EVO Commodity Report

Evolution Japan Co., Ltd.
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平成 26 年 1 月 29 日発行
中国の白金輸入量が JM 社の需要予想を上回る!
●2013 年の中国の白金輸入量は 98.29 トン!
中国の白金輸入量と NY 白金価格
中国税関総署が 21 日に発表した統計によると、同国の昨年 12 月の白金輸入量は 11.49 トンとなり、前年同月比 86.5%増加。
前月(8.11 トン)から大幅な増加となった。昨年 12 月の NY 白金平均価格は 1,356 ドルで、前月(1,417 ドル)を大きく下回ったこと
から輸入量も増えた様だ。
依然にも書いた様に、白金価格と中国の輸入量は逆相関関係にあり、価格が下がると輸入量が増加し、価格が上がると輸入
量が減少する傾向がある。中国の白金需要の 9 割は宝飾需要で、残りは自動車触媒需要となるが、不要不急な需要であること
から、価格動向には敏感に反応し易いようだ。
なお、2013 年通年の輸入量は 98.29 トンとなっている。ジョンソン・マッセイ社(以下 JM 社)によると、2013 年の世界生産量は
178.5 トンと予想されているだけに、世界生産量の約半分以上が中国に輸入された計算となる。
また、中国の最大の輸入先は南アフリカで 2013 年に 57.63 トン輸入しているが、JM 社は南アフリカの生産量を 128.1 トンと
予想しており、同国の生産量の約半分が中国に輸出された様だ。また、JM 社は 2013 年の中国の需要を 73.1 トンと予想してお
り、予想以上に需要が旺盛であった様だ。
中国の白金需要量
南アフリカの白金生産量
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●中国の白金需要量
中国の新車販売台数推移
1 人当たりの保有者数
調査会社フォーインは 2013 年の世界新車販売台数を前年比 3%増の 8,380 万台と推定しており、4 年連続で過去最高を更新したと
予想している。中国、米国の二大市場が市場を牽引し、欧州や東南アジアなどの不調を補った模様。
2014 年は米国の買い替え需要が一巡し、成長が鈍化するとの見方が出ている一方で、中国の販売拡大やインドネシアやアルゼン
チン、チリなどの新興国の販売台数が増えるとの見方から、世界全体の新車販売台数を 8,800 万台前後と予想。中国については、
2,290 万台程度と予想している。
また、中国自動車工業協会(CAAM)は 9 日に 2014 年の新車販売台数は前年比 10%増程度になるとの見通しを示したものの、大気
汚染対策やぜいたく禁止・節約キャンペーン拡大の影響で、販売台数の伸びが鈍化する可能性もあるとしている。
なお、中国の 1,000 人当たりの自動車保有台数(2011 年末)は 85 台。豊かになり始めた内陸部では、初めて車を購入する潜在需要
があると見られる一方、所得水準の高い沿海部でも景気の回復と共に、買い替え需要あると見られているだけに、経済成長率が年率
7%を割り込むなどの景気減速とならない限り、今後も順調に保有台数は増加傾向を辿るとの見方が多い様だ。
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●世界の新車販売台数の推移
米国の新車販売台数
米調査会社オートデータが 3 日発表した 2013 年の米新車販売台数は、
前年比 7.6%増の 1,560 万 199 台となり、1,600 万台強だった金融危機以
前の水準に接近。超低金利に加え、株価の最高値更新や住宅価格の回
復などが消費者マインドの改善につながった 模様。ただ、米国市場は
2009 年を境に 2 桁の伸び率を続けて来たものの、昨年は前年比 7.6%増
に留まったことから、今後は伸び率が鈍化するとの懸念も出ている様だ。
また、米景気の回復やガソリン価格の安定を背景に、米国勢が得意と
する大型車に人気がシフトして来ていることから、日本勢はシェア堅守の
ため対抗策を迫られると見られている。
中国の新車販売台数
中国自動車工業協会が9日発表した 2013 年の同国新車販売台数(中
国国内生産分、工場出荷ベース、商用車、輸出を含む)は、前年比 13.9%
増の 2,198 万 4,100 台となり、初めて 2,000 万台の大台を突破。米国を上
回り、5 年連続世界一となっている。
中国自動車市場は、短期的な経済情勢に左右されにくいと言われてお
り、景気減速が進んだ 2013 年前半でも、ほぼ毎月、2 桁の力強い成長が
続いた。
なお、昨年 12 月の新車販売台数は、前年同月比 17.9%増の 213 万
4,200 台となり、先月に続き単月の過去最高記録を更新した。
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欧州の新車販売台数
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欧州自動車工業会(ACEA)が 16 日発表した 2013 年の欧州連合(EU)
域内の新車販売台数(乗用車)は、ユーロ圏諸国の景気低迷を背景に、
前年比 1.7%減の 1,185 万 905 台となった。6 年連続の減少で、1995 年以
来の低水準。
国別ではドイツが同 4.2%減、フランスが同 5.7%減、イタリアが同 7.1%
減となった一方、英国は同 10.8%増となっている。
なお、昨年 12 月の販売台数は、前年同月比 13.3%増となるなど、昨年
9 月以降、4 カ月連続で前年を上回っており、底打ち感が出始めている。
日本の新車販売台数
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全
軽自協)が 6 日発表した 2013 年の新車販売台数は、前年比 0.1%増の 537
万 5,513 台となり、2 年連続で 500 万台を突破した。新型車の効果に加え、
年末にかけて顕在化した消費税増税前の駆け込み需要が販売台数を押
し上げたと見られている。
なお、昨年 12 月の新車販売台数は、前年同月比 25.0%増の 42 万
3,210 台となり、4 カ月連続で前年を上回った。
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平成 26 年 1 月 29 日発行
●IMF は 2014 年の世界経済成長率を 3.7%と予想!
国際通貨基金(IMF)は 21 日、最新の世界経済見通 し
世界の実質 GDP の推移
(WEO)を発表。日米欧など先進国の堅調な景気回復を背景
に、2014 年の世界全体の実質成長率は 3.7%となり、前年(同
3.0%)に比べて加速すると予想。前回予想(昨年 10 月時点)
から 0.1 ポイント上方修正した。ただ、FRB によるテーパリング
(量的金融緩和の規模縮小)の開始が、新興国市場に打撃を
与える可能性などを挙げ、「下振れリスクは残る」としている。
なお、日本は同 1.7%、米国は同 2.8%、ユーロ圏は同 1.0%
に上方修正されるなど、先進国全体の成長率は同 2.2%とし、
前回予想から 0.2 ポイント上方修正した。
一方で、新興・途上国は同 5.1%と予想され、前回予想で据え置かれた。IMF は新興国について、国内経済の弱さが引き続き
懸念されるとしながらも、先進国の成長が力強さを増すことで輸出が回復し、新興国の成長を押し上げるとしている。
そのため、先進国の景気回復が順調に進むかどうかが、自動車触媒用白金需要の増加の鍵を握りそうだ。
(1 月 29 日 ERI 大湖 一樹 記)
本レポートは EVOLUTION 総研株式会社(以下「ERI」という)が情報提供を目的として作成したものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
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