EVO Commodity Report

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平成 26 年 4 月 23 日発行
3 月に中国は白金を 7.4 トン輸入!
●中国の 3 月白金輸入量は前年同月比 8.15%減少!
中国税関総署が 21 日に発表した統計によると、同国の 3 月の白金輸入量は 7.35 トンとなり、前年同月比 8.15%
減少。ただ、前月(6.80 トン)からは増加となった。
中国の景気減速懸念に加え、3 月の NY 白金(期近)平均価格は 1,451.3 ドルで、前月(1,411.8 ドル)から大幅に上
昇となったことで需要の減速懸念が出ていたものの、南アフリカからの供給ひっ迫懸念が続いていることもあり輸入
量が増加した様だ。
中国の最大の輸入先は南アフリカで 2013 年に 57.63 トン輸入しているが、3 月は 4.77 トン輸入しており、前月
(4.68 トン)から微増となった。
なお、世界生産の 7 割を占める南アフリカで、1月から鉱山ストが続いている影響で、世界需給は 3 年連続で供
給不足になるとの見通しが強まっているが、米金融大手モルガン・スタンレーは不足は少なくとも 4 年間続くとの見
通しを示している。また、スイス金融大手クレディ・スイスは 3 月末に 2014 年の不足分を従来見通しから 25%引き
上げ、83 万 6,000 オンスと予測。なお、昨秋に英貴金属大手ジョンソン・マッセイ(JM)社が「プラチナ 2013 中間報
告書」で示した 2013 年の供給不足は 60 万 5,000 オンスだった。
中国の白金需要量
南アフリカの白金生産量
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平成 26 年 4 月 23 日発行
●2014 年 1-3 月期中国実質 GDP が1年半ぶりの低い伸び!
中国製造業景況指数(PMI)の推移
四半期別 中国実質 GDP の推移
中国国家統計局が発表した 2014 年 1-3 月期実質 GDP(国内総生産)は前期比 7.4%増となり、市場予想 7.3%
増をわずかに上回った。ただ、前期(同 7.7%増)を下回り 2 四半期連続で鈍化。2012 年 7-9 月期と並ぶ1年半ぶり
の低い伸びに留まり、同国政府年間目標の 7.5%前後も下回った。
李克強首相は今月初めに開いた政府会議で、小規模企業を対象にした減税、内陸部の鉄道建設促進、劣悪住
宅密集地区の再開発を決定するなど、小規模な景気刺激策を打ち出し始めているが、昨夏に今回と同じ経済対策
を打ち出し、景気が持ち直した自信があり、バブルを引き起こす可能性のある大規模刺激策には消極的と見られて
いる。
なお、白金価格と中国の輸入量は逆相関関係にあ
中国の白金輸入量と NY 白金の推移
り、価格が下がると輸入量が増加し、価格が上がると輸
入量が減少する傾向がある。中国の白金需要の 9 割は
宝飾需要で、残りは自動車触媒需要となるが、不要不
急な需要である宝飾需要が大半を占めるだけに、価格
動向には敏感に反応し易いと言われる。
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平成 26 年 4 月 23 日発行
●世界の新車販売台数の推移
米国の新車販売台数
米調査会社オートデータが 1 日発表した 3 月米新車
販売台数は、前年同月比 5.7%増の 153 万 7,288 台とな
り、3 ヶ月ぶりにプラスに転じた。2 月まで記録的な寒波
や大雪に見舞われた中西部や東部で販売店の客足が
戻ったことが要因。
なお、メーカー別では、首位のゼネラル・モーターズ
(GM)が同 4.1%増、2 位のフォード・モーターが同 3.3%
増、3 位のトヨタ自動車が同 4.9%増となったが、いずれ
も今年に入り初めて前年実績を上回っている。
中国の新車販売台数
中国自動車工業協会が 11 日に発表した 3 月の同国
新車販売台数(中国国内生産分、工場出荷ベース、商
用車、輸出を含む)は、前年同月比 6.6%増の 216 万
9,100 台となり、過去最高を更新。
ただ、伸びは 2013 年通年(前年比 13.9%増)を大きく
下回っており、同国景気の減速の影響が出始めている
との見方もある様だ。
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欧州の新車販売台数
平成 26 年 4 月 23 日発行
欧州自動車工業会(ACEA)が 17 日発表した 3 月の欧
州連合(EU)域内の新車販売台数(乗用車)は、前年同
月比 10.6%増の 144 万 9,148 台となり、7 ヶ月連続で前
年を上回った。
2014 年 1-3 月期累計では、前年同期比 8.4%増の
324 万 6,719 台。
日本の新車販売台数
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動
車協会連合会(全軽自協)が 3 日発表した 3 月の新車販
売台数は、前年同月比 17.4%増の 78 万 3,389 台となり、
7 ヶ月連続でプラスとなった。
なお、軽自動車は同 22.4%増の 30 万 2,350 台となり、
過去最高を記録している。
2013 年度の新車販売台数は、前年度比 9.2%増の
569 万 2,167 台となり、3 年連続で前年度実績を上回っ
た。また 2006 年度(561 万 8,545 台)以来、7 年ぶりの高
水準となっている。各メーカーが相次ぎ投入した新型車
の効果に加え、消費税増税前の駆け込み需要が販売を
押し上げた模様。
なお、トヨタ自動車の 2013 年度のダイハツ工業と日野自動車を含むグループの世界販売台数が、初めて 1,000
万台を突破した模様。国内販売が消費税率引き上げ前の駆け込み需要で大きく伸びたことに加え、海外も北米や
中国を中心に堅調に推移したことが背景。ちなみに、トヨタの 2013 年暦年(1-12 月)のグループ世界販売は 998 万
台となり、わずかに 1,000 万台には届かなかったものの、2 年連続で世界首位を維持。2014 年暦年の世界販売は
1,032 万台を計画している。
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平成 26 年 4 月 23 日発行
●中国、補助金の対象をハイブリッド車まで広げる見通し!
3 月初めの全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、李首相は環境汚染について「非効率で見境のない開
発モデルに対する自然の極めて強い警告だ」と指摘。「健全で優しい環境は国民生活およびわが国の将来にとって
不可欠だ」と述べ、大気汚染に「宣戦布告する」とした。
また、気候変動問題について中国政府に助言する国家機関中国国家気候変動戦略研究・国際協力センター
(NCCS)主任の李俊峰氏が、3 月に「中国の大気汚染は容認し難い水準に達している。」とし、「すぐに喫煙をやめ
る必要がある喫煙者のようなもので、禁煙しなければ肺がんになるリスクがある」と述べ、石炭への依存度を積極
的に低下させる必要があるとの見解を示していたが、中国政府は大気汚染対策の柱として、「新エネ車」として補助
対象に認定してきたプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車に加え、ハイブリッド車(HV)を
対象に加えることを検討に入った模様。年内に具体策を公表し、2015 年にも実施される見通し。中国政府は PHV、
EV、燃料電池車など「新エネ車」を 2020 年までに 500 万台普及させる計画を発表していたものの、2013 年の販売
台数が1万 7,600 台に留まり方向転換した様だ。
金額は 1 台あたり 1 万 5,000 元(約 25 万円)と見られており、大気汚染が深刻な北京市や山東省など中国北部
から導入し、対象地域を全国に広げる見通し。また、HV を規制の別枠として新車ナンバーを取りやすくして、購入を
促す計画もある様だ。補助金は既に補助が出ている PHV に比べると少ないものの、HV はコストのかかる電池が小
さくて済むため、1 万 5,000 元の補助金が出れば、実質的な購入価格は同タイプのガソリン車並みに下げられるとの
見方が出ている。
中国の 2013 年新車販売台数 2,198 万台となり、5 年連続で世界一となったが、今後も所得水準の向上に伴い、
先に経済発展を遂げた沿海部から内陸部に自動車ブームが波及すると見られており、前年比 5-10%増の伸びが
続くとの見方が多い。そのため、環境対応車の本命に HV が位置付けられたことは、日本勢を含む世界メーカーの
戦略に大きな影響を与えると見られている。
なお、2013 年の HV 車販売台数は数万台に留まっているが、中国汽車流通協会は「補助金の効果で新エネ車の
3-4 割は HV が占める可能性がある」としている。
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平成 26 年 4 月 23 日発行
●中国市場で日本勢の反撃が始まるか?
中国市場は米ゼネラル・モーターズ(GM)と独フォルクスワーゲン(VW)の 2 強が日本勢を圧倒して来たものの、
北京で 20 日に開幕した世界最大の自動車展示会「北京国際自動車ショー」で、トヨタ自動車は 2017 年末までに 15
車種超の新車を投入し、中国の新車販売台数を年間 200 万台規模に引き上げ、現在 6 位に留まる中国でのシェア
を 3 位に引き上げると表明。2015 年にセダン「カローラ」をベースにした HV の現地生産を開始することも発表した。
また、ホンダも 2016 年に現地生産に乗り出す方針を示している。なお、日本車の中国シェア(乗用車)は 2013 年は
16.4%。ピークの 2008 年(30.8%)のほぼ半減となっている。
一方、迎え撃つ VW は、2016 年から長春の工場で「VW」と「アウディ」ブランドの 2 車種で PHV を生産すると発表
するなど、現地生産能力を 2018 年までに 400 万台まで引き上げるとしている。 (4 月 23 日 ERI 大湖 一樹 記)
2013 年の中国市場のシェア
日系メーカーの中国における新車販売台数
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