微分積分学 1 期末テスト(2014 年 8 月 6 日) 1 枚目 学籍番号 氏名 点数 最高点 86 点 平均点 49.96 点 下記の定積分を順に I1 , I2 , I3 , I4 , I5 とおく. それらを計算せよ.((1)∼(4) は 5 点,(5) は 10 点. 合計 30 点) ∫ π2 ∫ π4 ∫ 1 ∫ π2 ∫ 1 x x 5 (1) x sin xdx (2) dx (3) dx (4) sin x cos xdx (5) e−x |x|dx √ 2x 2 cos 0 0 0 0 −1 1−x ∫ π2 ∫ π2 ∫ π2 π x(− cos x) dx = [−x cos x]02 − (− cos x)dx = cos xdx = 1. 解答例 (1) I1 = 0 0 0 ∫ π4 ∫ π4 π π π π 1 π 1 4 (2) I2 = x(tan x) dx = [x tan x]0 − tan xdx = + [log | cos x|]04 = + log √ = − log 2. 4 4 0 0 2 4 2 π [ ] 6 2 [√ ]1 sin x 1 (3) I3 = − 1 − x2 = − (0 − 1) = 1. (4) I4 = = . 0 6 0 6 ∫ 0 ∫ 1 ∫ 0 ∫ 1 ∫ 0 −x −x −x −x −x 0 ∗ (5) I5 = e (−x)dx + e xdx = (−e ) xdx + (−e ) xdx = [e x]−1 − e−x dx + [−e−x x]10 + 1 ∫ 1 −1 −x e dx = e + 0 [e−x ]0−1 −1 0 −e −1 + [−e−x ]10 −1 0 2 1 = e + (1 − e) − + (−e−1 + 1) = 2 − . e e ∫ 1 dx † 2 (1) を部分分数分解せよ . (2) 不定積分 I = を計算せよ. (15 点) 2 2 (x + 1) (x + 2) (x + 1)2 (x + 2)2 1 A B C D 解答例 (1) = + + + とおく. 両辺に (x + 1)2 (x + 2)2 をかけると, 2 2 2 (x + 1) (x + 2) x + 1 (x + 1) x + 2 (x + 2)2 1 = A(x + 1)(x + 2)2 + B(x + 2)2 + C(x + 1)2 (x + 2) + D(x + 1)2 となる. これは x についての恒等式であるから, x = −1 とすれば B = 1, x = −2 とすれば D = 1 が得られる. ま た, x = 0, x = −3 とすると 1 = 4A + 4B + 2C + D 1 = −2A + B − 4C + 4D を得る. B = D = 1 より, 4A + 2C = −4 −2A − 4C = −4 となるので, この連立 1 次方程式を解けば A = −2, C = 2 であることがわかる. したがって, 1 (x + 1)2 (x + 2)2 =− 2 1 2 1 + + + 2 x + 1 (x + 1) x + 2 (x + 2)2 と部分分数分解される. (2) (1) の結果を用いれば, ∫ dx 1 1 1 x+2 1 I= = −2 log |x + 1| − + 2 log |x + 2| − + C = 2 log − +C − 2 2 (x + 1) (x + 2) x+1 x+2 x+1 x+1 x+2 であることがわかる ( C は積分定数). ∗ ∫ 割とたくさん実際にあった答案であるが,I5 = 0 −1 −x e ∫ − xdx + 0 1 e−x xdx と書くのは誤りである. ∫0 −1 e−x (−x)dx のようにかっこ を付けること. Ax + B Cx + D 1 † = + とおくのは何人か見かけたが,これは初心者が陥りやすい間違いである. (x + 1)2 (x + 2)2 (x + 1)2 (x + 2)2 ∫ x cos x 3 tan = t とおいて, 不定積分 I = dx を計算せよ.(15 点) 2 1 + sin x + cos x x 2t 1 − t2 2dt 解答例 tan = t とおくと, sin x = , cos x = , dx = と表される. よって, 2 2 2 1+t 1+t 1 + t2 ∫ ∫ ∫ 2 2 1 − t2 1 − t2 1−t I = · dt = · dt = dt 2 2 2 2 1 + t + 2t + 1 − t 1 + t 2(t + 1) 1 + t 1 + t2 1+ ∫ ∫ ∫ (1 + t2 ) dt t 1 1 −1 = − dt = tan t − dt = tan−1 t − log(1 + t2 ) + C 2 2 2 1+t 1+t 2 1+t 2 x 1 x = − log(1 + tan2 ) + C (C は積分定数). 2 2 2 1−t2 1+t2 2 2t + 1−t 1+t2 1+t2 2 · dt = 1 + t2 ∫ 微分積分学 1 期末テスト(2014 年 8 月 6 日) 2 枚目 学籍番号 ∫ ‡§ 氏名 √ π であることは証明せずに用いてよい¶ .(15 点) e dx = 2 ∫ ∞ 2 I3 = x2 e−x dx ∞ −x2 次の広義積分を計算せよ . ただし, (3) では 0 ∫ ∞ ∫ ∞ dx −x2 (1) I1 = (2) I2 = xe dx (3) 2 −∞ 9 + x 0 0 { } [ ]∞ 解答例 (1) I1 = 13 tan−1 3x = 13 π2 − (− π2 ) = π3 . −∞ −x2 ∞ e 1 1 = − (0 − 1) − . (2) I2 = − 2 2 2 √ √ ∫ ∞ 0 −x2 ∫ ∞ −x2 2 ∞ e e−x e π π 1 2 −x dx = − lim xe + (3) I3 = x − = . dx = −x − − 2 2 0 2 2 x→∞ 4 4 0 0 2 ここで, 不定形の極限 lim xe−x = 0 はロピタルの定理から従う . 4 x→∞ ∫ √ dx x2 − x + 1 + x = t とおくことで, 不定積分 I = を計算せよ.(10 点) √ 2 x x −x+1 √ t2 −1 解答例 x2 − x + 1 = t − x と変形し,両辺を 2 乗して x について解けば, x = 2t−1 となる. したがって, 5 √ x2 − x + 1 = t − x = t − t2 − 1 t2 − t + 1 = , 2t − 1 2t − 1 dx 2(t2 − t + 1) = dt (2t − 1)2 となる. 故に, ∫ ‡ ∫ ∫ 2t − 1 2t − 1 2(t2 − t + 1) 2 dx = · · dt = dt √ t2 − 1 t2 − t + 1 (2t − 1)2 t2 − 1 x x2 − x + 1 ) ∫ ( 1 1 t−1 − dt = log +C = t−1 t+1 t+1 √ x2 − x + 1 + x − 1 +C (C は積分定数). = log √ x2 − x + 1 + x + 1 1 (1) は教科書 66 ページの 問 3 (2) の問題, (2) は教科書 68 ページの 問 5 (3) を練習していればできるはずである. この計算は微分 積分学 II でもすることになるので必ず身に付けておくこと. § ちなみに, 3 つの定積分はどれも+の値になることが問題を見ただけでわかる. なぜなら, 積分しようとしている関数が,積分区 間内で+だからである. この感覚があれば,少なくともマイナスになるような計算結果が出てしまった場合に計算ミスをしていると いう事に気が付くはずである . 高校の時に教わりませんでしたか? √ ∫ ∞ π 2 ¶ であることは微分積分学 II で学びます. ここでは結果のみを先取りして使うことにしましょう. e−x dx = 2 0 ) ∫ ∞ ∫ ∞ ( 1 −x2 2 −x2 2 (3) において初心者がよくやるミスを書いておきます. dx は(今年あちこちで見かけましたが) x e dx = x − e 2x 0 0 間違いです. ∫ 6 n は自然数とし, 広義積分 In = 1 (log x)n dx について考える. このとき,以下の問いに答えなさい.(15 点) 0 (1) 不定形の極限 lim x(log x)n の値を計算せよ. (ヒント:Ln = lim x(log x)n とおいて Ln についての漸化式 x→+0 x→+0 を作るとよい.) (2) In についての漸化式 In = −nIn−1 が成立することを示せ. ∫ 1 (log x)6 dx の値を求めよ. (3) 広義積分 0 解答例 (1) Ln = lim x(log x)n とおこう. これは 0 × ∞ 型の不定形の極限であるから, ロピタルの定理に x→+0 より, Ln = lim x→+0 (log x)n 1 x = lim x→+0 n(log x)n−1 1x − x12 = (−n) lim x(log x)n−1 = (−n)Ln−1 x→+0 となる∗∗ . したがって, Ln = (−n){−(n − 1)}Ln−2 = · · · = (−1)n n! lim x(log x)0 = 0. ∫ 1 ∫ 1x→+0 [ ] 1 (2) 部分積分により, In = x (log x)n dx = x(log x)n 10 − x · n(log x)n−1 · dx となる. (1) の結果を用いると x 0 0 この第 1 項目は 0 になることがわかる . よって, In = −nIn−1 . ∫ 1 (log x)6 dx = (−6)(−5)(−4)(−3)(−2)(−1)I0 = 6! = 720. (3) (2) の結果より, 0 ∗∗ 1 回ロピタルの定理を適用したこの時点ではまだ不定形のままである. この時点で極限が 0 とはできない.
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