第2回 JA グループの自己改革に関する有識者会議 1 日時:平成 26 年 10 月 9 日(木)15:00~17:30 2 場所:JA ビル 4 階 3 協議事項: 主な意見概要 401 会議室 ①JA グループの自己改革について(JA 改革) 4 意見概要 (1)全般・すすめ方関係 ○ JA グループはこれまで何をやってきたか、今後何をどこまでやっていくのか、しっ かりと広報する必要がある。JA グループが行っている担い手づくりや農業振興の取り 組み、また JA の成功事例などについては、もっと積極的に情報開示していくべきだ。 ○ わが国は長期的に人口が減少傾向にあり、国内の食料消費量減少も必至であり、数 十年先の農業を考えつつ、長期的な JA の絵姿を検討すべきだ。 ○ 様々な事情があるなかで、すぐにできることとそうでないことがあると思うが、改 革の中でこれだけは絶対にやる、という点は決めておくべきだ。 ○ 出口(販売)戦略がしっかりできている JA は、農家の評価が高い。こうした JA は、 大手和菓子メーカーにもち米を供給するなど、ずっと前から努力して取組んできた。 一方、連合会への批判はある。中央会については、政治に対して意見はしっかり言っ てほしいが、何をしているかは分からないという農家が多い。そもそも、農家が分か らない中央会や連合会のことを一般消費者が分かるわけがないので、丁寧に説明して いく必要があるだろう。 ○ 有識者会議の委員は、例えば黒字 JA を増やす具体的な方策はわからないが、大所高 所から正しいことを言っている。改革を実行するのは JA グループであり、有識者の意 見を取捨選択して、JA グループが基本的に取るべき方向、取ってはならない方針など、 取り入れるべきところは中間とりまとめなどに取り入れるべきだ。 (2)JA のあり方関係 ○ JA の位置付けを「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」とし、職能組合と 地域組合の2つの性格を追求するとした今回の方向性に賛成だ。この方向性からは、 総合事業制の維持と准組合員制度の充実は当然に必要になる。 ○ JA には、中山間地域における農業振興と地域振興を一体でやってもらいたい。不採 算部門であったとしても、ぜひ切り捨てないでほしい。 ○ 現実問題として、信用事業の利益が総合事業で地域を支えるために使われているこ とについて否定はしないが、はじめから信用事業の利益で帳尻を合わせようという発 想ではいけない。 1 ○ 新農政は、産業政策と地域政策を車の両輪と位置付けている。経産省や国交省も地 方対策の中で、JA を地域インフラとして位置付けており、政府全体が、地域を守る主 体として JA に期待している。こうした期待にしっかり応えていくべきだ。 ○ 地方再生という中で、JA が果たす役割は大きい。 ○ 協同組合は地域と密着しており、福祉介護や買い物弱者対策でも地域から期待され ている。これらは採算を取るのが難しいので様々な努力をする必要がある。 (3)営農経済事業の改革方向関係 ○ 改革案に違和感はないが、どのように具体化するのか、例えば農地の集約化をいつ までどこまで具体的にすすめるか、コストダウンは、所得増大は、6 次産業化は、な ど、タスクフォースを作って、アイテムと時間軸を踏まえて絵姿を描く必要がある。 ○ サプライチェーンでなくデマンドチェーンの発想で、顧客(川下)の視点を踏まえ て生産を考える形にすべきだ。そのために、JA は、いろんな業界からの人をどんどん 入れていくべきだ。 ○ 営農経済事業改革は売上増とコスト削減の組み合わせであり農家の所得を増やすな ら、全農や連合会のコスト(手数料収入等)をどうしていくかについても、議論する 必要がある。 ○ JA の改革を担う人材をどう確保するかが課題。全中や連合会が、JA の人材確保を支 援していく必要がある。 ○ 具体的な購買事業や販売事業について、どうやって改革を実現するか。JA が変わっ ていくときに、連合会はそれに対応して、どういう段取りでどのように改革していく のか、明示してすすめなければ実現しない。 ○ 買取販売の取り組みや中・外食への契約取引などは、JA のリスクを増大させる懸念 がある。リスク管理をどうしていくかも含めて、地域の実情を踏まえて各 JA が十分話 し合って進めていくことが重要だ。 ○ 収支改善策として、施設のさらなる集約化、JA 間での施設の共有、担い手経営体と 多様な担い手への階層別対応などをすすめるべきではないか。 ○ 農産物のブランド化はさらにすすめる必要がある。一方で、規格外品等についても 販路の拡大や六次化もすすめることにより、所得増加に力を入れてほしい。 ○ JA は生産部会などに対して助成を行っているが、部会をもっと強化すべきだ。予約 購買などもさらに進むだろうし、赤字の縮小も進むのではないか。 ○ JA は、直売所やインターネット販売で独自性を出すべきだ。また、全農には、産地 間のリレー出荷の機能強化を望む。さらに、農業機械コストの低減対策も重要だ。 ○ 消費者は農産物を直接食べることに関わっており、JA についても関心が高いので、 もっとアピールして JA の重要性を伝えるべきだ。「地産地消」を広く捉えて、全国の 流通を強化してどの直売所でも国産のものを買えるようにすることも必要だ。 ○ JA グループは、川上(生産)から川下(販売)まで一気通貫して持っている。その 強みをもっと活かしていくべきだ。 2 ○ 関税自由化等に対しては賛成する人はいない。民間資本というのは、立地条件がよ いところにどんどん投資していく。農業にはそれぞれ地域性がある。諸外国では、中 山間地の維持を、国家的な事業としてやっている。商業ベースですべて自由化するの は逆にマイナスだというのが共通認識になっている。 ○ JA が大規模化した中で、基盤となる営農経済事業への工夫がおろそかになっている 面があるのではないか。JA の合併などにより、信用事業の金融リスク対応が進んだと しても、営農経済事業の観点では、モノづくりとマーケティングが重要であり、細か いところまで目が届かなくなっているのではないか。 (4)ガバナンスの強化関係 ○ JA はガバナンスが弱いのではないか。トップや役員がしっかり役割を果たしている のか。理事の構成については、女性枠とか担い手枠など、枠があることが大事なので はなく、実際何人いるのかが大事だ。飾りで女性や青年を入れてもうまくいかない。 本当に声が反映される形になっているのかが大事だ。 ○ 協同組合のガバナンスは、組合員が事業計画や予算の決定をする点で企業と大きく 異なり、そのために通年で意見を集める意思反映の仕組みがある等の特徴があり、有 効に機能し得ると考える。生協の理事会でも組合員理事が消費者の立場から積極的に 発言している。 ○ 女性や青年の代表が、組織代表という立場を超えて発言できる理事会を実現してほ しい。 (5)自己改革工程表関係 ○ これから自己改革工程表を作るということだが、具体的な数字で、こうなるという のが見えるような形で作っていく必要がある。 ○ 工程表の期間の考え方について、5年間は少し長いと思う。中期的に捉えても3年 程度でレビューしていくのが一番いいのではないか。 ○ 工程表については、各年ごとに目標を設定し、その都度、結果をレビューして次年 度の課題に取り組むということが大事だ。 以 3 上 第3回 JA グループの自己改革に関する有識者会議 1 日時:平成 26 年 10 月 20 日(月)13:00~15:30 2 場所:JA ビル 4 階 3 協議事項: 主な意見概要 401 会議室 ①政府の「農林水産業・地域の活力創造プラン」を受けた全農の事業戦略について ②JA グループの自己改革について(中央会改革) 4 意見概要 (1)全般・すすめ方関係 ○ 改革は、大胆にやっていかなくてはならないが、急ごうとすると、地域に影響が出 るなど、デメリットの方が大きくなる。 ○ 多くの国民は、JA の実情等を理解していないなかで JA 不要論に傾いており、また JA の自己改革案も一般国民には分かりにくい内容である。JA があるから農村も維持で きるなど、今回の改革にかかる、消費者にとっての具体的な利点をもうワンステップ 踏み込んで整理する必要がある。 ○ 平均寿命の長さに最も寄与しているのは高齢者の就業率であり、その多くは農業だ。 農業に生きがいを見出しており、病院にもあまり行かないということだ。競争力を高 めるため、農業の大型化も重要だが、小さな農業も守る必要がある。命や健康や環境 を守るためにも、小さな農業が大事であり、JA の役割も重要だ。 (2)JA のあり方関係 ○ グローバル化が進む中で、単に利益だけを追求するのではなく、儲かるところで儲 からないところを補てんすることも重要であり、JA は、地域で貢献していることや、 信用・共済事業で営農経済事業の補てんを行っていることなど、正々堂々と主張すべ き点は主張していくべきだ。 ○ 日本の農村文化が無くなれば、伝統文化も健康も壊れていく。JA 改革については、 行き過ぎた改革になってはいけない。政府案に迎合せず自らの改革を貫徹すべきだ。 (3)営農指導員の育成強化 ○ 野菜、米の品種が多種多様に増えてきているなかで、そのスピード感に営農指導員 が遅れをとっている。消費者のニーズを的確に捉え、それに沿った商品を届けられる ような営農指導員の育成が必要だ。 ○ 米農家においては、JA との取引が金銭面中心になり、本来の営農指導が十分にでき ていないのではないか。 4 ○ 生産者からすれば、人間的な付き合いの中で、営農に必要な農薬等の情報を顔がわ かっている指導員に聞きたいという想いもある。 (4)全農の事業戦略関係 ○ 日本のスーパーには、米の種類は食味重視のものしかない。もっと低コストとか、 もっと選択肢を増やしていけば、販路の拡大にもつながるし、消費者も米についての 知識を持ちたいとなるのではないか。 ○ 野菜を多く食べれば、国民の健康の面でもよいし、農家にとってもよい。野菜の摂 取量を増やすには、温野菜や野菜ジュースが効果的であり、我われはそういった野菜 を多く食べる工夫をして、平均寿命日本一の長野県にした。全農は、ただ野菜がいい と言うだけでは不十分で、どうしたら野菜を多く食べられるかを考える努力がまだ欠 けている。 ○ 加工食品や外食も含めて、国産農畜産物の割合拡大に力を入れてほしい。スーパー では、高くても国産を買う傾向は明確だ。中食や外食では原産地表示はわからなくて も消費者は半ば諦めているが、原産国表示の強化など、国産農産物のシェア拡大のた めに、今後しっかり取り組んでいく必要がある。 ○ 農業従事者の所得を増やす観点から、全農は海外も含めてマーケットインの発想で やっていっていただきたい。全農には、農業従事者の所得を増大する具体案を示して いくことをお願いしたい。 ○ 食料安全保障の観点からも、海外との関係構築を、大所高所からしっかりやってい くのも全農の役割だ。 ○ JA が自らの創意工夫で、経営判断に基づく販売事業に転換するとしても、業務需要 には全農の調整が必要である。また輸出も、県ごとでは品揃えも含めて対応できない。 JA 自らの創意工夫を基本としつつ、全農がもつ知見で JA の支援・補完をしていくと いう立場で、具体的な点を詰めていっていただきたい。 ○ 健康の視点も大事。高齢化の中でのマーケットインの発想を深めていくことが必要 だ。例えば家計消費支出を見ると 50 歳代以上の牛肉消費額は大きく今後も拡大の可能 性があるなど、年代別の消費実態を見て対応していけば、さらなる消費拡大が期待で きる。 (5)中央会改革関係 ○ JA 数の減少や農業の企業参入、説明責任・ガバナンスに対する要求などが大きく変 わっていることを踏まえて、制度発足以来の歴史的な総括を一度するべきだ。 ○ JA の意思で設立される新たな中央会は一体何をするのか、何を目的とした組織なの かをもっと明確にすべきだ。 ○ 農政施策の浸透機能を今後とも JA や中央会等が担うというのなら、まるきり自由な 制度というわけにはいかないのではないか。 5 ○ 1 県1JA が増えるなど、JA 合併が進展していく中で、県中のあり方などを考えてお くべきではないか。 ○ 今回の JA 改革の議論は、農業者や JA 職員でも十分に理解していない場合がある。 中央会の役割などについての、内部向け広報が不十分だったのではないか。JA 改革の 検討内容や状況が組織内部にどこまで浸透しているか、再確認すべきだ。 ○ JA のための制度という表現だと、世間からは「またか」という印象になりそう。も っと一般国民の目線で表現した方が良い。 ○ 新たな制度を農協法に措置するには、それぞれの農家にとって JA が必要であり、ま た JA にとって中央会が必要ということを現場から声をあげるべきだ。また、そのため に具体的な農協法の規定や新しい構造などをどう描くべきか具体化すべきだ。 ○ 銀行業界を護送船団方式から自由化路線に切り替えた時と非常に似ている。JA から はきちんと指導してほしいという意見が出ているようだが、当時の銀行業界も同じだ った。自由化というのは口で言うのは容易いが、今後は相当な軋轢が予想される。相 当な意識改革をしなければならない。 ○ 政府・与党のとりまとめは「JA の自立を前提として」とあるが、現状のままで中央 会が指導を放棄すれば、JA が困るのではないか。全中の指導が弱いことの方が問題で あり、JA の自立に向けた強力な指導をしてくるべきだった。JA の自立を志向していく ならば、JA だけで対応しきれる機能と、中央会に残さなければならない機能とを振り 分ける必要がある。 ○ 農業をめぐる環境が大きく変化しているなかで、大きな組織になればなるほど、 「強 いガバナンス」が必要である。中央会は、JA が「強いガバナンス」が発揮できるよう 検討していただきたい。 ○ 「新農政の実現に向け」とあるが、行政の下請けをするように見える。「新たな日 本農業の確立に向け」といった表現とすべきではないか。JAが自立した存在である なら、農政がどうあろうと、農協は自らの判断で地域の農業振興方策をつくっていく のではないか。 以 6 上
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