第4回JAグループの自己改革に関する有識者会議 1 日時: 平成 27 年2月 13 日(金)14:00~16:10 2 場所: ホテルグランドパレス「白樺」 3 協議事項: 主な意見概要 ①これまでの農協改革の検討状況について 4 意見概要 (1)全般 ○ 今回は、法人形態など形の議論が先行し、内容の議論がなかったように思う。 JAの取り組みの実態を訴えていく必要があった。 ○ 今回は、自己改革の内容が議論されず、全中の組織のあり方にあまりにも偏り すぎ、農業、農協全体の議論になっていない。JAグループの自己改革を含めて、 農業全体をどう強めていくかに議論を持っていかなければならない。そのリーダ ーシップをJAグループには求めたい。 ○ JAは自らの目的や地域の目的を叶えるために、組合員が自主的に作り加入し た組織であり、こうしたJAの性格や協同の利益がこの改正案ではきちんと理解 されていない。 ○ 今回の合意の経緯を見ると、多くの国民は、改革という言葉に半ば当惑されて おり、実態がよく見えてこない。准組合員利用制限など、法案提出スケジュール があるなかで、シナリオによる形式的な決着に思える。先送り部分をどう具体化 していくのか。中央会制度の移行期限時の政治状況が解らないなかで、全中がど う着地点をプランニングしていくかが重要だ。 ○ 監査を変えることで、地域農協の自由度が上がり農家の所得はあがるのか、全 中の影響力を排除すれば現場からアイディアがわき出すのか、疑問に思う。 ○ 正・准組合員の分断を大変な問題と強調するあまり、組合員制度のあり方ばか りが伝わってしまい、地域住民が当事者意識を持ちにくい内容になっている。政 府案も全中案も具体性が伴わず、消費者にどう関わってくるか、地域を守ること にどう関わっていくのかが見えない。 ○ 今回の農協法改正が他の協同組合陣営にも影響を及ぼす懸念があり、協同組合 陣営全体としても議論する必要がある。 1 (2)今後の自己改革のすすめ方について ○ これまで全中の自己改革の内容を議論してきたが、方向性が明確になって議論 のフレームが変わった。農業所得をどう上げていくかを考えると、全中だけでは なく全農を含めJAグループ全体を見ていく必要がある。 ○ 今の農業は考えなければやっていけない。今後、格差が生じ、勝ち組と負け組 が出てくる。協同組合の助け合いの理念で負け組をどう救うのか、根本的なとこ ろを整理してほしい。そうしないと我われの農業改革も進まない。 ○ 今回の決着に対する 694JAの受け止めを踏まえて今後の議論を進めていく必 要がある。10 年で所得倍増も大事だが、それに加えて地域を活性化しないと日本 が沈没してしまう。第一次産業がその体制を整えることが大事だ。そのためにJ Aはどこまでできるのか、できないならどこまで支援していくべきか。個々の実 態を踏まえ、一律ではない支援を考えていくべきだ。 (3)8条(目的規定)の改正について ○ 今回示された骨格では、農協の利益を利用高配当や投資に充てることを求めて いるが、協同組合の目的は「最大奉仕」にすべて包含されているはずであり、あ る意味で経営を縛るものである。 ○ 「目的」をかなり抽象的にしたままで「手段」を「農業所得の増大」とかなり 明確に規定している。手段が目的を規定する関係性が出てくる可能性があり、こ の改正による、JA事業への影響や他の協同組合への影響を考える必要がある。 ○ 本来自主的な組織であるJAの目的を変えるということは、組合員に目的を押 しつけることになる。かつて農協のあり方研究会では、JAへの安易な農業政策 遂行の下請けを反省したのではなかったのか。 (4)JAの地域インフラ機能について ○ 8条の改正や、理事構成に関する規定の新設などにより、生活事業への配慮が 行き届かなくなる可能性がある。国家戦略として決めた地方創生に、JAが貢献 できる可能性を残してほしい。住民それぞれが参画して、JAなどが過疎地域等 で総合的に事業を兼営することは十分考えられるし、一つの方向性である。 (5)JA全国監査機構の外出しについて ○ 監査難民が生じることが心配だ。儲かるところは監査法人が受けるだろうがそ うでないところはどうするのか。どのような事態が想定されるか、全中として十 分に検討するべきだ。 ○ 上場会社においては、上場によるメリットを享受するために監査に高いコスト をかけているが、JAの会計監査で公認会計士にコストを使うことでどんな効果 が上がり、誰が喜ぶのか。 2 ○ 業務監査は、本来、組織内の人間がやるべきものだが、全中がやっていた監査 も大きな意味での組織内監査であり、ガバナンス監査の点で意味がある。監査法 人は会計監査が基本であり、業務監査は担えない。農協監査士は、農業やJAに ついて詳しいという専門能力を生かして、業務監査を充実させていく必要がある。 ○ 今後、全中は、新しい時代において監査陣容の充実と監査技術の向上を目指す とともに、業務監査を「売り」にするべきだ。ただし、今回の改革論議の中で指 摘された農協の自立を妨げる過度の指導には注意してほしい。 ○ 会計監査と業務監査は一体的にやらなければ意味がない。現在起こっている問 題から課題を抽出し、課題とお金とを関連付けて考えていくことが大切だ。業務 監査の分離は無理があるが、決められた大枠のなかでやっていくしかない。 (6)准組合員の利用制限 ○ 農業振興と地域振興は同時に取り組んでいくべき課題であり、JAには両方が 求められている。農業者と地域住民を分断するような准組合員の利用制限は、農 業の成長産業化や地方創生にも逆行するもの。准組合員を含めて、地域住民一体 となって農業と地域の振興に取り組むことが求められている。 ○ 人口減少社会の中でのJAの役割について、与党の議論にもJAグループの議 論にもなかった。人口減少の中で協同組合をどう運用していくのか、いろんな事 業を兼営して隙間を埋めていく、あるいは規模の経済ではなく、範囲の経済を追 求していくということが考えられる。 ○ 北海道は准組合員比率が高く、元農家や地域住民が地域のインフラとして利用 しているのが実態。分断されるようなことになれば、影響甚大。准組合員は必要 なものであり、農業と地域を支えているということを改めて発信してほしい。 (7)今後のJAのあり方 ○ いろんな形態があるなかで、JAが全て総合化という方向性が正しいとは思わ ない。取り組みはJAが独自にやってほしいと思うが、JA単独では無理だと思 う点もある。政府の進める農地集積の取り組みや、農地中間管理機構や農畜産物 輸出などをしっかりサポートしていくべきだ。 ○ 現場の意見としては、10 年で所得倍増は難しい。壁にぶつかっているところも ある。そういった指導をJAグループにはお願いしたい。壁を壊して手を携えて 前に進みたい。 ○ 経営の知識を学ぶことで自らの経営を見直すきっかけになったり、農産物の安 全安心の知識を学んで、地域住民に農や食を理解してもらうきっかけが出来てい る。組合員、生産者に多種多様な取り組みが出てきている中で、営農指導員・販 売担当者・購買担当者には、その道のプロをしっかり配置してほしい。 3 ○ 協同組合にとって教育は重要。消費者教育やJA若手職員の監査士試験受験を 通じた学習の機会などは、引き続き極めて重要である。 (8)今後の中央会のあり方について ○ 全中が、一般社団法人化することをどのように考えているのか、全中の経営幹 部の今後のビジョンを明確に我々に説明してほしい。ビジョンを明らかにしてく れないと、議論の糸口が多面的になってしまい、うまくまとめられない。 ○ 本県中央会も、JAや農業者のサポートを一生懸命にやっている。今回の一連 の報道は、中央会不要論一辺倒であり、悲しい思いをしている。 (9)TPPについて ○ TPPに関しては、自民党の公約がずれてきている。米の 5 万トン枠などは、 国内の競争力が下がってしまう。こういった点についても提言してほしい。 ○ JAグループのTPP反対姿勢が、日本の経済成長を阻害していると、国民に 見られている。反対だけをしても、農業が厳しくなるだけではないか。国産農畜 産物志向の消費者に向けて、違うアプローチが必要だ。 ○ 日米間には安全保障の大きな枠組みがあり、これまでの経済交渉は必ず決着し てきた。最終的に合意する可能性が高い以上、TPP反対を叫ぶことのマイナス 効果を認識するべきだろうし、合意した場合の次善の策も検討しておかなければ ならない。 以 4 上
© Copyright 2024 ExpyDoc