FS JP 18 Property market

18. 不動産市場
チェコの不動産市場は、過去 15 年間で大幅に発展してきた。投資家の関心が高い一方、真に一流の商品の
供給が乏しい状態に直面している。チェコにおける 2012 年の僅かな投資額(6.09 億 EUR のみ)の後、
2013 年には大幅な増加となり、総額 11.63 億 EUR(91%増)の投資が実施された。しかし、この数値は
2011 年比 45%減であり、過去 10 年間の平均を下回る。アメリカ系の購入者が総投資額の 37%で第1位、
現地の購入者が 28%で第2位であった。また、事務所用不動産が総投資額の 51%の割合で市場を動かし
た。2014 年は、昨年の投資額を緩やかに上回り、15 億 EUR を超える見込みである。
セグメント別不動産売上高、2014
年 3 月付け
セグメント別不動産売上高、
出所:CBRE
Research、2014年3月。
出所:
工業用不動産及び倉庫賃貸市場
チェコの工業用不動産市場は、およそ445万m2 の近代的なAクラスの倉庫面積から成り立っている。チェコ
の近代的な倉庫総面積の約90%は、主要4地域(プラハ首都圏、ピルゼン、ブルノ、オストラヴァ)にあ
る。一方、カルロヴィ・ヴァリ、南部ボヘミアとズリーンは、近代的な倉庫面積は殆どない地域である。
工業用不動産市場―面積増加、2013
年
工業用不動産市場―面積増加、
チェコの工業用不動産市場の発展は、2005年に始まった。市場へ供給される倉庫面積のピークは、2007年
に記録されている。2013年の世界経済回復により、チェコの工業用不動産市場における賃貸活動が記録更
新のきっかけとなった。総賃貸活動(TLA)は市場最高となり、取得(再交渉を除く)は過去3年間で最
改定:2014
年、4月
改定:
ファクト・シート No.18 不動産市場
作成:CBRE
高値に達した。また、新規供給は2009年以来最高値となった。2008年と2010年は需要が多かったため、
2013年の総賃貸活動は記録的なものとなった。その背景には、需要の多かった年に締結された契約の更新
比が高い(47%)事実がある。新規供給に関しては、大半の開発業者は建設に先立ち仮賃貸を待ち構えて
いる。全国的に許可の整備された新規用地が使用者の入居を待っている状況と言える。
賃貸料水準
平均名目賃貸料は、3.75~4.25 EUR/ m2/月に留まっている。賃貸料は殆どの地域において安定している。
一般的には、銀行及び投資家は長期賃貸を求めているのに対し、所有者は短期賃貸を求めているテナント
からの継続的な圧力をかけられている。
単位面積
賃貸料 (EUR/ m2/ 月)
500 - 1,000
5 – 6.5
1,000 - 5,000
4 – 4.5
5,000 - 10,000
3.25 – 3.75
10,000 以上
3 – 3.50
出所:CBRE
Research、2014年。
出所:
市場における典型的な賃貸期間は、物流会社の場合は3年~5年、製造会社の場合は5年~7年、ビルド・ト
ゥ・スーツの製造会社及び物流会社の場合は 7年~10年、となっている。しかし、既存のAクラス物件の
場合は、より短期賃貸期間が見られるし、新規建屋の場合は7年か10年以上の賃貸期間が珍しくない。早期
解除に関しては、賃貸契約の条項により予告の違約金が定められている。通常、賃貸は、親会社による補
償、銀行補償、あるいはたまには3ヶ月~6ヶ月の賃貸料の敷金により補償される。指数化(インデクセー
ション)はHICP EUによる。一般的な誘致は、賃貸条件により1ヶ月~6ヶ月の賃貸料免除を含む。テナン
トは屋内修理を負うのに対し、所有者は屋外、構造的な部分と共用スペースの補修をする責任がある。サ
ービス料は、建物の保険、不動産税、24時間のセキュリティー、修繕費、管理費、共用スペースの維持
費(雪かきを含む)、建物と機械の保全費と点検費を含み、賃貸料に加算され、平均0.60 EUR/m2/月となっ
ている。 ビルド・トゥ・スーツの倉庫の要件として、5,000 m2以上の仮賃貸面積が必要である。
チェコ全体
プラハ首都圏
その他の地方
総供給面積(m2)
4,450,100
1,750,700
2,699,400
未取得面積(m2)
353,000
157,800
195,200
未取得率(%)
7.9%
9.0%
7.2%
新規供給面積(m2)
264,800
61,000
203,800
取得面積(再交渉を除く)(m2)
621,800
268,500
353,300
総賃貸活動(m2)
1,172,900
623,000
549,900
前期比使用面積増減(m2)
267,300
81,000
186,300
建設中面積(m2)
180,500
48,000
132,400
3.50-4.25
3.50-4.00
3.50-4.25
実質賃貸料*
EUR/m2/月)
出所:CBRE
Research、産業研究フォーラム、2014年。
出所:
改定:2014
年、4月
改定:
ファクト・シート No.18 不動産市場
作成:CBRE
チェコ工業用不動産市場指標、2013
年
チェコ工業用不動産市場指標、
出所:CBRE
Research、産業研究フォーラム、2014 年。
出所:
事務所用不動産市場
事務所用不動産市場は、現在近代的な事務所面積 2.959 百万 m2 のあるプラハに集中している。プラハ以外
の地域では、主にブルノとオストラヴァに近代的な事務所用供給面積が多い。ブルノの供給面積は、
428,800 m2、オストラヴァは 194,200 m2 に達している。一般的には、地方都市における事務所用不動産市
場は、上記都市を除けば需要次第である。
賃貸料は、四半期毎に支払われ、前払いとなっており、指数化(インデクセーション)は毎年 HICP EU 指
数による。実際の賃貸料は、所有者の提供している様々な優遇により通常削減されている。主な優遇は、
年間1~2ヶ月の賃貸料免除、と正味面積一平米当たり 100~200EUR の装備に対する寄付金、である。プ
ラハと地方都市も、通常の賃貸期間は 5 年であり、3年が経過したところで解除する可能性(6ヶ月間の
違約金が必要)がある。欧州他国、特に西欧諸国、に比べると、この期間は短い(典型的な賃貸期間は 10
年以上)。早期解除に関しては、残りの賃貸料とサービス料金を支払わない限りテナントが早めに賃貸を
終結する選択肢はない。通常の敷金は、3ヶ月の賃貸料とサービス料金(VAT込み)である。サービス
料金は、75~125 CZK/ m2 /月 +VAT であり、一般的な運用費、管理費、清掃と修理費、不動産税と建物の
保険を含む。電気代は、テナントが各自の使用量に応じて支払う。
事務所用不動産指標、2013
年
事務所用不動産指標、
プラハ市街
プラハ市内
プラハ近郊
ブルノ
オストラワ
543,830
1,508,600
907,200
428,800
194,200
未取得面積(m )
90,500
195,900
102,800
82,000
51,400
未取得率
16.7%
13.0%
11.3%
19.1%
26.5%
44,900
30,100
3,400
26,700
20,400
53,800
64,500
34,000
35,200
23,600
38,000
204,400
80,900
64,400
5,300
19.50 - 20.50
15.00 – 17.50
13.00 – 14. 50
13.50
12.50
総供給面積(m2)
2
新規供給面積(m2)
2
取得面積(m )
2
建設中面積(m )
プライム賃貸料(EUR/m
2
/月)
出所:CBRE
Research、プラハ研究フォーラム、地域研究フォーラム、2014 年。
出所:
改定:2014
年、4月
改定:
ファクト・シート No.18 不動産市場
作成:CBRE
ブラウンフィールド
ブラウンフィールドとは、放棄または放置、あるいは汚染された土地や建屋であり、再生しない限り、有
効に利用できない不動産と定義されている。産業、農業、住宅、軍事その他の活動の中止された遊休地で
ある。
2007 年以降、チェコ国内ブラウンフィールド特定「調査研究」(http://bit.ly/J1jEY4) により、総面積
14,000 ヘクタール以上に相当する 2,800 件のブラウンフィールドが特定できた。この数字は随時更新され
ているものの、当調査で特定していない物件を含めると、実際のチェコにおけるブラウンフィールド全数
は4倍多いものと見られる。
当然ながら、投資家の候補者にブラウンフィールドを勧めるには、物件を特定するのは第一である。2005
年に全国各地域の密接な協力の下で始まり2年以上要した大規模な「調査研究」は、チェコ国内のブラウ
ンフィールドを特定するための基本的な要素であった。先進的なマッピングと詳細な説明に基づいて、
「国内ブラウンフィールドデータベース」(http://bit.ly/1bzBtbB)にて公開されるブラウンフィールドのロケ
ーション情報は、意識向上を図りながら、ブラウンフィールドの再開発への関心を強め、地域開発及び環
境保護に貢献している。再開発(再生または活性化)と再利用に適している物件のリストをこの「国内ブ
ラウンフィールドデータベース」で随時更新している。チェコ国内ブラウンフィールド記録は、主に投資
家向けのビジネス用途のための適切な物件を提供するためのものであり、また統計データの収集及び個別
の再生プログラムの優先事項設定の土台としても活用されている。これらによって広範囲な基準に基づき、
投資家によって物件の選定、分類と比較の簡素化が図られ、国家補助の対象となり得る物件の選定も可能
となっている。「国内ブラウンフィールドデータベース」への新規記録は、ユーザーアカウントを登録し
た上で、物件の所有者が各自で出来るし、チェコインベストを通じて(http://bit.ly/1aRtQc4)も可能である。
「国内ブラウンフィールドデータベース」の運営は、チェコインベストが実施している。ブラウンフィー
ルドは、当庁の業務において重点的で長期的な要素である。詳細は、http://www.brownfieldy.cz/をご覧下さ
い。
ブラウンフィールド状況
以前用途
農業
工業
公共施設
軍事
住宅
観光
その他
合計
物件数
793
827
369
145
90
25
124
2,373
割合
33.42
34.85
15.55
6.11
3.79
1.05
5.23
100
総面積
4,335.92 ha
3,035.99 ha
331.73 ha
1,979.13 ha
67.08 ha
29.93 ha
1,068.71 ha
10,848.49 ha
物件当たりの平均面積
5.47 ha
3.67 ha
0.90 ha
13.65 ha
0.75 ha
1.20 ha
8.62 ha
N/A
ブラウンフィールド所有状況
所有形態
民間
国有
未解決
合計
物件数
1,847
411
610
2,868
割合(%)
65
14
21
100
インフラ状況
接続関係
適切な道路アクセス
電気
下水
飲用水
ガス
通信
既存または可能な環境汚染
合計(含む更新)
物件数(再開発を含む)
1,079
966
706
903
575
534
893
2,868
割合(%)
37.62
33.68
24.61
31.48
0.20
18.62
31.13
N/A
出所:チェコインベスト、2014
年。
出所:
改定:2014
年、4月
改定:
ファクト・シート No.18 不動産市場
作成:CBRE