LC-CO2 UF膜、NF膜、RO膜

LC-CO2
ラ イ フ サ イ ク ル ア セ ス メ ン ト ( LCA) は 製 品
な お 、 下 水 道 施 設 は 土 木 施 設 で 50年 、 電 気 ・
あるいは施設のライフサイクルにおいて発生する
機械設備で7~15年と異なるライフサイクル期間
環境影響を評価するための手法で、利用する資材
の施設から構成されるため、環境負荷量を 1年当
や廃棄物の処理等、事業実施区域外での行為も含
たりに換算することで施設ごとの期間の相違を補
めて定量的に評価するものである。検討対象とす
正する。
る 環 境 負 荷 項 目 は LCA実 施 者 が 目 的 に 応 じ て 設
定することが原則となっており、例えばエネル
ギー消費や温室効果ガス発生量などが挙げられる。
この中で、下水処理に伴う活動から排出される温
室効果ガスのうち排出量が最も多く社会的関心の
高 い 二 酸 化 炭 素 を 対 象 と し た も の が LC-CO 2 ( life
cycle CO 2 ) で あ る 。 LC-CO 2 を 算 出 す る に 当 た っ
ては検討対象範囲の設定を行う必要があるが、下
水道施設の場合のライフサイクルの範囲を図に示
す。各段階について、資材およびユーティリティ
の消費、施工、廃棄物の処理等の活動に伴うCO 2
図
下水道施設に着目した場合のライフサイクルの範囲
発生量を、それらの活動量と産業連関表に基づく
データベース等に示された原単位からの積み上げ
(参考資料より転載)
参考文献
計算により算定する。ただし、数量等のデータが
下水道におけるLCA適用の考 え方
得られない場合は、延床面積あたりの原単位から
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0579.htm
国総研資料
第579号
簡易的に算定することも可能である。
UF膜、NF膜、RO膜
UF ( ultrafiltration : 限 外 ろ 過 ) 膜 、 NF
現在、およそ500箇所の浄水処理施設で膜処理
( nanofiltration: ナ ノ ろ 過 、 低 圧 逆 浸 透 ) 膜 、
を利用した浄水処理が導入されている。また、下
RO( reverse osmosis: 逆 浸 透 ) 膜 は 水 処 理 等 に
水処理水再生施設でもMF膜と RO膜を組み合わ せ
利用される膜の名称であり、分離対象とする物質
た親水用水、修景用水利用等が実施されている。
膜の適用範囲
に応じて使用される。これらの膜処理では、大腸
菌の除去や微量化学物質、ウイルスの低減効果が
とが可能となるため、下水処理および浄水処理に
図に原水中の成分のサイズ分布と、膜の適用
範 囲 の 対 応 を 示 す 。 UF 膜 は 分 子 量 が
(μm)
原水中の成分
活用されている。
1,000~200,000の物質を分離対象としており、ウ
イルスや溶解性有機物の一部も除去可能である。
限外ろ過(UF)膜
ナノろ過(NF)膜
逆浸透(RO)膜
サイズ
あることから衛生学的な水系リスクを低減するこ
砂ろ過
精密ろ過(MF)膜
10-4
10-2
10-1
塩素イオン
亜鉛イオン
フッ素イオン
鉛イオン
1
10
100
農薬・有機物
ナトリウムイオン
硫酸イオン
図
10-3
フミン酸
フルボ酸
臭気物質
各種ウィルス
陰イオン
界面活性剤
トリハロメタン
コレラ菌
藻類・泥
大腸菌
赤痢菌
ジアルジア
クリプトスポリジウム
膜の種類と分離対象物質(参考資料より転載)
NF膜、RO膜は膜の素材と除去対象物質(分子やイ
参考文献
オン)との親和性の違いを利用したもので、NF膜
下 水 道 へ の 膜 処 理 技 術 導 入 の た め の ガ イ ド ラ イ ン [第 2版 ]
で 分 子 量 200~1,000、 RO膜 で 分 子 量 350以 下 の 物
http://www.mlit.go.jp/common/000146906.pdf
質の分離性能をもつ。
国総研
下水処理研究室
宮本
綾子