ICT活用により、 先生と生徒とのコミュニケーションが充実

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ICT活用により、
先生と生徒とのコミュニケーションが充実
私立
岡山中学・高等学校 中高一貫校
共学
普通科、東大・国立医学部コース、難関大コース 規模: 1学年約130名(2014年度)
主な進路状況: 国公立大68人、うち国公立医学科19人、京都大1人、大阪大4人など (2014年度入試)
取り組み
● タブレットを活用し、生徒情報(授業の指導履歴・出欠状況など)を 教員全体で共有
● 全教室に導入したプロジェクター+生徒用タブレットの活用により デジタル教材を積極的に利用し、授業の改善・効率化を図る
取り組みの
背景
■ 講義形式の授業が中学校でも行われており、双方向の授業があまり実践されていなかった
■ 同時に、授業中に生徒の顔を上げさせる工夫が求められていた タブレットを活用し、生徒の
指導情報を教員団全体で共有
②同時に、授業中に生徒の顔を上げさせる工夫が
求められていたこと。
──── 実際の取り組みについて、まずは、教員間の
──── 御校のICT環境について教えてください。
情報共有の観点で教えてください。
先生 先生 システムの入れ替えを好機に、校内のICT
環境を整備しました。2013年から全教室に
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用して入力・管理しています。
プロジェクターを配備し、全担任にタブレット
入力は、タブレットを用いて教師がその場で行
を配付しています。2014年の2学期からは中
い、月ごとにcsvファイルで出力し、報告。ま
学3年生にタブレットを配布しています。
た、中学では授業での記録を観点別評価に
──── 取り組みの背景を教えてください。
先生 各授業の出欠や授業の様子を、Classiを利
以下2点が取り組みの背景・目的です。
活かしています。
これまでは、紙に記入し、授業後にPCで入力してい
①中学校で講義形式の授業が行われてお
ましたが、タブレットを活用したことで、授業
り、双方向の授業があまり実践されていな
中にその場でつけられるようになり、情報連
かったこと。
携がスムーズになりました。
──── 授業以外ではどのような情報共有をされてい
ますか。
先生 以下2つの情報共有をClassiで行っています。
タブレットとプロジェクターを活用し、
授業を改善・効率化
①1点目が、「生徒カルテ」機能を用いた、職員全体で
の生徒個人への指導履歴の共有です。担任、
──── 授業でのお取り組みの詳細をお教えください。
学年の先生だけでなく、部活の顧問や接点
先生 授業での工夫は2点です。
まず、タブレットとプロジェクターを用いて、図説
があまりない先生でも生徒に声掛けがしや
のデータなどを手軽に投影し、生徒の関心
すくなりました。
をひきつける工夫をしています。
<メリット>
①:タブレットとプロジェクターを使うことで、PCより手
軽に図版や資料を投影できる。これにより、
生徒の顔が上がるようになった。
②:生徒のノートや答案をタブレットで撮影し
て、プロジェクターで投影することができる。
今までは生徒の板書写しに時間がかかって
いたが、その時間を省くことができる。
2点目は、生徒の手元のタブレットと同じものをプ
ロジェクターにも映すことで、授業中に生徒
▲ 生徒カルテ>生徒メモ での情報共有イメージ
の顔が上がるようにしています。
Classiの「コンテンツボックス」に入れた資料を生徒の
②2点目が、校務分掌ごとにグループを作り、
タブレットに開かせて、プロジェクターで前方
Classi上で情報を共有していることです。
にも投影。今まで見えにくかった後方の生徒
先生同士の連絡事項は、今まではメールでのやりと
りでしたが、すべてClassiで行うようにしまし
でも資料が見やすくなり、それ以外の生徒
た。
は前を向くようになり、生徒の顔が上がり、
音読時の生徒の声も大きくなりました。
分掌ごとにグループを作ることで、コミュニ
ケーションが活性化しました。また、これまで
の履歴を追えるため、情報を把握しやすくな
りました。
実際に授業で使ってい
る資料。この画面のよう
な英語の単語や英語の
本文をプロジェクターに
映すのと同時に、生徒
の画面にも表示
生徒の声
・後ろの席でも手元のタブレットと同じものがあるので、
見えにくいことが減りました。
・タブレットを授業で使う時間は多くても10~15分くらい
です。 先生 また、三者面談でもタブレットとClassiを使っ
ています。Classiでは、模試や学力推移調査
などのテストの成績データが自動で連携され
るので、 よりスムーズに保護者や生徒と情
報を共有できるようになりました。
▲ 校内グループを使った先生間の情報共有のイメージ
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Classiを利用した
生徒との双方向学習の実現
資料のデジタル化による
ペーパーレス化
──── 授業以外の家庭学習でのお取り組みはどの
──── 学習・指導面でその他に工夫はありますか。
ようなものでしょうか。
先生 学習面について、生徒と双方向のやりとりを
先生 配布資料をデジタル化し、ペーパーレス化を
実現しています。
するツールとして、Classiを活用しています。
Classiの「グループ」に小テスト・定期テストの解答や
<例>
①宿題を行ったら、英語の授業の「グルー
授業で使う資料をPDFで掲載。テスト自体は
プ」に生徒がコメントを残し、宿題の状況管
紙で実施しますが、解答だけデジタルで配
理をしています。(以下イメージ参照)
信するようにています。
配布の手間が削減され、生徒の紙の紛失も減る効
②長期休み等でも追加の宿題や解答をUPした際な
果が出ています。
どに連絡ツールとしても役に立っています。
先生が授業グループ上
で宿題を指示
生徒が取り組んだらコメ
ントをする
▲作成しているグループ一覧。授業ごとにグループを作成
し、資料や問題の解答を配信している。
▲配信された定期考査の解答。生徒は自分のタブレットに
配信される解答を見て復習している。
▲ 校内グループ での情報共有イメージ
生徒の声
・先生からのお知らせや連絡事項、テスト範囲がグルー
プに配信されます。毎日家に帰ったら一度は見るように
しています。
・配信は1日1回ぐらいで、家では10分~15分くらいタブ
レットを使っています。
・先生とのメッセージのやり取りもします。先生にすぐ聞
けるのがいいです。学年の先生は1日以内には返信が
返ってくるのでありがたいです。
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生徒の声
・宿題や授業で使う資料がファイルボックスで配信されま
す。国数英が多いです。
・問題の解答が配信されます。今までは「解答どこにいっ
たっけ?」と探していましたが、タブレットだとすぐに出てく
るので効率が上がりました。また、必要に応じてスクリー
ンショットをとって保管したりもしています。
・ゴミが出ず、環境にも良いと思います。
先生同士・先生と生徒間のコミュニケーションが深まる
成
果
■ 生徒から、「なんで先生そんなこと知っているの?」と言われることが増え、先生間の情報共有が進んだことに
よる効果を感じています。先生同士の連絡や情報共有が活発になり、他学年の様子もわかるようになりました。
■プロジェクター・タブレットの導入により、授業の効率化・生徒の顔を上げることに成功しました。生徒が板書して
いた時間を、双方向のコミュニケーション(対話・発問)の時間に使えるようになっています。
今
後
■ デジタルとアナログの融合を模索しています。
向
けるか。授業も全てデジタルで良いわけではな
デジタルの手軽で早いという利点をどう位置付
いし、共有という面もデジタルだけではダメ。本
当に大事な共有事項は、現在も職員室のホワ
イトボードに書き、意識するようにしています。
お話を伺った 明樂 晃先生(左) 安永 亜紀先生(右)
■ 先生間のICTスキルの格差については、現在、
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クラス担任を年配の先生と若い先生とでペアを
組む形にしてフォローできるようにしています。ま
た、進路指導部が主体となって、Classiの使い
方説明やガイダンスを先生方に行っており、今
後もそれを継続していきたいです。