第 4 章 平面に作用する水圧ー作用点位置ー 第4章 平面に作用する水圧ー作用点位置ー 1. (a) 図のような水中に置かれた平板の一方の面に作用する全水圧 P とその作用点位置の深さ zC を求めよ。 解答 図のように座標系を定め、平板の図心を G とする。平板は長方形であるので、図 心 G は平板の中央にある。水の密度を ρ、図心の深さを zG 、平板の面積を A とする。図 より ! " h zG = b + sin θ , A = a × h 2 全水圧 P は公式を適用できる。 #! " $ h P = ρgzG A = ρg b+ sin θ ah 2 図心の s 座標、sG は b + h/2、図心を通り y 軸と平行な軸周りの断面 2 次モーメントは O O x P zC zG y θ b a sG sC G h s C z s Io = ah3 12 これらを作用点の位置 sC の公式に代入する。 Io sC = sG + sG A h ah3 /12 = b+ + 2 (b + h/2)ah = b+ したがって、作用点位置の深さ zC は次のようになる。 # $ h h2 zC = sC sin θ = b + + sin θ 2 12(b + h/2) h h2 + 2 12(b + h/2) (b) a = 3.00m、b = 1.00m、h = 5.00m、θ = 40 °の時全水圧 P 、作用点位置の深さ zC を 求め、圧力の分布図も示せ。 解答 水の密度は ρ = 1000kg/m3 を用いる。 ! " ! " h 5.00 zG = b + sin θ = 1.00 + sin 40°= 3.50 × 0.64279 = 2.2498 ! 2.25m 2 2 A = a × h = 3.00 × 5.00 = 15.0m2 P = ρgzG A = 1000 × 9.8 × 2.2498 × 15.0 = 330.7 × 103 ! 331kN sG = b + h = 1.00 + 5.00/2 = 3.50m 2 ah3 = 3.00 × 5.003 /12 = 31.25m4 12 Io 31.25 sC = sG + = 3.50 + = 4.095 ! 4.10m sG A 3.50 × 15.0 Io = 第 4 週目 解答 10 水理学 a 演習の解答 2014 年度 zC = sC sin θ = 4.095 × 0.64279 = 2.6322 ! 2.63m 平板の上端、下端の圧力をそれぞれ p1 、p2 とすると p1 = ρgb sin θ = 1000 × 9.8 × 1.00 × 0.64279 = 6.2993 × 103 ! 6.30kN/m2 P=331kN p1 =6.30kN/m 2 sC =4.10m p2 =37.8kN/m 2 p2 = ρg(b+h) sin θ = 1000×9.8×(1.00+5.00)×0.6427 = 37.796×103 ! 37.8kN/m2 Ans. P = 331kN , zC = 2.63m 2. (a) 図のような海水中に鉛直に置かれた平板の一方の面に作用する全水圧 P とその作用点位 置 sC を求めよ。 解答 海水の密度を ρs 、図心 G の深さを zG 、平板の面積を A とする。平板は長方形で あるので、図心は平板の中央にある。 ! " b zG = a + , A=b×c 2 全水圧 P は次の公式を適用できる。 ! " b P = ρs gzG A = ρs g a + bc 2 全水圧の作用点 C の位置 sC は公式を用いても求められる。 平板が鉛直に置かれている ので s 座標と z 座標は一致する。したがって、sG = zG である。 図心を通る水平軸周りの断面 2 次モーメントは公式より o o y Io = a sC zG G C P b cb3 12 これらを作用点の位置 sC を求める公式に代入する。 Io sC = sG + sG A b cb3 /12 = a+ + 2 (a + b/2)bc c s(z) b b2 + 2 12(a + b/2) (b) a = 1.00m、b = 4.00m、c = 2.00m の時全水圧 P 、作用点位置 sC をもとめよ。海水の 密度を 1.03 × 103 kg/m3 とする。解答 z(s) zG = a + 第 4 週目 解答 = a+ b 4.00 = 1.00 + = 3.00m 2 2 11 第 4 章 平面に作用する水圧ー作用点位置ー A = c × b = 2.00 × 4.00 = 8.00m2 P = ρs gzG A = 1.03 × 103 × 9.8 × 3.00 × 8.00 = 242.256 × 103 ! 242kN sG = zG = 3.00m cb3 = 2.00 × 4.003 /12 = 10.667 ! 10.7m4 12 Io 10.667 sC = sG + = 3.00 + = 3.4444 ! 3.44m sG A 3.00 × 8.00 Io = Ans. P = 242kN , sC = 3.44m 3. 図のように水中に置かれた、正方形を回転させたひし形の平板において、その一方の面に 作用する全水圧 P とその作用点 C の水面からの深さを求めよ。 ただし、h=2.03m、a = 0.880m、角度θ = 60.0◦ とする。 O O 解答 菱形のままでは断面 2 次モーメントが求 y θ a p =7.47kPa s めづらいので、図に示すように上と下の二つの s s 三角形に分けて考える。それぞれの三角形に関 G h/6 h G する諸量は、上の三角形を添字 I、下の三角形は h/6 G 添字 II を付けて表す。座標を図のように定める。 s 水の密度を ρ、重力の加速度を g 、静水圧を受け p =24.7kPa s z る面の面積を A、その面の図心を G とする。 板に働く静水圧による力 P は、それぞれの三角形に働く静水圧による力 PI と PII の和で 求められる。PI と PII は静水圧による力の公式を適用できる。よって P は次のようになる。 a GI G GII I II b P = PI + PII = ρgsG,I AI sin θ + ρgsG,I AII sin θ (4.1) 上下の三角形の図心の s 座標 sG,I , sG,II および面積 AI , AII は図より h h h − =a+ 2 ! 6 " 3 1 h 1 = h = h2 2 2 4 sG,I = a + AI = AII sG,II = a + h h 2h + =a+ 2 6 3 となる。よって、それぞれの三角形に働く静水圧による力は、 ! " ! " h 1 2 2h 1 2 PI = ρg a + h sin θ PII = ρg a + h sin θ 3 4 3 4 (4.2) これらを式 (4.1) に代入し、静水圧による力 P を求められる。 #! " ! "$ h2 h 2h P = PI + PII = ρg a+ + a+ sin θ 4 3 3 この式をさらに変形すると ! " h2 h P = ρg a+ sin θ 2 2 第 4 週目 解答 12 水理学 a 演習の解答 2014 年度 となり、菱形の図心 G と面積(h2 /2) を用いた計算方法と同じ結果になる。この圧力による 力 P は対象とする平面に垂直に作用する。 静水圧による力の作用点 C は y 軸周りの力のモーメントが実際の圧力によるモーメントと一 致するように定める。作用点 C の s 座標 sC は次式で求められる。 P × sC = PI × sC,I + PII × sC,II (4.3) ここで、三角形 I,II の作用点の s 座標、sC,I , sC,II は公式を適用して求められる。 sC,I = sG,I + I0,I , sG,I AI sC,II = sG,II + I0,II sG,II AII 式中の I0,I , I0,II はそれぞれの三角形の図心を通り y 軸に平行な軸周りの断面2次モーメント で次のように求められる。 h(h/2)3 36 以上の式を式 (4.3) に代入して、sC は次のようになる。 I0,I = I0,II = PI × sC,I + PII × sC,II P となる。板に働く静水圧による力の作用点 C の深さ zC は次式で求められる。 sC = zC = sC sin θ h=2.03m、a = 0.880m、角度θ = 60.0◦ の値を用いて計算を行う。 h 2.03 sG,I = a + = 0.880 + = 1.5567m 3 3 2h 2 × 2.03 sG,II = a + = 0.880 + = 2.2333m 3 3 1 1 AI = AII = h2 = 2.032 = 1.0302m2 4 4 √ 3 PI = ρgsG,I AI sin θ = 1000 × 9.8 × 1.5567 × 1.0302 × = 13.611 × 103 ! 13.6kN 2√ 3 PII = ρgsG,II AII sin θ = 1000 × 9.8 × 2.2333 × 1.0302 × = 19.527 × 103 ! 19.5kN 2 h(h/2)3 2.034 I0,I = I0,II = = = 0.058965m4 36 8 × 36 I0,1 0.058965 sC,I = sG,I + = 1.5567 + = 1.5935m ! 1.59m sG,I AI 1.5567 × 1.0302 I0,II 0.058965 sG,II = sG,II + = 2.2333 + = 2.2589m ! 2.26m sG,II AII 2.2333 × 1.0302 P = PI + PII = 13.611 + 19.527 = 33.138 ! 33.1kN PI × sC,I + PII × sC,II 13.611 × 1.5935 + 19.527 × 2.2589 sC = = = 1.9856 ! 1.99m P 33.138 √ 3 zC = sC sin θ = 1.9856 = 1.7196 ! 1.72m 2 第 4 週目 解答 13 第 4 章 平面に作用する水圧ー作用点位置ー Ans. 水圧の合力 P = 33.1kN 作用点の深さ zC = 1.72m 4. 水路の途中に図のような淡水と海水 (比重 σ=1.03) を仕切る鉛直な水門がある。この水路は 長方形断面で、水路幅 B(紙面に垂直方向) は一定である。淡水側の水深を h、海水側の水深 を d としてこの水門に働く力の性質を調べたい。以下の設問に答えよ、ただし、(a)∼(b) は 記号で、(c) 以降は数値で答えること。 (a) 水門に働く淡水による全水圧の大きさ Ph とその方向、および全水圧の作用点の 淡水面からの深さ を求めよ。 (b) 水門に働く海水による全水圧の大きさ Pd とその方向、および全水圧の作用点の 海水面からの深さ を求めよ。 (c) h = 10.4m、d=6.68m、B =5.00m の時、水門に働くに淡水と海水の圧力の分布図を図中 に示せ。 (d) 水門に働く圧力による力の合力 P を求めるとともに、その作用方向を述べよ。 (e) 水門に働く合力 P の作用点位置を 水底からの高さ で表せ。 水門 淡水側座標 O 海水側座標 O zh zd h Ph 淡水 Pd ph=102kPa (s)z z(s) d 海水 pd=67.4kPa (a) 解答 水面の位置が淡水側と海水側で異なるので、図のように二つの座標系を定める。淡 水側の圧力による力は静水圧の公式が適用できる。水門の面積を A、図心までの淡水面 からの深さを zGh とすると、全水圧の大きさ Ph は Ph = ρgzGh A で表せる。ここで、水門の面積 A = hB 、長方形の図心は図の中央より zGh = h/2 を代 入すると Ph = ρg h2 B 2 となる。圧力による力は作用面に垂直に働くので、全水圧 Ph は水平右向きに働く。全水 圧の作用点については以下の 2 つの解答例を示しておく。 解答例 1 平面に働く静水圧による力の作用点の淡水面からの深さは次の公式が適用で きる。 sCh = sGh + Io sGh A ここで、sCh 、sGh はそれぞれ作用点 C、図心 G の s 座標、Io は図心 G を通る紙面に垂 直な軸周りの断面 2 次モーメントである。この平面は鉛直なので、s 軸は z 軸と一致し 第 4 週目 解答 14 水理学 a 演習の解答 2014 年度 ており、zh = sCh である。また、対象とする平面は高さ h、幅 B の長方形であるので、 Io = Bh3 /12、zGh = h/2 である。これらを代入すると zCh = sCh = h Bh3 /12 h h 2h + = + = 2 h/2 × Bh 2 6 3 解答例 2 水門に働く圧力は静水圧で、対象とする平面は高さ h、幅 B の長方形であり、 ゲージ圧を用いているので静水圧は水面から水底まで三角形の分布形状となる。全水圧 の作用点位置 C はこの三角形分布の重心位置と同じ深さにあり、三角形の重心は上の頂 点から高さ h の 2 / 3 の位置にある。よって作用点位置 C の深さ zCh は水面から 2/3h と なる。 2 zCh = h 3 (b) 解答 (a) と同様に海水による全水圧の大きさ Pd は水深を d、図心までの海水面からの深 さを zGd 、海水の密度を ρd として次のようになる。 Pd = ρd gzGd A = ρd g d2 B d2 B = σρg 2 2 ここで、比重の定義 (σ = ρd /ρ) より ρd = σρ を用いている。全水圧の作用方向は水平左 向きである。作用点位置 C の深さ zCd も解答 (a) と同様に 2 zCd = d 3 となる。 (c) 淡水による水底の圧力 ph 、海水での水底での圧力 pd とすると、静水圧の公式よりそれ ぞれ ph = ρgh = 103 × 9.8 × 10.4 = 101.9 × 103 ! 102kPa pd = σρgd = 1.03 × 103 × 9.8 × 6.68 = 67.428 × 103 ! 67.4kPa 圧力の分布図は図に示すような三角形分布である。 (d) 水門に働く二つの全水圧 Ph と Pd はどちらも水平方向の力で向きが逆になっている。よっ て水門に働く力の合力 P は二つの全水圧の差で求められる。 h2 d2 − σρgB 2 2 2 10.4 6.682 = 103 × 9.8 × 5.00 − 1.03 × 103 × 9.8 × 5.00 2 2 = 2649.92 × 103 − 1126.05 × 103 = 1523.87 × 103 P = Ph − Pd = ρgB ! 1.52MN P > 0 なので作用方向は水平右向きである。 第 4 週目 解答 15 第 4 章 平面に作用する水圧ー作用点位置ー (e) 水門の水底位置を通る紙面に垂直な軸周りのモーメントを考える。合力 P によるモーメ ントと 2 つの全水圧それぞれのモーメントの和が一致するように合力 P の作用点 C を定 めれば良い。作用点の水底からの高さを HC とし、右回りのモーメントを正とすると次 式が成り立つ。 P × HC = Ph × (h − zCh ) − Pd × (d − zCd ) これまで求めた値を代入すると h d − Pd × 3 3 10.4 6.68 3 = 2649.92 × 10 × − 1126.05 × 103 × 3 3 = 6679.05kNm P × HC = Ph × よって求める合力 P の作用点の水底からの高さ HC は HC = 第 4 週目 解答 P × HC 6679.05 = = 4.38295 ! 4.38m P 1523.87 16
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