特集 学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 17 日本実験力学会 2012 年度年会講演会に参加して 山 下 敦 司 Atsushi YAMASHITA 機械システム工学専攻修士課程 2年 また,高速度ビデオカメラを用いて,フレームレー 1.はじめに トを 6000 fps,シャッター速度を 1/6000 sec とし 7 月 14 日∼7 月 15 日に豊橋技術科学大学で開催 された日本実験力学会主催の日本実験力学会 2012 年度年会講演会に参加し,発表を行いました. て,チャンバー内の流れを観察した. チャンバー形状が円柱でチャンバー内径 DC =40 mm,高さ HC=13.5 mm のものにおいて,接線方向 私はこの講演会の「熱・流体工学(1)」というセ から流入させ,オリフィス位置をチャンバー中心と ッションで「チャンバーとオリフィスを有する気液 した場合,オリフィス位置を上流側に 15 mm 移動 二相配管系における音発生に関する研究」という題 させた場合,下流側に 15 mm 移動させた場合につ 目で,口頭発表を行いました. いての実験を行った. 2.研究内容 2. 1 2. 3 背景・目的 実験結果と考察 チャンバー形状が円柱のもので,図 1 にオリフィ 本研究では,チャンバー形状や,オリフィスの位 ス位置が中心,オリフィス位置が中心より上流側, 置を変更することにより,チャンバー内での気相の 下流側のそれぞれの場合における発生音の圧力変動 流れ,およびオリフィスに気相が流入する際の流れ の RMS 値を示す.いずれの場合でも,液相流束, の様子を観察し,オリフィスでの発生音について, 気相流束の増加に伴い,発生音の RMS 値は増加す 比較・検討した. 2. 2 実験方法 実験装置は気泡の様子が観察できるように透明な アクリルでできている.気液混合部で作られた気液 二相流は , 水 平 に 設 置 し た 外 径 10 mm , 内 径 7 mm,長さ 1550 mm の助走区間を通過後,チャンバ ーに流入する.そこで流れが鉛直下向きに変えられ て,穴径 2 mm,長さ 10 mm のオリフィスを通過す る.その際に発生した音をマイクロフォンで計測し た.気液二相流の流量条件は,気相流束 jG =0.43, 0.65, 0.87 m/s,液相流束 jL =0.43, 0.65, 0.87 m/s と した.オリフィス部での発生音の計測は,サンプリ ング周波数 50 kHz,サンプル数 400000 で行った. ― S-93 ― 図1 RMS of Microphone 図 2 Flow image in chamber (orifice : center, jL=0.87 m/s, jG=0.87 m/s) る.オリフィス位置が中心の場合に対して,上流側 と下流 側 で は 音 圧 の RMS 値 は 1/10 以 下 と な っ た.jL =0.87 m/s, jG =0.87 m/s におけるチャンバー 図 3 Flow image in chamber (orifice : downstream, jL=0.87 m/s, jG=0.87 m/s) 側に比べて小さくなったと考えられる. 3.発表について 内の流れの様子について,図 2 にオリフィス位置が 今回私が参加した「日本実験力学会 2012 年度年 チャンバー中心の場合,図 3 にオリフィス位置が中 次講演会」は,発表時間 15 分で,質疑応答は 5 分 心から下流側の場合のものを示す.オリフィス位置 で行いました.本番では緊張してしまい,自分の思 が中心では,周方向の流れによってできた渦の中心 っていることが上手く伝えることができたという実 とオリフィスの位置が一致したため,チャンバーに 感があまりありませんでした.また,自分の知識不 流入してきた気泡がチャンバー内に気泡が溜まらず 足のため,質疑応答にうまく答えることができなか に,大きい気泡の状態のままでオリフィスに流入す ったので,これからしっかり勉強し,研究にいかし る.このため,発生音が大きいと考えられる.図 3 ていきたいです.初めて学会で発表して,とても良 に示すオリフィス位置が下流側では,チャンバー内 い経験ができたと思います. に気泡は前述のオリフィス位置が中心よりも溜まっ ている.渦の中心からオリフィス位置をずらすこと 4.おわりに により,オリフィスに大きな気泡の塊が連続的に流 今回学会に参加して発表することで,自身のスキ 入することなく,少しずつ小さな気泡がオリフィス ルアップにつながりました.また,他の方の発表を に流入しているため,オリフィス位置が中心の場合 聴いたことによって,自分の研究だけでなく他のこ よりも発生音が小さくなったと考えられる.また, とにも興味が湧き,とても勉強になりました.今後 上流側と下流側を比較してみると,オリフィス位置 も今まで以上に研究に対して意欲的に取り組んでい が下流側の場合,流入してきた気液二相流が周方向 きたいと思います. の速度を有するために,オリフィスに直接流入しに くく,チャンバー内に気泡が溜まり,発生音が上流 最後に,発表に対するご指導・ご鞭撻をいただい た塩見先生,野口先生に深く感謝いたします. ― S-94 ―
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