Title Author(s) Microbomb Combustion Calorimetry of Non-planar Aromatic Hydrocarbons 清林, 哲 Citation Issue Date Text Version ETD URL http://hdl.handle.net/11094/862 DOI Rights Osaka University 4EZJ 博士の専攻分野の名称 は車問 氏 名 博 学位記番号第 < 11 } 林 哲 士(理学) 1 2 188 号 学位授与年月日 平成 7 年 1 2 月 2 1 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 理学研究科無機及び物理化学専攻 学位論文名 MicrobombCombustionC a l o r i m e t r yo fN o n p l a n a rA r o m a t i c H y d r o c a r b o n s (非平面芳香族炭化水素の微量燃焼熱測定) (主査) 論文審査委員 教授但係道夫 (副査) 教授松尾隆祐 教授川合知二 助教授山本景杵 論文内容の要旨 ミクロ熱研究センターにおいて開発された微量燃焼熱量計を以て C60 , C70,コラヌレン,コロネンの標準生成エンタル C70,コラヌレン,コロネンの順にムrH ( g ) O ピー及び原子化エンタルビーを決定した。得られた結果は以下の通り: C60 , /kJ ・ mol- 1 = 2 501: ! :17 , (g)/kJ ・ mot = 4 0498: ! :3 1, 16050 , 1 9 5 2 1 : : ! :140 2 5 3 6 : : ! :20 , 463.7 , 295. 4 : : ! :9.1 及びム.H O 1 47531: ! :37, これらの実験値を幾つかの理論計算値と比較してみたところ,半経験的手法は非平面分子の標準 生成エンタルビーを正しく予測するためには何らかの改良が不可欠であることが示された。 七つの平面型多環ベンゼノイド芳香族炭化水素 (PBAH) ,ベンゼン,ナフタレン,アントラセン,ピレン,コロネン, 及びグラファイトに対する原子化エンタルビーの実験値を以下の 3 パラメータ関数に最適化した。 ム.H O =n c c E c c+nCHEcH +TRE β ここで ncc, nCH は各々 CC 結合, CH 結合の数であり , Ecc , ECH は各々局在した仮想的 CC 結合, CH 結合のエネルギー, TRE は位相幾何共鳴エネルギー, β はヒュッケル共鳴積分である。この関数は僅か 3 パラメータであるにも拘わらず, Ecc/kJ ・ mol- 1 =462.6 , ECH/kJ.mor1 =44 1. 6, β/kJ •m o l -1 =362.2 を以てこれら平面型 PBAH の原子化エン タルビーをよく再現した。 上で得られたパラメータの値を実験で得られた原子化エンタルビーから C仙 Co 及び、コラヌレンの歪エネルギーを算 出するのに用い,これら非平面分子における共鳴エネルギーと歪エネルギーの競合関係を定量的に評価した。 Cω, C70 及 びコラヌレンの歪エネルギーは各々 1707 , 1754 , 195.7kJ ・ mol- と計算された。 C仙 C70 の歪エネルギーが近いこと 1 からフラーレンにおける「曲率保存則」が確認された。原子化エンタルビーを共鳴エネルギーと局在結合エネルギー に分離したことにより,非平面分子の歪エネルギーが簡単な力場モデルで説明されることが分かった。単殻フラーレン, 多殻フラーレン(フラーレンオニオン) ,グラファイト片の相対的安定性の予測を行い, 1000 炭素原子程度の集合では 多殻フラーレンが最安定であることを明らかにした。 - 93- 論文審査の結果の要旨 清林哲君は微量燃焼熱量計を開発し, Cω, C70,コラヌレン,コロネンの標準生成エンタルビー及び原子化エンタルビー を決定した。これら非平面分子の標準生成エンタルビーを半経験的に予測する新しい方法を考案し,共鳴エネルギーと 歪エネルギーの競合関係を定量的に評価した。また単殻フラーレン,多殻フラーレン(フラーレンオニオン) ,グラファ イト片の熱力学上の相対的安定性の予測を行い, 1000 炭素原子程度の集合では多殻フラーレンが最も安定であること を明らかにした。 極めて独創性の高い研究であり,博士(理学)の学位論文として十分価値あるものと認める。 - 94 ー
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