2014 年度 幾何学演義 II 演習・小テスト第1回 (11/5) • 試験時間は4限の90分です。 • 持ち込み不可です。 記号. • n は正の整数,r は正の実数とする. • a ∈ Rn に対し,Bn (a, r) = {x ∈ Rn | |x − a| < r} とする.ここで | | は Rn のユー クリッド距離である. • 同値関係が与えられたとき x の同値類を [x] で表す. 問題1. J = (0, 1) = {x ∈ R | 0 < x < 1} とする.Bn (0, 1) と J の n 個の直積 J n = J × J × · · · × J は同相であることを示せ. 問題2. X = {(x, y) ∈ R2 | y = 0} ∪ {(x, y) ∈ R2 | y = 1} とする.この位相空間 X 上の 同値関係を (x1 , y1 ) ∼ (x2 , y2 ) ⇔ x1 = x2 かつ x1 6= 0 または (x1 , y1 ) = (x2 , y2 ) で定める.商空間 Y = X/ ∼ はハウスドルフでないことを示せ. 問題3. X = S 1 とする.有限群 G = Z/5Z の X への作用 α : G × X → X を α([m], z) = e 2πim 5 z で定める.ここで m ∈ Z である.この群作用による X の商空間を Y とする. (1) Z = S 1 とし,f : Y → Z を f ([z]) = z 5 で定める.f は well-defined かつ全単射である ことを示せ. (2) f は連続写像であることを示せ. 1 2 2014 年度 幾何学演義 II 演習・小テスト第1回 (11/5) 問題1解答. 方針:Bn (0, 1) から Rn への同相写像 fn と J n から Rn への同相写像 Fn を構 成する. 写像 fn : Bn (0, 1) → Rn を x 1 − |x| で定める.fn は同相写像である. (証明は問 1.3 でやったので略) fn (x) = u : J → B1 (0, 1) = (−1, 1) を u(x) = 2x − 1 とおき,Fn : J n → Rn を Fn (x) = ((f1 ◦ u)(x1 ), . . . , (f1 ◦ u)(xn )) で定める.ただし f1 は上で定めた fn で n = 1 としたものである.Fn が同相写像である ことは u, f1 が同相写像であることから従う. 以上より fn−1 ◦ Fn : J n → Bn (0, 1) は同相写像である.よって Bn (0, 1) と J n は同相. 問題2解答. (方針:おおざっぱに言えば X は”2個原点があるような数直線”である.こ の2つの原点を分離するような近傍は存在しないことを示す.) P = [(0, 0)] ∈ Y , Q = [(0, 1)] ∈ Y とする ((0, 0) 6∼ (0, 1) より P 6= Q である).P の任意 の近傍 U と Q の任意の近傍 V は U ∩ V 6= ∅ であることを示せばよい.π : X → Y を商写 像とする. U ⊂ Y を P の近傍とすると,商位相と相対位相の定義より R2 の開集合 U˜ で U˜ ∩ X = π −1 (U ) となるものが存在する.π −1 (P ) は1点 (0, 0) のみから成るから (0, 0) ∈ U˜ が成り ˜ は R2 の開集合だから R2 の通常の位相の定義より) B2 ((0, 0), δ) ⊂ U˜ となる正の 立つ.(U 実数 δ が存在する.Q の近傍 V に対しても同様に V˜ ⊂ R2 をとると,B2 ((0, 1), ) ⊂ V˜ と なる正の実数 が存在する. 0 < x < min{δ, } を満たす x をとる.(x, 0) ∈ B2 ((0, 0), δ)∩ ⊂ U˜ ∩X だから [(x, 0)] ∈ U . 同様にして [(x, 1)] ∈ V .[(x, 0)] = [(x, 1)] であるから U ∩ V 6= ∅ が示せた. 問題3解答. (1) f が well-defined であることと単射であること: well-defined を示すに は z, z 0 ∈ X に対し,z ∼ z 0 ⇒ f (z) = f (z 0 ) を示せばよい.また単射を示すには z, z 0 ∈ X に対し,f ([z]) = f ([z 0 ]) ⇒ z ∼ z 0 を示せばよい.今、 f ([z]) = f ([z 0 ]) ⇔ z 5 = (z 0 )5 ⇔ z = z0e 2πim 5 (∃m ∈ Z) ⇔ z ∼ z 0 だから well-defined であることと単射性のどちらも示せた. 全射であること:w ∈ Z に対して ξ 5 = w を満たす ξ をひとつとれば ξ ∈ S 1 かつ f ([ξ]) = w となる.よって f は全射. (2) π : X → Y を商写像とする f˜ : X → Z を f˜(z) = f (π(z)) = z 5 で定める.(f˜ は C から C への多項式写像 z 5 の制限であるから連続である.) f˜ が連続だから,任意の開集合 U ⊂ Z に対して f˜−1 (U ) ⊂ X は開集合である.f˜−1 (U ) = def π −1 (f −1 (U )) であることと、商空間の位相の定義 ( V ⊂ Y が開集合 ⇔ π −1 (V ) ⊂ X が開 集合) より f −1 (U ) は開集合であることが分かった.よって f は連続である.
© Copyright 2024 ExpyDoc