白金・パラジウム> 4月 の中国白金・パラジウム輸入量と世界の 新車販売

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平成 27 年 05 月 29 日発行
中国は 4 月に白金を 6.17 トン、パラジウムを 1.76 トン輸入!
●中国の 4 月白金輸入量は前月比 33.48%減少
中国税関総署が 5 月 22 日に発表した統計によると、同国の 4 月白金輸入量は 6.17 トンとなり、前月(9.27 ト
ン)比 33.48%減少となった。また、前年同月(6.39 トン)比でも 3.45%減少となっている。4 月の NY 白金平均価格
が 1,155.4 ドルとなり、前月から約 15 ドル上昇したことに加え、中国で景気減速懸念が再燃する中、需要も減退し
ているとの見方が出ております。通常、白金価格と中国の輸入量は逆相関関係にあり、価格が下がると輸入量が
増加し、価格が上がると輸入量が減少する傾向がありま
中国の白金輸入量と NY 白金の推移
す。中国の白金需要の 9 割は宝飾需要で、残りは自動車
触媒需要となりますが、不要不急な需要である宝飾需要が
大半を占めるだけに、価格動向には敏感に反応し易い傾
向があります。2015 年 1-4 月累計では 23.57 トン。なお、
中国の最大の輸入先は南アフリカで 2014 年に 46.71 トン
輸入しておりますが、4 月は 3.554 トンとなり、前月(6.772
トン)から減少。ロシアは 0.18 トン、日本は 0.89 トン。
中国の白金需要量
南アフリカの白金生産量
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●中国の 4 月パラジウム輸入量は前月比 21.10%減少!
中国の 4 月パラジウム輸入量は 1.76 トンとなり、前月(2.23 トン)比 21.10%減少となっております。前年同月
(2.87 トン)比でも 38.7%減少。4 月の NY パラジウム(期近)平均価格は 769.5 ドルとなり、前月(784.5 ドル)から
約 15 ドル下落したものの、中国で需要減退懸念が再燃する中、需要が減退した様だ。2015 年 1-4 月期累計では
6.45 トン。
国別で見てみると、2014 年にロシアから 3.01 トン輸入し
中国のパラジウム輸入量と NY パラジウムの推移
ているが、4 月は 0.14 トンとなり、前月(0.08 トン)から増加。
なお、南アフリカは 0.11 トン、日本は 0.60 トン、英国は 0.65
トンとなっている。
中国のパラジウム需要量
世界のパラジウム 鉱山生産量
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●中国、金融緩和を今後も拡大か?
中国製造業購買担当者景況指数
中国の預金準備率と政策金利の推移
2015 年 1-3 月期実質 GDP(国内総生産)が前年同期比 7.0%と 6 年ぶりの低水準となり、同国政府の 2015 年の
目標である 7%前後ギリギリの水準となる中、海外からの投資資金の流入が細っているため、中国人民銀行(中央
銀行)は利下げと預金準備率引き下げを組み合わせた金融政策で景気の下支えに動いている。
なお、中国税関総署が 5 月 8 日に発表した 4 月中国貿易統計によると、輸出は前年同月比 6.4%減の 1763 億ド
ル、輸入は同 16.2%減の 1422 億ドルとなり、2 ヶ月連続で輸出入共に落ち込んでいる。
また、中国国家統計局が 5 月 13 日に発表した 4 月中国鉱工業付加価値額(IPI)は前年同月比 5.9%増加。リーマ
ン・ショック後の 2008 年 11 月(同 5.4%増)以来、6 年 4 ヶ月ぶりの低さだった前月(同 5.6%増)からは小幅加速。
ただ、2 ヶ月連続で 5%台の低い伸びに留まるなど、市場予想(同 6.0%増)を下回っている。その結果、景気減速で
生産活動が鈍化しており、2015 年 4-6 月期実質 GDP(国内総生産)が 6 年ぶりに 7%を割り込むとの懸念が出始
めている。4 月中国社会消費品小売総額は同 10.0%増となり、前月(同 10.2%増加)から減速。幅広い投資動向をカ
バーする 2015 年 1-4 月期中国都市部固定資産投資は 12.0%増となり、市場予想(同 13.5%増)を下回った。2015
年 1-4 月期中国不動産開発投資額は前年同期比 6.0%増となり、2015 年 1-3 月期(同 8.5%増)から減速となった。
また、英マークイットが 5 月 21 日に発表した 5 月 HSBC 中国製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値は 49.1
となり、1 年ぶりの低水準となった 4 月(確報値、48.9)から上昇したものの、市場予想(49.3)は下回った。また、3 ヶ
月連続で景気の拡大と縮小の分かれ目である 50 を下回っている。
中国の消費者物価指数と卸売物価指数
中国実質 GDP と政府目標
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また、住宅販売の落ち込みが不動産開発投資の伸び悩
●中国広義貨幣流通量(M2、マネーサプライ)
みにつながり、セメントなど関連産業も打撃を受けていると
見られているが、中国国家統計局が 5 月 18 日に発表した 4
月中国主要都市別新築住宅価格指数(公共性の高い低価
格住宅除く)は、調査対象の 70 都市のうち 48 都市が前月
比で下落。ただ、下落都市数は 1 月(64)、2 月(66)、3 月
(50)と減少が続いており、北京などの大都市で回復が見ら
れ始めている。
なお、中国人民銀行(中央銀行)が 5 月 14 日に発表したデータによると、企業の資金需要など景気の実態を強く
反映すると言われる 4 月中国新規人民元建て融資は 8,045 億元となり、3 ヶ月連続で減少となった。4 月末末時点
の中国広義貨幣流通量(M2、マネーサプライ)伸び率は前年同期比 10.1%増の 128 兆 0,800 億元(約 2,500 兆円)
となり、3 月(同%増)から伸び率が鈍化。過去最低の伸び率となっている。
最後に、中国の李克強首相は 5 月 25 日に、チリの首都サンティアゴにある国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会
本部で講演し、2015 年の中国経済成長率について、4 月と 5 月のデータで中国経済が勢いを維持していることが示
されたとし、目標の約 7%を達成する見通しだと述べている。
●米財務長官、中国副首相に外為市場介入を減らすよう要請
ルー米財務長官は 5 月 20 日に、中国の汪洋副首相と電話会談し、6 月下旬にワシントンで開かれる米中戦略・
経済対話を前に、米中の経済協力関係の強化策や課題について意見交換。外国為替介入を減らし、為替政策の
透明化を進めるよう要請した。
●リプトン IMF 副専務理事「人民元、過小評価とは言えず」
国際通貨基金(IMF)のリプトン筆頭副専務理事は 5 月 26 日に、「人民元の実質実効為替レートは過去 1 年で大
幅に上昇し、もはや過小評価されているとは言えない水準になった」と述べ、人民元相場はもはや過小評価されて
いるとは言えないとの認識を示した。中国は輸出支援のため人民元相場を低く抑え、国際社会から厳しい批判を浴
びた時期もあったものの、国際機関幹部から適正水準にあるとのお墨付きをもらった形となっている。
●元建て白金価格とパラジウム価格の推移
元建て白金価格
元建てパラジウム価格
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●世界の新車販売台数の推移
米国の新車販売台数
米調査会社オートデータが 5 月 1 日に発表した 4 月米新
車販売台数は、前年同月比 4.6%増の 145 万 4,951 台とな
り、4 月としては 2005 年以来の高水準となった。景気回復や
ガソリン安を背景に、引き続きスポーツ用多目的車(SUV)な
どの小型トラックや高級車が牽引役となった模様。
上位メーカーでは、トヨタ自動車が同 1.8%増と、3 月(同
4.9%増)から減速。主力の「カムリ」やハイブリッド車(HV)
「プリウス」が 2 桁減となるなど乗用車が不振だった一方で、
小型トラックは同 9.8%増となっている。3 月に前年割れとな
った米ゼネラル・モーターズ(GM)は同 5.9%増、2 位のフォ
ード・モーターは同 5.4%増と堅調な動き。
欧州の新車販売台数
欧州自動車工業会(ACEA)が 5 月 19 日に発表した 4 月
欧州連合(EU)域内の新車(乗用車)販売台数は、前年同月
比 6.9%増の 116 万 6,482 台となり、4 月単月としては 2009
年以来の高水準となった。前年同月を上回るのは 1 年 8 ヶ
月連続。2015 年 1-4 月期累計では、前年同期比 8.2%増の
469 万 5,058 台。
国別では、イタリアが同 24.2%増と大きく伸びたほか、ドイ
ツが同 6.3%増、英国は同 5.1%増など主要市場が好調とな
った。メーカー別では、シェア首位の独フォルクスワーゲン
(VW)が同 5.6%増、2 位の仏プジョー・シトロエン・グループ
(PSA)が 2.1%増。日系メーカーでは、日産自動車が同
9.02%増となった一方、トヨタ自動車は同 0.2%増に留まっ
た。
●独新車販売台数
独自動車工業会(VDA)が 5 月 5 日に発表した 4 月独国内新車販売台数(乗用車)は、前年同月比 6%増の 29
万 1,400 台となった。前年同月比プラスは 5 ヶ月連続。VDA は 2015 年通年の販売台数は前年比 2%増の 310 万
台と予測している。
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中国の新車販売台数
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中国自動車工業協会(CAAM)が 5 月 11 日に発表した 4
月中国新車販売台数は、前年同月比 0.5%減の 199 万
4,500 台(中国国内生産分、工場出荷ベース、商用車・輸出
を含む)となった。長引く景気減速を背景に、商用車は同
17.6%減の 32 万 5,700 台となり、引き続き大きく落ち込んで
いる。また、好調だった乗用車の伸びも鈍化。乗用車は人
気急上昇中のスポーツ用多目的車(SUV)が大幅増を維持
したものの、全体では同 3.7%増の 166 万 8,800 台に留まっ
た。春節(旧正月)を挟み統計が変動しやすい 1-2 月を除け
ば、反日デモの影響で同 1.8%減少した 2012 年 9 月以来、実質 2 年 7 ヶ月ぶりのマイナスとなっている。
日系上位 3 社はトヨタ自動車が 7.8%増の 9 万 2,600 台。カローラが同 80%増の 2 万 2,000 台と大きく伸びたこと
に加え、多目的スポーツ車(SUV)RAV4 も同 30%増と好調を維持した。ホンダは同 11.7%増の 7 万 1,546 台、一方
で日産自動車は同 19.4%減の 9 万 5,500 台となり、3 ヶ月連続で前年を下回っている。
なお、同協会は年初に 2015 年の中国新車販売台数の伸びを 7%と予想しているが、2015 年 1-4 月期累計の新車
販売台数は前年同期比 2.8%増に留まっている。
●インド新車販売台数
インド自動車工業会(SIAM)が 5 月 11 日に発表した 4 月インド国内新車販売台数(乗用車と商用車合計)は前年
同月比 14%増の 26 万 3,821 台となり、6 ヶ月連続で前年実績を上回った。なお、二桁増は 4 ヶ月ぶり。昨年 4 月は
インドの新車販売台数が冷え込んだ時期で、その反動で高い伸びとなった模様。
日本の新車販売台数
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協
会連合会(全軽自協)が 5 月 1 日に発表した 4 月新車販売
台数(速報値)は、前年同月比 7.5%減の 31 万 9,482 台とな
り、4 ヶ月連続で前年実績を下回った。このうち軽自動車は
同 22.5%減の 12 万 1,111 台となり、4 ヶ月連続のマイナス。
減少幅は東日本大震災後の 2011 年 5 月(同 25.4%減)以来
の大きさとなった。
4 月 1 日以降に購入した軽自動車の軽自動車税は、自家
用乗用車で年 1 万 0,800 円(3 月までは年 7,200 円)となった
ため、増税前の駆け込み需要の反動減もあった様だ。ま
た、ダイハツ工業とスズキが 3 月まで 2014 年暦年と 2014 年
度のシェア首位を巡り激しい販売競争を繰り広げた影響も
あった模様。なお、軽以外は同 5.0%増の 19 万 8,371 台とな
り、9 ヶ月ぶりにプラス。ただ、4 月としては 1968 年の統計開
始以降 5 番目に低い水準に留まっている。
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●トヨタ、営業益 2 兆 7,500 億円、純利益は初の 2 兆円
トヨタ自動車が 5 月 8 日に発表した 2015 年 3 月期連結決算(米国会計基準)は、本業の儲けを示す営業利益が
前期比 20.0%増の 2 兆 7,505 億円、純利益は同 19.2%増の 2 兆 1,733 億円となった。北米の販売が好調だったほ
か、円安進行で輸出や海外事業の採算が改善し、営業利益、純利益とも 2 年連続で過去最高を記録。純利益は初
めて 2 兆円を突破している。売上高は同 6.0%増の 27 兆 2,345 億円。リーマン・ショック前の 2008 年 3 月期(26 兆
2,892 億円)を上回り、7 年ぶりに過去最高を更新した。ダイハツ工業と日野自動車、中国合弁企業を含むグループ
総販売台数は 1,016 万 8,000 台となり、2 年連続で 1,000 万台を上回った。
なお、同時に発表した 2016 年 3 月期連結業績予想は、営業利益が同 1.8%増の 2 兆 8,000 億円と 3 年連続の
過去最高を見込んでいる。
●トヨタとマツダ、環境技術で提携拡大
トヨタ自動車とマツダは、5 月 13 日に環境と先進安全技術などの分野での提携を拡大することで基本合意したと
発表。トヨタが先行する燃料電池車(FCV)の技術と、マツダが得意とするクリーンディーゼルなど低燃費エンジン技
術の供与を検討する予定。今後、検討委員会を立ち上げて具体的な内容を詰め、最終合意を目指すとした。
世界的な環境規制の強化を受け、自動車メーカーは FCV など環境に優しい車「エコカー」の技術開発の加速を
迫られている一方で、当面はディーゼル車や小型ガソリン車などの需要が環境対応でも中心になると見込まれるた
め、相互補完の強化が必要と判断した模様。従来の提携では、トヨタがマツダにハイブリッド車(HV)技術を既に供
与。マツダがトヨタに北米向け小型ガソリン車を年内に OEM(相手先ブランドによる生産)供給する予定。
●トヨタ、燃料電池の触媒観察手法を開発!白金使用量低減へ手掛かり?
トヨタ自動車は、5 月 18 日に燃料電池車(FCV)の主要部品である燃料電池(FC)の高性能化や低価格化に向け
た研究の一環として、触媒の白金が劣化する過程をリアルタイムで観察出来る新手法を開発したと発表。劣化のメ
カニズムを解析することで、白金の性能や耐久性向上のための研究・開発指針を得たい考えで、FC の長寿命化や
白金使用量の低減につなげる狙いがあるとした。
トヨタが一般財団法人ファインセラミックセンターと共同で、約 3 年半かけて開発。水素と空気中の酸素の化学反
応を利用して電気をつくる部品「燃料電池セル」の仕組みを小型化した「極小模擬セル」を新規に開発。透過型電子
顕微鏡内で同セルに電圧をかけ、発電しているときと同じ状態にして、ナノメートルレベルで白金微粒子の動きを再
現・観察するのに成功した模様。
トヨタは昨年 12 月に FCV「ミライ」を約 723 万円で発売。同社は今後、高価な白金の劣化を防止する技術を開発
して使用量を減らし、コスト削減を目指すとしている。
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●NY 白金は引き続き底練りの展開か?
NY 白金(期近)は、5 月 18 日に 1,179.9 ドルまで買い進められるも勢い続かず。米国の利上げ時期の後ズレ観測
が後退する中、ユーロ安ドル高が進行。相対的にドル建て商品に割高感が生じたことに加え、相関性の高い金が
急落する中、5 月 26 日に節目の 1,150 ドル割れ。50 日平均線を割り込んでストップ・ロスを誘発する中、5 月 28 日
には 1,108.7 ドルまで下げる場面も見られている。
需給関係では、中国の景気減退懸念が再燃していることに加え、ギリシャの債務問題に対する先行き不透明感
から、需要減退懸念が出始める一方で、2015 年の世界白金需給について、トムソン・ロイターGFMS はネット・バラ
ンスを 2.1 トンの不足と予測。また、ジョンソン・マッセイ社は 8.9 トンの不足、ワールド・プラチナム・インベストメント・
カウンシル(WPIC)は 5.9 トンの不足とし、3 機関とも供給不足と予想したものの、昨年の予想から比べると南アフリ
カの生産やリサイクルの回復などを受けて回復する見込みとした。
(5 月 29 日 ERI 大湖 一樹 記)
本レポートは EVOLUTION 総研株式会社(以下「ERI」という)が情報提供を目的として作成したものであり、投資その他の行動を勧誘する
ものではありません。本レポートは信頼できると思われる情報に基づき作成されておりますが、ERI はその正確性及び完全性に関して責任
を負うものではありません。また、記載された内容は作成時点のものであり、予告なく変更する場合があります。投資に係る最終決定はお客
様ご自身の判断でなさるようお願い致します。
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