CK-MBの測定値と正誤差

-臨床検査部門-
3.CK-MB の測定値と正誤差
座長
戸田中央臨床検査研究所
木暮 憲幸
演者
新座志木中央総合病院
清水 陽子
【目的(はじめに)
】
CK-MB は、CK アイソザイムの一つである。心筋に多く存在するため、急性心筋梗塞の診断、および
心筋壊死の重症度を知る検査として測定される。
測定法としては、免疫電気泳動法、免疫阻害法、免疫化学法が用いられているが、当院では、汎用
機で測定できる免疫阻害法で測定している。
この方法はその原理から CK-MB 値が CK 値を上回ったり、
正誤差を生じたりすることがある。その原因と判別方法について報告する。
【方法(内容)
】
遭遇した症例で、免疫阻害法にて CK 値と CK-MB 値が逆転したもの、心疾患以外で CK 値に対して
CK-MB 値の割合が高いものについて、免疫電気泳動法の検査を行った。
また、CK 高値のため CK-MB が原液で測定しきれなかったものがあった。これについては、CK-MM が
阻害しきれず正誤差を起こしている可能性があるため、希釈を行い再度測定した。
【結果(結論)
】
免疫電気泳動法より、CK-MM と CK-MB の間に異常バンド(マクロ CK)と CK-MM の陰極側にミトコンド
リア CK が認められた。
CK 高値のものは、CK 値が 4000 IU/L 以下になるように希釈したことで正しい CK-MB 値が得られた。
【考察】
血中にマクロ CK とミトコンドリア CK が出現していたことにより、見かけ上 CK-MB 高値を示してい
た事が解った。CK-MB は臨床的意義が高いアイソザイムである。マクロ CK、ミトコンドリア CK が出
現する疾患を考慮し、CK-MB 高値で原因の解らない症例は、免疫電気泳動法や免疫化学法でのアイソ
ザイム解析を勧める。
さらに、日常検査で CK-MB 測定時に正誤差が起こる可能性が在るということを念頭に置き検査を行う
べきであると考える。