Taro-20140725 0719SPP HP原稿.jt

SPP事業「ちきゅうディスカバリー」野外実習・屋内実習が行われました
7月19日(土)と20日(日)の2日間,5月の講演会に引き続きいて(独)海洋研究開発機構
とのSPP(サイエンス・パートナーシップ・プログラム)連携事業「ちきゅうディスカバリー ~
地球のダイナミクスと自然現象・自然災害へのアプローチ~」が行われました。講師は前回に引き続
き技術主任小俣珠乃博士と榎本有さん。19日は鳴瀬川と北上川河口を中心とした野外実習,翌日2
0日は採取試料の観察,観測船からのスカイプを用いた講義,地球コアの観察実習が行なわれました。
事前(15日,18日)に実習場所と実習方法の留意点を学習した11名が実習に臨みました。
第1日目
平成26年7月19日(土)
8:00~17:00
8:00 学校出発
学校出発時はどんよりした曇り空。
バスの中でも,再度実習内容を確認。
また,東北地方の地学的な成り立ち
の講義を受けました。
バスの中での予習
9:30 東松島町小野(鳴瀬川河川敷)
鳴瀬未来中学校近くの鳴瀬川堤防で,第1回目の試料採取です。
雨はポツポツ降り始めましたが,気になるほどの雨でもなく,採取続行。
河原から砂の採取
椀がけ作業
採取場所を確認後,河原から砂を採取。採取した砂の一部を椀がけ作業で粒をそろえ,さ
らに重い砂により分けます。
鳴瀬川は船形山を源とする鳴瀬川水系の本流です。延長は約90km
12:00 石巻市北上町(旧北上川 追波湾)
石巻市北上川へ移動。現在北上川は旧石巻市街地に河口がありますが,むかしは旧北上町
追波湾が河口でした。実習場所近くの釣石神社にまず参拝。御神体の巨石が幾多の災害でも
ビクともしないことから受験の神様として有名です。その後,十三浜地域で砂を採取しまし
た。
雨中での小俣先生の説明
釣石神社で参拝
北上川での試料採取
北上川は岩手県岩手郡岩手町が水源。総延長は約250km
14:00 石巻市雄勝町(スレート粘板岩)
雄勝硯生産販売協同組合での講話
クリノメーターでの測定
雄勝硯やスレート瓦の話を伺う
劈開の様子
雄勝硯生産販売協同組合の方からスレート瓦や塀などの建築材料、硯などの材料の話を伺
いました。その後,雨脚が強まる中クリノメーターを用い地層を測定し,ハンマーを用いて
劈開を観察したりしながら露頭での実習を行いました。
17:00 学校到着・解散
第2日 7月20日(日) 9:30~16:00 屋内実習
9:30 1日目の実習内容の再確認と東北地方の成り立ちを改めて講義していただきました。
10:30 採取してきた試料を洗浄して乾燥。いよいよ双眼実体顕微鏡で観察です。
試料のクリーニング
顕微鏡での観察
鉱物の様子
採取してきた試料に,どのような鉱物が入っているかを調べます。鳴瀬川からの採取試
料と北上川からの採取試料とでは,有色鉱物の割合が違うことなども観察しました。
13:00
ジョイデス・リゾリューション号(JOIDES Resolusion)からスカイプを用いた中継が行
われました。この観測船は地質学,海洋学研究のために運用されている深海掘削船であり,
国際的な研究の場所となっています。当日は晴天の奄美三角海盆を掘削中でしたが,乗船
していた研究者と交信を行い,研究の様子を伺いました。
掘削船の働きを説明
研究内容の説明
乗船研究者へ質問
14:00
深海コアの観察。高知にある海洋コア総合研究センターに冷蔵保管中の地殻コア2本を多
賀城高校へ搬送していただき,各々の観察を行いました。海底1697mおよび5312mか
ら掘り出された円柱コアの特徴を観察し,さらにそのコアに含まれている微化石の観察も
行いました。コアには過去の地球の出来事が,様々な形で記録されているという話を聞き
ながら,コアの観察の仕方について学びました。
地殻コアの観察
16:00
スケッチと記録
コア中の微化石の観察
2日間の実験実習を総括しながら,この結果をまとめていく方法や考察する方法などにつ
いて,最終的な講義をしていただきました。
地球の歴史
2日間のまとめ
実習のまとめ方
生徒の声
・たくさん楽しいことがあり充実した野外実習になったと思います。その中でも楽しかった
ことが2つあります。1つは椀がけです。鳴瀬川と北上川の石の大きさや色の違いがはっ
きりわかり新たな発見ができました。もう一つはスレートです。ハンマーを使って普通の
石とは違う割れ方に驚き,この不思議な割れ方をもっと調べたいと思いました。やはり講
師の小俣先生がみんなと雨の中にもかかわらず野外を歩きながら教えていただいたことが
良い経験となりました。
・今回の活動では普段の学校授業では体験できない現地での活動を主にさせていただけまし
た。学校で準備された物を見るのと,実際に現地へ自分で出向き,現地の様子を見ながら
採取し,自分で採取した物を観察することは全く違うものだと実感できました。このよう
な研究を沢山されてきた小俣さん達を今更ながら尊敬しました。またこのような機会があ
れば是非参加したいです。
・私は今回の体験を経て,多くのことを学びました。1つは研究することの大変さです。雨
が降っていたこともありますが,毎回研究をする度にあれほど大変なことをしているんだ
と考えると頭が痛くなるほどです。それでも自分で試料を取りに行こうということはとて
も新鮮な体験となりました。2つ目は新たな発見をする楽しさです。私たちは今回鳴瀬川,
北上川,雄勝湾といろいろな発見をしました。砂や、土,地層を調べることにより,その場
所を知るだけではなく,宮城,日本,そして地球までも知ることにつながるのだと感じま
した。それはとてもすばらしいことで,この実習を通して,自分が地球のことをさらに知
ろうとしていると思うと胸が高まるように感じました。