097 透析回路の可塑剤フタル酸ジエチルヘキシルのエストロゲンレセプターαに対する親和性の評価 ○ 小寺 宏尚 (京都市立病院) 田中 成一 大西 重樹 (京都市立病院臨床検査科) 大橋 篤 内藤 純子 (藤田保健衛生大学) 杉山 敏 (藤田保健衛生大学腎臓内科) 【目的】 発されたヒト型エストロゲン-R(α)コンペチタースクリーニン 我々は、これまでに塩化ビニル(PVC)製の血液透析回路から グキット(和光)を用いた。また、健常者(n=4)の血漿を血液回路 可塑剤のフタル酸ジエチルヘキシル (DEHP) が血液中へ溶出し、 に充填し4時間孵値した検体のDEHP濃度を測定した。 DEHPの内分泌撹乱作用を指摘してきた。DEHPの内分泌撹乱作 【結果】 用は、動物実験(ラット)でアンドロジェンに対するアンタゴニ ESRへの蛍光標識ESに対するDEHPの抑制効果は、DEHP濃度1 ストとしての作用が報告されている。また、ニジマスのエスト nMから1mMで弱い正相関傾向が認められた。また、回路内に ロジェンレセプター(ESR)を用いた実験ではESに対しDEHPが 留置した血漿のDEHP濃度は0.15mM程度であったが、この濃度 弱いアゴニストとして作用するとの報告もある。今回、遺伝子 における抑制効果はDEHP濃度1nM時に比し約20%程度高値 組み替えヒトESRを用い蛍光標識ESの結合に対するDEHPの抑 制効果を検討した。 であった。 【結論】 【対象・方法】 DEHPはヒトESRへのESの結合に対し抑制的に働くことが示 ヒトESRを固相したマイクロプレートへ蛍光標識したESと 唆された。 DEHPの標品を入れ、競合反応により蛍光標識ESの結合に対す 連絡先 京都市立病院臨床検査科 小寺宏尚 るDEHPの抑制効果を測定した。なお、測定には環境分析用に開 075-311-5311(2284) 098 追加LDアイソザイムにより診療支援が有効に行えた心筋梗塞の一例 ○ 猪田 猛久 山本 慶和 山中 亨 松尾 収二 (天理よろづ相談所病院) 当検査室ではLD500 IU/l(基準範囲100∼225 IU/l)、ALP1000 を問い合わせたところ、医師から実施の指示があった。LDアイ IU/l(基準範囲80∼335 IU/l) を初めて超えた場合、検査室から ソザイムを実施したところLD1、2優位パターンであった。カル 主治医に追加アイソザイムのリコメンドを行い、主治医の返事 テには心窩部痛が主訴の記載がありLD1、2優位パターンの点 に基づいて検査を実施している。今回心筋梗塞を追加アイソザ から検査室は心筋梗塞を疑いCK、CK-MBを確認したところ、そ イムの実施によって診療支援に効果を発揮した一例を経験し れぞれ675 IU/l、70 IU/lと心筋梗塞を指示するデータであった たので報告する。 ため、直ちに循環器内科医師にデータとカルテをみせ判断を仰 【症例】 いだ。その結果心筋梗塞を疑いすぐに救急外来診察となった。 69歳 男性。既往歴:20歳代痛風、30歳肺結核、50歳代胃潰瘍 救急外来ではCK306 IU/l、CK-MB 25 IU/l、EKG:V1、V2R波増高、 にて2∼3回入院治療受ける。現病歴:一年前から労作時に心窩 Ⅱ、Ⅲ、aVF、V4∼V6でST低下がみられ後壁の心筋梗塞の診断 部痛が計3回出現したが放置していた。H12、12.29安静時突然 にて入院となった。その後心臓カテーテル検査にて三枝病変で 心窩部痛が出現。12/31∼1/1、1/4に心窩部痛がpeakとなり あることが判明し、心臓血管外科にてCABGが施行された。 1/5当院総合外来を受診した。検査データ:CRP1.7mg/dl、WBC 【まとめ】 7200/μl、LD 552 IU/l、AST 73 IU/l、ALT 30 IU/lであった。 追加アイソザイムによって効果的に診療支援が行えた心筋 経過:心音に問題なく胸のむかつきを伴い痛みも若干軽減して 梗塞症例を報告した。我々は受け身の検査をするだけでなく、 いる点、胃潰瘍の既往歴等から心窩部痛もそれに伴うものと判 データから考えられる病態を推測し報告すること、またその行 断し、 腹部エコーを実施し次回受診を消化器内科に紹介された。 動力が必要であると再認識した。 LDが初めて高値のため検査室は追加アイソザイム実施の指示 ─1 6 ─ TEL 0743-63-5611(8986)
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