プ ロテオ ミク スを解析 す ることで解 明 しよ うと して い る.疾患糸球 体 プ ロテオ ミクス を解析 す る前 に,正常 ヒ ト腎 糸 球 体 の プ ロテ オ ー ム を解 析 し,その デ - タベ ー ス を構 築 し, ウ ェ ブ 上で も公 開 した ( h枕p: // www. hkupp. er g/) 伽 t p: // www. e bi . a c . uk/ p r i de /) .ヒ ト腎組織 と尿のプ ロテオーム解析 を国際連携 で行 っている研究の一端を紹介する. 拡e ywords : c hr oni cki dne ydi s e a s e( CKD),gl ome ui r us ,huma npr o t eo meor ga ni z a t i on,ma s s s pe c t T O me t e r ,pr O t e O me,P r O t e Om ic s は じめ に 約2 . 2万 と推 定 され 1), ヒ トの 生 命現 象 の理 解 が 深 ま り,病 気 の解 明,治 療 法 の 開発へ 期 待 が大 き ヒ トゲ ノムの解読 が終 り,ヒ ト遺 伝 子 の 総 数は Re p r i ntr e que s t st o:Ta da s hi YAMAMOTO De p a r t me n to fSt r u c t ur lPa a t ho l o gy I n s t i t u t eo fNe p hr o l o g y Gr a d u a t eSc ho o l o fMe d i c a l a n dDe nt a l S c i e n c e s Ni i ga t aUn i v e r s i t y 1-7 5 7As a hi ma c hi -do r i Chu o-ku, Ni i g a t a951-851 0J a pa n く膨 らん だ. ヒ ト遺 伝子 の塩 基 配列 の解 読 ,遺 伝 別刷 請求先 :〒9 51-8 51 0 新潟 市 中央 区旭 町 通 1-7 5 7 新 潟 大 学 大学 院 医 囲 学 総 合 研 究 科 総 合研 究 科 附 属 腎 研 究施 設構 造 病理 学 分野 山本 格 5 6 新潟医学会雑誌 第1 2 4巻 第 2号 平成 2 2年 ( 2 0 1 0)2月 ヒト プロテオ-ム機構 王 ヒト 肺臓プu テオ-ムプロジェクト 2 ヒト 脳プロ テ凍 \ -ムプL j ジ. T / /ト 表 見 ヒトプロデオ-ム機構とそのイニシアチブ u u m と 川P n ) i . t L n J r l t . ー 0 川( 川i s u L i ( ) ∩ .‖ 叩0 h t t p : / / w w. h u p o . o r g H L 脚 と ml . , i v t l rP r o t t J O T n t . P r u j e t : t .約 1 . 秤 h u I 、 ) : / / m. I l i p P , ( 汀 肖 / r n d { . ) た / . i 一 一 d e x . p h p 日 t 血 管 mB r a i f t を ) y r 山. ? 。 雛 , P n ) , j L 3 ( 、 t ,F . 喜 B F ) ㍗ h t t p : / / w w 軌h b p p . I ) r g / 3 ・ 1 プ テ ム 棟 準 uジブ . クト ヒu ト 抗オ 体ー イ ニ シ ア化 チプ ブ 玉 〕 Ⅰ . ( ) i ( さ く 珊 i ( , S l . i l n d f 汀 d I 1 一 日 ] r i l l i v L 、 , P S l 比 1 T T 軌 n A n l _ j h 。 d y 三 一 l i i . ね t i v t , , ㌢ 蔓 A l h L t p : / / p s i d ( L / , V . S f ) u r C e r 。 r 即 . n 如 / H . 1 ) 耶 押 . P r f j t e i n a t l a s . o r e , / 6 ヒト 疾恕鰭プ。 ナオ -ム イニシアチブ l i 柑 胤tn j s e と 】 S t . G 呈 y 日 J m i L 、 S / . ′ P r ( ) i . 桝 ) R ー L さ す n i L j ; ni y t / ? ,u G P ー 7 ヒト 疾愈マウス モ デルプロ ジ: r _ ク卜 主 b u s eM o d e l s( ) r喜 i u m a nr ) ま s m i S t / i ,臥 1 M ト 夏 王 ー 8 疾ノ 必 バイか. 7 -カ -イニシ アチブ 妻 D i s e a s eB i o m a r k p r sj n i t i I . ー t ま も , 管 ,D t 5 1 9 ヒト 心血管プL 7 : i . オ -ムイニシアチブ い. t u P C ul a r d i o v a s c u i a rl n i ー i a t i 、 ′ ' , ,u C t . p l i 1 0 幹細胞プL l ナオ ム ′ . i . : _ 物単イニシアチブ P l o t . e ( コ m eB i o l o g vo fS t e r nC e l i s. l r l i i . i i ミ t i v t さ ,柑S C 上 h 1 . L r ) : / / v W. i . 将 二 一 1 . j p / m f , n u t ) . h t m ] h t L l 〕 : / / w w w . h u p o . o r g / r e s L , a Ⅰ . ' l h / m m h d / h t で . p : / / w w w . h u g o , o r e / r e s e a r c l ー / d b i / h t t p : , / / w W w _ h u p o 。 V i . o r g / h t t p : / / w w w . h u p o . o r 拷 / r e s t ) a r ( 、 h ′ / S ほm c e 1 1 S / 子の 発現解析,SNP解析 によ り,単一-遺伝子の異 された研究 を行 ってい るので,その現状 を紹 介す 常 による遺伝子病,さらには遺伝病 ではない多 く る. の疾 患 の発症 ,進展 に遺 伝 子 発現 や個 人個 人 の SNPの違 い と疾患 の な り易 さとが関与 してい る ヒ ト腎臓病 とその研究の現状 ことなどが明 らかにな り,疾患の理解が急速 に進 んだ. しか し,一 方では多 くの疾患の発症 ,進展 は遺伝子の関与のほかに,外因や生活習慣 などが 末期慢性腎不全へ と進行す る慢性腎臓病 は ヒ ト 腎臓病の中で,最 もその治療法の開発が望まれて 関与す ると考 え られ,その病気の発症,進展 は必 い る病気 で,そのほ とん どは糸球体疾患,障害で ず しも遺伝子異常や遺伝子発現 を介す るのではな 始 まり,腎臓全体の障害 へ と進行す る.現 在,莱 く,タンパ ク質などの機能 分 子の相 庄作川 が重要 期慢性腎不全になると,その治療 は透析療法か腎 と推定 されている. 移植 しかな く,腎臓の再生 は まだ遠い将 来の夢で そこで ヒ ト遺伝子の解読終 了後の巨大サ イエ ン ある.そのため,末期慢性 腎不全へ と進 行す る慢 スと して,近 年注 目 され てい るの が個 体 ,組 織 , 性腎臓病の原因 を解明 し,その原因 を除 くことが 細胞 などの全 タンパ ク質 ( プロテオ-ム) を網羅 猿 も明解 な治療法開発の 目標である.しか し,溶 的に解析 し,それ らの関連 を総合的 に理解 しよ う 血性連鎖球菌感染後急性糸球体腎炎などごく一部 とす るプ ロテオ ミクスで ある.網羅的に タンパ ク の腎臓病以外は,その病 因が明 らかになってお ら 質 を解析 す ると言って も,推定 されてい る約 2. 2 ず,多 くの腎臓病 の原 因の解明は遅れてい る.一 万の ヒ ト遺伝 子か ら作 りだ され るタンパ ク質,ペ 方,末期慢性 腎不全へ と進行す る過程,病態の研 プチ ドの種類 はア イソフォ-ム,タンパ ク質の翻 究 はこれ まで も粕 力的 に進め られて きた.腎臓病, 訳後修飾 などで,その 多様性 が増 し,その総数 は 糸球体疾患の病態進行機序 を把握す るために,さ 遺 伝 子 の数 卜倍 - 百倍 に も及ぶ とも言われ てい まざまな動物疾患モデルや培 養腎臓細胞系による る.この よ うに遺伝 子よ りさらに多くの数の分 子 解析 が行われ その結 果,その病態形成 に さまざ を解読,研究 してゆ くためには国際的共同研究 が まな分子が関与す ることが明 らかに され た.さら 必要 となる.それを推進す るために,ヒ トプロデオ に,それ らの分 子が ヒ トの腎臓病,糸 球体疾患の Huma nPr o t e omeOr ga ni z a t i on, HUPO) -ム機構 ( 病態形成 に も関与 してい ることが示 された が2 001年 に組織 され,その 日 こい くつ かの 国際 しか し,これ らの研究成 果 に もかかわ らず,ヒ プ ロジェク ト (イニ シアチ ブ) が進 行 して い る ト末期慢性腎不全の発症,進行 を阻 ! 1 こ す る根治的 ( 泰 l ) .私 どもは,ヒ ト腎臓 ・尿 の プ ロテオ ーム 治療法の開発は進 んでい ないのが現状 である.現 を国際共 同研究 として行 うためのチーム,ヒ ト腎 荏,もっとも有効性 が示 されている治療薬 は,降 臓 ・尿 の プ ロテオ ー ム プ ロ ジ ェ ク ト ( Human 圧 剤 と して開発 され た ACE阻害剤や AH受容体 Ki dne ya ndUr i nePr o t e omePr o j e c t ,HKUPP) 杏 組織 し,HUPOの つ の イニシアチブと して認知 プロ 、 ソカ-が腎保讃作用 あると して使われている - - が,この治療法 もまだ,完全 にその進行 を阻止で 山本 :Hu ma nPr o t e o meOr ga ni z a t i o n( HUPO)のヒト腎臓 ・尿プロテオームプロジェク ト きるわけではない. その ため,ヒ ト末期慢性 腎不全への進行阻止 を め ざす には,これ までの腎臓病研究 か らの戦略的 5 7 ンで分解 した ときに実際測定 され た もの と同 じ分 子量のペ プチ ドがで きる もの を選び出 し,その タ ンパ ク質 を推定す るので ある. 転 換 が必 要 と考 え られ る.炎症 な り,傷 害 な り, 例 え,原因が同 じで あって もその表現形 はそれぞ 1)遺伝子 デー タベースの構築 れの組織 や細胞 ごとに異な り,一般 的 な炎症機序 質量 分析 によ り,タンパ ク質の同産 が可能 にな や障害機序 を腎臓病 や糸球体の炎症,傷害の理解 ったのは遺伝子 デー タベ -スが構築 され た ことに に 当てはめて も不十分で あ り,動物 の疾患,病態 よるところが大 きい,ヒ トを初 め と して,代 表的 モデルの解析 や試験 管 内の研 究 も ヒ トの腎臓病 , な生物 のゲ ノムが解析 され そのデ - タが蓄積 さ 糸球体疾患の解 明には不 十分で あった と考 えるべ れ て い る,遺 伝 子の塩 基 配 列 が明 らか にな る と, きなので はないだ ろ うか.また,従来 の研究 は特 遺伝子産物 で あるタンパ ク質の ア ミノ酸配列 も推 産の分子の機能 を重箱のすみ をつつ くよ うに研究 定 され,それ を トリプ シ ン (リジ ン,アル ギニ ン し,全体 を見 る視点 を見失 っていたよ うな もので の C末端 を加 水分解 す る) な どの 蛋 白分 解 酵 素 はなかっただろ うか. で分解す るとどの よ うな質遍のペ プチ ドに分解 さ この よ うな観 点 か ら,ヒ トの疾患糸球体 に存在 れ るか も推定で きることになる.分離 され た タン す る分 子の全容 を解析 し,その 中か ら原 因や中心 パ ク質 を同定す るには,その タンパ ク質 を トリプ 的 な病態形成の分子機構 を解明す ることが必要 と シ ンな どの蛋 白分解酵素 で分解 し,生 じたい くつ 考 え られ る.それ には, 可能 な限 り全分子 を対 象 かのペプチ ドの分子 量を正解 に測定 ( ペ プチ ドマ に検討 し,そ こか らどの分子群 が どの よ うな軽重 ス フ ィンガ-プ リン ト)で きれば, トリプ シ ン分 で関与 してい るのか,それ らの分 子が関与す る反 解でその分 子量のペ プチ ドが生ず るの ほ どの タン 応系 は何 か を明 らかにす る必要 があ り,近年急速 パ ク質か を検索 す ることで,その タンパ ク質 が同 に発展 してい るタンパ ク質 を網羅 的 に把握,解析 定で きるので ある.ペ プチ ドの分子量 か らタンパ す るプロテオ ミクスはその強 力な手法 となる. Ma s c otな ク質 を推 定 す るにはサ ーチエ ンジ ン ( どが圭 に使 われてい る) と呼 ばれ るソフ トウエ ア 1.プロテオ ミクス とは 個体や組織 や細胞の全 タンパ ク質 を示すプ ロテ で,遺伝子 デー タべ -スか ら推定 され る タンパ ク 質のデ - タベ ース ( Sw is s Pl ot ,Re f Seq,I PIな ど) オ ーム ( pr ot eome) を解析す る科学,プ ロテオ ミ を探索 し,質量分析 の結果 に合 うタ ンパ ク質 を探 pr ot e omi cs) は主 に次 の 4つの最新技術の タス ( し出すので ある ( 図1 ) . 進 歩 で可能 にな った ;1)遺 伝 子デ - タベ ースの さらに,質量分析装置の 中でペ プチ ドを ランダ 構 築 ,2) 蛋 白分離技 術の進歩 ,3) 質量 分析装置 ムに断片化 して,その断片の質量 を正確 に測定す の進歩,4) バ イオ インフォマテ ィクスの発達.網 ることによ り,そのペ プチ ドの ア ミノ酸配列 が推 羅 的に数 多 くの タンパ ク質 を解析 しよ うとす るプ 定 され,それ によ りタンパ ク質の同定 はよ り確実 ロテオ ミクスでは短時間で タンパ ク質 を同定す る な もの とな る. 必要 がある.現在行 われてい るその方法の一例 を 簡単 に述 べ ると,は じめに,組織 や細胞 にある全 タンパ ク質 を抽 出 し,大 まか に分離 し,それ を ト 2)蛋白分離技術の進歩 無数の タンパ ク質が混在 してい るサ ンプルか ら リプ シンの よ うな分解酵素 で消化 し,い くつ かの タンパ ク質 を分離す る代表 的 な方法 には二次元 ゲ ペ プチ ドに して,それ らのペ プチ ドの分子量 を質 2-DE) や液体 クロマ トグ ラフ ィ ル電 気泳動法 ( 量分析装置で正確 に計測 し,その分 子量 デー タを ・ 次元 目 な どの カ ラム分離法 がある.2-DE法 は- もとに遺伝 子デー タベースを基 に作 られた タンパ で等電点電 気泳動 を行 い,タンパ ク質 をその電荷 ク質 デー タベ ∼ スを検索 し,その 中か ら トリブシ によ り分離 し,それ を二次 元 目で分子 サ イズに よ 5 8 新潟 医学 会雑 誌 第 1 24巻 第 2号 平成 22年 ( 201 0) 2円 常澄 分析装置 測定されたペプチドの質量 サーチエンジン 7 8⊂ 二二1 14 5 6 ・ 7 8 9∈≡ヨ 9 8 7 . 6 5 4[ =】 3 3 3 . 4 4 4琶 23 45. 6 で検 索 に:う 図 l 質量 分析 装 置 に よ る タンパ ク質の同定の概略 りさらに分離す る もので,それ によ り組織 由来の タ ンパ ク質 は数千個 の スポ 、 ソトに分離 で きる,ゲ ( MALDI) 法 とエ レ ク トロ ズ プ レ - イ オ ン化 ( ESI )法 が主に用 い られてい る.イオ ン分離法 と ル を銀 染色 や蛍光 色素染 色 を し,その染色の強 さ して は イオ ン化 との相 性 に よ り,MALDI法 で は か らそれ ぞれの タンパ ク質の 毎 夏を推定す ることが 飛 行時間 型 ( TOF)質 量 分析 計 ( MALDI-TOF で きる. ES卜 Q MS) MS) が ,ESI法 で は四 重 極 型 (Q)( や イオ ン トラ ップ型 ( I THES卜 I TMS) が用 い 一 方,液体 クロマ トグ ラフ ィー ( L C)も改良 さ を良 くす る方 法 も開発 され て い る.さらに,近 年 られ て きた. さ らに,最 近 で は 四重 極 型 に TOF MSを備 えた ESI-Q -TOFや TOFを 2台つ ない だ MALD巨 TOF-TOFも製 品 化 され て い る.そ で は,ご く細い カラムを用いて分離 を良 くしたキ ャ れ ぞれ特徴 が あ り,多数 の サ ンプルの簡 便 な同定 ピラ リー カラム,プロテ インチ ップを用いた SEL DI に は MALD卜 TOFMSが,ア ミノ酸 配 列 の 決 定 (Sur f a c eEnha nc e dLa s e rDe s o r p t i o n/ I o ni z a t i o n) 卜I TMSや ES卜 Q-TOFが 用 い ら な ど に は ES 礼,複 数の特 質の異 な るカ ラム を連結す る 仁 次 元,多次 元) ことで タンパ ク質 やペ プチ ドの分 離 法 もペプチ ドや タンパ ク質の分離 に使われている. れ て い る.これ らの MSは大 きな タンパ ク質 は分 析 で きず,タンパ ク質 を トリプ シ ンな どでペ プチ 3)質 量 分 析 装 置 ( ma s ss pe c t r ome t e r ,MS) の ドに分解 して,その貿 巌を測 るもので あ る. 進歩 ペ プチ ドの質量 を正確 に測定す るの が質量 分析 ン化 した タンパ ク質 を質 量分析装置の 中で断 片化 lo一l s- l らモ 装 置 で,それ に よ りフ ェム トモ ル ( した り,ア ミノ酸 配列 を解析 した り,翻訳 後修飾 ル ) レベルのペ プチ ドの質 量 を蔽確,迅速 に測定 を解析 で きる. で きる.最 も進 んだ機 器の検 出感度 はゼ ム トモル (フ ェム トモル の 1 /1 06) レベ ル に達 して い る と 言われ て い る.質量 分析 装置 は イオ ン源 と イオ ン 4)バ イオ インフォマテ ィクスの発達 バ イオ インフ ォマテ イク封 ま遺伝 子,タンパ ク 分 離 器-イオ ン検 出 器 か ら成 り,イオ ン源 と して 質 な どの さま ざまな生物情報 の総称 で,個 々の遺 は マ ト リ ッ ク ス 支 援 レ - ザ - 脱 離 イ オ ン化 伝 子 ,タンパ ク質の さま ざまな情 報 や タ ンパ ク質 山本 :Hu ma nPr o t e o meOr ga n i z a t i o n( HUPO)のヒト腎臓 ・尿プロテオームプロジェク ト 5 9 の相互作用 などの情登 を含んでい る.プロテオ ミ る.腎組織 は組織構築 が複雑で あるため を腎臓組 クスを疾患解析 に利用す るには さらに,それ らの 織 全体の プ ロテオ -ム解析 したのでは,同定 され 情報 と臨床情報 を連結 させ,その間の関係 を明 ら た タンパ ク質の局在 が不明で,タンパ ク質同 士の かにす る必要 がある.それ には統 計的手法,特 に 反応 も推定 で きない.その ため,少 な くとも腎組 多変量 解析 や機 械学習法 が有 用 と言 われてい る. 織 を皮質,髄 質 に分 けた り,さらには,ネフロン プロデオ ミクスによるデータは膨 大で,それ らの セグメン トに分画 して解析することが必要になる. 情報 と病態 を関連 させ るにはコンビュ- タ-を用 これ まで報告 されている腎臓組織の プ ロテオー い,ク ラス ター解析,主成分分析,判別 分析 な ど ム研究 はほ とん どが動物の腎臓で行 なわれ た もの の 多変量解析 を行 う.また,デ- 夕内の法則 を仮 で ある.正常 ラッ ト腎の皮質 と髄質の タンパ ク質 定 して,ノイズに埋 もれ た法則を見出 そ うとす る の プロファイル を比較 し,それ らの部位で異 なる 機械的学習法 も有用 と言 われている 2). 機 能分担 が行われてい ることがプロテオーム解析 方,同定 され た個 々の分子の間 をつ な ぐ糸 を で示 されてい る 4).さらに,ラ ッ トの髄 質 か らマ 既知の情報か ら作 られたデータベースか ら明 らか イクロダ イセ クシ ョン法 で集合管 分画 を分離 し, に しよ うとす るパ スウェイ解析 ソフ トウエアやそ 集 合 管 に多い 50種類 の タンパ ク質 も報 告 されて のデ- タベース も開発 されつつ あ り,これ らの解 い る 5).一方,尿 は正常で は タンパ ク質の量 が少 析 か ら腎臓病の病 因分子 だけではな く,病態の分 な く,濃縮 しない とプロテオ-ムは解析 で きない. 子機構 が解明 され そ こか ら病態の制御の研究 が また,尿の濃 さも生活条件 な どによ り異 な ってい 進み,病気の治療法開発に結びつ くと期待 している. るため,均 一 ではない.正常 ( 蛋 白尿 の ない) ヒ ト尿 の タンパ ク質 をアセ トンなどで沈殿 させ,演 2.腎臓 と尿のプロテオ ミクス 縮,分画 し,2-DE と MALD卜 TOFMSを組 み合 これ まで腎組織のプロテオームを解析 した研究 わせて,プロテオ-ム解析 し,67個 の タンパ ク質 は少 ないが,尿 プ ロテオ ーム解析 の報 告 は 1 9 9 5 が同定 した報吉 がある 隼 この 中には トランスポ 年 に Wi t z ma nnらが 2-DE を用いて,腎毒性物質 ー ター,接着因子,シャペ ロン,受容 体,酵素,シ 障 害 にお け る シ ャペ ロ ンや gl ucos e-r egul a t ed グナル伝達 タンパ ク質 など興味深い タンパ ク質が pr o t ei nな どの ス トレス反応性 タンパ ク質 を示 し 含 まれ,尿 タンパ ク質 には血渠由来 と腎泌尿 器系 タンパ ク の組 織 由来 の もの が含 まれて い る ことが示 され 質の解析 がい くつ か発表 されて きた.しか し,当 た.微量の タンパ ク質か らよ り多 くの タンパ ク質 時は タンパ ク質の同産 には分離 した タンパ ク質の を同定 す るには血 柴 プ ロテオ-ム解析 ア ミノ酸 配列 を決定 す る ことが必要 で あったた 提唱 されたよ うに,尿 に高濃度 に含 まれてい るタ た初 期 の報 告 3) 後 ,2-DE を用 い た尿 7) の際 に め,網羅的な同定 は困難であった.2000年煩か ら ンパ ク質 を除 くことが つ の解決策 で ある.血柴 質量分析装置 を用いた網羅的なタンパ ク質の同定 由来 の アル ブ ミンや免疫 グ ロブ リンな どの他 に, が可能 にな り,ヒ トの全 タンパ ク質の解析で現在 mm-Hor s f a l lpr ot e i n 腎臓 か ら多 く分泌 され る Ta 主導的役割 をはた してい る国際組織,ヒ トプロテ な どを取 り除 くことが,よ り詳細 な解析 に必要 と オ ー ム機 構 nPr ot eomeOr ga ni z a t i on, (Huma されてい る 8).特 に,蛋 白尿 の ある尿 では血 梁 タ HUPO,後述 ) も組織 され,ヒ トプロテオ ーム研 ンパ ク質が大量 に含 まれ るので,腎臓 由来の タン 究 は急速 に拡大 して きた. パ ク質 を同定す る際 にはそれが障害 になる. 1)正常 ヒ ト腎組織,正常 ヒ ト尿のプ ロテオーム 研究 2)腎臓病の検 出,病態解析 を目指 したプ ロテオ ミクス ( 病態 プロテオ ミクス) 多 くの タンパ ク質 をもれな く,精度 よく同意す プロテオ ミクスで動物の腎臓病 モデルの組織 を るプ ロテオ -ム解析 には試料 の調整 が大切 で あ 解析 に応 用 した例 で ,Ⅰ型糖尿病 の モデルマ ウス 6 0 新潟 医学 会雑 誌 第 1 2 4巻 の 腎 臓 の タ ンパ ク質 を 2-DE と MALD卜 TOF 第 2号 平成 2 2隼 ( 2 0 1 0 )2月 で ある.また,残 念 なが ら,それ らの糸球体疾患 MSで調べ ,41個の タンパ ク質 スポ ッ トが変化 し, の原因,糸球体障害 の進行機序 ,病態形成機序 が 3 0種 類 の タンパ ク質が同意 されている 9 ) .その 中 解明 されていないため,末期慢性 腎 不全への進行 には,e l a s t a s eI Ⅲ Bの減少 と el a s t a s ei nhi bi t orEI A を阻止す る根治的治療法 は開発 されていないか ら の 増 加 が 含 まれ て ,糖 尿 病 性 腎 症 の 発 症 に は で もある. e l a s t i n-e l a s t a s e系の 異常 が関与 してい る 可能 性 1)個 々の分子 に注 目す る研究 か ら全分子 を網羅 が示唆 され た. ヒ ト腎臓病 のプ ロテオ ミクス研 究では慢性 腎臓 的に解析す る研究へ 従 来の糸球体疾患の研究 は既 知の 単独分 予や反 病 の 主 な疾 患 で,糸 球 体 に I g Alが沈 着 して い る I gA腎症 の 王 g Alを解 析 して ,短Alに糖鎖 不全 が 見つ か ってい る 腑. しか し,I gA腎症の糸球体組 応 系 に注 目 し,病気への関 き まを検討 し,それか ら 織 の病態 プ ロテオ ミクス解析 に関 して特 に取 り上 dr i v e ns t ud y) が その 中 L、 で あ った.それ と は異 げ るべ き報告 は まだ見当た らない.腎細胞癌 をプ な り,プロテオ -ム解析 は未知の分子 も含めて全 考 えられる疾患機序 を仮定す る研究 ( hy po t he s i s- ロテオ ミクスで研究 しようとす る試み は多 く 11)12), 体 の実像 を捕 らえ ( di s c o v e r y-dr i v e ns t ud y) ,そ wi s s-Pr o t内のデ ー タベ ー スで公 一 部 の成 果 は S の 中か ら本質 を推定 し,疾患の分子機構 を検証 し, 開 され て い る ( ht t p: //www. e xpas y. ch/c h2d/ ).腎毒性 を もつ薬物 や化学物質の c h2 d-t o p. ht ml 新 たな治療法や薬物の開発に結びつ く研究 に発展 させ よ うとい うものである. 腎臓 に対す る作用 をプ ロテオ ミクスの手法で解析 その ために,私 たちはは じめ に,正常 ヒ ト糸球 した報告 も多いが,優れ た総説が発表 されてい る 体の プロテオ-ムを解析 し,疾患糸球体の プ ロテ ので参照 していただ きたい 1: 3 ) オ-ムと比較す るための基盤的 デ ー タべ-弐を作 尿 は入 手しやす い試料 であるため,尿検査 によ るとともに,正常糸球体の生理学 的分 子パ スウェ り,腎臓 ,さらには個 体 全体 の疾 患 病 態 を検 出, イを明 らか にす ることを目指 して い る.次 に,疾 把握 で きるのではないか と期待 されてい る.尿 の 患糸球体の プ ロデオ-ム解析 を行い糸球体疾患の プ ロデオ -ム解析 によ り,腎臓病の診断や治療効 病 因や病態形成 に関与 してい る分子 を網羅的に解 果の把握 に利用で きることを示す報告が近年数 多 明 し,病因か ら病態形成への過程の 分子パ スウェ く報告 されてい る 14-1 6 ) .また,先 天性尿路 閉塞 イを解明 し,疾患 や病態変化 を定 量的 に把握す る 性疾患の新生児の尿 タンパ ク質の プ ロテオ-ム解 ための指標,いわゆ るバ イオマ - カーの同定,さ 析 を行 って,疾患予想 の有用 なバ イオマー カ-が らには,治療標的分子の同定 と治療法の開発へ と 最近 兄いだ され 注 目 されている 17). 尿 プロテオ 展 開 しよ うと考 えてい る. ミクスの腎疾患への応用 は他の総説 も参考 に して いただ きたい 18ト 2( ) ) 方法 と しては,腎癌 などの ため摘 出 された ヒ ト 腎臓の d三 常皮質部位 よ り,糸球体 を締法で分離 し, 平行 して組織 を病理学的に検索 し,異常のない こ 3.糸球体 プ ロテオ ミクス とを確認 して,正常 ヒ ト糸球体試料 を用意する. 0 01年 ころか ら正常 ヒ ト糸球体 の プ 私 ど もは 2 最初 に,NECの プ ロテオ ー ム研 究 所 の次 四時 ロデオ-ムデ - タベ ー ス作成 に取 り掛 か った.異 先生 らとの共同研究で 5例 の腎臓 よ り分離 した糸 常の糸 球体 プ ロテオームを知 るには まず正常 を良 球 休 タンパ ク質 ,1 0 0- 5 0 0/ 1gを 2-DEゲル で く把握 す る必要 があ る.また,ヒ トと動物 で は病 分離 した,2-DEゲルで分離 し,銀染色 され た タ 因,病態 が異な る可能性 もあるので,ヒ トを解析 ンパ ク質の スポ " )トを切 り出 し,タンパ ク質 を ト しよ うとい うので ある.なぜ,糸球体 か とい うと, リプ シ ン消 化 し,MALDI ITOFMS,LC-M/ MS 前 述 の よ うに,多 くの慢 性 腎臓病 は糸球 体疾 患 , 解析 す ることで,約 4 5 0の スポ ッ トの タンパ ク質 糸球体障害 が徐 々に進行す ることか ら起 こるか ら を同産 した.タンパ ク質 にア ノテ-シ ョンをつ け, 山本 :Hu ma nPr o t e o meOr ga n i z a t 加 ( HUPO)のヒト腎臓 ・尿プロテオ-ムプロジェク ト ヒ ト糸球体プ ロテオ -ムデ- 夕べ -ス を構築 した 6 1 連携 が必要 で あ り,それ を統一性 を もって推進す 0 01年 に設 立 され た囲際組織 で ることを 目的 に 2 ( ht t p: // www. hkupp. or g) 2 1) この よ うなゲル内 で等電 点電 気泳動 を行 う 2- ある ( ht t p: // www. hupo. or g) .HUPO で は最初 に DEで は,膜 タンパ ク質 な どの大 きな タンパ ク質 7研 究 プ ロ ジ ェ ク トを HUPOI ni t i a t i veと して ス や等 電 点 が極 端 に酸 性 ,塩 基性 側 に偏 った タ ン ター トさせ た ( 表 パ ク質 は分離 で きな い欠点 が あ り,網 羅性 にや Wor l dCongr es s ) が開催 され,各回の研究 者が集 や 問題 が あ った. その 欠点 を補 うため,液 相 で い,プ ロテオーム研究の成 果の発表 と国際連携 に 等電 点電気泳動 を行 った後 ,2次 元 目の電 気泳動 爵献 してい る.各 回 にその支部 が置 かれ,わが国 を行い,短冊状 ゲル を 1 5分割 し,それ ぞれ をゲル ht t p: // www. に も 日本 ヒ トプ ロテ オ ー ム機 構 ( MS解析す るこ 内 トリプシン消化 し,LCITMS/ j hupo. or g) が あ り,日本の プ ロデオ - ム研究の推 進 に 中心 的役 割 を果 た して い る.以 下 に HUPO と も行 った.この 方法 で は 2 mgオ - ダーの タン 1 ) .毎 年 の 国際 会 議 ( HUPO 0 00種 類 の タンパ ク質の同定 パ ク質 を用 いて約 6 イニ シアチ ブの 中のい くつ かの もの を簡単 に紹 介 がで き 2 2 ) ,この デ - 夕-ベ ース も公 開 して い る す る. 研究 プ ロジェク トで は 肝臓,脳,血葦 が主 な臓 ( ht t p: // www. hkupp. or g). 一 一 万,腎生検組織 か らプ ロテオーム解析 に必要 器のプ ロテオ-ムプ ロジェク トと して解析 が行わ な糸 球体 タンパ ク質 を得 る ことは簡単 で はない. れて きた ( 図 2).その 中で,ヒ ト血祭 プ ロデオ - 腎生検組織切片か らレーザ -マ イクロダイセクシ ム プ ロ ジ ェ ク トは ア メ リカの ミシ ガ ン大 学 の ョンで数 十個 の糸球 体 を切 り出 し,タンパ ク質 を Pr o f .Gi lOme nnが代表 とな り 1 8施設 が参加 して 抽 出す ることを進 めてい る.1 0/ 1m 程度 の厚 さの 腎生検組織 切片 に平 均 1 0個 程度 の糸球 体 が含 ま 国際共 同研究 が開始 され ,2 00 7年 にその解析結果 が発表 されてい る 2 3 ) .そこでは,血柴濃度 p g/ ml れ,その 平均 直 径 が 1 50′ j m 程 度 と仮 定 す る と, オ ー ダー以上 の血 柴 タンパ ク質約 3 0 00の タンパ 0糸球 体切 片 か ら約 1/ 絹 の タンパ ク 約 5切 片 ,5 質が得 られ る,個 々の腎生検試料の疾患糸球体 プ で は,血渠 タンパ ク質の濃度の高低 が幅広 く ( 倍 ク質 が高 い信糖性 を もって同意 され てい る.一方 ロデオ -ム を正 常糸 球 体 プ ロデオ - ム と比 較 し 率 で 1013の オ - ダ-の差),少 ない もの が 多い タ て,疾患 に特徴的な分子 や分子反応系 を検 出す る ンパ ク質の影 に隠 れて,検 出 され に くい ことが問 には,この約 1〃gの タ ンパ ク質 で数百 種 類 の タ ンパ ク質 を同定す る技術 が必要 と予想 され る.こ 題 と して指摘 されてい る. の よ うな高感度のプ ロテオ ミクス技術の開発 と し ス ウ ェ ー デ ンの Ro ya 日ns t i t ut eofTe c hno l o gy の Pr o f .Ma t hi a sUh王 e nが代 表の ヒ ト抗 体 イニ シ て,蛍光色素 を用い た高感度の検 出法 と質量分析 アチ ブで は ヒ トの タンパ ク質全てに対す る抗体 を 装置 の精度 と感度 の向上の進歩 は 目覚 ま しい.撹 作製 し,それ を用いたデ- タベ ー スを作 ってい る, 雄 の タンパ ク質 で数 十か ら数 私 研究賓 で は 1 百の タンパ ク質の同定 が可能 な ところまで きてお その ウェブサ イ トで は タンパ ク質 が遺伝子 ごとに 染色 体 上に分類 され,それ らに対す る抗体で ヒ ト り,腎生検試料の プ ロテオ-ム解析 が現実の もの 組織 ア レ-を免疫組織化学染色 した結 果の画像 が にな りつつ ある. 示 され て い る ( ht t p: // www. pr ot e豆 na t 及 a s . or e).多 くの研究 分野 で抗 体 は重要 な ツ-ルで あ り,この ヒ トプ ロテオーム機構 とヒ ト腎臓 ・ 尿 プロテオームプ ロジ ェク ト プロジェク トが提供 してい るデ- タベ ースは大変 4 ) 注 目されてい る 2 ヒ ト疾患糖 プ ロデオ-ムイニ シアチブは大阪大 ヒ トプ ロ デ オ - ム 機 構 (Huma nPr o t e ome : h枕p: // W Or ga ni z a t i on,HUPO,Um. . hupo. or e) は膨大 な ヒ トプロテオームを解析す るには国際的 学の谷口直之先生 が代表で開始 され たプ ロジェク トで,糖鎖 に関連 す るプ ロテオ-ム解析 で,糖鎖, 糖 タンパ ク質の プ ロテオ ミクスの標準化や疾患 に 6 2 新潟 医学 会 雑誌 ● H L I m a n P l a s m a P r o t e o m e P r o j e c t 第 1 2 4巻 第 2号 平成 2 2年 ( 2 0 1 0 )23 才 HUPO イニシアチブ . ・ u n ・ n rl : e : ● . L iv e o te om Pr ■ … ●∵ r a i n …・ ・ ・・ . 了 ・ ・・・・・ l a ∫ ca r di o・ ・・・・ H B L ' ' _● :. ■'一 vas cul ar . ● Proteom e ● n H u ma A n t i b o d y I n i t i a t i v e P r o t e i n A t l a s ● l v ' ' ▲ . ● . ● . : : ' ・ ・ ■ ● . I 、… . ● HUPOヒト腎 搬 ・尿 プロテオ ー ム イニ シアチ ブ 図2 HKUPPの研究 と HUPO イニ シアチ ブ間 の 国 際 連 携 関連 した糖 タンパ ク質の解析 が 目指 されている 2 5 ) 活動 して い る 2 6 ) .現 在,腎臓 ・尿 プ ロテオ ーム解 この分野 は 日本 に多 くの研究者 がい る分野 で,日 析 法の標準化 ,解析結 果の デ- タベ ース作成 な ど 本 が主導 してい るプ ロジェク トで あ る. の行 い,毎年 の ワー ク シ ョップ,シ ンポ ジウムな 私 た ち も糸球体 の プ ロテオ ーム解析 を開始 した どで検 討 を行 って い る.ヒ ト腎臓 .尿 プ ロテオ - 当初 よ り HUPOWor l dCon gr es sに参加 しなが ら, ヒ ト腎臓病 の病 因 ・病態解析 の プ ロデオ ミクスに ム プ ロ ジ ェ ク トの ホ - ム ペ - ジ は国際連携 で ヒ ト腎臓 や尿 の プ ロテオ -ム解析 を 心の あ る方 は是非 ご覧 いただ き,この プ ロジェク ( ht t p: // www. hkupp. or g) も設 けて い るの で 関 行 う必要 が あ ると考 え,国際 的 共同研究 に参加す トへの参加 をお願 い したい.この プ ロジェク トで 0 0 5年 に ヒ ト腎臓 ・尿 プ ロデオ る研究者 を募 り,2 は正常の ヒ ト腎組織 及び尿 の プ ロテオームデ - 夕 -ムプロジェク ト ( Huma nKi dne ya ndUr i ne べ - スを国際連携 で構 築 し,ウェブ上 に公開 した Pr ot eomePr o j e c t ,HKUPP) チ ー ム を結 成 した . り,尿 プ ロテオ ミタスの標準化の ガ イ ドラ インを そ して,HUPOの プ ロジェク トとの連携 や デー タ 提供 す ることで,多 くの腎臓病研究 者の腎臓病 の の 国 際 標 準 化 を計 るため,その活 動 を HUPO の 病 因,病態解析 研究 や尿 バ イオ マ - カバ 策索研究 プ ロ ジ ェ ク トと して認 め て も ら うこ と を HUPO を推進 しよ うと考 えてい る 2 6 ) 2 7 ) に申請 した.2 0 0 5年 に,HUPO に新 しい疾患バ イ オ マ - 力 - イニ シ ア チ ブ ( D豆 s e a s eBi oma r ke r ) が設 け られ l ni t i a t i ve,DBI お わ りに その 傘 下 に Ki dne y Di s ea s eが入 り,私 が その代 表 とな った.2 0 0 7年 これ まで原 因 が不 明で,十 分 な病態形成機序 の には,DBIか ら離 れ HUPO の独立 した イニ シア 解明 もな され て い なか ったため,根 本的治療法 が チ ブ,腎臓 ・尿 プ ロテオ -ム イニ シアチ ブ と して なか った末期慢 性 腎不 全へ と進行す る慢性 腎臓病 山本 :Hu ma nPr o t e o meOr ga ni z a t i o n( HUPO)の ヒ ト腎臓 .尿プロテオームプロジェク ト を腎臓組織 や尿 プ ロデオ -ム を網羅 的 に解析す る ことで ブ レ イクスル ー を見 出 そ うとす るプ ロデオ ミク スを紹 介 した.年 々増 加 す る透 析 患 者数の抑 制 の ための治療 法 の 開 発 には ヒ トの腎臓 組織 や尿 を対 象 と した膨 大 で あ るが地 道 で基礎 的 なプ ロデ オ - ム解析 が重 要 と考 え,その現状 と国際連携 な どを紹 介 した.この プ ロ ジェ ク トを推 進 す る こ と は,新潟大学 が腎臓病 研 究 の研 究教 育 の 国際拠 点 と認 知 され る こ とに な る と考 え られ る. PoundsJ,Aki nsJ,Qi a nX, Wa n岩A,Wa s i nge rV, WuCY,Zha oX,Ze ngR,Ar c ha ko vA, Ts u gi t aA, Be e r王 , Pa nde yA, Pi s a noM, Andr e ws㍗, Ta mme n H, Spe i e he rDW a ndHa na s hSM: Ov er v i e wo fも he HUPOPl a s maPr o t e omePr o j e c t : r e s ul t s魚・ omt he pi l o tpha s ewi t h35c o l l a bor a t i ngl a bor a t or i e sa nd mul t i pl ea na l y t i c a lgr oups ,酢ne i ・ a t i ng a c o r e da t a s e to f3 0 2 0pr ot e 主 nsa ndapubl i c l y-a v a i l a bl e da t a ba s e. Pr ot eomi c s5 : 3 2 2 6-3 2 45, 2 0 0 5. 8)Spa hrCS,Da vi sMT,Me Gi ni e yMD,Ro bi ns on J H,Bur p sEJ,Be je J ,Mo托J,Cour c he s nePL, Che n 汰,Wha hlRC,Yu W,Lue t hy R a nd Pa t t e r s onSD: To wa r ds退e f i r i i n gt heur i na r ypr ot e o me us i ng l i qui dc hr oma t o gr a phy-t a nde m l P r o f i l i n ga n du n & a c t i o n a t ma s ss pe c t r ome t r y e dt r y p t i dd短e s t .Pr o t e om量 c s1 : 9 3-1 07 , 2 0 01. 9)Thongboo nke r d V,Ba r a t iMT,Mc l 遍s h KR, Pi e r c eWM, Pes t e i nPNa ndK] e i nJ B: Pr o t e omi c s a nddi a be t i cne pphr opa t hy.Cont r i bNe p hr o l1 41 : 1 4 2-1 5 4, 2 0 0 4. niH,Ta ka ha s hiM,Ya s uda Y, 1 0)Hi kiY, Oda Ni s hi mot oA,I wa s eH,Shi nz a t oT,Ko ba ya s hiY a nd Ma e da K: Ma s s s pe c t r o me t r y pr o v es unde r-0gl yc os yl a t i ono f lo g me r ul a rI gAli nl gA ne p hr o pa t hy. mdne yl nt5 9: 1 0 7 7-1 0 85 , 2 0 01. l l )Sa r t oC,Ma r o c c hiA,Sa nc he zJ C,Gi a nnoneD, Fr ut i ge r S,Gol a z 0,Wi l ki ns MR,Do r o G, Ca ppe l l a noF,H咽 he sG,Hoc hs t r a s s e rDFa nd Moc a r e l l iP:Re na lC e l lc a r e i nomaa ndnor ma l r 参 考 文 献 1)I nt e r na t i ona lhuma nge nomes e quenc i ngc ons o r t i um,Fi ni s hi ngt hee uc hr oma t i cs e que nc eo f t hehuma nge nome. Na t ure4 31 : 9 31I9 45 , 2 0 0 4. 2)近藤 格 :疾患 プロテオ ミクスのためのバ イオ インフォマテ ィクス.Ⅰ n :戸田年総,荒木 令江 , ( 編) .疾患 プロテオ ミクスの最前線.大 阪,メデ ィカル ドゥ.p1 3 4-1 3 9, 2 0 0 5 . Ful t zCa ndJ a r no tB:Two3)Wi t z ma nnF, Cl a r kJ, di me ns i o na le l e c t r op ho r e t i cma p pi ngO fhe p a t i c a nd r e na l s t r e s s pr ot e i ns . El e c t r o phor e s i s 1 6: 45 1-45 9,1 9 95. t hurJ M, Tho ngboonke r dV, Sc he r z e rJ A, Ca i J, 4)Ar Pi e r c eWM a ndKl e i nJ B:Di f f e r e nt i a le xpr e s s i on o fpr o t e i nsi nr e na lc or t e xa ndme dul l a :apr ot e om i ca ppr o a c h,Ki dne y王 nt ,6 2 :1 31 4-1 3 21 , 2 0 0 2. l ユC-La nd 5)Ho f f e r tJ D,v a nBa l c om BWM,Cho Kne ppe rMA:Ap pl i c a t i ono fdi f f e r e nc ege le l e ct r o p ho r es i s t o t he i de nt 豆 f i e a t i on o fi nne r me dul l a r yC o l l e c t i ngduc tp T O t e i ns .AmIPhys i o I Re na l Phys i o 12 8 6: F1 7 0-F1 7 9 , Z O 掴. 6)Tho ngboo nke r dV,Mc Lei s hKR,Å王 1 hurJ Ma nd Ki e i nJB:Pr o t e om i Ca na l ys i so fnor ma lhuma n uT i na r ypr o t e i nsi s ol a t e dbya c e t onepr e c i p i t a t i on orul t r a c e nt r i f u ga t i on.氾dne yi mt6 2:1 4 61-1 4 6 9, 2 0 0 2 . 7)Ome nGS,St a t esDJ , Ada ms kiM,Bl a c k we l まで野, r mj a ko bH,Ap we i l e rA,Ha a bBB, Me no nA,He Si mps o nRJ,Ka ppEA,Mo r i t zR上,Cha nDW,Ra i AJ,AdmonA,Aebersol dA ,EngI,Ha nc o c kWS, He RaS A,Me ye rH,Pa i 汝YK,YooJ S,Pi ngP, 6 3 l e ki dne ypr o t e i ne xpr e s s i on.El e c t l ・ OPho r e s i s ,1 8: 5 9 9-6 0 4,1 9 97. 1 2)Ce l i sJ Ea ndOS t e r ga a r dM:Bl a dde rs qua mous c e l lc a r c i nomabi 。 ma r ke r sde 再v e df r o m pr ot c omi c s . EI c e t r oph( ) r e s i s21 : 21 1 5-21 21 , 2 0 0 0. 1 3)Unwi nRD,Cr a ve nRA,Ha r nde nP,Ha nr a ha nS, To t t yN,Kno wl esM,Ea r d l e yI ,Se l byPJa nd , Ba nksRE:Pr ot eomi ec ha nge si nr e na 豆c a nc e r a ndc ool ・ di na t ede mo ns t r a t i o no fbo t hgl y c o l y t i c a ndm it oc ondr i a la s pe c t so ft heWa r bur ge f f e c t . Pr o t e omi c s3:1 6 2 0-1 6 3 2, 2 0 0 3. ns e nKC,Cr a me rR, 1 4)Cut i l l a sPR,Cha lkl e yRJ,Ha Nor de nAG,Wa t e r Be l dMD,Bt l r l i n ga meALa nd Un wi nRJ : Theur i na r ypr o t e o mei nFa nc onis yndr o mei mp l i e ss pe e i 員ci t yi nt her e a bs or pt i ono f 6 4 新潟 医学 会雑誌 第1 2 4巻 pr o t e i nsbyr e na lpr o xi ma it ubul eC e l l s .Am I Phys i o はe na lPhys i o 12 87: F3 5 3-3 6 4, 2 0 0 4. 1 5)Ha ubi t zM, Wi t t keS, We i s s i nge rEM, Wa l de nM, Ruppr e c htHD,Fl oe geJ ,Ha l t e r .H a ndMi s c ha k H:Ur nepr i o t e i npa t t e r nsc a ns e r vea sdi a gnos t i c t oo l si npa t i e nt swi t hl g Ane p hr o pa t hy. mdne yl nt 6 7: 2 31 3-2 3 2 0, 2 0 0 5. 1 6)Ha ubi t zM, Wi t t keS, We i s s i nge rEM, Wa l de nM, Ruppr e c htHD,F王 oe geI,Ha l t e rH a ndMi s c ha k nepr ot e 量 npa 枕e r nsc a ns e r vea sdi a gnos t i c H:Uri t oo l s呈 npa t i e nt swi t h短Ane phr o pa t hy. 氾dne yl nt 6 7 : 2 3旦 3-2 3 2 0, 2 0 0 5. 1 7)De c r a mc rS,Wi t t keS,Mi s c ha k H,Zur bi g P, Wa l de n M, Bo ui s s o u F, Ba s c a nds J L a nd Sc ha ns t r aJ P:Pr e di c t i ngt hec l i ni c lo a ut c o meo f c o nge ni t a l uni l a t e r a l ur e t e r o pe l v i c J unc t i o n r y pro t e ome o bs t r uc t i on i n ne wbo r n by ur i na a na lys i s . Na tMe d1 2: 3 9 8-4 0 0 , 2 0 06. nke r d V,Kl e i nJ B,J e v a nsAW a nd 1 8)Thongboo I J e i s hKR:Ur i na rypr o t e om ic sa ndbi oma r ke r Me di s c o ve r y f o r gl ome r la u r di s ea s es . Cont r i b Ne p hr o11 41 : 2 9 2-3 0 7, 2 0 0 4. J ,Cona wa yM , 1 9)Mi s c ha kH,Ap we i l e rR,Ba nksRF Coo nJ ,Dom i ni c z a k A,Enr i c hJ H,Fl i s e rD, Gi r o l a miM, He r mj a ko b H, Hoc hs t r a s s e r D, J a nko ws kiJ ,J ul i a n BA,Kol c h W ,Ma s s yZA, Ne us ues s C, No v a kJ ,Pe t e r A, Ros s i ng K, Sc ha ns t r aJ ,S e mme s OJ , The o dor es c u D, Tho王 唱boo nke r dV,We i s s i nge rEM,Va nEykJ E a ndYa ma mO t OT:Cl i ni c a lpy o t e om ie s :Ane e dt o de Bnet he最e l da ndt obe gi nt os e ta de qua t e s t a nda r ds .Pr o t eo mi c sCl i nApp 11 :1 4 8-1 5 6 , 2 0 0 7. 2 0)Yos hi daY,Mi ya mo t oM,BoX,Ya oi t aE a nd Ya ma mo t oT:Ov e r v i e wo fki dne ya ndur i nepr ot e o meda t a ba s e s .Co nt r i bNe phr o l1 6 0:1 8 6-1 9 7, 20 0 8. 21 )Yos hi da Y, Mi ya z a kiK, Ka m呈 i e I,Sa t o M, Okui z umiS,Ke nmoc hiA,Ka mi j oK,Na be t a niT, Ts ugi t aA, XuB, Zha ngY, Ya oi t aE, Os a waTa nd Ya ma mo t oT:Two di me ns i o na le l e c t r o phor e t 呈 c pr o f l l i ng o fno r ma lht l ma n ki dne y gi ome ni l us 第 2号 平成 2 2年 ( 2 01 0 ) 2月 pr o t e ome a nd c ons t r uc t i on o fa ne xt e ns i bl e s e d da t a ba s e. ma r kup l a ngua ge ( ⅩML)-ba Pr o t e o mi c s5 :1 0 8 3I1 0 96, 2 0 0 5. 2 2)Mi ya mo t oM, Yos hi daY, Ta guc hiI ,Na ga s a kaY, Ta s a kiM,Zha ngY,ⅩuB,Na me t aM,Se z a kiH, Cue l l a rL,Os a waT,Mo r i s hi t aH,Se k主 yam aS, Ya o i t aE,Ki mur aKa ndYa ma mo t oT:Ⅰ n-de p t h p r o t e omi c pr o f i t i ng o ft he nor ma lhuma n紘 Ki dne ygま ome r ul usus i ngt wo-di me ns i o na lp r ot e 呈 nPr e f r a c t i ona t i o ni nc o mb摘a t i onwi t hl i qui d c hr o ma t o gr a p hy-t a nde m ma s ss pe c t r ome t r y.J Pr o t e omi e sRes6: 3 6 8 0-3 6 9 0 , 2 0 07. 2 3)St a t e sDJ ,Ome nnGS,Bl a c k we l lTW ,Fe r i nD, m EngJ , Spe i c he rDW a ndHa na s hSM:Cha l l e nges i nde r i v i n gh短hc o n員de nc epr o t e i ni de nt i f l C a t i o ns &om da t aga t he r edbyaHUPOpl a s mapr o t e ome c o l l a bor a t i ves t ud y.Na tBi o t e c hno12 4:3 3 3-3 3 8, 2 0 0 6 . 2 射 Uhl e nM a ndPo nt e nF:Ant i body-ba s e dpr ot e omi c sf orhuma nt i s s ue pr o Bl i ng.Mo ICe l l Pr o t e omi c s4: 3 8 4-3 9 3, 2 0 0 5. 25 )Wa daY,Az a diP,Cos t e l l oCE,De l lA,Dwe k ye rH, Ge ye r R,Ka ke hiK, Ka r 旦 s s on RA,Ge n S, NG,na t o K,Ka wa s a kiN,Khoo KH,Ki Kondo A,bt t o v a E,Me c hr e fY,Mi yos hiE, Na ka mur a紘,Na r i ma t s uH,No vo t nyMV,Pa c ke r i,Pe r T e a t l i tH,Pe t e r-Ka t a l ni i cJ ,Po hl e nt zG, NI Re i nho l dVN,Rt l ddPM,Suz t l kiAa ndTa ni guc hi N:Co mpa r i s on o ft he me t hods f o rpr o 員l i ng lye g o pr o t e i n gi yc a ns-HUPO Huma n Di s e a s e Gl yc omi c s / Pr ot e ome 貫 涌i a t i v e mul t i -i ns t i t ut i o na ls t ud y. Gl yc o bi o l o 約71 7 : 41 1-4 2 2, 2 0 0 7. o t e omi c s Pr o j e c t s :HKUPP 2 6)Co t t i n gha m K:Pr be c o mc saf u i 仁王 kdge di ni t i a 如eo fi t so wn.J Pr o t e o meRe s7 : 4 朗, 2 0 08. 2 7)Ya ma mo t oT,La ngha m RG,Ro nc oP,Kne ppe r もongboo nke r dV:To wa r dsSt a nda r d MA a ndl Pr o t o e o l sa ndGui de l i ne sf o rUr i nePr o t e o mi c s : A Re pol l0 nt he Huma n Ki dne ya nd Ur i ne Pr o t e ome Pr o j e c t( HKUPP) s ympo s i um a nd Wo r ks ho p. Pr o t e omi c s8: 21 5 6-21 5 9, 2 0 0 8.
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