A CANCELLATION PROPERTY AND THE WELL-POSEDNESS OF FIFTH ORDER KDV TYPE EQUATIONS ON THE TORUS 名古屋大学大学院多元数理科学研究科 津川 光太郎 本研究は名古屋大学の加藤孝盛氏との共同研究である. 以下の 5 次修正 KdV 型方程式 について考える. ∂t u + c0 ∂x5 u + c1 (∂x u)3 + c2 ∂x (u(∂x u)2 ) + c3 ∂x (u∂x2 (u2 )) + c4 ∂x (u5 ) = 0, (t, x) ∈ R × T. ただし c0 ̸= 0, cj ∈ R とし初期条件を u(0, x) = φ(x) ∈ H s (T) とする. これらの係数はス ケール変換 u(t, x) 7→ |c4 /6c0 |1/4 u(t/c0 , x) により一般性を失わずに ∂t u + ∂x5 u + α(∂x u)3 + β∂x (u(∂x u)2 ) + γ∂x (u∂x2 (u2 )) + 6δ∂x (u5 ) = 0 (1) と書き換えられる. ただし α, β, γ ∈ R, δ = 1, 0 または −1 とする. ここで, 十分に滑らか な解に対する保存則の存在と係数の関係について考える. 条件および保存量を A0 : α = 0, A1 : α = β, A2 : (α − 3β + 6γ)(β + 3γ) = 450δ, ∫ ∫ 1 1 E0 (u(t)) := u(t)dx, E1 (u(t)) := u2 (t)dx, 2π T 2π T ∫ 1 β + 3γ E2 (u(t)) := (∂x u(t))2 − u4 (t)dx, 2π T 15 ∫ 1 (∂ 2 u(t))2 − 2γu2 (t)(∂x u(t))2 + 2δu6 (t)dx, E3 (u(t)) := 2π T x と定める. j = 0, 1 または 2 とすると, Aj が成り立つとき保存則 Ej (φ) = Ej (u(t)) が成り 立つ. また, A0 ∩ A1 が成り立つとき E3 (φ) = E3 (u(t)) が成り立つ. さらに A0 ∩ A1 ∩ A2 が成り立つときは (α, β, γ, δ) = (0, 0, 5, 1), (0, 0, 0, 0) or (0, 0, −5, 1) となる. この第 1 および第 3 番目は 5 次修正 KdV 方程式と呼ばれる可積分方程式であり , { 1 E0 , E1 , E2 , E3 およびさらに高階の無限個の保存則が成立する . ここで λ := (3α + β − 15 } 2γ)(β + 3γ) + 450δ とし, 以下の何れかを仮定する. (i)A1 ∩ A2 , (ii)A1 ∩ {3α + β − 2γ = 0}, (iv){3α + β − 2γ = 0} ∩ {γ = λ = 0}. (iii)A2 ∩ {γ = λ = 0}, このとき, (少なくとも十分滑らかな解に対しては)(1) は以下と同値である. ] [ ∂t u + ∂x5 u + 2γE1 (φ)∂x3 u + (3α + β − 2γ)E2 (φ) + λE12 (φ) ∂x u =J1 (u) + J2 (u) + J3 (u) + J4 (u), ∫ ( ) 1 4 4 J1 (u) = −30δ u − u dx ∂x u, 2π T {1 ∫ } J2 (u) = −α(∂x u) − β∂x (u(∂x u) ) + (3α + β) (∂x u)2 dx ∂x u, 2π T (1 ∫ ) (1 ∫ ) 2 2 2 3 J3 (u) = −γ∂x (u∂x (u )) + 2γ u dx ∂x u − 2γ (∂x u)2 dx ∂x u, 2π T 2π T 3 2 (2) {1 ∫ (1 ∫ )2 } 4 J4 (u) = −λ u dx − u2 dx ∂x u. 2π T 2π T 定理 1. 相殺条件 4γ 2 = 5λ が成り立つとき (2) は H s (T), s ≥ 3/2 で時間局所適切である. ここで「共鳴部分」と「Normal Form Reduction(N.F.R.)」の説明をする. Uφ (t) を (2) の線形部分の発展作用素, つまり Uφ (t) := Fk−1 etϕφ (k) Fx , [ ( ) ] ϕφ (k) := i − k 5 + 2γE1 (φ)k 3 − (3α + β − 2γ)E2 (φ) + λE12 (φ) k とし v(t) := Uφ (−t)u(t) とおくと (2) を積分方程式で表したときの Duhamel 項における u の N 次の項は, ∫ t N ∑ ∏ −1 −t′ Φφ Uφ (t)Fk M (k1 , · · · , kN )e vb(t′ , kj ) dt′ (3) 0 k +···+k =k 1 N j=1 と表される. ただし M は微分作用素に対応する Fourier multiplier とし, Φφ (k1 , · · · , kN ) := ϕφ (k1 + · · · + kN ) − ϕφ (k1 ) − · · · − ϕφ (kN ) とする. このうち Φφ (k1 , · · · , kN ) = 0 を満たす部分を共鳴部分という. 非共鳴部分 (nres) に部分積分を行うと N [ ∑ M (k , · · · , k ) ′ ∏ ]t 1 N −1 −t Φφ ′ (3) = Uφ (t)Fk e vb(t , kj ) −Φφ 0 nres j=1 − N Uφ (t)Fk−1 ∫ t∑ N ∏ M (k1 , · · · , kN ) −t′ Φφ e ∂t′ vb(t′ , k1 ) vb(t′ , kj ) dt′ −Φ φ 0 nres j=2 を得る. そして ∂t′ vb に (2) を代入する. この変形を N.F.R. と呼ぶ. これにより Φ が含む微 分 (4 階) と代入した (2) の非線形項が持つ微分 (3 階) の差の微分 (1 階) を得することが出 来る. 次に定理の証明方針を述べる. (1) から (2) への変形により J1 , J2 , J3 における微分の損 失を持つ共鳴部分は既に取り除かれてある. これらの項の (3 階以下の) 微分の損失を持つ 非共鳴部分に N.F.R. を適用すると微分の損失が 1 階解消され 2 階以下の微分の損失を持 つ 5 次の項が現れる. これらの項の非共鳴部分にはさらに 2 回 N.F.R. を適用して微分の 損失を解消する. 残った微分の損失を持つ共鳴部分のうち, 対称性により 2 階の微分の損 失は相殺されて 1 階の微分の損失を持つ 5 次の項のみ残る. これが J4 と相殺されるため の条件が相殺条件 4γ 2 = 5λ である. これにより本質的に微分の損失を含まない式に変形 され, それらの項はソボレフの不等式型の評価式で容易に評価できるため, 以下が得られ る. この命題を用いて標準的な議論を適用すると定理が得られる. 命題 2. u(t) ∈ C([−T, T ] : H 3/2 (T)) は (2) を満たす解とする. このとき v(t) := Uφ (−t)u(t) ∈ C([−T, T ] : H 3/2 (T)) は以下を満たす. [ ]t ∫ t ′ ′ v(t ) + Fφ,L (v(t )) = Gφ,L (v(t′ )) dt′ . 0 0 この Fφ,L , Gφ,L は 11 次以下の多重線形作用素であり約 90 の項により定義されるため詳細 は述べないが以下を満たすものである. a < 0 < b が存在し十分大きな L > 0 に対して ∥Fφ,L (v1 ) − Fφ,L (v2 )∥H 3/2 . La (1 + ∥v1 ∥H 3/2 + ∥v2 ∥H 3/2 )6 ∥v1 − v2 ∥H 3/2 , ∥Gφ,L (v1 ) − Gφ,L (v2 )∥H 3/2 . Lb (1 + ∥v1 ∥H 3/2 + ∥v2 ∥H 3/2 )10 ∥v1 − v2 ∥H 3/2 .
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