Human Pr。te。me 。rganizati。n (HUP。) の ヒ ト 腎臓 ・ 尿

5
5
綜
説
Human Proteome Organization (HUPO)のヒト腎臓・
尿 プ ロテオ - ムプ ロジェ ク ト
山 本
格
新潟 大学 大 学 院 医歯 学 総 合研 究 科
附属 腎研 究 施 設構 造病理 学 分野
Human Kidney and Urine Proteome Project
of Human Proteome Organization
Tadashi YAMAMOTO
De
pa
r
t
me
nto
fS細 c
t
u
f
dPat
hol
o
By,
I
ns
t
f
t
ut
eo
fNe
phr
o
l
o
w
Gr
a
dua
t
eSc
hoo
lo
fMe
d
i
c
a
lB
ndDe
nt
a
lSc
f
e
nc
e
s
,Nl
'
1
'
gat
aUnJ
'
v
e
I
・
S
L
I
u
要
旨
ヒ トの腎組織や尿の プロデオ∼ムを解析す る同際共同研究 プロジェク ト (ヒ ト腎臓 ・尿 プロ
デオ -ムプ ロジェク ト) を組織 し,ヒ トプ ロテオ -ム機 構 (
Huma
nPr
o
t
e
omeOr
ga
ni
z
a
t
i
o
n,
HUPO)の他の プ ロジェク トとも連携す るプ ロデオ ミクス研究 を推進 している.多 くの慢性 腎
臓病 が糸球 体傷害 に端 を党 し, その病 因や病態 を腎生検 の糸 球 体 プ ロテオ ミク スを解析 す
ることで解 明 しよ うと して い る.疾患糸球 体 プ ロテオ ミクス を解析 す る前 に,正常 ヒ ト腎
糸 球 体 の プ ロテ オ ー ム を解 析 し,その デ - タベ ー ス を構 築 し, ウ ェ ブ 上で も公 開 した
(
h枕p:
//
www.
hkupp.
er
g/) 伽 t
p:
//
www.
e
bi
.
a
c
.
uk/
p
r
i
de
/)
.ヒ ト腎組織 と尿のプ ロテオーム解析
を国際連携 で行 っている研究の一端を紹介する.
拡e
ywords
:
c
hr
oni
cki
dne
ydi
s
e
a
s
e(
CKD),gl
ome
ui
r
us
,huma
npr
o
t
eo
meor
ga
ni
z
a
t
i
on,ma
s
s
s
pe
c
t
T
O
me
t
e
r
,pr
O
t
e
O
me,P
r
O
t
e
Om
ic
s
は じめ に
約2
.
2万 と推 定 され
1), ヒ
トの 生 命現 象 の理 解 が
深 ま り,病 気 の解 明,治 療 法 の 開発へ 期 待 が大 き
ヒ トゲ ノムの解読 が終 り,ヒ ト遺 伝 子
の 総
数は
Re
p
r
i
ntr
e
que
s
t
st
o:Ta
da
s
hi
YAMAMOTO
De
p
a
r
t
me
n
to
fSt
r
u
c
t
ur
lPa
a
t
ho
l
o
gy
I
n
s
t
i
t
u
t
eo
fNe
p
hr
o
l
o
g
y
Gr
a
d
u
a
t
eSc
ho
o
l
o
fMe
d
i
c
a
l
a
n
dDe
nt
a
l
S
c
i
e
n
c
e
s
Ni
i
ga
t
aUn
i
v
e
r
s
i
t
y
1-7
5
7As
a
hi
ma
c
hi
-do
r
i
Chu
o-ku,
Ni
i
g
a
t
a951-851
0J
a
pa
n
く膨 らん だ. ヒ ト遺 伝子 の塩 基 配列 の解 読 ,遺 伝
別刷 請求先 :〒9
51-8
51
0 新潟 市 中央 区旭 町 通 1-7
5
7
新 潟 大 学 大学 院 医 囲 学 総 合 研 究 科 総 合研 究 科 附 属 腎
研 究施 設構 造 病理 学 分野
山本
格
5
6
新潟医学会雑誌
第1
2
4巻
第 2号
平成 2
2年 (
2
0
1
0)2月
ヒト
プロテオ-ム機構
王 ヒト
肺臓プu
テオ-ムプロジェクト
2 ヒト
脳プロ
テ凍
\
-ムプL
j
ジ.
T
/
/ト
表 見 ヒトプロデオ-ム機構とそのイニシアチブ
u
u
m
と
川P
n
)
i
.
t
L
n
J
r
l
t
.
ー
0
川(
川i
s
u
L
i
(
)
∩
.‖
叩0
h
t
t
p
:
/
/
w
w.
h
u
p
o
.
o
r
g
H
L
脚
と
ml
.
,
i
v
t
l
rP
r
o
t
t
J
O
T
n
t
.
P
r
u
j
e
t
:
t
.約
1
.
秤
h
u
I
、
)
:
/
/
m.
I
l
i
p
P
,
(
汀
肖
/
r
n
d
{
.
)
た
/
.
i
一
一
d
e
x
.
p
h
p
日
t
血
管
mB
r
a
i
f
t
を
)
y
r
山.
?
。
雛
,
P
n
)
,
j
L
3
(
、
t
,F
.
喜
B
F
)
㍗
h
t
t
p
:
/
/
w
w
軌h
b
p
p
.
I
)
r
g
/
3
・
1 プ
テ
ム
棟
準
uジブ
.
クト
ヒu
ト
抗オ
体ー
イ
ニ
シ
ア化
チプ
ブ
玉
〕
Ⅰ
.
(
)
i
(
さ
く
珊
i
(
,
S
l
.
i
l
n
d
f
汀
d
I
1
一
日
]
r
i
l
l
i
v
L
、
,
P
S
l
比
1
T
T
軌
n
A
n
l
_
j
h
。
d
y
三
一
l
i
i
.
ね
t
i
v
t
,
,
㌢
蔓
A
l
h
L
t
p
:
/
/
p
s
i
d
(
L
/
,
V
.
S
f
)
u
r
C
e
r
。
r
即
.
n
如
/
H
.
1
)
耶
押
.
P
r
f
j
t
e
i
n
a
t
l
a
s
.
o
r
e
,
/
6 ヒト
疾恕鰭プ。
ナオ
-ム
イニシアチブ
l
i
柑
胤tn
j
s
e
と
】
S
t
.
G
呈
y
日
J
m
i
L
、
S
/
.
′
P
r
(
)
i
.
桝
)
R
ー
L
さ
す
n
i
L
j
;
ni
y
t
/
?
,u
G
P
ー
7 ヒト
疾愈マウス
モ
デルプロ
ジ:
r
_
ク卜
主
b
u
s
eM
o
d
e
l
s(
)
r喜
i
u
m
a
nr
)
ま
s
m
i
S
t
/
i
,臥
1
M
ト
夏
王
ー
8 疾ノ
必
バイか.
7
-カ
-イニシ
アチブ
妻
D
i
s
e
a
s
eB
i
o
m
a
r
k
p
r
sj
n
i
t
i
I
.
ー
t
ま
も
,
管
,D
t
5
1
9 ヒト
心血管プL
7
:
i
.
オ
-ムイニシアチブ い.
t
u
P
C
ul
a
r
d
i
o
v
a
s
c
u
i
a
rl
n
i
ー
i
a
t
i
、
′
'
,
,u
C
t
.
p
l
i
1
0 幹細胞プL
l
ナオ
ム
′
.
i
.
:
_
物単イニシアチブ P
l
o
t
.
e
(
コ
m
eB
i
o
l
o
g
vo
fS
t
e
r
nC
e
l
i
s.
l
r
l
i
i
.
i
i
ミ
t
i
v
t
さ
,柑S
C
上
h
1
.
L
r
)
:
/
/
v
W.
i
.
将
二
一
1
.
j
p
/
m
f
,
n
u
t
)
.
h
t
m
]
h
t
L
l
〕
:
/
/
w
w
w
.
h
u
p
o
.
o
r
g
/
r
e
s
L
,
a
Ⅰ
.
'
l
h
/
m
m
h
d
/
h
t
で
.
p
:
/
/
w
w
w
.
h
u
g
o
,
o
r
e
/
r
e
s
e
a
r
c
l
ー
/
d
b
i
/
h
t
t
p
:
,
/
/
w
W
w
_
h
u
p
o
。
V
i
.
o
r
g
/
h
t
t
p
:
/
/
w
w
w
.
h
u
p
o
.
o
r
拷
/
r
e
s
t
)
a
r
(
、
h
′
/
S
ほm
c
e
1
1
S
/
子の 発現解析,SNP解析 によ り,単一-遺伝子の異
された研究 を行 ってい るので,その現状 を紹 介す
常 による遺伝子病,さらには遺伝病 ではない多 く
る.
の疾 患 の発症 ,進展 に遺 伝 子 発現 や個 人個 人 の
SNPの違 い と疾患 の な り易 さとが関与 してい る
ヒ ト腎臓病 とその研究の現状
ことなどが明 らかにな り,疾患の理解が急速 に進
んだ. しか し,一 方では多 くの疾患の発症 ,進展
は遺伝子の関与のほかに,外因や生活習慣 などが
末期慢性腎不全へ と進行す る慢性腎臓病 は ヒ ト
腎臓病の中で,最 もその治療法の開発が望まれて
関与す ると考 え られ,その病気の発症,進展 は必
い る病気 で,そのほ とん どは糸球体疾患,障害で
ず しも遺伝子異常や遺伝子発現 を介す るのではな
始 まり,腎臓全体の障害 へ と進行す る.現 在,莱
く,タンパ ク質などの機能 分 子の相 庄作川 が重要
期慢性腎不全になると,その治療 は透析療法か腎
と推定 されている.
移植 しかな く,腎臓の再生 は まだ遠い将 来の夢で
そこで ヒ ト遺伝子の解読終 了後の巨大サ イエ ン
ある.そのため,末期慢性 腎不全へ と進 行す る慢
スと して,近 年注 目 され てい るの が個 体 ,組 織 ,
性腎臓病の原因 を解明 し,その原因 を除 くことが
細胞 などの全 タンパ ク質 (
プロテオ-ム) を網羅
猿 も明解 な治療法開発の 目標である.しか し,溶
的に解析 し,それ らの関連 を総合的 に理解 しよ う
血性連鎖球菌感染後急性糸球体腎炎などごく一部
とす るプ ロテオ ミクスで ある.網羅的に タンパ ク
の腎臓病以外は,その病 因が明 らかになってお ら
質 を解析 す ると言って も,推定 されてい る約 2.
2
ず,多 くの腎臓病 の原 因の解明は遅れてい る.一
万の ヒ ト遺伝 子か ら作 りだ され るタンパ ク質,ペ
方,末期慢性 腎不全へ と進行す る過程,病態の研
プチ ドの種類 はア イソフォ-ム,タンパ ク質の翻
究 はこれ まで も粕 力的 に進め られて きた.腎臓病,
訳後修飾 などで,その 多様性 が増 し,その総数 は
糸球体疾患の病態進行機序 を把握す るために,さ
遺 伝 子 の数 卜倍 - 百倍 に も及ぶ とも言われ てい
まざまな動物疾患モデルや培 養腎臓細胞系による
る.この よ うに遺伝 子よ りさらに多くの数の分 子
解析 が行われ その結 果,その病態形成 に さまざ
を解読,研究 してゆ くためには国際的共同研究 が
まな分子が関与す ることが明 らかに され た.さら
必要 となる.それを推進す るために,ヒ トプロデオ
に,それ らの分 子が ヒ トの腎臓病,糸 球体疾患の
Huma
nPr
o
t
e
omeOr
ga
ni
z
a
t
i
on,
HUPO)
-ム機構 (
病態形成 に も関与 してい ることが示 された
が2
001年 に組織 され,その 日 こい くつ かの 国際
しか し,これ らの研究成 果 に もかかわ らず,ヒ
プ ロジェク ト (イニ シアチ ブ) が進 行 して い る
ト末期慢性腎不全の発症,進行 を阻 !
1
こ
す る根治的
(
泰
l
)
.私 どもは,ヒ ト腎臓
・尿 の プ ロテオ ーム
治療法の開発は進 んでい ないのが現状 である.現
を国際共 同研究 として行 うためのチーム,ヒ ト腎
荏,もっとも有効性 が示 されている治療薬 は,降
臓 ・尿 の プ ロテオ ー ム プ ロ ジ ェ ク ト (
Human
圧 剤 と して開発 され た ACE阻害剤や AH受容体
Ki
dne
ya
ndUr
i
nePr
o
t
e
omePr
o
j
e
c
t
,HKUPP) 杏
組織 し,HUPOの つ の イニシアチブと して認知
プロ 、
ソカ-が腎保讃作用 あると して使われている
- -
が,この治療法 もまだ,完全 にその進行 を阻止で
山本 :Hu
ma
nPr
o
t
e
o
meOr
ga
ni
z
a
t
i
o
n(
HUPO)のヒト腎臓 ・尿プロテオームプロジェク ト
きるわけではない.
その ため,ヒ ト末期慢性 腎不全への進行阻止 を
め ざす には,これ までの腎臓病研究 か らの戦略的
5
7
ンで分解 した ときに実際測定 され た もの と同 じ分
子量のペ プチ ドがで きる もの を選び出 し,その タ
ンパ ク質 を推定す るので ある.
転 換 が必 要 と考 え られ る.炎症 な り,傷 害 な り,
例 え,原因が同 じで あって もその表現形 はそれぞ
1)遺伝子 デー タベースの構築
れの組織 や細胞 ごとに異な り,一般 的 な炎症機序
質量 分析 によ り,タンパ ク質の同産 が可能 にな
や障害機序 を腎臓病 や糸球体の炎症,傷害の理解
ったのは遺伝子 デー タベ -スが構築 され た ことに
に 当てはめて も不十分で あ り,動物 の疾患,病態
よるところが大 きい,ヒ トを初 め と して,代 表的
モデルの解析 や試験 管 内の研 究 も ヒ トの腎臓病 ,
な生物 のゲ ノムが解析 され
そのデ - タが蓄積 さ
糸球体疾患の解 明には不 十分で あった と考 えるべ
れ て い る,遺 伝 子の塩 基 配 列 が明 らか にな る と,
きなので はないだ ろ うか.また,従来 の研究 は特
遺伝子産物 で あるタンパ ク質の ア ミノ酸配列 も推
産の分子の機能 を重箱のすみ をつつ くよ うに研究
定 され,それ を トリプ シ ン (リジ ン,アル ギニ ン
し,全体 を見 る視点 を見失 っていたよ うな もので
の C末端 を加 水分解 す る) な どの 蛋 白分 解 酵 素
はなかっただろ うか.
で分解す るとどの よ うな質遍のペ プチ ドに分解 さ
この よ うな観 点 か ら,ヒ トの疾患糸球体 に存在
れ るか も推定で きることになる.分離 され た タン
す る分 子の全容 を解析 し,その 中か ら原 因や中心
パ ク質 を同定す るには,その タンパ ク質 を トリプ
的 な病態形成の分子機構 を解明す ることが必要 と
シ ンな どの蛋 白分解酵素 で分解 し,生 じたい くつ
考 え られ る.それ には, 可能 な限 り全分子 を対 象
かのペプチ ドの分子 量を正解 に測定 (
ペ プチ ドマ
に検討 し,そ こか らどの分子群 が どの よ うな軽重
ス フ ィンガ-プ リン ト)で きれば, トリプ シ ン分
で関与 してい るのか,それ らの分 子が関与す る反
解でその分 子量のペ プチ ドが生ず るの ほ どの タン
応系 は何 か を明 らかにす る必要 があ り,近年急速
パ ク質か を検索 す ることで,その タンパ ク質 が同
に発展 してい るタンパ ク質 を網羅 的 に把握,解析
定で きるので ある.ペ プチ ドの分子量 か らタンパ
す るプロテオ ミクスはその強 力な手法 となる.
Ma
s
c
otな
ク質 を推 定 す るにはサ ーチエ ンジ ン (
どが圭 に使 われてい る) と呼 ばれ るソフ トウエ ア
1.プロテオ ミクス とは
個体や組織 や細胞の全 タンパ ク質 を示すプ ロテ
で,遺伝子 デー タべ -スか ら推定 され る タンパ ク
質のデ - タベ ース (
Sw
is
s
Pl
ot
,Re
f
Seq,I
PIな ど)
オ ーム (
pr
ot
eome) を解析す る科学,プ ロテオ ミ
を探索 し,質量分析 の結果 に合 うタ ンパ ク質 を探
pr
ot
e
omi
cs) は主 に次 の 4つの最新技術の
タス (
し出すので ある (
図1
)
.
進 歩 で可能 にな った ;1)遺 伝 子デ - タベ ースの
さらに,質量分析装置の 中でペ プチ ドを ランダ
構 築 ,2) 蛋 白分離技 術の進歩 ,3) 質量 分析装置
ムに断片化 して,その断片の質量 を正確 に測定す
の進歩,4) バ イオ インフォマテ ィクスの発達.網
ることによ り,そのペ プチ ドの ア ミノ酸配列 が推
羅 的に数 多 くの タンパ ク質 を解析 しよ うとす るプ
定 され,それ によ りタンパ ク質の同定 はよ り確実
ロテオ ミクスでは短時間で タンパ ク質 を同定す る
な もの とな る.
必要 がある.現在行 われてい るその方法の一例 を
簡単 に述 べ ると,は じめに,組織 や細胞 にある全
タンパ ク質 を抽 出 し,大 まか に分離 し,それ を ト
2)蛋白分離技術の進歩
無数の タンパ ク質が混在 してい るサ ンプルか ら
リプ シンの よ うな分解酵素 で消化 し,い くつ かの
タンパ ク質 を分離す る代表 的 な方法 には二次元 ゲ
ペ プチ ドに して,それ らのペ プチ ドの分子量 を質
2-DE) や液体 クロマ トグ ラフ ィ
ル電 気泳動法 (
量分析装置で正確 に計測 し,その分 子量 デー タを
・
次元 目
な どの カ ラム分離法 がある.2-DE法 は-
もとに遺伝 子デー タベースを基 に作 られた タンパ
で等電点電 気泳動 を行 い,タンパ ク質 をその電荷
ク質 デー タベ ∼ スを検索 し,その 中か ら トリブシ
によ り分離 し,それ を二次 元 目で分子 サ イズに よ
5
8
新潟 医学 会雑 誌
第 1
24巻
第 2号
平成 22年 (
201
0) 2円
常澄 分析装置
測定されたペプチドの質量
サーチエンジン
7
8⊂ 二二1
14
5
6
・
7
8
9∈≡ヨ
9
8
7
.
6
5
4[
=】
3
3
3
.
4
4
4琶
23
45.
6
で検 索
に:う
図 l 質量 分析 装 置 に よ る タンパ ク質の同定の概略
りさらに分離す る もので,それ によ り組織 由来の
タ ンパ ク質 は数千個 の スポ 、
ソトに分離 で きる,ゲ
(
MALDI) 法 とエ レ ク トロ ズ プ レ - イ オ ン化
(
ESI
)法 が主に用 い られてい る.イオ ン分離法 と
ル を銀 染色 や蛍光 色素染 色 を し,その染色の強 さ
して は イオ ン化 との相 性 に よ り,MALDI法 で は
か らそれ ぞれの タンパ ク質の 毎
夏を推定す ることが
飛 行時間 型 (
TOF)質 量 分析 計 (
MALDI-TOF
で きる.
ES卜 Q MS)
MS) が ,ESI法 で は四 重 極 型 (Q)(
や イオ ン トラ ップ型 (
I
THES卜 I
TMS) が用 い
一
方,液体 クロマ トグ ラフ ィー
(
L
C)も改良 さ
を良 くす る方 法 も開発 され て い る.さらに,近 年
られ て きた. さ らに,最 近 で は 四重 極 型 に TOF
MSを備 えた ESI-Q -TOFや TOFを 2台つ ない
だ MALD巨 TOF-TOFも製 品 化 され て い る.そ
で は,ご く細い カラムを用いて分離 を良 くしたキ ャ
れ ぞれ特徴 が あ り,多数 の サ ンプルの簡 便 な同定
ピラ リー カラム,プロテ インチ ップを用いた SEL
DI
に は MALD卜 TOFMSが,ア ミノ酸 配 列 の 決 定
(Sur
f
a
c
eEnha
nc
e
dLa
s
e
rDe
s
o
r
p
t
i
o
n/
I
o
ni
z
a
t
i
o
n)
卜I
TMSや ES卜 Q-TOFが 用 い ら
な ど に は ES
礼,複 数の特 質の異 な るカ ラム を連結す る 仁 次
元,多次 元) ことで タンパ ク質 やペ プチ ドの分 離
法 もペプチ ドや タンパ ク質の分離 に使われている.
れ て い る.これ らの MSは大 きな タンパ ク質 は分
析 で きず,タンパ ク質 を トリプ シ ンな どでペ プチ
3)質 量 分 析 装 置 (
ma
s
ss
pe
c
t
r
ome
t
e
r
,MS) の
ドに分解 して,その貿 巌を測 るもので あ る.
進歩
ペ プチ ドの質量 を正確 に測定す るの が質量 分析
ン化 した タンパ ク質 を質 量分析装置の 中で断 片化
lo一l
s- l
らモ
装 置 で,それ に よ りフ ェム トモ ル (
した り,ア ミノ酸 配列 を解析 した り,翻訳 後修飾
ル ) レベルのペ プチ ドの質 量 を蔽確,迅速 に測定
を解析 で きる.
で きる.最 も進 んだ機 器の検 出感度 はゼ ム トモル
(フ ェム トモル の 1
/1
06) レベ ル に達 して い る と
言われ て い る.質量 分析 装置 は イオ ン源 と イオ ン
4)バ イオ インフォマテ ィクスの発達
バ イオ インフ ォマテ イク封 ま遺伝 子,タンパ ク
分 離 器-イオ ン検 出 器 か ら成 り,イオ ン源 と して
質 な どの さま ざまな生物情報 の総称 で,個 々の遺
は マ ト リ ッ ク ス 支 援 レ - ザ - 脱 離 イ オ ン化
伝 子 ,タンパ ク質の さま ざまな情 報 や タ ンパ ク質
山本 :Hu
ma
nPr
o
t
e
o
meOr
ga
n
i
z
a
t
i
o
n(
HUPO)のヒト腎臓 ・尿プロテオームプロジェク ト
5
9
の相互作用 などの情登 を含んでい る.プロテオ ミ
る.腎組織 は組織構築 が複雑で あるため を腎臓組
クスを疾患解析 に利用す るには さらに,それ らの
織 全体の プ ロテオ -ム解析 したのでは,同定 され
情報 と臨床情報 を連結 させ,その間の関係 を明 ら
た タンパ ク質の局在 が不明で,タンパ ク質同 士の
かにす る必要 がある.それ には統 計的手法,特 に
反応 も推定 で きない.その ため,少 な くとも腎組
多変量 解析 や機 械学習法 が有 用 と言 われてい る.
織 を皮質,髄 質 に分 けた り,さらには,ネフロン
プロデオ ミクスによるデータは膨 大で,それ らの
セグメン トに分画 して解析することが必要になる.
情報 と病態 を関連 させ るにはコンビュ- タ-を用
これ まで報告 されている腎臓組織の プ ロテオー
い,ク ラス ター解析,主成分分析,判別 分析 な ど
ム研究 はほ とん どが動物の腎臓で行 なわれ た もの
の 多変量解析 を行 う.また,デ- 夕内の法則 を仮
で ある.正常 ラッ ト腎の皮質 と髄質の タンパ ク質
定 して,ノイズに埋 もれ た法則を見出 そ うとす る
の プロファイル を比較 し,それ らの部位で異 なる
機械的学習法 も有用 と言 われている 2).
機 能分担 が行われてい ることがプロテオーム解析
方,同定 され た個 々の分子の間 をつ な ぐ糸 を
で示 されてい る 4).さらに,ラ ッ トの髄 質 か らマ
既知の情報か ら作 られたデータベースか ら明 らか
イクロダ イセ クシ ョン法 で集合管 分画 を分離 し,
に しよ うとす るパ スウェイ解析 ソフ トウエアやそ
集 合 管 に多い 50種類 の タンパ ク質 も報 告 されて
のデ- タベース も開発 されつつ あ り,これ らの解
い る 5).一方,尿 は正常で は タンパ ク質の量 が少
析 か ら腎臓病の病 因分子 だけではな く,病態の分
な く,濃縮 しない とプロテオ-ムは解析 で きない.
子機構 が解明 され そ こか ら病態の制御の研究 が
また,尿の濃 さも生活条件 な どによ り異 な ってい
進み,病気の治療法開発に結びつ くと期待 している.
るため,均 一
ではない.正常 (
蛋 白尿 の ない) ヒ
ト尿 の タンパ ク質 をアセ トンなどで沈殿 させ,演
2.腎臓 と尿のプロテオ ミクス
縮,分画 し,2-DE と MALD卜 TOFMSを組 み合
これ まで腎組織のプロテオームを解析 した研究
わせて,プロテオ-ム解析 し,67個 の タンパ ク質
は少 ないが,尿 プ ロテオ ーム解析 の報 告 は 1
9
9
5
が同定 した報吉 がある 隼 この 中には トランスポ
年 に Wi
t
z
ma
nnらが 2-DE を用いて,腎毒性物質
ー ター,接着因子,シャペ ロン,受容 体,酵素,シ
障 害 にお け る シ ャペ ロ ンや gl
ucos
e-r
egul
a
t
ed
グナル伝達 タンパ ク質 など興味深い タンパ ク質が
pr
o
t
ei
nな どの ス トレス反応性 タンパ ク質 を示 し
含 まれ,尿 タンパ ク質 には血渠由来 と腎泌尿 器系
タンパ ク
の組 織 由来 の もの が含 まれて い る ことが示 され
質の解析 がい くつ か発表 されて きた.しか し,当
た.微量の タンパ ク質か らよ り多 くの タンパ ク質
時は タンパ ク質の同産 には分離 した タンパ ク質の
を同定 す るには血 柴 プ ロテオ-ム解析
ア ミノ酸 配列 を決定 す る ことが必要 で あったた
提唱 されたよ うに,尿 に高濃度 に含 まれてい るタ
た初 期 の報 告
3) 後 ,2-DE を用 い た尿
7) の際
に
め,網羅的な同定 は困難であった.2000年煩か ら
ンパ ク質 を除 くことが つ の解決策 で ある.血柴
質量分析装置 を用いた網羅的なタンパ ク質の同定
由来 の アル ブ ミンや免疫 グ ロブ リンな どの他 に,
が可能 にな り,ヒ トの全 タンパ ク質の解析で現在
mm-Hor
s
f
a
l
lpr
ot
e
i
n
腎臓 か ら多 く分泌 され る Ta
主導的役割 をはた してい る国際組織,ヒ トプロテ
な どを取 り除 くことが,よ り詳細 な解析 に必要 と
オ ー ム機 構
nPr
ot
eomeOr
ga
ni
z
a
t
i
on,
(Huma
されてい る 8).特 に,蛋 白尿 の ある尿 では血 梁 タ
HUPO,後述 ) も組織 され,ヒ トプロテオ ーム研
ンパ ク質が大量 に含 まれ るので,腎臓 由来の タン
究 は急速 に拡大 して きた.
パ ク質 を同定す る際 にはそれが障害 になる.
1)正常 ヒ ト腎組織,正常 ヒ ト尿のプ ロテオーム
研究
2)腎臓病の検 出,病態解析 を目指 したプ ロテオ
ミクス (
病態 プロテオ ミクス)
多 くの タンパ ク質 をもれな く,精度 よく同意す
プロテオ ミクスで動物の腎臓病 モデルの組織 を
るプ ロテオ -ム解析 には試料 の調整 が大切 で あ
解析 に応 用 した例 で ,Ⅰ型糖尿病 の モデルマ ウス
6
0
新潟 医学 会雑 誌
第
1
2
4巻
の 腎 臓 の タ ンパ ク質 を 2-DE と MALD卜 TOF
第
2号
平成
2
2隼 (
2
0
1
0
)2月
で ある.また,残 念 なが ら,それ らの糸球体疾患
MSで調べ ,41個の タンパ ク質 スポ ッ トが変化 し,
の原因,糸球体障害 の進行機序 ,病態形成機序 が
3
0種 類 の タンパ ク質が同意 されている 9
)
.その 中
解明 されていないため,末期慢性 腎 不全への進行
には,e
l
a
s
t
a
s
eI
Ⅲ
Bの減少 と el
a
s
t
a
s
ei
nhi
bi
t
orEI
A
を阻止す る根治的治療法 は開発 されていないか ら
の 増 加 が 含 まれ て ,糖 尿 病 性 腎 症 の 発 症 に は
で もある.
e
l
a
s
t
i
n-e
l
a
s
t
a
s
e系の 異常 が関与 してい る 可能 性
1)個 々の分子 に注 目す る研究 か ら全分子 を網羅
が示唆 され た.
ヒ ト腎臓病 のプ ロテオ ミクス研 究では慢性 腎臓
的に解析す る研究へ
従 来の糸球体疾患の研究 は既 知の 単独分 予や反
病 の 主 な疾 患 で,糸 球 体 に I
g
Alが沈 着 して い る
I
gA腎症 の 王
g
Alを解 析 して ,短Alに糖鎖 不全 が
見つ か ってい る 腑. しか し,I
gA腎症の糸球体組
応 系 に注 目 し,病気への関 き
まを検討 し,それか ら
織 の病態 プ ロテオ ミクス解析 に関 して特 に取 り上
dr
i
v
e
ns
t
ud
y) が その 中 L、
で あ った.それ と は異
げ るべ き報告 は まだ見当た らない.腎細胞癌 をプ
な り,プロテオ -ム解析 は未知の分子 も含めて全
考 えられる疾患機序 を仮定す る研究 (
hy
po
t
he
s
i
s-
ロテオ ミクスで研究 しようとす る試み は多 く 11)12),
体 の実像 を捕 らえ (
di
s
c
o
v
e
r
y-dr
i
v
e
ns
t
ud
y)
,そ
wi
s
s-Pr
o
t内のデ ー タベ ー スで公
一 部 の成 果 は S
の 中か ら本質 を推定 し,疾患の分子機構 を検証 し,
開 され て い る (
ht
t
p:
//www.
e
xpas
y.
ch/c
h2d/
).腎毒性 を もつ薬物 や化学物質の
c
h2
d-t
o
p.
ht
ml
新 たな治療法や薬物の開発に結びつ く研究 に発展
させ よ うとい うものである.
腎臓 に対す る作用 をプ ロテオ ミクスの手法で解析
その ために,私 たちはは じめ に,正常 ヒ ト糸球
した報告 も多いが,優れ た総説が発表 されてい る
体の プロテオ-ムを解析 し,疾患糸球体の プ ロテ
ので参照 していただ きたい 1:
3
)
オ-ムと比較す るための基盤的 デ ー タべ-弐を作
尿 は入 手しやす い試料 であるため,尿検査 によ
るとともに,正常糸球体の生理学 的分 子パ スウェ
り,腎臓 ,さらには個 体 全体 の疾 患 病 態 を検 出,
イを明 らか にす ることを目指 して い る.次 に,疾
把握 で きるのではないか と期待 されてい る.尿 の
患糸球体の プ ロデオ-ム解析 を行い糸球体疾患の
プ ロデオ -ム解析 によ り,腎臓病の診断や治療効
病 因や病態形成 に関与 してい る分子 を網羅的に解
果の把握 に利用で きることを示す報告が近年数 多
明 し,病因か ら病態形成への過程の 分子パ スウェ
く報告 されてい る 14-1
6
)
.また,先 天性尿路 閉塞
イを解明 し,疾患 や病態変化 を定 量的 に把握す る
性疾患の新生児の尿 タンパ ク質の プ ロテオ-ム解
ための指標,いわゆ るバ イオマ - カーの同定,さ
析 を行 って,疾患予想 の有用 なバ イオマー カ-が
らには,治療標的分子の同定 と治療法の開発へ と
最近 兄いだ され 注 目 されている 17). 尿 プロテオ
展 開 しよ うと考 えてい る.
ミクスの腎疾患への応用 は他の総説 も参考 に して
いただ きたい 18ト
2(
)
)
方法 と しては,腎癌 などの ため摘 出 された ヒ ト
腎臓の d三
常皮質部位 よ り,糸球体 を締法で分離 し,
平行 して組織 を病理学的に検索 し,異常のない こ
3.糸球体 プ ロテオ ミクス
とを確認 して,正常 ヒ ト糸球体試料 を用意する.
0
01年 ころか ら正常 ヒ ト糸球体 の プ
私 ど もは 2
最初 に,NECの プ ロテオ ー ム研 究 所 の次 四時
ロデオ-ムデ - タベ ー ス作成 に取 り掛 か った.異
先生 らとの共同研究で 5例 の腎臓 よ り分離 した糸
常の糸 球体 プ ロテオームを知 るには まず正常 を良
球 休 タンパ ク質 ,1
0
0- 5
0
0/
1gを 2-DEゲル で
く把握 す る必要 があ る.また,ヒ トと動物 で は病
分離 した,2-DEゲルで分離 し,銀染色 され た タ
因,病態 が異な る可能性 もあるので,ヒ トを解析
ンパ ク質の スポ "
)トを切 り出 し,タンパ ク質 を ト
しよ うとい うので ある.なぜ,糸球体 か とい うと,
リプ シ ン消 化 し,MALDI
ITOFMS,LC-M/
MS
前 述 の よ うに,多 くの慢 性 腎臓病 は糸球 体疾 患 ,
解析 す ることで,約 4
5
0の スポ ッ トの タンパ ク質
糸球体障害 が徐 々に進行す ることか ら起 こるか ら
を同産 した.タンパ ク質 にア ノテ-シ ョンをつ け,
山本 :Hu
ma
nPr
o
t
e
o
meOr
ga
n
i
z
a
t
加 (
HUPO)のヒト腎臓 ・尿プロテオ-ムプロジェク ト
ヒ ト糸球体プ ロテオ -ムデ- 夕べ -ス を構築 した
6
1
連携 が必要 で あ り,それ を統一性 を もって推進す
0
01年 に設 立 され た囲際組織 で
ることを 目的 に 2
(
ht
t
p:
//
www.
hkupp.
or
g)
2
1)
この よ うなゲル内 で等電 点電 気泳動 を行 う 2-
ある (
ht
t
p:
//
www.
hupo.
or
g)
.HUPO で は最初 に
DEで は,膜 タンパ ク質 な どの大 きな タンパ ク質
7研 究 プ ロ ジ ェ ク トを HUPOI
ni
t
i
a
t
i
veと して ス
や等 電 点 が極 端 に酸 性 ,塩 基性 側 に偏 った タ ン
ター トさせ た (
表
パ ク質 は分離 で きな い欠点 が あ り,網 羅性 にや
Wor
l
dCongr
es
s
) が開催 され,各回の研究 者が集
や 問題 が あ った. その 欠点 を補 うため,液 相 で
い,プ ロテオーム研究の成 果の発表 と国際連携 に
等電 点電気泳動 を行 った後 ,2次 元 目の電 気泳動
爵献 してい る.各 回 にその支部 が置 かれ,わが国
を行い,短冊状 ゲル を 1
5分割 し,それ ぞれ をゲル
ht
t
p:
//
www.
に も 日本 ヒ トプ ロテ オ ー ム機 構 (
MS解析す るこ
内 トリプシン消化 し,LCITMS/
j
hupo.
or
g) が あ り,日本の プ ロデオ - ム研究の推
進 に 中心 的役 割 を果 た して い る.以 下 に HUPO
と も行 った.この 方法 で は 2
mgオ - ダーの タン
1
)
.毎 年 の 国際 会 議
(
HUPO
0
00種 類 の タンパ ク質の同定
パ ク質 を用 いて約 6
イニ シアチ ブの 中のい くつ かの もの を簡単 に紹 介
がで き 2
2
)
,この デ - 夕-ベ ース も公 開 して い る
す る.
研究 プ ロジェク トで は 肝臓,脳,血葦 が主 な臓
(
ht
t
p:
//
www.
hkupp.
or
g).
一
一
万,腎生検組織 か らプ ロテオーム解析 に必要
器のプ ロテオ-ムプ ロジェク トと して解析 が行わ
な糸 球体 タンパ ク質 を得 る ことは簡単 で はない.
れて きた (
図 2).その 中で,ヒ ト血祭 プ ロデオ -
腎生検組織切片か らレーザ -マ イクロダイセクシ
ム プ ロ ジ ェ ク トは ア メ リカの ミシ ガ ン大 学 の
ョンで数 十個 の糸球 体 を切 り出 し,タンパ ク質 を
Pr
o
f
.Gi
lOme
nnが代表 とな り 1
8施設 が参加 して
抽 出す ることを進 めてい る.1
0/
1m 程度 の厚 さの
腎生検組織 切片 に平 均 1
0個 程度 の糸球 体 が含 ま
国際共 同研究 が開始 され ,2
00
7年 にその解析結果
が発表 されてい る 2
3
)
.そこでは,血柴濃度 p
g/
ml
れ,その 平均 直 径 が 1
50′
j
m 程 度 と仮 定 す る と,
オ ー ダー以上 の血 柴 タンパ ク質約 3
0
00の タンパ
0糸球 体切 片 か ら約 1/
絹 の タンパ ク
約 5切 片 ,5
質が得 られ る,個 々の腎生検試料の疾患糸球体 プ
で は,血渠 タンパ ク質の濃度の高低 が幅広 く (
倍
ク質 が高 い信糖性 を もって同意 され てい る.一方
ロデオ -ム を正 常糸 球 体 プ ロデオ - ム と比 較 し
率 で 1013の オ - ダ-の差),少 ない もの が 多い タ
て,疾患 に特徴的な分子 や分子反応系 を検 出す る
ンパ ク質の影 に隠 れて,検 出 され に くい ことが問
には,この約 1〃gの タ ンパ ク質 で数百 種 類 の タ
ンパ ク質 を同定す る技術 が必要 と予想 され る.こ
題 と して指摘 されてい る.
の よ うな高感度のプ ロテオ ミクス技術の開発 と し
ス ウ ェ ー デ ンの Ro
ya
日ns
t
i
t
ut
eofTe
c
hno
l
o
gy
の Pr
o
f
.Ma
t
hi
a
sUh王
e
nが代 表の ヒ ト抗 体 イニ シ
て,蛍光色素 を用い た高感度の検 出法 と質量分析
アチ ブで は ヒ トの タンパ ク質全てに対す る抗体 を
装置 の精度 と感度 の向上の進歩 は 目覚 ま しい.撹
作製 し,それ を用いたデ- タベ ー スを作 ってい る,
雄 の タンパ ク質 で数 十か ら数
私 研究賓 で は 1
百の タンパ ク質の同定 が可能 な ところまで きてお
その ウェブサ イ トで は タンパ ク質 が遺伝子 ごとに
染色 体 上に分類 され,それ らに対す る抗体で ヒ ト
り,腎生検試料の プ ロテオ-ム解析 が現実の もの
組織 ア レ-を免疫組織化学染色 した結 果の画像 が
にな りつつ ある.
示 され て い る (
ht
t
p:
//
www.
pr
ot
e豆
na
t
及
a
s
.
or
e).多
くの研究 分野 で抗 体 は重要 な ツ-ルで あ り,この
ヒ トプ ロテオーム機構 とヒ ト腎臓 ・
尿 プロテオームプ ロジ ェク ト
プロジェク トが提供 してい るデ- タベ ースは大変
4
)
注 目されてい る 2
ヒ ト疾患糖 プ ロデオ-ムイニ シアチブは大阪大
ヒ トプ ロ デ オ - ム 機 構 (Huma
nPr
o
t
e
ome
:
h枕p:
//
W
Or
ga
ni
z
a
t
i
on,HUPO,Um.
.
hupo.
or
e)
は膨大 な ヒ トプロテオームを解析す るには国際的
学の谷口直之先生 が代表で開始 され たプ ロジェク
トで,糖鎖 に関連 す るプ ロテオ-ム解析 で,糖鎖,
糖 タンパ ク質の プ ロテオ ミクスの標準化や疾患 に
6
2
新潟 医学 会 雑誌
●
H
L
I
m
a
n
P
l
a
s
m
a
P
r
o
t
e
o
m
e
P
r
o
j
e
c
t
第
1
2
4巻
第
2号 平成 2
2年 (
2
0
1
0
)23
才
HUPO イニシアチブ
.
・
u n
・
n
rl
:
e
:
●
.
L iv
e
o te om
Pr
■
…
●∵
r
a
i
n
…・
・
・・
.
了 ・ ・・・・・
l
a ∫ ca
r
di
o・
・・・・
H
B
L
'
'
_●
:.
■'一
vas
cul
ar
.
● Proteom e
●
n
H
u
ma
A
n
t
i
b
o
d
y
I
n
i
t
i
a
t
i
v
e
P
r
o
t
e
i
n
A
t
l
a
s
●
l
v
'
'
▲
.
●
.
●
.
:
:
'
・
・
■
●
.
I
、…
.
●
HUPOヒト腎 搬 ・尿 プロテオ ー ム
イニ シアチ ブ
図2 HKUPPの研究 と HUPO イニ シアチ ブ間 の 国 際 連 携
関連 した糖 タンパ ク質の解析 が 目指 されている 2
5
)
活動 して い る 2
6
)
.現 在,腎臓 ・尿 プ ロテオ ーム解
この分野 は 日本 に多 くの研究者 がい る分野 で,日
析 法の標準化 ,解析結 果の デ- タベ ース作成 な ど
本 が主導 してい るプ ロジェク トで あ る.
の行 い,毎年 の ワー ク シ ョップ,シ ンポ ジウムな
私 た ち も糸球体 の プ ロテオ ーム解析 を開始 した
どで検 討 を行 って い る.ヒ ト腎臓 .尿 プ ロテオ -
当初 よ り HUPOWor
l
dCon
gr
es
sに参加 しなが ら,
ヒ ト腎臓病 の病 因 ・病態解析 の プ ロデオ ミクスに
ム プ ロ ジ ェ ク トの ホ - ム ペ - ジ
は国際連携 で ヒ ト腎臓 や尿 の プ ロテオ -ム解析 を
心の あ る方 は是非 ご覧 いただ き,この プ ロジェク
(
ht
t
p:
//
www.
hkupp. or
g) も設 けて い るの で 関
行 う必要 が あ ると考 え,国際 的 共同研究 に参加す
トへの参加 をお願 い したい.この プ ロジェク トで
0
0
5年 に ヒ ト腎臓 ・尿 プ ロデオ
る研究者 を募 り,2
は正常の ヒ ト腎組織 及び尿 の プ ロテオームデ - 夕
-ムプロジェク ト (
Huma
nKi
dne
ya
ndUr
i
ne
べ - スを国際連携 で構 築 し,ウェブ上 に公開 した
Pr
ot
eomePr
o
j
e
c
t
,HKUPP) チ ー ム を結 成 した .
り,尿 プ ロテオ ミタスの標準化の ガ イ ドラ インを
そ して,HUPOの プ ロジェク トとの連携 や デー タ
提供 す ることで,多 くの腎臓病研究 者の腎臓病 の
の 国 際 標 準 化 を計 るため,その活 動 を HUPO の
病 因,病態解析 研究 や尿 バ イオ マ - カバ 策索研究
プ ロ ジ ェ ク トと して認 め て も ら うこ と を HUPO
を推進 しよ うと考 えてい る 2
6
)
2
7
)
に申請 した.2
0
0
5年 に,HUPO に新 しい疾患バ イ
オ マ - 力 - イニ シ ア チ ブ (
D豆
s
e
a
s
eBi
oma
r
ke
r
) が設 け られ
l
ni
t
i
a
t
i
ve,DBI
お わ りに
その 傘 下 に Ki
dne
y
Di
s
ea
s
eが入 り,私 が その代 表 とな った.2
0
0
7年
これ まで原 因 が不 明で,十 分 な病態形成機序 の
には,DBIか ら離 れ HUPO の独立 した イニ シア
解明 もな され て い なか ったため,根 本的治療法 が
チ ブ,腎臓 ・尿 プ ロテオ -ム イニ シアチ ブ と して
なか った末期慢 性 腎不 全へ と進行す る慢性 腎臓病
山本 :Hu
ma
nPr
o
t
e
o
meOr
ga
ni
z
a
t
i
o
n(
HUPO)の ヒ ト腎臓 .尿プロテオームプロジェク ト
を腎臓組織 や尿 プ ロデオ -ム を網羅 的 に解析す る
ことで ブ レ イクスル ー を見 出 そ うとす るプ ロデオ
ミク スを紹 介 した.年 々増 加 す る透 析 患 者数の抑
制 の ための治療 法 の 開 発 には ヒ トの腎臓 組織 や尿
を対 象 と した膨 大 で あ るが地 道 で基礎 的 なプ ロデ
オ - ム解析 が重 要 と考 え,その現状 と国際連携 な
どを紹 介 した.この プ ロ ジェ ク トを推 進 す る こ と
は,新潟大学 が腎臓病 研 究 の研 究教 育 の 国際拠 点
と認 知 され る こ とに な る と考 え られ る.
PoundsJ,Aki
nsJ,Qi
a
nX,
Wa
n岩A,Wa
s
i
nge
rV,
WuCY,Zha
oX,Ze
ngR,Ar
c
ha
ko
vA,
Ts
u
gi
t
aA,
Be
e
r王
,
Pa
nde
yA,
Pi
s
a
noM,
Andr
e
ws㍗,
Ta
mme
n
H,
Spe
i
e
he
rDW a
ndHa
na
s
hSM:
Ov
er
v
i
e
wo
fも
he
HUPOPl
a
s
maPr
o
t
e
omePr
o
j
e
c
t
:
r
e
s
ul
t
s魚・
omt
he
pi
l
o
tpha
s
ewi
t
h35c
o
l
l
a
bor
a
t
i
ngl
a
bor
a
t
or
i
e
sa
nd
mul
t
i
pl
ea
na
l
y
t
i
c
a
lgr
oups
,酢ne
i
・
a
t
i
ng a c
o
r
e
da
t
a
s
e
to
f3
0
2
0pr
ot
e
主
nsa
ndapubl
i
c
l
y-a
v
a
i
l
a
bl
e
da
t
a
ba
s
e.
Pr
ot
eomi
c
s5
:
3
2
2
6-3
2
45,
2
0
0
5.
8)Spa
hrCS,Da
vi
sMT,Me
Gi
ni
e
yMD,Ro
bi
ns
on
J
H,Bur
p
sEJ,Be
je
J
,Mo托J,Cour
c
he
s
nePL,
Che
n 汰,Wha
hlRC,Yu W,Lue
t
hy R a
nd
Pa
t
t
e
r
s
onSD:
To
wa
r
ds退e
f
i
r
i
i
n
gt
heur
i
na
r
ypr
ot
e
o
me us
i
ng l
i
qui
dc
hr
oma
t
o
gr
a
phy-t
a
nde
m
l
P
r
o
f
i
l
i
n
ga
n
du
n
&
a
c
t
i
o
n
a
t
ma
s
ss
pe
c
t
r
ome
t
r
y
e
dt
r
y
p
t
i
dd短e
s
t
.Pr
o
t
e
om量
c
s1
:
9
3-1
07
,
2
0
01.
9)Thongboo
nke
r
d V,Ba
r
a
t
iMT,Mc
l
遍s
h KR,
Pi
e
r
c
eWM,
Pes
t
e
i
nPNa
ndK]
e
i
nJ
B:
Pr
o
t
e
omi
c
s
a
nddi
a
be
t
i
cne
pphr
opa
t
hy.Cont
r
i
bNe
p
hr
o
l1
41
:
1
4
2-1
5
4,
2
0
0
4.
niH,Ta
ka
ha
s
hiM,Ya
s
uda Y,
1
0)Hi
kiY, Oda
Ni
s
hi
mot
oA,I
wa
s
eH,Shi
nz
a
t
oT,Ko
ba
ya
s
hiY
a
nd Ma
e
da K: Ma
s
s s
pe
c
t
r
o
me
t
r
y pr
o
v
es
unde
r-0gl
yc
os
yl
a
t
i
ono
f
lo
g
me
r
ul
a
rI
gAli
nl
gA
ne
p
hr
o
pa
t
hy.
mdne
yl
nt5
9:
1
0
7
7-1
0
85
,
2
0
01.
l
l
)Sa
r
t
oC,Ma
r
o
c
c
hiA,Sa
nc
he
zJ
C,Gi
a
nnoneD,
Fr
ut
i
ge
r S,Gol
a
z 0,Wi
l
ki
ns MR,Do
r
o G,
Ca
ppe
l
l
a
noF,H咽 he
sG,Hoc
hs
t
r
a
s
s
e
rDFa
nd
Moc
a
r
e
l
l
iP:Re
na
lC
e
l
lc
a
r
e
i
nomaa
ndnor
ma
l
r
参 考 文 献
1)I
nt
e
r
na
t
i
ona
lhuma
nge
nomes
e
quenc
i
ngc
ons
o
r
t
i
um,Fi
ni
s
hi
ngt
hee
uc
hr
oma
t
i
cs
e
que
nc
eo
f
t
hehuma
nge
nome.
Na
t
ure4
31
:
9
31I9
45
,
2
0
0
4.
2)近藤 格 :疾患 プロテオ ミクスのためのバ イオ
インフォマテ ィクス.Ⅰ
n :戸田年総,荒木 令江 ,
(
編)
.疾患 プロテオ ミクスの最前線.大 阪,メデ
ィカル ドゥ.p1
3
4-1
3
9,
2
0
0
5
.
Ful
t
zCa
ndJ
a
r
no
tB:Two3)Wi
t
z
ma
nnF,
Cl
a
r
kJ,
di
me
ns
i
o
na
le
l
e
c
t
r
op
ho
r
e
t
i
cma
p
pi
ngO
fhe
p
a
t
i
c
a
nd r
e
na
l s
t
r
e
s
s pr
ot
e
i
ns
. El
e
c
t
r
o
phor
e
s
i
s
1
6:
45
1-45
9,1
9
95.
t
hurJ
M,
Tho
ngboonke
r
dV,
Sc
he
r
z
e
rJ
A,
Ca
i
J,
4)Ar
Pi
e
r
c
eWM a
ndKl
e
i
nJ
B:Di
f
f
e
r
e
nt
i
a
le
xpr
e
s
s
i
on
o
fpr
o
t
e
i
nsi
nr
e
na
lc
or
t
e
xa
ndme
dul
l
a
:apr
ot
e
om
i ca
ppr
o
a
c
h,Ki
dne
y王
nt
,6
2
:1
31
4-1
3
21
,
2
0
0
2.
l
ユC-La
nd
5)Ho
f
f
e
r
tJ
D,v
a
nBa
l
c
om BWM,Cho
Kne
ppe
rMA:Ap
pl
i
c
a
t
i
ono
fdi
f
f
e
r
e
nc
ege
le
l
e
ct
r
o
p
ho
r
es
i
s t
o t
he i
de
nt
豆
f
i
e
a
t
i
on o
fi
nne
r
me
dul
l
a
r
yC
o
l
l
e
c
t
i
ngduc
tp
T
O
t
e
i
ns
.AmIPhys
i
o
I
Re
na
l
Phys
i
o
12
8
6:
F1
7
0-F1
7
9
,
Z
O
掴.
6)Tho
ngboo
nke
r
dV,Mc
Lei
s
hKR,Å王
1
hurJ
Ma
nd
Ki
e
i
nJB:Pr
o
t
e
om
i Ca
na
l
ys
i
so
fnor
ma
lhuma
n
uT
i
na
r
ypr
o
t
e
i
nsi
s
ol
a
t
e
dbya
c
e
t
onepr
e
c
i
p
i
t
a
t
i
on
orul
t
r
a
c
e
nt
r
i
f
u
ga
t
i
on.氾dne
yi
mt6
2:1
4
61-1
4
6
9,
2
0
0
2
.
7)Ome
nGS,St
a
t
esDJ
,
Ada
ms
kiM,Bl
a
c
k
we
l
まで野,
r
mj
a
ko
bH,Ap
we
i
l
e
rA,Ha
a
bBB,
Me
no
nA,He
Si
mps
o
nRJ,Ka
ppEA,Mo
r
i
t
zR上,Cha
nDW,Ra
i
AJ,AdmonA,Aebersol
dA
,EngI,Ha
nc
o
c
kWS,
He
RaS
A,Me
ye
rH,Pa
i
汝YK,YooJ
S,Pi
ngP,
6
3
l
e
ki
dne
ypr
o
t
e
i
ne
xpr
e
s
s
i
on.El
e
c
t
l
・
OPho
r
e
s
i
s
,1
8:
5
9
9-6
0
4,1
9
97.
1
2)Ce
l
i
sJ
Ea
ndOS
t
e
r
ga
a
r
dM:Bl
a
dde
rs
qua
mous
c
e
l
lc
a
r
c
i
nomabi
。
ma
r
ke
r
sde
再v
e
df
r
o
m pr
ot
c
omi
c
s
.
EI
c
e
t
r
oph(
)
r
e
s
i
s21
:
21
1
5-21
21
,
2
0
0
0.
1
3)Unwi
nRD,Cr
a
ve
nRA,Ha
r
nde
nP,Ha
nr
a
ha
nS,
To
t
t
yN,Kno
wl
esM,Ea
r
d
l
e
yI
,Se
l
byPJa
nd
,
Ba
nksRE:Pr
ot
eomi
ec
ha
nge
si
nr
e
na
豆c
a
nc
e
r
a
ndc
ool
・
di
na
t
ede
mo
ns
t
r
a
t
i
o
no
fbo
t
hgl
y
c
o
l
y
t
i
c
a
ndm
it
oc
ondr
i
a
la
s
pe
c
t
so
ft
heWa
r
bur
ge
f
f
e
c
t
.
Pr
o
t
e
omi
c
s3:1
6
2
0-1
6
3
2,
2
0
0
3.
ns
e
nKC,Cr
a
me
rR,
1
4)Cut
i
l
l
a
sPR,Cha
lkl
e
yRJ,Ha
Nor
de
nAG,Wa
t
e
r
Be
l
dMD,Bt
l
r
l
i
n
ga
meALa
nd
Un
wi
nRJ
:
Theur
i
na
r
ypr
o
t
e
o
mei
nFa
nc
onis
yndr
o
mei
mp
l
i
e
ss
pe
e
i
員ci
t
yi
nt
her
e
a
bs
or
pt
i
ono
f
6
4
新潟 医学 会雑誌
第1
2
4巻
pr
o
t
e
i
nsbyr
e
na
lpr
o
xi
ma
it
ubul
eC
e
l
l
s
.Am I
Phys
i
o
はe
na
lPhys
i
o
12
87:
F3
5
3-3
6
4,
2
0
0
4.
1
5)Ha
ubi
t
zM,
Wi
t
t
keS,
We
i
s
s
i
nge
rEM,
Wa
l
de
nM,
Ruppr
e
c
htHD,Fl
oe
geJ
,Ha
l
t
e
r
.H a
ndMi
s
c
ha
k
H:Ur
nepr
i
o
t
e
i
npa
t
t
e
r
nsc
a
ns
e
r
vea
sdi
a
gnos
t
i
c
t
oo
l
si
npa
t
i
e
nt
swi
t
hl
g
Ane
p
hr
o
pa
t
hy.
mdne
yl
nt
6
7:
2
31
3-2
3
2
0,
2
0
0
5.
1
6)Ha
ubi
t
zM,
Wi
t
t
keS,
We
i
s
s
i
nge
rEM,
Wa
l
de
nM,
Ruppr
e
c
htHD,F王
oe
geI,Ha
l
t
e
rH a
ndMi
s
c
ha
k
nepr
ot
e
量
npa
枕e
r
nsc
a
ns
e
r
vea
sdi
a
gnos
t
i
c
H:Uri
t
oo
l
s呈
npa
t
i
e
nt
swi
t
h短Ane
phr
o
pa
t
hy.
氾dne
yl
nt
6
7
:
2
3旦
3-2
3
2
0,
2
0
0
5.
1
7)De
c
r
a
mc
rS,Wi
t
t
keS,Mi
s
c
ha
k H,Zur
bi
g P,
Wa
l
de
n M, Bo
ui
s
s
o
u F, Ba
s
c
a
nds J
L a
nd
Sc
ha
ns
t
r
aJ
P:Pr
e
di
c
t
i
ngt
hec
l
i
ni
c
lo
a
ut
c
o
meo
f
c
o
nge
ni
t
a
l uni
l
a
t
e
r
a
l ur
e
t
e
r
o
pe
l
v
i
c J
unc
t
i
o
n
r
y pro
t
e
ome
o
bs
t
r
uc
t
i
on i
n ne
wbo
r
n by ur
i
na
a
na
lys
i
s
.
Na
tMe
d1
2:
3
9
8-4
0
0
,
2
0
06.
nke
r
d V,Kl
e
i
nJ
B,J
e
v
a
nsAW a
nd
1
8)Thongboo
I
J
e
i
s
hKR:Ur
i
na
rypr
o
t
e
om
ic
sa
ndbi
oma
r
ke
r
Me
di
s
c
o
ve
r
y f
o
r gl
ome
r
la
u
r di
s
ea
s
es
. Cont
r
i
b
Ne
p
hr
o11
41
:
2
9
2-3
0
7,
2
0
0
4.
J
,Cona
wa
yM ,
1
9)Mi
s
c
ha
kH,Ap
we
i
l
e
rR,Ba
nksRF
Coo
nJ
,Dom
i ni
c
z
a
k A,Enr
i
c
hJ
H,Fl
i
s
e
rD,
Gi
r
o
l
a
miM, He
r
mj
a
ko
b H, Hoc
hs
t
r
a
s
s
e
r D,
J
a
nko
ws
kiJ
,J
ul
i
a
n BA,Kol
c
h W ,Ma
s
s
yZA,
Ne
us
ues
s C, No
v
a
kJ
,Pe
t
e
r A, Ros
s
i
ng K,
Sc
ha
ns
t
r
aJ
,S
e
mme
s OJ
, The
o
dor
es
c
u D,
Tho王
唱boo
nke
r
dV,We
i
s
s
i
nge
rEM,Va
nEykJ
E
a
ndYa
ma
mO
t
OT:Cl
i
ni
c
a
lpy
o
t
e
om
ie
s
:Ane
e
dt
o
de
Bnet
he最e
l
da
ndt
obe
gi
nt
os
e
ta
de
qua
t
e
s
t
a
nda
r
ds
.Pr
o
t
eo
mi
c
sCl
i
nApp
11
:1
4
8-1
5
6
,
2
0
0
7.
2
0)Yos
hi
daY,Mi
ya
mo
t
oM,BoX,Ya
oi
t
aE a
nd
Ya
ma
mo
t
oT:Ov
e
r
v
i
e
wo
fki
dne
ya
ndur
i
nepr
ot
e
o
meda
t
a
ba
s
e
s
.Co
nt
r
i
bNe
phr
o
l1
6
0:1
8
6-1
9
7,
20
0
8.
21
)Yos
hi
da Y, Mi
ya
z
a
kiK, Ka
m呈
i
e I,Sa
t
o M,
Okui
z
umiS,Ke
nmoc
hiA,Ka
mi
j
oK,Na
be
t
a
niT,
Ts
ugi
t
aA,
XuB,
Zha
ngY,
Ya
oi
t
aE,
Os
a
waTa
nd
Ya
ma
mo
t
oT:Two
di
me
ns
i
o
na
le
l
e
c
t
r
o
phor
e
t
呈
c
pr
o
f
l
l
i
ng o
fno
r
ma
lht
l
ma
n ki
dne
y gi
ome
ni
l
us
第 2号
平成 2
2年 (
2
01
0
) 2月
pr
o
t
e
ome a
nd c
ons
t
r
uc
t
i
on o
fa
ne
xt
e
ns
i
bl
e
s
e
d da
t
a
ba
s
e.
ma
r
kup l
a
ngua
ge (
ⅩML)-ba
Pr
o
t
e
o
mi
c
s5
:1
0
8
3I1
0
96,
2
0
0
5.
2
2)Mi
ya
mo
t
oM,
Yos
hi
daY,
Ta
guc
hiI
,Na
ga
s
a
kaY,
Ta
s
a
kiM,Zha
ngY,ⅩuB,Na
me
t
aM,Se
z
a
kiH,
Cue
l
l
a
rL,Os
a
waT,Mo
r
i
s
hi
t
aH,Se
k主
yam aS,
Ya
o
i
t
aE,Ki
mur
aKa
ndYa
ma
mo
t
oT:Ⅰ
n-de
p
t
h
p
r
o
t
e
omi
c pr
o
f
i
t
i
ng o
ft
he nor
ma
lhuma
n紘
Ki
dne
ygま
ome
r
ul
usus
i
ngt
wo-di
me
ns
i
o
na
lp
r
ot
e
呈
nPr
e
f
r
a
c
t
i
ona
t
i
o
ni
nc
o
mb摘a
t
i
onwi
t
hl
i
qui
d
c
hr
o
ma
t
o
gr
a
p
hy-t
a
nde
m ma
s
ss
pe
c
t
r
ome
t
r
y.J
Pr
o
t
e
omi
e
sRes6:
3
6
8
0-3
6
9
0
,
2
0
07.
2
3)St
a
t
e
sDJ
,Ome
nnGS,Bl
a
c
k
we
l
lTW ,Fe
r
i nD,
m
EngJ
,
Spe
i
c
he
rDW a
ndHa
na
s
hSM:Cha
l
l
e
nges
i
nde
r
i
v
i
n
gh短hc
o
n員de
nc
epr
o
t
e
i
ni
de
nt
i
f
l
C
a
t
i
o
ns
&om da
t
aga
t
he
r
edbyaHUPOpl
a
s
mapr
o
t
e
ome
c
o
l
l
a
bor
a
t
i
ves
t
ud
y.Na
tBi
o
t
e
c
hno12
4:3
3
3-3
3
8,
2
0
0
6
.
2
射 Uhl
e
nM a
ndPo
nt
e
nF:Ant
i
body-ba
s
e
dpr
ot
e
omi
c
sf
orhuma
nt
i
s
s
ue pr
o
Bl
i
ng.Mo
ICe
l
l
Pr
o
t
e
omi
c
s4:
3
8
4-3
9
3,
2
0
0
5.
25
)Wa
daY,Az
a
diP,Cos
t
e
l
l
oCE,De
l
lA,Dwe
k
ye
rH, Ge
ye
r R,Ka
ke
hiK, Ka
r
旦
s
s
on
RA,Ge
n S,
NG,na
t
o K,Ka
wa
s
a
kiN,Khoo KH,Ki
Kondo A,bt
t
o
v
a E,Me
c
hr
e
fY,Mi
yos
hiE,
Na
ka
mur
a紘,Na
r
i
ma
t
s
uH,No
vo
t
nyMV,Pa
c
ke
r
i,Pe
r
T
e
a
t
l
i
tH,Pe
t
e
r-Ka
t
a
l
ni
i
cJ
,Po
hl
e
nt
zG,
NI
Re
i
nho
l
dVN,Rt
l
ddPM,Suz
t
l
kiAa
ndTa
ni
guc
hi
N:Co
mpa
r
i
s
on o
ft
he me
t
hods f
o
rpr
o
員l
i
ng
lye
g
o
pr
o
t
e
i
n gi
yc
a
ns-HUPO Huma
n Di
s
e
a
s
e
Gl
yc
omi
c
s
/
Pr
ot
e
ome 貫
涌i
a
t
i
v
e mul
t
i
-i
ns
t
i
t
ut
i
o
na
ls
t
ud
y.
Gl
yc
o
bi
o
l
o
約71
7
:
41
1-4
2
2,
2
0
0
7.
o
t
e
omi
c
s Pr
o
j
e
c
t
s
:HKUPP
2
6)Co
t
t
i
n
gha
m K:Pr
be
c
o
mc
saf
u
i
仁王
kdge
di
ni
t
i
a
如eo
fi
t
so
wn.J
Pr
o
t
e
o
meRe
s7
:
4
朗,
2
0
08.
2
7)Ya
ma
mo
t
oT,La
ngha
m RG,Ro
nc
oP,Kne
ppe
r
もongboo
nke
r
dV:To
wa
r
dsSt
a
nda
r
d
MA a
ndl
Pr
o
t
o
e
o
l
sa
ndGui
de
l
i
ne
sf
o
rUr
i
nePr
o
t
e
o
mi
c
s
:
A Re
pol
l0
nt
he Huma
n Ki
dne
ya
nd Ur
i
ne
Pr
o
t
e
ome Pr
o
j
e
c
t(
HKUPP) s
ympo
s
i
um a
nd
Wo
r
ks
ho
p.
Pr
o
t
e
omi
c
s8:
21
5
6-21
5
9,
2
0
0
8.