SPOT 前月の市場レポートを更新しました。

2014-12 月 マンスリー・レポート
トウキョウフォレックス上田ハーロー(株)
スポット FX 部
ドル円≪市場・相場の動き≫
レンジ 115 円 57 銭(12/16 LDN)~ 121 円 86 銭(12/5 TKY)
1 日、118 円 60-70 銭水準で始まった後、日経平均株価の堅調推移にサポートされ 119 円台に乗せる
と、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債の格付けを引き下げたことで 119 円 15 銭まで上昇
した。だが、日経平均先物が夜間取引で下げ幅を拡大すると 118 円台前半へ急落、欧米株安で 117 円 86
銭まで下落した。しかし、米 11 月 ISM 製造業景況感指数が市場予想を上回ると 118 円台へ値を戻し、米
株価指数先物の上昇や原油安によるドル買いで 119 円台前半に水準を切り上げ、3 日には米景気回復期
待が高まる中 119 円 90 銭近くまで上昇した。4 日、ドラギ ECB 総裁が QE 導入について踏み込んだ発言
をしなかったことからユーロ円が急伸、ドル円は 120 円 25 銭まで買い進まれた。5 日、米 11 月雇用統計が
予想を大きく上回るポジティブ・サプライズとなり 121 円台前半へ急伸し、8 日には 121 円 86 銭まで買い進
まれ、今月の高値を付けた。だが、本邦7-9 月期 GDP 改定値が速報値より下方修正されると利益確定
やポジション調整のドル売りが入り、上海総合指数が大幅安となったこともあり 120 円 20 銭まで下落し、9
日には 119 円台後半まで、10 日には 118 円 70 銭前後まで下落した。そして 11 日の東京市場では 117 円
44 銭まで続落した。しかし、米 11 月小売売上高や週間の米新規失業保険申請件数が好調、米景気回復
期待が高まり 119 円 55 銭まで上昇した。その後 15 日、週末に行われた衆院選が予想通り与党の勝利に
終わり、材料出尽くし感が広がる中、117 円 78 銭まで下落した。ただ薄商いの中 119 円台へ急反発する場
面も見られた。16 日、ロシア中銀が大幅な利上げを実施したにもかかわらずルーブルが暴落したことや、
原油安を嫌気し、リスク回避から 115 円 57 銭まで急落、今月の安値を付けた。その後ルーブルや原油の
下げが一服すると、17 日の FOMC 声明が利上げに向けて一歩前進したと受け止められ 118 円台後半へ
急伸し、18 日、週間の米新規失業保険申請件数の改善が好感されたことや米 10 年債利回りの上昇で
119 円 30 銭前後まで上昇した。19 日には日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いに支
えられて 119 円 63 銭まで値を上げ、23 日には米7-9 月期 GDP 確定値が大きく上方修正されたことで 120
円 80 銭付近まで上昇した。しかしその後はクリスマス休暇で海外勢の流動性が低下したことから方向感
に乏しい値動きとなった。30 日、特段の材料がない中、ストップロスのドル売りで 119 円台前半へ下落し、
NY 市場に入ると市場予想を下回った米 12 月消費者信頼感指数や米株安で 118 円 86 銭まで下押しした。
しかし、ドルの押し目買いから 119 円台半ばへ値を戻す荒い値動きとなり 31 日、年末に伴うドル買い・円売
りフローが持ち込まれて 120 円手前まで上昇した。その後は、米株安で調整的なドル売り・円買いが入り、
結局 119 円 60-70 銭水準で今月の取引を終えた。
財務省が発表した 11/27~12/26 の「外国為替平衡操作状況」によると 39 ヶ月連続で介入額ゼロ円と
なった。
ユーロドル ≪市場・相場の動き≫
レンジ 1.2097(12/31 NY)~1.2570(12/16 LDN)
今月のユーロドルは、1.24 ドル台前半で始まった。原油先物相場の反発を受けての資源国通貨買い・ド
ル売りの流れが波及し 1.25 ドル台前半まで上昇するも、米 11 月 ISM 製造業景況感指数が市場予想を上
回ったこともあり 1.24 ドル台後半で推移した。2 日、ECB による追加緩和観測や原油安によるドル買いもあ
り 1.23 ドル台後半へ、翌 3 日スペイン・仏の 11 月サービス業 PMI が鈍化して 1.23 ドル台前半まで下落し
た。4 日、1.2280 ドル付近まで下落するも、ドラギ ECB 総裁の記者会見が予想ほどハト派でなかったとの
見方や一部で追加緩和期待が高まっていたことから、ショートカバーが入り 1.24 ドル台半ばへ急反発した。
その後「ECB は広範囲の量的緩和パッケージを来年 1 月の定例理事会に向けて準備している」との報道
で 1.23 ドル台後半へ失速した。5 日、米 11 月雇用統計の上振れにより 1.22 ドル台後半まで下落した。8
日、独 10 月鉱工業生産の弱い数字やノボトニー・オーストリア中銀総裁の発言により 1.22 ドル台半ばまで
下落した。しかしドルが軟調に推移する中、ショートカバーが入り 1.23 ドル台半ばまで持ち直した。
10 日、原油先物相場が急落して NY ダウ平均株価が下げ幅を拡大すると、ドル円は下落した。このドル
売りが波及し 1.24 ドル台半ばまで上昇した。翌 11 日には、1.24 ドル台後半まで上値を伸ばした。16 日、ユ
ーロ圏 12 月総合 PMI・速報値や独 12 月 ZEW 景気期待指数などが市場予想を上回ったことからユーロが
買われ、LDN 市場で今月髙値 1.2570 ドルをつけた。だが、ギリシャ大統領選第 1 回投票を控えて上昇は
一服し、1.25 ドル台前半に水準を切り下げた。17 日、FOMC 声明で米欧の景況感格差が鮮明になったこと
からドル買いが強まると、1.23 ドル台前半へ急落した。18 日、スイス国立銀行がマイナス金利導入を発表
したことを受けて、スイスフランがドルに対して急落した流れが波及し 1.22 ドル台後半へ下落した。19 日、
プラート ECB 理事が「責務を果たすために躊躇しない」と述べ、量的緩和拡大に含みを持たせたこともあり
1.22 ドル台前半まで下落した。
23 日、米 7-9 月期 GDP 確定値の強い数字で下値を模索する展開となり、1.2165 ドル付近まで下落し
た。24 日、利益確定やポジション調整のユーロ買いも入り 1.22 ドル台前半まで上昇した。25 日、26 日はク
リスマス休暇で市場参加者が少ない中、1.2200 ドル付近で方向感なく推移し積極的な売り買いはなかった。
29 日、ギリシャ大統領選出のための第 3 回投票で十分な票が集まらず、ギリシャ政局の不透明感からユ
ーロ売りが優勢となり、1.21 ドル半ばまで下落した。31 日にかけてもユーロ売りの流れは変わらず、NY 市
場で 2012 年 7 月以来となる 1.2097 ドルまで下落し年初来安値を更新して、今月の取引を終えた。
ユーロ円 ≪市場・相場の動き≫
レンジ 144.77(12/30 LDN・NY) ~149.70(12/8 TKO)
今月のユーロ円は 147 円台後半で始まった。1 日、米格付け会社が日本国債の格付けを一段階引き下
げ日経平均先物が急落すると、ユーロ売り・円買いが強まって 147 円台前半まで下落した。しかし、米 11
月 ISM 製造業景況指数が市場予想を上回り NY ダウが上昇すると、円売りが進んで 147 円台半ばまで値
を戻した。その後は、世界的な株高によるリスク選好に一時 148 円台前半まで上昇するも、ECB 理事会で
の追加緩和観測や原油安によるユーロ売りで、147 円台前半まで押し戻された。4 日の ECB 理事会は主
要な政策金利を現行の水準で据え置くことを決定した。しかし、ドラギ ECB 総裁の記者会見が、市場が予
想していたほどハト派な内容でなかったことからユーロは買い戻され、149 円目前まで上昇した。翌 5 日に
発表された米 11 月雇用統計は、市場予想を大幅に上回る数字となった。このため、米国の利上げ時期が
想定より早まるとの観測にドル円が急騰、ユーロ円も連れて 149 円台半ばまで値を伸ばした。
翌週 8 日も先週末の強い米雇用統計を受けてドル円は続伸、ユーロ円も連れて今月の高値となる 149 円
70 銭まで上昇した。しかし、急激なドル高・円安への警戒感から調整色が強まりドル円は反落、ユーロ円
も利益確定の円買い戻しで 148 円台前半まで急落した。さらに翌日には、上海を起点とした世界的な株安
やブラート ECB 専務理事の「ECB は必要があれば資産購入を拡大できる」との発言でユーロ売りが強まり、
ユーロ円は 146 円台後半まで続落した。 その後も原油先物相場の急落やギリシャの政局不安にユーロ
円は軟調な値動きが続き 146 円台半ばまで下落する場面があった。だが、週末に行われる衆院選で与党
が圧勝するとの報道から円売りが強まると、ユーロ円は 148 円台を回復した。
衆院選の結果は、予想通りに与党圧勝で終わった。衆院選の結果を確認した後は、あまり反映されて
いなかった先週末の米株安が意識されて円が買い戻され、ユーロ円も 146 円台後半まで下落した。その
後も、原油先物相場の続落を嫌気した各国株価の下落やルーブル防衛のためのロシア緊急利下げなど
でリスク回避のユーロ売り・円買いが強まり、16 日には 145 円割れまで下落した。しかし、17 日の FOMC
声明が利上げに前向きと受け取られてドル円が上昇すると、ユーロ円も連れて 146 円台後半まで値を戻し
た。翌 18 日には、スイス中銀のマイナス金利導入に呼応してユーロが売られ、ユーロ円も 145 円台後半ま
で下落した。だが、NY ダウの堅調推移に支えられて下げ渋り 146 円台を回復した。
翌週、ドル円が 120 円台を回復するとユーロ円も連れて 147 円台まで値を伸ばした。その後は、クリスマ
ス休暇入りで市場参加者も少なくなり 147 円を挟んだ小動きに終始した。しかし 29 日、ギリシャ議会におい
て大統領選出の第 3 回投票でも十分な票が集まらず大統領選出に至らなかったことから、ギリシャ政局の
不透明感にユーロ売りが進み、リスク回避の円買いも相俟って 30 日には今月の安値となる 144 円 77 銭ま
で急落した。その後は、145 円 00 銭付近まで若干値を戻して今月の取引を終えた。
他通貨≪市場・相場の動き≫
イギリスポンド
1.5785(12/16 LDN)
- 1 .5486(12/23 LDN)
スイスフラン
0.9554 (12/31 NY )
- 0.9944 (12/16 LDN)
豪ドル
0.8539 (12/2 TKO)
- 0.8039 (12/23 NY)
カナダドル
1.1315 (12/1 NY)
- 1.1674 (12/15 NY)
シンガポールドル 1.3007 (12/16 LDN・NY) - 1.3254 (12/23 NY,12/24 TKO)
タイバーツ
32.77 (12/10 NY)
- 33.11 (12/8 TKO)
韓国ウォン(SPOT)1086.40 (12/16 SEOUL) - 1121.70 (12/8 SEOUL)
中国人民元(上海) 6.1397 (12/5 SHANGHAI) - 6.2325 (12/24 SHANGHAI)
SIN$・THB・,KRW・人民元
タイバーツ相場は狭いレンジではあったものの安値圏での推移が続いた。月末発表されたタイ中銀の
2014 年の GDP 成長率予想は+1%まで引き下げられている。シンガポールドル相場は、先月はそのバスケ
ット構成通貨の日本円に引きずられ、当月はマレーシアリンギの 5 年ぶり安値に連れ安となった。11 月
CPI が 5 年ぶりにマイナスとなり MAS が現状の引き締め政策を緩めるとの観測から約 4 年ぶりの安値を
更新した。
韓国ウォン相場は、先月来の日本円安の一服による連れ安の進行は止まり、安値圏での小動きが続いた。
中国人民元相場は 11 月貿易収支で輸出入が悪い数字となったことから元安傾向が続いた。但し市場開
始直前に発表される中国人民銀行仲値は元安をけん制すべく大幅な元高ドル安水準に設定され続けて
越年した。
AUD・CAD・STG
豪ドル相場は、7~9 月期のGDPが予想を下回る結果となり、成長鈍化の懸念から 2015 年の利下げ観
測から豪ドル売り圧力がたかまり、クリスマスには年初来安値まで下落して越年となった。英国ポンド相場
も、11 月のCPIは予想を下回り、さらに月末の 7~9 月期GDP確定値の下方修正に下落基調をたどること
となった。カナダドル相場は資源国通貨として原油相場の大幅下落に歩調を合わせこちらも弱含みでの越
年を迎えた。
以上