1 胃手術後のビタミン B12 欠乏 Vitamin B12 Deficiency After Gastrectomy for Gastric Cancer An Analysis of Clinical Patterns and Risk Factors Hu Y,et.al. Ann Surg 2013;258:970-975 Objective: 胃術後のビタミン B12 欠乏の危険因子およびその進行の時間経過について調査する Background: 胃術後のビタミン B12 欠乏は患者の QOL を損ねてしまう。また、ビタミン B12 関連神経症状は発見が遅れると不 可逆的である。しかし、胃切除後のビタミン B12 欠乏の臨床経過についてははっきりとしていない。 Methods: 2003-2010 年の幽門側胃切除(DG)後症例;469 例、胃全摘(TG)後症例;176 例の計 645 例が review の対象とな った。ビタミン B12 欠乏の危険因子と欠乏に至るまでの時間についての単変量/多変量解析が行われた。 Results: ビタミン B12 欠乏は術後 4 年で TG 例では 100%、DG 例では 15.7%の確率で生じた(p<0.001)。欠乏に至るま での平均期間は TG 例では 15 ヶ月であった一方、DG 例では測定できなかった。TG 例において術前の血中ビ タミン B12 濃度が唯一の危険因子であったが、DG 例においては術前ビタミン B12 濃度だけでなく年齢も危険因子 となった。術前の血中ビタミン B12 濃度は TG(p<0.001)・DG(p=0.017)どちらにおいてもビタミン B12 欠乏に至るま での期間と密接な関係を認めた。 Conclusions: TG 後はビタミン B12 欠乏は避けられず、比較的早期より認められる後遺症である。DG 後でも高齢で術前の血中 ビタミン B12 濃度の低い症例ではビタミン B12 欠乏へと至る可能性が高い。そのため術前の血中ビタミン B12 測定 および術後の定期的なモニタリングは胃手術後のビタミン B12 欠乏の早期発見・早期治療には欠かせない。 (研修医 廣島 肇)
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