2014-5 月 マンスリー・レポート トウキョウフォレックス上田ハーロー(株) スポット FX 部 ドル円≪市場・相場の動き≫ レンジ 100 円 81 銭(5/21 TKY)~ 103 円 02 銭(5/2 LDN・NY) 1 日、102 円 20-30 銭水準で始まったあと、メーデーで海外勢による流動性が低下してい たこともあり、102 円 20 銭台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。2 日、4 月米雇用統 計が発表され、米雇用情勢の改善が示されたため 103 円 02 銭まで上昇、今月の高値をつ けた。しかしその後、ウクライナ情勢の緊迫化を受けて NY ダウ平均株価が失速、米長期金 利も低下する中、5 日、4 月中国 HSBC 製造業(PMI)確報値が発表され、速報値より下方修 正されたことで同国の景気減速懸念がくすぶり、リスク回避の流れから 101 円 86 銭まで下落 した。6 日には、ユーロ圏や英国の経済指標改善を受けてユーロやポンドに対するドル売り の流れが波及、一時 101 円 50 銭まで値を下げた。7日、日経平均株価が 400 円超え安の大 幅続落となり 101 円 43 銭まで続落した。ただ NY 市場で利益確定、ポジション調整のドル買 い・円売りが入り 102 円 01 銭まで上昇した。8 日、ドラギ ECB 総裁が 6 月会合での追加金 融緩和の可能性を示唆しユーロ円が急落、つられて 101 円 47 銭まで下落した。12 日、本邦 国際収支速報において 3 月の経常黒字が市場予想よりも大幅に縮小したことが意識され底 堅い動きとなり、NY ダウ平均株価が過去最高値を更新したことや、米長期金利の上昇に支 えられて 102 円 19 銭まで値を上げ、13 日には 102 円 30 銭台まで上昇した。14 日、米長期 金利の低下や、ユーロとポンドに対する円買いで下値を模索する展開となり 101 円 73 銭ま で下落した。15 日、週間の米新規失業保険申請件数や 5 月 NY 連銀製造業景気指数が強 い数字だったことで 102 円台に乗せたが、4 月米鉱工業生産が予想外の悪化を示したことで 101 円 31 銭まで値を下げ、19 日には欧州主要株価のさえない動きを眺めて軟調に推移し 101 円 11 銭まで値を下げた。21 日、黒田日銀総裁による定例記者会見が追加緩和期待を 高める内容でなかったことで下値を模索、損失覚悟のドル売り・円買いオーダーを巻き込み 100 円 81 銭まで下落、今月の安値をつけた。ただ NY 市場では、欧州時間に 100 円 80 銭台 で下値が底堅いことを確認したためショートカバーが入り、101 円台半ばに水準を回復した。 米 10 年債利回りの上昇や NY ダウ平均株価の堅調推移もドル買い・円売り要因となった。22 日、中国 5 月 HSBC 製造業が市場予想を上回り、日経平均株価が大幅反発したことに支え られ 101 円 58 銭まで上昇し、23 日には米株価の落ち着きや日経平均先物が夜間取引で上 昇したから 102 円台に乗せた。その後 102 円挟みで小動きだったが 29 日、米 10 年債利回 りが一時 2.40%台と約 11 ヶ月ぶりの低水準へ急低下したことで 101 円 43 銭まで下落した。 30 日、市場予想を上回った 5 月シカゴ購買部協会景気指数を背景に 101 円 85 銭まで値を 上げた。しかし次に発表された 5 月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が弱い数字だっ たことから伸び悩み、結局 101 円 75-85 銭水準で今月の取引を終了した。財務省が発表し た「外国為替平衡操作の実施状況」によると、4/28~5/28 日の為替介入は、32 ヶ月連続 で介入額ゼロ円となった。 ユーロドル ≪市場・相場の動き≫ レンジ 1.3586(5/29 LDN)~1.3995(5/8 LDN・NY) 今月のユーロドルは、1.3865/70 ドルレベルで始まった。メーデーで欧州市場の参加者も 少なく積極的な売買が手控える中、1.38 ドル台後半まで上昇した。また 5 日にかけて、TKY・ LDN 市場が休場となり新規材料に欠ける中、値動きが乏しく 1.38 ドル台後半で底堅く推移し た。6 日、ユーロ圏各国の 4 月サービス業 PMI が強い数字となり 1.39 ドル台半ばまで上昇し た。その後、利益確定などのユーロ売りが入り 1.39 ドル台前半まで水準を切り下げた。8 日、 ECB 理事会で金融政策の現状維持が決定されると発表直後に LDN、NY 市場で今月髙値と なる 1.3995 ドルまで急伸した。しかしドラギ ECB 総裁から「もし必要であれば 6 月の会合で 行動することは容易である」などの発言が伝わると、1.39 ドルの大台を割り込み 1.38 ドル台 半ばへ急落した。9 日、特に材料が無かったが前日からのユーロ売りの流れが止まらず、 1.37 ドル台半ばまで下落した。 13 日、独 5 月 ZEW 景気期待指数が市場予想を大きく下回ったことや、「独連銀はインフレ 安定化に必要ならマイナスの預金金利を含めた利下げを行う用意がある」との一部報道が 流れたことからユーロ売りが強まり、1.37 ドルを割り込んだ。15 日、ECB 当局者からハト派的 な内容の発言が報じられ、ECB が 6 月の会合で追加緩和に踏み切るとの観測が高まってい ることや、弱いユーロ圏の経済指標を背景に欧州市場で下落した流れが継続したこともあり 1.36 ドル台半ばまで下落した。しかし米 10 年債利回りの低下基調が続いたことを受けたドル 売りが入り 1.37 ドル台前半へ水準を回復した。19 日、注目度の高い経済指標がなかったこ ともあり 1.3710 ドル台を中心に取引された。メルシュ ECB 専務理事から「6 月の理事会で行 動を起こす可能性が非常に高まっている」との発言が伝わり、ユーロ売り・ドル買いで反応す る場面が見られたものの、下値を追う動きは限定的だった。 21 日、1.3700 ドル付近の狭いレンジ内で小動きしていたが、NY 時間の午後にストップロス を狙った仕掛け的なユーロ売り・ドル買いが持ち込まれ、一時 1.3635 ドルまで下落した。しか し値ごろ感からユーロは買い戻され、1.36 ドル台後半に水準を切り上げた。23 日、独 5 月 IFO 景況感指数が市場予想を下回ったことを背景に下値を試す展開となり、1.36 ドル台前半 まで下落した。26 日、LDN、NY 市場が休場だったため動意に乏しい展開となった。27 日、 1.3669 ドルまで上昇するも翌日、独 5 月失業者数が市場予想に反して増加したことやユーロ 圏 4 月マネーサプライの悪化を背景にユーロが売られ、1.35 ドル台後半まで下落した。29 日 には、LDN 市場で今月安値となる 1.3586 ドルをつけた。30 日、週末・月末要因と思われるユ ーロ買い・ドル売りフローがあり 1.36 ドル台半ばまで上昇したが、上値も重く 1.36 ドル台前半 まで押し戻され今月の取引を終えた。 ユーロ円 ≪市場・相場の動き≫ レンジ 137.98(5/29 LDN) ~142.45(5/2 LDN・NY) 今月のユーロ円は 141 円台後半で始まった。2 日の米 4 月雇用統計は非農業部門雇用 者数が予想を大幅に上回りドル円が急騰、ユーロ円も連れて今月の高値となる 142 円 45 銭 まで上昇した。その後、雇用統計が米国の早期利上げ期待を高めるほどの材料ではないと の見方が広がると次第に短期筋を中心としたイベント通過後の持ち高調整が活発化、ドル 円の急落に連れてユーロ円も 141 円台半ばまで下落した。 翌週前半は、GW で東京市場が休場のため値動きに乏しく 141 円台で底堅く推移した。8 日 の ECB 理事会では、政策金利を予想通り 0.25%に据え置いた。ドラギ ECB 総裁の会見は、 開始された当初は追加緩和やユーロ高牽制がなかったためにユーロが買われて一時 142 円台前半まで上昇した。しかし、次回 6 月会合で追加緩和の可能性を示唆する発言がされ るとユーロ売りが一気に強まり 140 円台半ばまで急落した。翌日もユーロ売りの流れは続き 139 円台後半まで下落する軟調な値動きとなった。 翌週のユーロ円は、欧米の株高でリスク許容度が改善されてユーロが買われ、140 円台後 半まで値を戻した。しかし、13 日に発表された独 5 月 ZEW 景気期待指数が市場予想を大き く下回ると 140 円付近まで値を下げた。さらに翌日、プラート ECB 専務理事から「マイナス金 利も政策のひとつ」との発言が報じられるとユーロ円は 139 円台半ばまで下落、15 日には NY ダウの大幅安を嫌気したユーロ売りで 139 円の大台を割り込んだ。 19 日、メルシュ ECB 専務理事も次回 6 月の ECB 理事会での追加緩和に前向きな発言をす るとユーロ円は 138 円台半ばまで下落した。21 日の日銀金融政策決定会合は予想通り現状 維持だったものの、黒田日銀総裁の定例記者会見で追加緩和に慎重な姿勢を示したことが 嫌気されて円が急騰、ユーロ円も 138 円台前半まで下落した。その後もユーロ圏 5 月製造業 PMI や 5 月独 IFO 景況感指数が市場予想を下回ったことでユーロの上値は重く、ユーロ円 は 138 円台で推移した。しかし、週末を控えたポジション調整や NY ダウの上昇を好感してユ ーロが買われ、139 円台乗せまで値を戻した。 28 日、独 5 月失業者数が市場予想より増加、次回 ECB で追加緩和に踏み切るとの観測が 強まってユーロは売られ 138 円台前半まで下落した。翌 29 日には軟調な欧州株式市場を眺 めてユーロ売りが進み、一時今月の安値となる 137 円 98 銭まで下落した。その後は、短期 筋による利益確定やポジション調整のユーロ買い・円売りで 138 円台後半まで値を戻して今 月の取引を終えた。 他通貨≪市場・相場の動き≫ レンジ イギリスポンド 対ドル高値 1.6997(5/6 LDN・NY) 対ドル安値 - 1.6693(5/29 LDN) スイスフラン 0.8721 (5/6 LDN・NY NY) - 0.8990 (5/28 LDN・NY) 豪ドル 0.9408 (5/14 TKO) カナダドル 1.0814 (5/8 NY) - 0.9203(5/2 LDN・NY) - 1.1007(5/2 LDN・NY) シンガポールドル 1.2460 (5/8 LDN・NY) - 1.2567 (5/28 LDN・NY) タイバーツ - 32.85 (5/28 LDN・NY) 32.33 (5/5 ASIA) 韓国ウォン(SPOT)1017.10 (5/30 SEOUL) - 1032.60 (5/2 SEOUL) 中国人民元(上海) 6.2230 (5/14 SHANGHAI) - 6.2486 (5/27 SHANGHAI) SIN$・THB・,KRW・人民元 タイバーツ相場は混とんとする政治状況に 5 月 22 日、軍部が 2006 年以来のクーデターを 宣言、軍部が全権を掌握した。それに先立って 7 日、タイ憲法裁判所がインラック首相の不 当人事を認定し首相が失職、外国人投資家の資金流出からバーツ安が進んで 32.60 水準、 しかし当局の介入の動きもあり 32.50~60 水準で小動きになっていたところのクーデター、こ れでいったん見切りをつける形でのショートカバーに 32.80 の安値水準まで下落して越月と なった。韓国ウォン相場は、大事故の杜撰な対応に揺れる政治情勢があるものの、年初来 好調な経常黒字(1 月~4 月累積で過去最高の 220 億ドル)に海外からの資金流入が進み 堅調な動きが続いている。人民元相場は仲値がじりじりと元安水準に設定され元安方向で 小動き。シンガポールドル相場は先月とほぼ同じ水準で日々狭いレンジでの取引に終始し たまま越月となった。 AUD・CAD・STG 豪ドル相場は高値水準で小動きが続く展開となった。好調な労働環境指標や中国の経済 指標に促され豪ドル買いが進むものの、鉄鉱石価格の下落、およびその資源関連への資本 流入低下懸念などが上値を抑える形となっている模様。英国ポンド相場は月初めに早期利 上げ期待からのポンド高となったものの、そのポンド高過熱感警戒や、米国企業による英国 製薬会社巨額買収案件(約 700 億ポンド)断念、月末の欧州議会選挙でのEU離脱派政党 の躍進が足かせとなり弱含みとなり越月となった。カナダドル相場は先月の米ドル買いが続 かず反転、その後小動きに終始した。 以上
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